後立山連峰縦走(猿倉〜白馬岳〜不帰〜唐松岳〜五竜岳〜八峰キレット〜鹿島槍ヶ岳〜爺ヶ岳〜鳴沢岳〜赤沢岳〜スバリ岳〜針ノ木岳〜扇沢)
- GPS
- 75:55
- 距離
- 45.7km
- 登り
- 5,320m
- 下り
- 5,121m
コースタイム
9月10日 天狗山荘5:10-6:00頃(ご来光撮影と朝食)-天狗の頭6:09-(不帰嶮)-唐松岳8:55-(途中昼食休憩)-五竜岳12:24-口ノ沢のコル14:21-キレット小屋15:13
9月11日 キレット小屋5:00-八峰キレット5:15-(ご来光撮影)-鹿島槍北峰6:29-鹿島槍南峰7:04-冷池山荘7:58-種池山荘9:25-10:00(種池山荘の天場で昼食休憩)-新越山荘11:33-鳴沢岳12:11-赤沢岳12:55-スバリ岳14:38-針ノ木岳15:27-針ノ木小屋16:00
9月12日 針ノ木小屋7:00-大沢小屋(現在休業中)8:20-扇沢登山口9:04 信濃大町駅行き9:25のバスに乗る
天候 | 9月9日晴れ 9月10日晴れ後曇り 9月11日晴れ後雨 9月12日雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
なお、タクシーは基本的には朝5時30分からの営業です。前日に4時で、と予約したら無理なので4時40分以降で良ければ、と言われました。 扇沢から信濃大町駅へはバスが1時間に1・2本あります。ただし大糸線の本数が少ないので注意。 せっかく慌てて乗っても電車は同じってこともあります・・・ |
コース状況/ 危険箇所等 |
・全体を通じて後立山連峰は岩場・鎖場・ハシゴが多く、また急登に大下りが連続し、技術や体力は勿論のこと、それらが次々に現れた時に精神的に「負けない」強さが必要だと思います。 また、岩が尖っていたり刃状に剥がれている箇所が多く、手袋は必須ですし予備を持った方がいいと感じました。 風について、常にと言っていいぐらい、富山側から冷たい風が時に強く吹いていました。稜線を歩く際に富山側からの風には注意が必要。 昭文社のコースタイムは箇所箇所ではかなり個人差が出ると思われるので、プランニングの際に注意が必要。 ・白馬大雪渓は雪渓の下端で僅かに巻いたものの、後はアイゼンも不要で直登できる。落石に注意して(顔を上げて)歩きましょう。 ・難所である不帰嶮や八峰キレットについては、様々な本や雑誌等でも取り上げられており、ここを通過しようとする人は自分で調べることができるはずなので割愛。 感想としては ○北上するより南下する方が、厳しそうな岩場が登り局面になるので難易度が低いと思われる。 ○人が多い時期だとすれ違いにかなりの時間が掛かると思われる。 ・八峰キレットから鹿島槍北峰に向かう稜線ではブロッケン現象が良く見られるようです。自分も初めて見ることができました。 ・鹿島槍南峰から種池山荘までは今回の旅程で最も安心して歩ける箇所です。 ・種池山荘から先は崩壊した尾根を歩くことがあり、道幅が狭いので風に気をつけながら脇を締めてシッカリとした歩調で通過しましょう。 ・新越山荘から針ノ木小屋まではアップダウンが連続、岩場やガレ場の急登もあり、ここを1日の行程の最後に持ってくるのには慎重に。自分はバテてました・・・ ・針ノ木雪渓は完全に巻き道歩き、雪渓は横切る際に歩く程度です。小屋から大沢小屋までは急な下りで、巻き道は道が細くて鎖場もあるので、決して楽な道ではないです。 ・大沢小屋から扇沢までは樹林帯の道、ときより沢を横切る単調な道です。歩き易い道ではないのでついつい足下ばかりを見て歩いていると・・・「ゴンッ」木に頭をぶつけます(←自分は2回もやりました) |
写真
感想
山行から2週間が経過した今、感想を記す。
9月に入り仕事が一段落ついて、遅れた夏休みをとることにした。
場所は7月号のヤマケイで取り上げられていた「ゴタテ」後立山連峰の縦走。
もともと難所好きで主に関東近辺の岩場がある山にはそれなりに通ってきた。
目指すは西穂〜奥穂に北鎌なんだけど、この2年ぐらいはそういう難所よりも距離の長い縦走に憧れてきた。
なかなかまとまった休みが取れない、という言い訳で2泊3日以上の山行は経験がなかった。
難所+縦走、それなりにチャレンジングなタームであり、夏休みを費やすに相応しい内容と判断。
プランニングを開始してから悩んだのが始点終点の設定。交通機関との兼ね合わせもあるので簡単ではなかった。
扇沢から入るのでは白馬岳とまりになるので距離不足。日本海まで歩きたいとは思わない。
しかも平日は扇沢や大町・白馬方面のさわやか信州号は運行していない。
ということで逆に白馬から南下する方をチョイス。最低でも扇沢、もし行けるならば新穂高か槍ヶ岳経由で上高地まで・・・
ロングトリップの可能性を考えるとワクワクしてしまう(笑)
(9月8日)
前日は仕事で飲み会、この日は台風の接近と、今日に山歩きをする意義も実現可能性もなく、朝から仕度して午後出発となった。
当初は電車で行くつもりが、調べると新宿から平日でも白馬行きの高速バスがあると知り、経路の変更をした。
小田急線に乗った頃には関東地方は大雨に見舞われてしまい、電車はスピードを落として運行、15時30分のバスに間に合うか少し心配した。
無事にバスに乗ることができたが、自分のすぐ後ろの座席にはハッキリ言って「気持ちの悪い」様相の若者が座っていた。
この彼が後の山行に影響を与えるとはいざ知らず・・・
最初には気付かなかったが、ずーっと咳をしているのだ。風邪をひいている様子。
そう言えばバスのトイレに立った時に座席の上で膝を抱えて具合悪そうにしていた。その時の顔色といい髪型といい、薄気味悪いとしか言いようがなかった。
その時に露骨に席を移動すれば良かったのだが、気付いた時にはもう信濃大町駅の近く。彼はそこで降りていった。
もしかして風邪をうつされたりして・・・などと不安になったが、こうなれば行くしかない訳で。
じゃらんNETで予約したペンションに素泊まり、近くのコンビニで食料を調達する。袋ラーメンが一つも売っていなくてショック!
翌朝のタクシーを予約する。希望は午前4時。残念ながら5時30分からの営業だそうだが(さわやか信州号の到着に合わせているのか?)
何とか早く行くようにするとの好意を得る。4時40分以降にとのこと。
(9月9日)
思ったよりスッキリ晴れていない。台風一過を期待したが駄目な様子。というかガスガス。ガッカリな朝だった。
4時50分ぐらいにタクシーは来てくれた。一路猿倉に。想像以上に長くて大変な道のり。送ってもらった帰りを考えるとタクシー代も安く感じる。
肝心な料金は失念、おそらく5000円以下だったと思う。白馬の温泉場から少し離れたペンションからなのでこの料金。駅からだと7000円ぐらいかな。
まだ暗い猿倉山荘からは整備されたなだからかな登山道歩き。やがて砂利道に変わり、右手に白馬鑓ヶ岳への分岐が現れる。
このあたりからはすっかり明るくなってきていてヘッデンを外す。
前日の台風の影響は小さく、やや水量が多くなっている程度なので、渡渉箇所も無問題。
白馬尻山荘に着く頃にはすっかり日が昇り、一面が輝くように光っている。幸い雲もはれてきている様子。
小屋前でダブルストックを伸ばしていざ雪渓に!ここで折角持ってきたスタビライクスを履いていないことに気付く。
ストックとスタビライクスの黄金コンビは結成ならず。
履き忘れたが足の筋肉は絶好調。この縦走に向けてと意識した訳ではないが、これまでほぼ毎週末の様に山を歩いてきた成果が出ているんだ!と言い聞かせながら。
ぶっつけ本番の登山靴も問題なし。順調な感じ。
最初僅かに夏道(巻き道)を歩いたものの、すぐに雪渓に乗る。恐る恐る歩みを進めてみたが、大丈夫!滑らない。
ストックのキャップを外して準備万端。軽快に登っていける。靴底が新品だからなのか全く歩きにロスがない。
白馬の雪渓は初めてで、落石事故などで多少の警戒感はあったけども、快晴で誰一人いない中で気持ち良く登っていけることに幸福感を覚える。
下から見上げると、逆に上から見下ろすとかなりの勾配があるが、スプーンカットを選びながら登っていけば全く問題ない。軽アイゼンは不使用。
雪渓が終わり南京錠がかかっていそうな避難小屋を過ぎると稜線が近づいてくる。近いようで遠いのが山。稜線に出るまでは結構シンドかった。
白馬村営小屋の下でようやく一人の男性とすれ違う。挨拶を交わして話をする。
「頂上小屋は○人しか泊まってなかったです(失念)」当たり前といえば当たり前、台風が直撃する中でも客が居たというのも驚き。
村営小屋のスタッフさんが階段を修復している脇を抜けて、いよいよ稜線の分岐に。右を見れば白馬岳、左を見れば白馬三山、前には黒部方面に尾根が伸びている。
ここにザックをデポして・・・という発想も浮かんだが、そのまま頂上に向かった。頂上小屋には男女がずっーと眺めを見ながら歓談している様子。羨ましい。
なだらかな道を上がってついに白馬岳山頂。ここも自分一人。
写真撮ってツイートして下山。この頃から体の異変を感じていた。どうも高山病の症状らしい。本当に弱いんだよね。
バッチをゲットンすべく頂上小屋に。この小屋、行ったことのある人はご存知だろうが、食堂が凄い。殆どレストラン。
丁度開店直前、申し訳なさそうに入って行く。バッチを物色していると色々なものが目に留まる。生ビール1000円・・・缶ビール800円・・・
流石にまだ飲む気もしないのでバッチとミニッツメイド缶400円を買う。
その場で飲み干しながらふとレジをみると、カレーライスやらラーメンやらの看板を掲示している。
10時からの開店、タイミングもいいしここで昼食休憩にすることにした。カレーライス1000円を注文。
ちゃんと自分が座っている席まで持ってきてくれた。雲上レストランという感じ。
小屋を後にしていよいよ白馬三山に向かう。当初の目論見では本日の宿泊地は唐松頂上小屋。相当タフな行程だが、行けるのではないかと思っていた。
しかし歩き始めてすぐに今日は無理と悟った。高山病の症状がでている。歩みが重くなっている。
杓子岳には荷物をデポして山頂を往復した。時間的にも天狗山荘から先、難所不帰を通過するのは厳しい時間。ここでようやく諦めてノンビリモードに。
鑓ヶ岳山頂ではもずくスープとおにぎりを食べてコーヒーを飲んでゆっくり。しかし体調があまり良くないので楽しくない。
職場から電話があったのようなので、電波状態も良いので折り返しの電話。なんだか懐かしい同僚の声。こんなところで仕事の話、という苛立ちはなかった。
昨日家を出てからずっと一人で殆ど話をしていないストレスの発散になった。
鑓ヶ岳で時間を潰して天狗山荘に。静まりかえっている雰囲気に気後れしながら受付に。サバサバした様子のスタッフさんを前に事務的に受付を済ます。
明日の朝は早く発ちたいので朝ご飯をお弁当にしてもらった。
部屋に入るとすぐに「寒い」と感じた。布団も湿っていて冷たい・・・もってきた防寒具がすぐに役立つ展開。
後で分かったが、完全に風邪をうつされてしまったようだった。布団に入っても落ち着かない、夕食まで時間がある。
生ビールを頼んで飲んだがあまり美味しく感じない。ついには小屋備え付けの本を読み始める「パーフェクトワールド」。好きな映画の原作。
食事の時間になって分かったこと。客は自分一人。黙々と一人で食べる食事。美味しいもなにもあったものじゃなかった。さっと食べて部屋に戻る。
就寝となったが、なかなか寝付けなかったし、何度も目が覚めてしまった。いよいよ3時になるころに眠気を覚える始末(笑)
結局5時になってスタッフさんの物音で目が覚める不始末(笑)慌てて山荘を飛び出る。
(9月10日)
慌てて飛び出たのには理由がある。もちろん先に先にと行きたいというのがあるが、ご来光を拝みたいというのが本音。
小屋のテン場で東の空を眺めると、見事な雲海。ただし稜線が邪魔して南方面の見晴らしがきかない。
日の出まで時間があるので、少し移動して小ピークの上で待機。これまで見たどの雲海よりも見事。眺望もきく、富士山や八ヶ岳、南アルプスも見える。
ご来光に照らされた雲がオレンジ色に光り、これまたお見事。いいご来光を拝めた。
場所を少し移動してついでに朝食を摂る。菓子パンとカロリーメイトをココアで流し込む。
さて、これからが今回の縦走のメインイベント「難所歩き」まずは天狗の大下り。
眺めると大キレットを降りていくような感じ。実際400メートルも高度を落とすことになる。実際は勾配はややきついもののとりたてて怖い箇所ではない。
不帰キレットに着くと目の前に荒々しい岩峰が連なっているのが分かる。ここが名物「不帰の険」近づくと数人の男性が何やら話ながら降りてくるのが分かる。
「え、アソコが登山道なの!」と思う程の岩場をでかいザックを背負って降りてくる。
どうも高校生か大学生という感じの若者。先頭のリーダーらしき兄さんともう一人をやり過ごしたところで、道を譲って貰った。
慎重に3点支持で岩場をクリアー、その後も鎖場や空中ハシゴなどを通過して一息。不帰一峰終わり。
この一峰が一番怖かったかな。続く二峰にもたっぷり岩場鎖場はあったけど落ち着いて臨めば怖いことはなかった。
普段鎖場でも鎖には出来るだけ触らないようにしているので、こういう本当の難所ではいざとなれば鎖を使えばいいんだ、という安心感を持てる。
ということで今回は鎖がある箇所は遠慮なく鎖を使わせて貰った。もちろん握る程度で基本は体で登り降りするのが基本。
三峰を過ぎるといよいよ唐松岳。唐松岳頂上付近もたいそうな岩場だったが、もう覚悟もできているし慣れてきたのもある。さっと通過して頂上に。
頂上では八方尾根から来る人もいてなかなかの賑わい。写真も撮って貰った。
唐松岳までの行程を考えれば、昨日もし元気で体調が良くても突っ込まないで良かったと思う。
唐松岳から五竜岳に向かい八方尾根分岐を過ぎると、「この先岩場の下りで転落多発」の看板があってドキッとさせられるが「え?どこが?」と思うような程度。
五竜岳までは決して油断は禁物だが、特に危険と思うような箇所はなかったように記憶している。登り自体はそれなりにきつかったけど・・・
途中で天狗山荘のお弁当を食べる。結構豪華なちらし寿司風の弁当、残念ながら酢飯の酢が効きすぎ。自分は酢の物が苦手な部類なのできつく感じたのかな。
五竜の山頂は登山道から細い稜線を少し歩いた先にある。この頃はガスが出てきてしまい眺望はなし。
山頂には結構の人がいて休憩している。できれば山頂碑の後ろには居て欲しくないんだけどな・・・鹿島槍には注意書きがあったな。
パチリとやってさっさと次に向かう。
この五竜からキレット小屋までは正直言って、本当に辛かった。この山行自体初めてなので仕方がないが、いつまで続くのかどこに居るのかがイマイチ把握できていなくて参ってしまった。
コースタイム比で60〜70%で行動できるとの経験は全く活かせないことがよーく分かった。ゴタテはシビア。
途中岩場ですれ違い渋滞などに巻き込まれたらと思うとゾッとする。幸い誰一人歩いていない中を好き勝手なペースで歩けた。
キレット小屋に着くと既に先客が数人。良かった、今夜は一人じゃない。受付を済まして荷物を片付けて明日の仕度もする。ハイドレーションに飲み物補給。
談話室兼食堂に入ると先客がお酒でワイワイ。自分も美味しいビールを飲んで話の輪に加わる。
やや年配の女性2名と男性1名のパーティー。これに自分を含む単独2名が今夜の客。(17時過ぎに単独オッサンが遅れて到着、悪びれる様子なし)
夕食前には夕日を眺める。キレイキレイと感嘆の声が上がる。雲の様子で太陽とその光線は多彩に変化して見事な光景をみせてくれる。
食事の後は談話室にあった漫画「鬼平犯科帳」を読む。実は鬼平のファンになりかけていたので渡りに船な登場だった。
六名だけの宿泊客なので小屋は当然空き空き。布団は昨日よりはコンディションがいいので良かった。
明日の朝も弁当にして貰っている、アラームを4時にして就寝。
(9月11日)
アラームなしで4時前に目が覚める。自炊室でお弁当を食べる。昨日受付でオニギリとパン、どちらがいいですか?と聞かれ、朝はパン派の自分はパンをチョイス。
コーヒーを沸かして流し込む。パン2ヶと飲むゼリーに牛乳、ブロックチーズ2ヶがその内容。
辺りはまだ暗い、小屋を出てからすぐに難所続きと分かっていたので、焦らずに準備体操しながら明るくなるのを待っていた。
5時、ヘッデンをして出発。朝食に起きてきた女性が見送ってくれた。
小屋からすぐの岩場に取り付いてすぐに「ヤバイ」岩が朝露でしっとり濡れている。鎖場が連続してピークを乗り越えて下るとそこが「八峰キレット」
本当に凄い光景。切り立った岩峰と岩峰がざっくり切れ込んだ谷で繋がっている。そこをトラバースしてハシゴでキレットを乗り越えたりする。
見た目ほどは危なくないので安心したが、いやはや凄い光景だった。
キレットを越えたあたりでご来光タイム。昨日の見事なのに比べるとイマイチ。
それよりも富山側にガスが流れてきていて、朝日が鋭く当たっているのを見て、「もしかしてブロッケン現象でる??」との期待が。
そのもしかしては実現、山を始めてから初めてのブロッケン現象。夢中で写真を撮る(あとで見るとガッカリでしたが)
鹿島槍北峰までも気を抜けない岩場、だけど今まで歩いてきた中で飛び抜けて危険ということもないので粛々と通過。
山頂には直接登れなさそうで、実際一度吊り尾根に出てから山頂に行く。ザックをデポして北峰に登る。
南峰を眺めると既に人がいる様子。吊り尾根を南峰に向かう。山頂にはパーティーが2組、単独が1名程度いた。
パーティーと単独男性にキレットの事を尋ねられる。大きなザックを背負った学生らしき一団。学生さんはみんな幕営だからか、ザックがデカイよね・・・大したもんだ。
そしてもう1人の単独男性はヤマレコをしている「shira-ga」さんと後で判明。この方のスタミナ+スピードはかなりのもの。この日も柏原新道を朝2時に出たそうだ。
そんなこともつゆ知らず、自分は自分で先を急ぐ。南峰から種池山荘までは今までの行程が嘘のような歩き易い道、しかも眺めも良い。とても気分良く歩くことができた。
種池山荘に着くと、柏原新道からのお客さんが多くて賑わっていた。そんな中汗臭いオッサンがバーナー出してムッツリチキンラーメンをすする姿はそぐわない。
ということで通過。幸いテン場に日陰があったのでしばし借用して昼食。
この後、新越山荘・針ノ木小屋と続くのだが、この区間は相当体力がないとシンドイ区間。それまでに充分歩いてきた自分には体力的にも精神的にも辛かった。
登山道自体は、崩壊した稜線の際を歩く箇所あり、ガレ場の登り下りあり、と歩き易い訳ではないけど、さりとて怖さを感じる箇所もなし。
何気ない岩場に危険が隠れていると念じながら、慎重に通過するようにはしていていた。
ところで、新越山荘から先の稜線から眺める立山連峰の見事さといったら・・・初めて泣いてしまったほど。「うわ〜んすごいよ〜〜」見事にむせび泣いてしまった。
稜線は富山側から冷たい風、太陽光線が鋭く体に降り注ぐ、過酷な状態であった(サングラス着用、タオルを帽子の中にいれて首回りに垂らす)
しかも完全に風邪の症状が出ていて、シンドイったらありゃしません!
行きの高速バスで後ろに座っていた風邪っぴき男を恨みながら、根性の歩き。
途中いくつもピークを踏んだがほとんど作業状態。魔王の城のように聳えるスバリ岳、針ノ木岳も今までの鍛錬が役立ってか登ること自体には問題なかった。
針ノ木岳山頂からは小屋から空身で来た若い人達や他のパーティーに混じっての賑やかな下り。
所要時間30分と昭文社の山地図にあるが、それはかなり無理があると思う。案外と距離があって時間がかかる。
特に急いだ訳でもないが、何組も先行者を抜いて小屋に到着したらぴったり30分。ゴタテ全体としてコースタイム設定はタイトなのかも。
結局山小屋に入ったのは16時。我ながら感心しないが今日は仕方ない。
「予約しましたか?」の問いの言外に「遅いよ」とのお叱りを感じた次第。ゴメンなさい。
さすがに土曜日、しかも扇沢に近い針ノ木小屋、賑やか賑やか。天気は下り坂にも拘わらず、テン場にも人がいた。
今回の山行では人が少ない小屋でひっそり過ごしていただけにギャップが激しくて戸惑う程。
同室の穏やかな男性と話をしながら時間を潰す。部屋の外では就寝時間まで若者が楽しそうに話をしていた。
日が落ちる頃から雨が降ってきて、明日の予報も良くない感じ。本当はもっと南下したかったが明日の下山でもいいかなと思い始めていた。
夜半、断続的に風雨ともに強くなる。
(9月12日)
残念ながら朝になっても雨は上がらず、時折強く降っている。前線が日本海にかかっていて周囲は天気が不安定になっているとのこと。
一応朝食はお弁当にしてもらっていたので、若者が自炊始める前にと朝食にする。
残しても仕方ないので、カップヌードルも一緒に食べる。お弁当はおにぎり2ヶと香の物。
7時ちょっと前に日本3大雪渓「針ノ木大雪渓」を下山開始。当然ながら合羽にスパッツ、フル装備。まずは峠からジグザグに付けられた登山道を下る。
やがて雪渓の頭に着くが、すぐに巻き道に進路を取る。この辺りで自分よりも早く下山した人たちを殆ど追い抜く。一人旅が始まる。
右から左、左から右と雪渓を横切ること数回、やがて完全な高巻き道歩きに。この道は決して楽ではないし、危険な箇所もある。気を抜けない下り。
大沢小屋(既に休業中)を過ぎると道はやや平坦になるけど、決して歩き易い道でもない。この針ノ木小屋からの下りは好きになれない道だった。
幸いにも雨脚は弱くなってきていて、視界も悪くなかった。樹林帯の歩きには苦労したが・・・枝に頭をぶつけること2回・・・
関電の大町トンネルのそばに一度登山口の表示があり、「やった扇沢だ」とぬか喜び。扇沢からトンネルまでの九十九折りの道路を縫うように登山道が続いている。
もしトローリーバスがそばに来たら手を振りたいな、と内心思ったが会うこともなく今度は正真正銘、扇沢登山口に到着!
小雨にも拘わらず、団体客がトローリーバス乗り場にと小走りで急ぐ中、雨にまみれた自分はコインロッカー前のベンチで着替え。
7月に爺ヶ岳に登った際にもここで仕度したっけ。バスの時間が丁度良いので顔と頭をバシャバシャ洗って乗り込む。
駅に着くと次の電車まで時間がある。これなら次のバスでも充分間に合った・・・黒部ダムカレーでも食べたかったな・・・
駅で小腹が減ったので以前も食べた駅そばコーナーに。ところがなんと10時〜11時は休憩時間!泣けてくる。
これまた以前に寄ったおやきの売っている売店で肉まんらしきものを買って食べる。
明日も休み、急いで帰ることもないし、かと言って一人で温泉宿に泊まって・・・という気分でもない。
松本から横浜線に直通している「はまかいじ」で帰ることに決め、その時間まで松本で風呂+打ち上げをすることにした。
大糸線で松本駅に、松本駅では観光案内所で聞いて美ヶ原温泉にバスで向かう。日帰り入浴施設で垢と髭を落として再び松本駅に。
駅ビル内で打ち上げ、大雪渓酒造の冷酒を飲む。思えば雪渓に始まり雪渓に終わった今回の山行。そういう縁があったのかもしれない。
心地よい酔いの中、はまかいじ号で帰路につく。風邪をひいたことも忘れ、無事に帰ることが出来る安堵感に浸っていた。お疲れ様でした。
お久しぶりです!
鹿島槍の山頂あたりでお会いしているような時間帯です!キレットの状況とかお聞きしたかも??
赤いザックに緑のハットの単独男が私です。
鹿島槍南峰ではグループと単独男性にキレットの事を尋ねられました。
ストック持っていた単独男性がshira-gaさんかな?
いや〜奇遇です!
ストックもってサングラスして、風のせいで迷い顔がこわばっていたのが私です!
私が鹿島槍南峰にいて、yarijapnさんがキレット小屋から一番であがってこられたのですね、グループの方が岩場がぬれているかを、私が風についてなどお聞きしました! 教わりました「立っていないほうがいい場所」はちょっとわかりませんでした。
しかしyarijapanさんはロングで後立山を満喫されたようですね、最終日は天気残念でしたが前半は大展望を楽しまれたようですね
今度は・・・大倉尾根でお会いできるかもです!
yarijapanさん、こんにちは。
明日から1泊2日で、猿倉〜白馬岳〜不帰〜唐松岳〜八方を予定しており
yarijapanさんの山行記録を拝見させていただきました。
非常に分かりやすく、ずいぶん助かります。
後日、山行記録をアップしますので、
お暇なときにでも見てやってください。
ありがとうございました☆
hansusya
記録拝見しました。
自分もゴタテの記録の続き&週末の山行記録やらなきゃ・・・
yarijapanさん、記録・感想拝見しました。上高地を狙っていたとはすごいですね。
実は、キレット小屋の単独男性とは私の弟です。ちょっと予定がうまく合わず、別日程とあいなりました
弟さんでしたか!あまり言葉を交わしませんでした、控え目な印象でした。
しかし縁がありますね(笑)
shira-gaさんの様なロング&ファスト山行は無理ですが、じっくりと長く山歩きしたいなあと思っていました。
あいにくの荒天というのもありますが、足裏が痛くなっていたので続行しても上高地or新穂高は無理だったかも、です。
またどこかでお会いできるような気がしますね。
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