
最終更新:ヤマレコ/YamaReco
白山信仰にゆかりがある道無き二百名山

笈ヶ岳(おいずるがたけ)は石川県、岐阜県、富山県にまたがる山で、標高は1841mです。
一般登山道は無く、日本二百名山の中では最難関のひとつとされています。道なき道の山行がゆえに、登山上級者らの挑戦欲を掻き立てています。
日本百名山に惜しくも選ばれなかったエピソードがあり、その決定者の深田久弥(ふかだきゅうや:1903-1971年)は、ふるさとのこの山に愛着がありましたが、自身が未踏のためやむを得ず外したそうです。
登山者が集中するのは春

山名は、西側から見た山の形が笈(おい)に似ているからとする説があります。笈とは僧侶が仏具や荷物を入れて背負う箱のことで、実際にこの山では修行僧が鍛錬のため出入りしていたようです。山頂には小さな石祠が鎮座し、またここから室町時代の品とされる経筒や短剣などの奉納品が多数出土しています。これらは1905年(明治38年)に陸地測量部が三角点を設置した時に発見されました。

開山は白山を開いた泰澄上人(たいちょうしょうにん:682-767年)によるとされ、白山信仰と密接に結びついていたそうです。
登山者が集中するのは春

笈ヶ岳へはバリエーションルートを辿るしかなく、登山上級者向けの山です。入山時期の見極めや事前の情報収集はもちろん、技術や体力も求められます。
登山は、雪が残る春によく行われる傾向があります。

夏季は登ることは可能ですが、草木が生い茂りひどい藪漕ぎを強いられます。

積雪があれば藪が埋まり、掻き分けずに進むことができます。ただし豪雪地帯にあたるため、厳冬期は悪天候が多く、雪の多さも相まってかえってリスクが高まります。そのため天候が安定し気温が高く、雪が締まる春が登りやすいとされています。
白山を雄大に望む山頂

笈ヶ岳の山頂は、笹が茂っています。

見晴らしは良く、近くの白山を迫力たっぷりに望むことができます。

また北アルプスや御嶽山、日本海なども見ることができます。
通例のバリエーションルートは石川県から

バリエーションルートの中でも定番化されているのは、西側の石川県からのアプローチです。
積雪時によく取られるルートは、ジライ谷とシリタカ谷の間の尾根に上がり、冬瓜山(かもうりやま)の山頂を巻いて冬瓜平(かもうりだいら)を経由します。

深田久弥も日本百名山の執筆後に、このルートで登頂を果たしました。
また山毛欅尾山(ぶなおやま)や冬瓜山、シリタカ山の尾根を伝うルートも選ばれています。

一方の無雪期でよく歩かれているのは、中宮発電所付近から林道をたどるルートです。

谷に沿いながら中宮ダムやさらに水晶谷を越え、笈ヶ岳の西尾根に取り付きます。

場所によっては踏み跡ができていたり、雪上では先行者のトレースが残っていたりしますが、適切な道のりであるとは限りません。

またロープが残置された箇所もありますが、劣化の可能性があるため、体重をかけられるかどうか警戒する必要があります。状況に応じては、岩場の登りや渡渉もあります。

かなり長時間の行動となるため、泊りがけでの山行も行われています。
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2024年11月04日(日帰り)