奥多摩・高尾

最終更新:宮沢
基本情報
標高 | 300m |
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場所 | 北緯35度37分18秒, 東経139度08分36秒 |
【アマドオリ(小渕峠)】
むかしむかしのこと、この谷合いの奥深くに「あまいぬ」という恐ろしいものが住んでいた。
ある年、この村から隣村に婚礼のあった夜のこと。
その晩は月のない寒い寒い晩であった。
花嫁の輿を中にして、美しく揃った行列が小渕峠に差しかかった時、不気味な風が吹き起こってお供の人たちの持っていた灯が一度に消えてしまった。
人々が驚きあわてる間に音もなく現れた「あまいぬ」は、怖れおののく可憐な花嫁を疾風の如く奪い去って行った。
灯をつけた人々がようやくそれと気付いたとき、すでに恐ろしい形相をした「あまいぬ」は死んだようにぐったりした花嫁を抱えて、谷一つへだてた向うの曽根(尾根)を一散に走っていた。
余りの出来事にあぜんとした人たちが後を追いかけたが、そこにはもう「あまいぬ」も花嫁もそれらしい影もなく、心ない夜鷹の鳴く声のみが風に響いているだけであった。
それから幾日も村人総出で山狩りやら八方手をつくして探し回ったが、花嫁の行方はついに知れなかった。
村人は、誰言うとなくこの小渕峠を「あまどおり」と呼んだ(あまとは方言で娘を阿女、あまっ子などという)。
そして、婚礼の通ることを嫌った。
また、この谷あいを「いぬ沢」と呼び、向う曽根を「いぬはしり」と呼んだ。
今は峠を「あまどうり」、向う曽根を「いぬばし」と呼んでいるが、婚礼はまわり道をしても決してこの道は通らなかった。
『思い出のさわその』『藤野むかしむかしP66』
むかしむかしのこと、この谷合いの奥深くに「あまいぬ」という恐ろしいものが住んでいた。
ある年、この村から隣村に婚礼のあった夜のこと。
その晩は月のない寒い寒い晩であった。
花嫁の輿を中にして、美しく揃った行列が小渕峠に差しかかった時、不気味な風が吹き起こってお供の人たちの持っていた灯が一度に消えてしまった。
人々が驚きあわてる間に音もなく現れた「あまいぬ」は、怖れおののく可憐な花嫁を疾風の如く奪い去って行った。
灯をつけた人々がようやくそれと気付いたとき、すでに恐ろしい形相をした「あまいぬ」は死んだようにぐったりした花嫁を抱えて、谷一つへだてた向うの曽根(尾根)を一散に走っていた。
余りの出来事にあぜんとした人たちが後を追いかけたが、そこにはもう「あまいぬ」も花嫁もそれらしい影もなく、心ない夜鷹の鳴く声のみが風に響いているだけであった。
それから幾日も村人総出で山狩りやら八方手をつくして探し回ったが、花嫁の行方はついに知れなかった。
村人は、誰言うとなくこの小渕峠を「あまどおり」と呼んだ(あまとは方言で娘を阿女、あまっ子などという)。
そして、婚礼の通ることを嫌った。
また、この谷あいを「いぬ沢」と呼び、向う曽根を「いぬはしり」と呼んだ。
今は峠を「あまどうり」、向う曽根を「いぬばし」と呼んでいるが、婚礼はまわり道をしても決してこの道は通らなかった。
『思い出のさわその』『藤野むかしむかしP66』
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