デューレンホルン（“Durrenhorn” ;4035m）は、スイス中南部、ヴァリス(Wallis/Valais）山群のうち、ザース渓谷(“Saastal”)と、ツェルマット渓谷(“Mattertal”）とを分ける南北に長い山群である、ミシャベル山群（”Mischabel Gruppe” （独）/ “Mischabel Range”（英））のうちの一峰。ミシャベル山群のうち最も北にある４０００ｍ峰である。

位置的には、この山から南側へと延びる稜線上にある、ホーベルクホルン(“Hohberghorn” ;4218m)、ナーデルホルン(“Nadelhorn” ;4327ｍ)と近く、この３つの山を繋ぐ稜線は、まとめて「ナーデルグラート」(“Nadelgrat”）という名前でも呼ばれる。なお、さらにその南にあるレンツシュピッシェ（“Lentzspitze“4294ｍ）までの稜線も「ナーデルグラート」に含む場合もある（文献３）、（文献４）。
「ナーデルグラート」は、4000ｍ以上の険しい岩稜を縦走するルートとして知られている（文献３）、（文献４）。
また、これら３つの山は、まとめて登られることも多い。デューレンホルンは、「ナーデルグラート」を通って登攀するルートが一般的とされる（文献１）。

デューレンホルンは上記の通り、ほぼ南北に走る「ナーデルグラート」の北端に位置し、南へと延びる稜線上、約1ｋｍにホーベルクホルン、約２ｋｍ先にナーデルホルンが連なっている（文献５）。
この山の西側は、ツェルマット渓谷（マッタ―タール;"Mattertal")へと急角度に落ち込んでいる。また東側から北東側にかけては、リッド氷河(“Ried Gracier”）がある（文献５）。

デューレンホルンの初登頂は、1879年9月に、A. F. Mummery , W. Penhall , A. Burgener(guide), F. Imseng(guide)による４人パーティにより、北尾根を使うルートにより、達成された（文献２）、（文献３）。

デューレンホルンへの一般的な登攀ルートについて、（文献１）に基づいて説明する。
アクセスは、ザース渓谷(“Saastal”）側のザースフェー（“Saasfee“)の街からで、主稜線から東へと延びる枝尾根上にある、ミシャベル小屋（”Mischabel Hutte”；3336ｍ)へ登って一泊する。

そこからは、「ナーデルグラート」南端のナーデルホルンへと登攀して、それから主稜線を北に進み、ホーベルクホルンを通ってデューレンホルンへと至るルートが挙げられる。
他には、ナーデルホルンはパスして、「ナーデルグラート」の東側斜面の氷河地帯をトラバースして、ホーベルクホルンとナーデルホルンの間のコルである、ホーベルクヨッホ（“Hohbergjoch”）で「ナーデルグラート」に出て、そこからホーベルクホルン経由でデューレンホルンに登るルートも使われる。


上記登攀ルートの難易度は、フレンチグレードで、PD。
岩場(岩稜）の難度は最大で（�供棔法�
但し4000ｍ級の岩稜縦走（往復）となり時間がかかるので、その点での難易度は大きい。


本稿は、「アルプス４０００ｍ峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田　訳、山と渓谷社　刊　（１９９７）の「デューレンホルン」の項（文献１）、
ウイキペディア英語版の、デューレンホルン（"Durrenhorn"）　の項（文献２）、
ウイキペディア　ドイツ語版の、デューレンホルン（“Durrenhorn"）の項（文献３）、
ウイキペディア　ドイツ語版の、ナーデルグラート（“Nadelgrat”）の項（文献４）、及び
スイスの公的なインターネット地形図（Swiss Topo）（文献５）
を参照して記載した。


※　ウイキペディア英語版の、デューレンホルン（Durrenhorn）の項

https://en.wikipedia.org/wiki/D%C3%BCrrenhorn

※ ウイキペディア　ドイツ語版の、デューレンホルン（Durrenhorn）の項

https://de.wikipedia.org/wiki/D%C3%BCrrenhorn

※　ウイキペディア　ドイツ語版の、ナーデルグラート（“Nadelgrat”）の項

https://de.wikipedia.org/wiki/Nadelgrat

※　スイスの公的なインターネット地形図（Swiss Topo）のサイト

　https://map.geo.admin.ch/