モンテローザという山は、スイス中南部のヴァリス(Wallis/Valais)山群の最高峰であるとともに、スイスとイタリアの国境稜線上に位置する。モンテローザは一つの山というより、巨大な山塊であり、モンテローザ山塊（Monte Rosa Massif）とも呼ばれる。

モンテローザの主稜線は、北東から南西方向走向をもつ、５ｋｍほどの長い稜線である。その主稜線には多数のピークがある。
主稜線上の主要なピークを北東側から順に述べると、ノルトエント(Nordend;4609m)、ディフイールシュピッェ(Durfourspitze；4634ｍ／主峰）、ツムシュタインシュピッツェ(Zumsteinspitze；4563ｍ）、ジグナールクッペ(Signalkuppe；4556ｍ）、パロットシュピッツェ(Parrotspitze；4432ｍ）、ルートヴィッヒスヘーエ（Ludwighohe；4341ｍ）、シュヴァルツホルン(Schwarzhorn；4332ｍ）、バルメルホルン(Balmenhorn；4167ｍ）、ヴァンサンピラミッド(Venscent Pyramide；4215ｍ）などのピークが挙げられる（文献１）、（文献２）、（文献３）。

この項ではモンテローザ山塊の一峰である、パロットシュピッツェ(Parrotspitze；4432ｍ）ピークについて述べる。

パロットシュピッツェは、モンテローザ山塊のうち、南西部にあるピークであり、ジグナールクッペ(Signalkuppe；4556ｍ）の南西　約１ｋｍに位置する。
パロットシュピッツェ(Parrotspitze)という山名は、ドイツ語系のスイス側での呼び名であり、イタリア側からは、イタリア語で、プンタ・パロット（Punta Parrot）と呼ばれている（文献２）。

パロットシュピッツェ(Parrotspitze)、あるいはプンタ・パロット（Punta Parrot）という名前のうち、「パロット」”Parrot”は、モンテローザ山塊の登頂を狙った、ドイツ人のJ.J.F.W.Parrot　の名前に由来する（文献２）。（ただし、パロット自身は、パロットシュピッツェの初登頂は果たしていない；文献２）。

このピークの標高は、文献類によって違う値が記載されており、はっきりしない。
（文献１）では、4436ｍと記載されている。（文献２）では、4432ｍと記載されている。また、スイス政府のインターネット地形図では、4434ｍと記載されている。

パロットシュピッツェの初登頂は、1863年8月に、R. S. Macdonald, F. C. Grove, M. Woodmass , W. E. Hall, M. Anderegg(guide), P. Perren(guide)による６人パーティにより、達成された（文献２）。

パロットシュピッツェへの一般的な登攀ルートについて、（文献１）に基づいて説明する。
基本的には途中までは、隣接するジグナールクッペ（Signalkuppe）への登攀ルートと同じであり、この２つのピークを合わせて登るケースも多いという（文献１）。

まずイタリア側のリゾート地、アラーニャ(Alagna;1200m)からロープウエーを使い、プンタ・インドレン(Punta Indren;3260ｍ)に至り、ここからスタートする。
ここから氷河、モレーンを登って、ニフェッティ小屋(Rif. Gniffity;3650m)に至り、一泊する。
小屋からは、北へと氷河上を登高して国境稜線上のコル状の場所（約4200ｍ）に出る。そこから主稜線のややスイス側の氷雪の斜面を北東へとたどり、その後、ジグナールクッペの手前から稜線部へと登高して、主稜線上のコル、ゼーザーヨッホ(Seeserjoch;4296m)に至る。そこから雪の稜線上を南へと進み、パロットシュピッツェに至る。


※　本稿は、「アルプス４０００ｍ峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田　訳、山と渓谷社　刊　（１９９７）（文献１）、ウイキペディア英語版の、“Parrotspitze” の項（文献２）、及び、ウイキペディア英語版の、"Monte Rosa"　の項（文献３）を参照して記載した。

※　ウイキペディア英語版の、（Parrotspitze）の項

https://en.wikipedia.org/wiki/Parrotspitze

※ ウイキペディア英語版の、モンテローザ（Monte Roza）の項

https://en.wikipedia.org/wiki/Monte_Rosa