革の登山靴を使い始めて1年半、やっと慣らしも終わった様なので経過報告です。
登山を始めて1年半が経過した頃から自分の山行スタイルが見えて来て、人の少ない自然林の中を
歩くことが多くなりました。破線・線無しのコースを歩くと、道が荒れている処もあり靴が傷むのです。山から帰ると合成繊維のアッパーがほつろけていることがしばしばあり、底を張替える迄アッパーが持ちそうにありません。そこで革の登山靴の購入と相成りました。
色々と調べた結果候補は巣鴨と北綾瀬、巣鴨は敷居が高そうだしお客さんも多そうなので北綾瀬へ直行となりました。自宅の一角に作業場があり、そこに少し完成品があります。70台と思しき親爺さんと奥様、息子さん。私が伺った当日は親爺さん一人で、途中で奥様が外出から戻られました。
候補はお奨めの上から2番目のグレードの裏出し革の4季靴です。私にはオーバースペックでしたが、結果的にはその後スノーシューを始めたこともあり正解でした。底を張替えれば10年単位で使えるものです、誰しも自分の10年後の山行スタイルは判りません。今のスタイルに合わせて買った場合自分の足に馴染んだ後に買換えるのは勿体無い話です。
お待たせしました、いよいよ購入です。親爺さんに自分の山行スタイルを告げる必要はありません、親爺さんは山登りはしません。裸足になって採寸です、専用の紙はありません、その辺にあったチラシの裏です。鉛筆で形をなぞって、じっくり眺めておしまい。標準的な形でオーダーの必要はないそうです。オーダーが必要なのは左右のサイズがが極端に違ったり、変わった形の人だそうです。何枚か足型を見せてもらいましたが、人の足とは思えない方も・・・。
持参の靴下を履いて、見立てのサイズとその上下を試着。親爺さんの指示でいつもの締め方で紐を締めて様子見です。紐を締め始めると「違うんだよね。」とご指摘。リングやフックの上下からの話ではありません、親爺さんのパテントですのでここでは書きません。今ではこの方法を少しアレンジして通常の山行では家を出て駅で締め直せば、帰る迄締め直しはしません。確かに本にある通り、登りは緩く・下りは締めては正しいです、靴が堅い内は登りを緩めないと歩けません。登りはおろか、平地でもロボット歩きになります、それも子供のおもちゃの方がしなやかな程のロボット歩きです、ガシーン!
半年程度で靴が若干柔らかくなれば、締め直す必要はありません、一旦山に入ればアップダウンがあり
一々締め直すのは面倒ですから。
さて、奥様もお帰りになり代金を払って帰ろうとすると親爺さん「あっ、忘れてた。足見せて。」棘骨です、踵や踝の小さな骨の出っ張りです。私の場合左の踵にあり、巨大なやっとこで革を伸ばして終了です。この時点ではその後1年近く苦しむ原因になるとは夢にも思いませんでした・・・。
手入れの方法も教わりさて帰ろうとするとまたもや親爺さん「目止めはしないでね、一旦水が入ると中々出なくて大変だから。それと家の靴は足の形に合わせて作ってあるからインソールはいらないからね。」危なく大事な事を聞かずに帰る処でした。
初期の手入れは先人のブログにあるので省きます。慣らしは河原を2時間程歩き回り、フィット感に大満足。いざ実戦投入、アプローチは舗装道路を2時間。歩き出して30分、「あれ?踵が痛い!」まだ初回、テーピングで対応して登山口へ、途中から更に足全体が痛い。登山口についた頃には、どうにも我慢ができない、埼玉県警の云う入り口遭難です。あえなく敗退です。帰りの電車でも慣らしと思い、紐を緩めなかったら、泣くほど痛い!電車の中で山装備で泣いている親爺を見たことがあればそれは私です。帰宅して足を見れば踵はズル剥け、右足の甲に1ケ所真っ赤な点が。棘骨です。
いずれ革も伸びる、足の皮も堅くなるとの思いでテーピングでカバーして4〜5回我慢するも、毎回帰りのバスや電車では痛みとの戦いでした。ついに耐え切れず北綾瀬に再訪です。今度は息子さんもいらっしゃり、状況を説明して対策を依頼しました。「納得いかねー」親爺さんの一言、好々爺なのですが、自分の作った物にケチを付けられた瞬間、職人気質爆発です。奥様と息子さんの説得で実際の棘骨を見て、ベロのクッションを増やして様子見となりました。ベロの縫目を解き、クッションを入れて縫い直して1時間掛けて完成。無料でした。
でも結果は同じでした。100均で樹脂製の靴擦れ防止用のパッドを購入し、中心に5円玉の様に穴を開け棘骨にはめ込みテーピングで固定。一時の改善はあったものの、骨の上の表皮は動くので長時間歩くとズレて痛みが再発です。内張りも革のため、トレッキングシューズと比較して擦れるのです。私の足には合わないのではとの思いもありましたが、相応の価格の為に諦め切れず再度北綾瀬へ。
親爺さんに自作の器具を見せ、ベロ内のクッションの抜き取りを依頼すると、しばし無言で私の器具を眺めてから何やら作業開始です。「これ入れます。」親爺さん、私の作った器具に近い物をクッション材で作りベロ内部に入れるとのことです。私の了解の下、また1時間近い作業でした。また、無料です。こうなるだろうと思い、手土産を持参した事もあり、そのお礼に靴紐まで頂きました。途中、底の張替の依頼に来た方の靴がほとんど手入れがされておらずボロボロ、それを見た親爺さんの悲しげな顔が印象的でした。自分作った物に愛着が有る様です。この人の作った靴にして良かったとつくづく思います。
この修理で棘骨の痛みは解消しました、履き始めて1年を経過した頃から踵の痛みほぼなくなりやっと自分の足に馴染んで来たと感じます。革の登山靴を検討されている方の参考になれば幸いです。
革登山靴のデメリット
・重い 写真右側の黄色の紐の靴はキャラバンクランジェッタ20年ものです。裏出し革・合わせベロ・片側1.3Kg 左の靴の購入後に知人から頂きました。スノーシューで使っています、靴・スノーシュー・デッキの上の雪を考えれば片足で2kg以上の加重です。私の場合、夏靴だけ軽くする意味が無いのでこんなものと思っています。
登山を始めて1年半が経過した頃から自分の山行スタイルが見えて来て、人の少ない自然林の中を
歩くことが多くなりました。破線・線無しのコースを歩くと、道が荒れている処もあり靴が傷むのです。山から帰ると合成繊維のアッパーがほつろけていることがしばしばあり、底を張替える迄アッパーが持ちそうにありません。そこで革の登山靴の購入と相成りました。
色々と調べた結果候補は巣鴨と北綾瀬、巣鴨は敷居が高そうだしお客さんも多そうなので北綾瀬へ直行となりました。自宅の一角に作業場があり、そこに少し完成品があります。70台と思しき親爺さんと奥様、息子さん。私が伺った当日は親爺さん一人で、途中で奥様が外出から戻られました。
候補はお奨めの上から2番目のグレードの裏出し革の4季靴です。私にはオーバースペックでしたが、結果的にはその後スノーシューを始めたこともあり正解でした。底を張替えれば10年単位で使えるものです、誰しも自分の10年後の山行スタイルは判りません。今のスタイルに合わせて買った場合自分の足に馴染んだ後に買換えるのは勿体無い話です。
お待たせしました、いよいよ購入です。親爺さんに自分の山行スタイルを告げる必要はありません、親爺さんは山登りはしません。裸足になって採寸です、専用の紙はありません、その辺にあったチラシの裏です。鉛筆で形をなぞって、じっくり眺めておしまい。標準的な形でオーダーの必要はないそうです。オーダーが必要なのは左右のサイズがが極端に違ったり、変わった形の人だそうです。何枚か足型を見せてもらいましたが、人の足とは思えない方も・・・。
持参の靴下を履いて、見立てのサイズとその上下を試着。親爺さんの指示でいつもの締め方で紐を締めて様子見です。紐を締め始めると「違うんだよね。」とご指摘。リングやフックの上下からの話ではありません、親爺さんのパテントですのでここでは書きません。今ではこの方法を少しアレンジして通常の山行では家を出て駅で締め直せば、帰る迄締め直しはしません。確かに本にある通り、登りは緩く・下りは締めては正しいです、靴が堅い内は登りを緩めないと歩けません。登りはおろか、平地でもロボット歩きになります、それも子供のおもちゃの方がしなやかな程のロボット歩きです、ガシーン!
半年程度で靴が若干柔らかくなれば、締め直す必要はありません、一旦山に入ればアップダウンがあり
一々締め直すのは面倒ですから。
さて、奥様もお帰りになり代金を払って帰ろうとすると親爺さん「あっ、忘れてた。足見せて。」棘骨です、踵や踝の小さな骨の出っ張りです。私の場合左の踵にあり、巨大なやっとこで革を伸ばして終了です。この時点ではその後1年近く苦しむ原因になるとは夢にも思いませんでした・・・。
手入れの方法も教わりさて帰ろうとするとまたもや親爺さん「目止めはしないでね、一旦水が入ると中々出なくて大変だから。それと家の靴は足の形に合わせて作ってあるからインソールはいらないからね。」危なく大事な事を聞かずに帰る処でした。
初期の手入れは先人のブログにあるので省きます。慣らしは河原を2時間程歩き回り、フィット感に大満足。いざ実戦投入、アプローチは舗装道路を2時間。歩き出して30分、「あれ?踵が痛い!」まだ初回、テーピングで対応して登山口へ、途中から更に足全体が痛い。登山口についた頃には、どうにも我慢ができない、埼玉県警の云う入り口遭難です。あえなく敗退です。帰りの電車でも慣らしと思い、紐を緩めなかったら、泣くほど痛い!電車の中で山装備で泣いている親爺を見たことがあればそれは私です。帰宅して足を見れば踵はズル剥け、右足の甲に1ケ所真っ赤な点が。棘骨です。
いずれ革も伸びる、足の皮も堅くなるとの思いでテーピングでカバーして4〜5回我慢するも、毎回帰りのバスや電車では痛みとの戦いでした。ついに耐え切れず北綾瀬に再訪です。今度は息子さんもいらっしゃり、状況を説明して対策を依頼しました。「納得いかねー」親爺さんの一言、好々爺なのですが、自分の作った物にケチを付けられた瞬間、職人気質爆発です。奥様と息子さんの説得で実際の棘骨を見て、ベロのクッションを増やして様子見となりました。ベロの縫目を解き、クッションを入れて縫い直して1時間掛けて完成。無料でした。
でも結果は同じでした。100均で樹脂製の靴擦れ防止用のパッドを購入し、中心に5円玉の様に穴を開け棘骨にはめ込みテーピングで固定。一時の改善はあったものの、骨の上の表皮は動くので長時間歩くとズレて痛みが再発です。内張りも革のため、トレッキングシューズと比較して擦れるのです。私の足には合わないのではとの思いもありましたが、相応の価格の為に諦め切れず再度北綾瀬へ。
親爺さんに自作の器具を見せ、ベロ内のクッションの抜き取りを依頼すると、しばし無言で私の器具を眺めてから何やら作業開始です。「これ入れます。」親爺さん、私の作った器具に近い物をクッション材で作りベロ内部に入れるとのことです。私の了解の下、また1時間近い作業でした。また、無料です。こうなるだろうと思い、手土産を持参した事もあり、そのお礼に靴紐まで頂きました。途中、底の張替の依頼に来た方の靴がほとんど手入れがされておらずボロボロ、それを見た親爺さんの悲しげな顔が印象的でした。自分作った物に愛着が有る様です。この人の作った靴にして良かったとつくづく思います。
この修理で棘骨の痛みは解消しました、履き始めて1年を経過した頃から踵の痛みほぼなくなりやっと自分の足に馴染んで来たと感じます。革の登山靴を検討されている方の参考になれば幸いです。
革登山靴のデメリット
・重い 写真右側の黄色の紐の靴はキャラバンクランジェッタ20年ものです。裏出し革・合わせベロ・片側1.3Kg 左の靴の購入後に知人から頂きました。スノーシューで使っています、靴・スノーシュー・デッキの上の雪を考えれば片足で2kg以上の加重です。私の場合、夏靴だけ軽くする意味が無いのでこんなものと思っています。
革登山靴のメリット
・自己満足 これに尽きます。当初目的のアッパーの傷みは多少の場合ワックスで修復します。
・価格 これは国産に限ったことを前提にした話です。ゴム底の靴は輸入税が3割近く掛ります、また海上運賃等諸掛を考慮すれば工場出荷価格が同じであれば外国製は国産と比較して4〜5割近く高くなります。(税率は底の材質の他、輸出地により変わるはずです。)極端な言い方をすればイタリアで輸出向けに2万円で工場をでた靴は、横浜で国内向けにトラックに乗る時には3万円になると云うことです。
防水とメンテナンスは当初心配していましたが、全く問題無しでした。ただ、慣らしは棘骨の問題も
含め安心して履けるのは1年程度経過してからでした。私の靴だけなのか、革靴全体に云えることかは判りません。知人に頂いた靴は既に使用していた為か、最初から靴擦れ等は一切ありませんでした。
登山靴は移動手段としての車と似ているように思います。移動するだけなら、機能性・安全性・経済性等効率だけを考えれば良いのに、購入する段階では極端に趣味性が出てしまいます。同じ山と云っても岩・沢・トレランと色々なスタイルがあります、中学校の体育館の部活の様なもので体操あり、卓球あり、バスケあり、自分の好きなスタイルで楽しめばよいのではないでしょうか?
・自己満足 これに尽きます。当初目的のアッパーの傷みは多少の場合ワックスで修復します。
・価格 これは国産に限ったことを前提にした話です。ゴム底の靴は輸入税が3割近く掛ります、また海上運賃等諸掛を考慮すれば工場出荷価格が同じであれば外国製は国産と比較して4〜5割近く高くなります。(税率は底の材質の他、輸出地により変わるはずです。)極端な言い方をすればイタリアで輸出向けに2万円で工場をでた靴は、横浜で国内向けにトラックに乗る時には3万円になると云うことです。
防水とメンテナンスは当初心配していましたが、全く問題無しでした。ただ、慣らしは棘骨の問題も
含め安心して履けるのは1年程度経過してからでした。私の靴だけなのか、革靴全体に云えることかは判りません。知人に頂いた靴は既に使用していた為か、最初から靴擦れ等は一切ありませんでした。
登山靴は移動手段としての車と似ているように思います。移動するだけなら、機能性・安全性・経済性等効率だけを考えれば良いのに、購入する段階では極端に趣味性が出てしまいます。同じ山と云っても岩・沢・トレランと色々なスタイルがあります、中学校の体育館の部活の様なもので体操あり、卓球あり、バスケあり、自分の好きなスタイルで楽しめばよいのではないでしょうか?
革登山靴の慣らし
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自分は35年前から登山をしてますが、そのころの冬靴は革の登山靴でした。今でも、手入れをして使える様にしていますが、お蔵入りです。軽い冬靴に慣れてしまったので、いつか使いたいと考えています。しかし、革靴は冬期では凍るので、寝るときは寝袋に入れるなど大変だったと記憶してます。でも、棄てられないので手入れをして保管しています。来年、丹沢に雪が降ったら使おうかと考えています。
mogurinn様 はじめまして。コメントありがとうございます。
山歩きを始めたのはここ数年ですが、40年も前に何故か部員でも無いのに山岳部の部室でラジウスでお茶をいれて貰い弁当を食べていました。その時、棚に革の登山靴が並んでいました。何度か肩がらみでの懸垂下降で遊ばせて貰いました。8環も無い頃です。ハイテク全盛の世の中、ローテクの道具を使っていると、青春時代が蘇ります。しっかり手入れをして大事に使ってゆくつもりです。
最近、同じモデルの靴を購入させて頂き、あまりの踵の痛さに苦しんでおります(^^;
踵の痛さがなんとかならないかと調べていたらこの記事にたどりつきました
踵の痛さは1年ほどはかれて気にならなくなったとのことですが、これは皮が柔らかくなるまで改善出来ないものか教えて頂けますでしょうか…?
bontakesanさん こんばんは
さぞお苦しみのことと同情致します。これが中山製靴の靴の醍醐味です。 ウソです。
昨年2回目のソールの張替をしたくらい時間が経過しているのでうろ覚えですが、革が
柔らかくなるのを避けるため、ミンクオイルは年1回しか使用しないし、使用後の手入
れは水洗い・クリナーで汚れの拭き取り(いくらかの保革成分を含んでいる様です。)・WAXですので意図的に柔らかくしてはいません。1年では革はほとんど柔らかくは
なりません。しかし、痛みはなくなります。馴染んでくる(足が?靴が?)と言ったら
良いかも知れません。
使用状況は当時から泊り・バリエーション・雪はこれ、日帰りは当時はローバ・今は
同社のJ6です。J6最初から痛みは一切なし、また、山友の同社製の秀山荘バージョンの
表革の靴は最初から痛みはなかったそうです。ちなみに本日の山行は私がJ6、山友は
1回目の張替直後の秀山荘表革でした。
通勤に山幸のチロリアンを履いてます。3足目ですが、どれも最初は縁が踝に当たり
しばらくの間痛くなりますが2ケ月程度で解消します。これも履き潰すまでに中山製靴で
ソールを2回張替てます。
あの痛みは私も承知してますし、他の方の事例も見た覚えがあります。上記がお役に
立てたとは想いませんが、数年で使えなくなる靴ではありません。手入と張替で自動車
以上にもつ靴です、今はあまり聞きませんが昔の自動車でやった慣らし運転の期間と
考えられたら如何でしょうか? 個人的には今も愛用してますし、型違いも購入しま
したし、友人にも薦めました。 大変とは思いますが、時間をかけて育てて頂きたく
思います。
ryura33さん こんばんは
ご回答頂きありがとうございます!
なるほど、やはり1年間履き続けて足に馴染ませることが必要なんですね...
ダメ元で親父さんに相談してみて、成すすべがなかったら、
痛くならない足さばきを意識して大事に育てて行こうと思います!
J6、痛くないんですね…
来年あたり自分も検討してみようと思います!
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