100%回収を前提とした雪山用竹ペグ
雪山で、竹ペグを使われている方は多いと思いますが、固定力を高める為に深く埋めてしまうと、凍って掘り出すのに大変な思いをすることがありますよね!!止むを得ずペグ紐を切って諦めるやり方もあるようですが、テント場でゴミ問題となっているという話を聞くと、後ろめたさを感じてしまいます。
雪山テント泊を始めるに当たり、浅く埋めても固定力が高く、回収しやすいものを探したのですが、重量があったり金額も高く今ひとつでした。身近にある材料で簡単に安く、しかも軽く作れるものはないかと知恵をしぼり、ひらめいたのが竹ベラを加工したスノーペグ。
ワンシーズン使ってみて良さそうなので、作り方と、上手な使い方を紹介します。
■写真上:赤岳鉱泉での使用時の写真。深く埋めなくても結構効いてくれる。
■写真下:風がなく、雪が非常に固ければ、半分刺すだけでも効いてくれる。
材料
・100円ショップの炒め物用の竹ベラ
・細引き
・シリコングリス(他のオイルでも)
・アクセサリーカラビナ(あれば)
作りかた
1.竹ベラをノコギリ切る。
ヘラ先は左右対象に尖らせるようにカットします。竹ペグを埋めるための穴掘りをしたり、ねじ込むような使い方をするためです。
柄の側は長いので適切な長さにカットします。私は20cm程度にしました。この時先端を尖らせると、残雪期など、雪がないテントサイトでも通常のペグとしても使うことができます。
2.細引きを通す穴を開ける
付け根の辺りに二つ程穴を開けます。
キリでも開けられますが、結構硬いでのでドリルがあると早いと思います。
3. シリコングリスを塗って凍結防止
凍結を防ぐため、凍結に強いシリコングリスを全面に塗ります。なければ、何か別のオイルを塗っておきましょう。塗ったあとはべたつくので、乾かしておきます。
4. 余力があれば肉抜きをする
肉抜きをすれば少し軽くなります。私はキリで穴を開け、それをリーマーで広げました。結構大変なのでテント泊を重ねる毎に少しずつ穴を増やしました。ドリルがあった方が楽です。
え!?なんで笑顔なのかって!?穴を3つ開けたら人の顔に見えるでしょう。口のとこの穴が正円だった場合を想像してみてください。「オォォ・・」とホラーな声が聞こえてきそう。雪山は危険なんで縁起を担いだんです!
5. 細引きを通し、カラビナをつける
100%回収することを前提に、ここはいさぎよく、麻ひもではなく細引きを通します。
なお、細引きの先にテントと接続するための小さなカラビナをつけることをおすすめします。グローブをつけた状態で連結部の結び目を解くのは大変なんですよね。これで撤収は夏山並みに早くなりますが金額が高く付くのが難点です。
使い方 〜浅く埋めても固定力を持たせるには
地面に固定する場合
ヘラ部分を下側にして図のように斜めに打ちます。面積の広い部分を深くすることで固定力を高め、柄の部分を地表に近づけて掘り出しやすくするためです。
この時、普通の竹ペグのように掘りかえして埋めるのではなく、ピッケルで小さな穴や溝を掘り、ぐりぐり差し込んだり、打ち込むように固定するのが重要なポイントです。雪を砕かずに、面積の広いヘラ部分を深く差し込めば、ペグ自体を深く埋めなくても強い固定力が得られるようになるからです。
これがこの竹ペグの最大の特徴であり、メリットなんです!!
※ピッケルで掘った溝に差し込んでいくのがポイントだ。
暴風壁などに固定する場合
1.ペグでペグの長さよりやや小さめな穴をほります
2.その中にペグをいれます
3.穴の中でねじるようにして止めます
4.埋めます。
もともと暴風壁があった場合など、締まった雪をあまり崩さずに固定できるので、深く埋めなくて済みます。
使用感〜2シーズン使ってみて
10cm〜15cmくらい埋めるだけでも、かなり効いてくれます。抜けたことはありません。パウダースノーの場合は効きが悪いので少し深めに埋めます。
本体だけで一本約20g。全部この竹ペグだと重いので、特に力のかかる四隅のガイラインと、全室先端の5箇所を止めるのに使い、残りは普通のペグ形の竹ペグを打ち込んで留めています。(竹ベラのヘラを切り落とし、柄の部分を尖らせたものです。)
ピッケルで簡単に掘り起こせるので苦労なく100%回収できています。便利で環境にも良く(持ち込んだものを持ち帰るにこした事はないので)今ではずっと使い続けられる愛着のある道具となってます。
使用したのは以下のような状況
11月下旬 北アルプス 燕山荘
12月下旬 八ヶ岳 黒百合平(風強し)
1月 北アルプス 上高地
1月 八ヶ岳 赤岳鉱泉
3月 八ヶ岳 赤岳鉱泉
5月上旬 北アルプス 涸沢(風強し)
学生の時は剣道部から古い竹刀をもらって解体して2cm×30cm程度の小切れにして2本ずつ十字型に縛って、テント場で埋めて使用していました。使用するのは4隅だけです。前室のないテント⛺だったので。
こんにちは
竹刀とはいいアイデアですね!普通の生活環境ではフリクションの効きそうな幅の広い平べったい竹が手に入りにくいので、私もいろいろ探しました。駅弁の器のパーツとか(^^)ヤマレコを含めネットを調べているとみなさん工夫されていて、楽しそうです。
私も昔夏に三角テントを使っていた事がありますが、それを雪中で行うのはさぞかし大変だったのでしょうね。
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