女性のためのザック選び-ヤマレコ

HOME > ヤマノート > 女性のためのザック選び

更新日：2016年05月04日　訪問者数：56935

女性のためのザック選び

・女性、小柄な方向けのザック選び・日帰りハイク～小屋1泊用を想定

　前のザックが経年劣化で引退したため、後継機を買いました。買うにあたり、いろいろと調べたり経験して得たものがありましたので、シェアします。

　用途はハイキングおよび1泊小屋泊まりで昼食のみ自炊（朝晩は小屋食）を想定。春先や晩秋など防寒具を詰めることも考慮して25L～30Lをターゲットにしました。

　タイトルをあえて「女性のための」としたのは、女性だからこその選び方があると感じたからです。男性でも、小柄な方にはお役にたてるかもしれません。
　以下長文になりますので、目次をあげておきます　( ´艸｀)

　　1.事前に、お目当ての製品をリストしておく。
　　2.小柄な人は「女性向け」モデルがおすすめ。
　　3.「背面長」は、こんなに大切。
　　4.お店に行こう。
　　5.店頭でやること。
　　6.候補リスト（兼試着レポート）

◇◆◇

　なお、わたしは山の専門家でもベテランでもありませんので、あくまでも「一個人の体験からくるノウハウ」としてお読みいただければありがたいです　m(_ _)m

1.事前に、お目当ての製品をリストしておく。

　効率よく試着していくためです ( ´ ▽ ` )ノ
　たくさんリストする必要はありません。気になるもの2～3個でいいと思います。

　店頭ではたくさんのザックがひしめいていて、目移りしてしまいますよね。ウインドウショッピングや下調べ段階なら漫然と見るのも楽しいものです。でも、試着するときは効率よくいきたい。試着って結構疲れるし、お店が混んでいればつきあってくれる店員さんにも気を遣うし。

　あと、店員さんは男性が多く、女性（や小柄な男性も）向けザックの選定に一歩踏み込んでくれる方は少ないです。黙っていると、ザックの重さと容量、値段あたりで適用に勧められてしまいます。実はこれだけでは不十分。
　そこで事前に調べておいて、こちらからお目当ての製品を伝えます。関心のある製品を伝えれば、その製品がない場合でも、店員さんに類似スペックの製品を考えてもらう糸口になります。

　とはいえ、じゃあどんなザックを候補にすればいいの？　と思われる方もいらっしゃいますよね。
　参考までに、この記事の最後にわたしが今回作成した候補リストと選定条件を挙げておきます。

2.小柄な人は「女性向け」モデルがおすすめ。

　なぜ、「女性向け」にこだわるか。

　漫然とザックについてネットで検索するうちに「女性向け」を謳う製品があることに気付きました。また、「背面長」という概念を知りました。あ、背面長とその測り方については、ココでは割愛します。「ザック」、「背面長」、「測り方」で検索すると、たくさん出てきますよ。

　わたしは身長152cm 。女性としても小柄です。背面長を測ってみたら41cm 。そこでいろんなザックの背面長を調べてみると、女性用と謳うものは38cm～43cm あたりのものが多い。一方「女性用」と謳っていないものは46cm 以上のものが多いことがわかりました。ならば背面長の短いザックを捜すには、「女性向け」で検索しよう、となったのです。

　女性向け製品は小ぶりなだけでなく、バストの位置やヒップの形状などにも女性向けに配慮のあるモデルが多く、これも高ポイントでした。

　　　※メーカーによっては、「女性向け」というモデル展開ではなく、シンプルにサイズ別展開を
　　　　しているところもあります。たとえばカリマーでは、Type-1～Type-3 まであり、Type-1 が
　　　　小柄な人向けです。

3.「背面長」は、こんなに大切。

下手ッピですが、イメージ図を書いてみました。人間がザックを背負うところです。青塗りの長方形がザックです　(^^ゞ

図1

ヒップベルト（赤線）を締めると、ザックの底辺が背負う人の背面の底辺（両腰骨の上端部分を結ぶ水平な線）あたりに固定されます。

図2

ショルダーベルト（青線）を締めました。ショルダーベルトの付け根と肩の高さが合っています。紫の線は、このザックの背面長を表現したものです。

図3

この図は、ザックの背面長が長すぎるケースです。紫の線を図2とくらべると、長いですね。
肩より上からショルダーベルトがおりてくるので、肩とショルダーベルトの間に隙間ができています。

図4

黄色い三角が、問題の隙間部分です。ショルダーベルトは肩の前側にひっかけているだけになっていて、重みを肩全体に乗せられていません。
図2とくらべ、肩の一部だけにショルダーベルトがかかって（＝荷重して）いるのがわかると思います。
ザックの重みが一点に集中すること、ザックが後ろに傾こうとすることから、疲れやすくなります　(>_<)

　実は、背面長という考え方について、わたしは今回初めて知りました。
　以前のザックはまさに「背面長」が合わないケースで、ヒップベルトをきちんと閉めるとザックの本体がそっくり返って不安定になり、逆に、肩の位置を合わせるとヒップベルトは腰の下にきて歩くのに邪魔……結局ヒップベルトを取り払って使っていました。

　なんでここまで合わないのかなぁ……とわからなかったのですが、今回わかりました。背面長が合ってなかったんですね (´；ω；｀)

4.お店に行こう。

　ぜひ、実際に店舗へ行ってみてください。（←ココ重要）

　サイズや重量、見てくれ等、ネットを使えばかなりのことはわかるのですが、たとえば同じようなスリーサイズ（高さx幅x奥行き）でも、試着してみるとフイット感は全然違ったりします。これはザックの構造からくる重量バランスだったり背面のパットの形状だったりと、数字にしにくい部分が効いているのだと思います。ネットのあちこちでもアドバイスがあるように、やはり「現物を見て買う」のはとても大切なことです。

　　※補足　山の専門店に行こう
　　　地域によっては難しいかもしれませんが、できるだけ山の専門店に行くことをおすすめします。
　　　専門店がなければ、せめてザックの品ぞろえの多いところを選びます。理由は以下の3点です。

　　　1)小柄な人や女性向けのザックはまだ多くは出回っていない。
　　　　小さなスポーツショップでは、お目にかかることも難しいです。
　　　2)丁寧な試着ができない。
　　　　なるべくなら「ザックに重りを入れて背負ってみる」など丁寧な試着をしたいと思います。
　　　　実際に使うイメージがよりわかりやすくなりますから。
　　　　でも、こーいうことって、登山用ザックに理解のあるお店でないとお願いしにくいです (＾＾ゞ
　　　3)思いがけない掘り出しものに出会えるかも。
　　　　個人がネットで調べても限界があります。でも、専門店なら店員さんから意外なオススメが
　　　　出てくることも。それが身体に合えばラッキーです。

5.店頭でやること。

　いよいよ、試着です。でも、気遅れしちゃったりして……　(＾＾ゞ　わたしは、こんな感じで試着しました。

1)まずは店内をザックリと見て回り、取り扱いブランドをチェック。リストしてきたブランドを扱って
　いるか観察です。

2)勇気を出して（笑）店員さんを呼ぶ。

3)用途、希望容量と事前に調べた候補製品を伝えて試着をお願いする。
　このとき、店員さんのオススメ「も」おしえてください、とお願いすると吉。
　会話の糸口になるし、意外なダークホースが現れたりします。

4)鏡の前で試着する。
　ポイントは、鏡の前で試着すること。あと、ザックを空のまま背負うのはNG。店員さんにお願いして、
　適当なものを詰めてふくらませてもらいます。
　まずヒップベルトをしめ、次いでショルダーを合わせます。ショルダーベルトと肩の間に隙間が
　ありませんか？　例の「背面長」です。
　店員さんにストラップを調整してもらってもこの隙間が解消しないザックは、背面長が合っていません。
　候補リストから落としたほうがいいでしょう。
　この段階で、かなりの候補が落ちるかもです (⌒-⌒; )

5)上を見る。
　次いで、空を見上げるように頭を上に向けます……ぐにゅ。背面の形状が合わなかったり背の高い
　ザックだと、後頭部がザックにめり込みます。なるべくコレは避けたいです。
　※背面形状を使用者に合わせられる「可変形状」のザックもあります（カリマー等）。

5)重りを入れて背負ってみる。
　ココまでのステップでふるい落ちないザックに出会えたらラッキー。
　このザックに「重り」を入れてもらいます。専門店では、ザックの中に詰める専用の「重り」が
　あります。わたしが行ったお店では、5kgの長方形のクッションみたいなものを詰めてくれました。
　聞くとこの「重り」、一部のザックメーカーが用意してお店に配備しているのだそう。
　5kgザック背負って店内徘徊～♪　階段がある店舗なら、階段の昇降もしてみます。
　時間はなるべく許す限り？　わたしは15分くらい背負ってました　(＾＾ゞ
　他のお客さんの目が気になる？　
　いえ、ザックを背負って来店している方も多く、目立ちませんでしたよ（←と、本人は思っている）。

　実は……
　もう、ほとんどこのザックで決まりだな、と思っていたザックがここで脱落しました。
　時間がたつにつれ、何となくウェストの後ろあたりがスカスカするし、身体がたわませられている
　ような奇妙な違和感……うまい表現になりませんが、とにかくシンドイ感じがしたのです。
　背面長は合ってるのになぁ……そのザックは保留にして、別のザックでお試しをやり直しました。
　(´・ω・`)ーз

6)前項までをすべてクリアするザックに出会えたら、あとはアクセサリー類（ポケットとかバックルとか）
　が使いやすいか、物の出し入れがしやすいかを試して決定　www　(≧∀≦)

　ひとつの店舗では、「マイベスト」に巡り合えないかもしれません。
　わたしは、専門店を3店舗まわりました。
　まぁ、そこまでせずともある程度のところで見切りをつけ、「そこそこ」合えばいいや、と
　割り切ってもいいですし、合わないのはわかっているけどこのザックが気にいったの！　となかば
　確信犯的に決めるのもアリです。

　でも、それなりの値段ですし長く使うものでもありますから、なるべくならベストをめざしたいですね。
　おかげさまで、わたしは「マイベスト」に巡り合えました　(-^□^-)

6.候補リスト（兼試着レポート）

【重要】わたしに合わなかったものが、あなたにも合わないということはありません【重要】

　以下、頭がめり込むとかパネルに当たるとか書いているモノもありますが、それはわたしがたまたまそうだっただけで、他の方にとっては問題なく、「マイベスト」になる可能性があることをご理解くださいませ m(_ _)m

候補選定条件　-------------------------------------
・25～30Lあたり(ビミョーに外れているもの含む)
・女性向けモデル
・背面長 <42cm
・高さ <60cm(ビミョーに外れているもの含む)

　以上を条件に、ネット検索を繰り返して候補を選定しました。

感想（メーカー50音順）　------------------------
■オスプレー／シラス(24L)
　フイット性がいいと評判。デザインもスッキリしていて気に入り、容量など選定条件をやや外れていたけれど候補入り。
　背面長は、データで見る限りは短いのだけれど、背負ってみると肩に隙間がバッチリできた……断念。データだけではわからない、と思い知らせてくれた一品。

■カリマー／ランクス(28L)
　スリムで身体になじみ、背面長は42cm（わたしは41cm）にもかかわらず肩の隙間もできなかった……が、しばらく背負っていると奇妙な違和感が出て断念。背面の形状が合わなかったのかも。
　マイベストを購入して帰宅後、ネットで知ったのですが、このザックは背面形状を使用者の背中に合わせて変えられるんですね。もし店員さんがそこまでしてくれたなら、このザックもピッタリ合ったのかもしれません。とはいえ売り物なので、カスタマイズしちゃうわけにはいかなかったのでしょう。

■グレゴリー／J28(28L)
　このザックのスッキリしたデザインと物の出し入れしやすそうな形状が気にいって候補入り。肩の隙間も小さかったのですが、頭を上に向けるとザック背面の内蔵パネルにゴツゴツ当たり、断念。

■ノースフェース／ウィメンズ・カイルス(25L)
　今回のマイベストと同じくらいフィット性がよく、文句なし。わたしには、ピタリと合いました。これを選んでもよかった、と今でも思います。小柄な人の背中にも、自然な形で収まってくれます。

■ミレー／ベノム(30L)
　マイベスト。こちらを購入しました。フィット性ではウィメンズ・カイルスと同等。あえてこちらを選んだのは、天蓋の開け閉めストラップが普通のザックとは違ってショルダーベルトのある側についている、というユニークな構造からです。背負う面側から背後に向けて蓋が開きます。
　前々から、ザックをおろして蓋を開けるとき、いちいちザックを後ろ前に返すのが面倒でした。このザックなら、それが不要です。ただ、こういうレアな構造は好き嫌いが分かれそう。万人受けするかはわかりません。
　あと、他の候補と比べ容量は30L と大きいのですが、スリムで、サイドコンプレッションストラップで締めればかなり小さくなります。日帰り自炊なしのハイキングから残雪期小屋泊まりまで幅広く使えるとみました。

■モンベル／ピレネー(25L)
　ネットで検索し、女性向けで容量の条件も合う、ということで実は一番最初に候補入りしたのがこのザックでした。
　サイトの説明も丁寧で良心的です。その丁寧なサイトで、背負っている女性の身長別の写真があり、
150cm の方のは頭の後ろが窮屈に見えました。なのであっという間に候補落ち。試着はしていません。
試してみると、また違った感触を得たかもしれないな、と思います。
　他の候補に比べてリーズナブルなので、合えばお得な買い物になったはずです。ちなみに、このザックの高さが60cm。そこで60cm以上のサックはわたしでは頭に当たると考え、選定条件に高さ<60cm を入れました。

　調べればもっといろいろあったと思います。ただ、あまりたくさん候補をリストしても現物を捜しきれないよね～、とリストを〆て店頭に向かいました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上

◇◆◇

ここまで、拙い長文をお読みいただき、ありがとうございました。
よいザックと巡り合えますよう、お祈りしております。

お気に入りした人

人

拍手で応援

拍手した人

拍手