山岳遭難の4割は道迷い遭難です
道迷い遭難はほとんどGPS(GNSS)で防げます
羽根田治さんの『ドキュメント 道迷い遭難』には実際の遭難事例が細かなレポートとして載っています。
読めば分かりますが、そのどれもが『迷ったと気づいたときに現在地を確認できていれば』簡単に回避できただろうなと思われるものばかりです。迷った後にあやふやな予想を元にして深みにハマって行動不能になるケースが非常に多い。
つまり、迷った後GPSで現在地を確認していれば道迷い遭難の多くを防げたかも知れません。
GPSを使っていれば何事もなく復帰してその日のうちに家に帰ってお風呂に入って温かいご飯を食べて布団で寝られたでしょう。それが寒い山中でビバークする羽目になったり、そのまま亡くなってしまったり、遺体すら出てこなかったりする。
山登りにGPSが必須の世界なら年間1,200人が怖い思いをせずに済んだはずです。そのうち100人程度は死なずに2019年を迎えられたはずです。GPSを使っていれば死ななくてもよかったはずの人がたくさん亡くなりました。
お願いですから、登山にGPSを活用してください。
読めば分かりますが、そのどれもが『迷ったと気づいたときに現在地を確認できていれば』簡単に回避できただろうなと思われるものばかりです。迷った後にあやふやな予想を元にして深みにハマって行動不能になるケースが非常に多い。
つまり、迷った後GPSで現在地を確認していれば道迷い遭難の多くを防げたかも知れません。
GPSを使っていれば何事もなく復帰してその日のうちに家に帰ってお風呂に入って温かいご飯を食べて布団で寝られたでしょう。それが寒い山中でビバークする羽目になったり、そのまま亡くなってしまったり、遺体すら出てこなかったりする。
山登りにGPSが必須の世界なら年間1,200人が怖い思いをせずに済んだはずです。そのうち100人程度は死なずに2019年を迎えられたはずです。GPSを使っていれば死ななくてもよかったはずの人がたくさん亡くなりました。
お願いですから、登山にGPSを活用してください。
山岳遭難のなかで最も多いのが「道迷い遭難」。
本書では実際に起きた「道迷い遭難」を取材し、遭難者の行動をつまびらかにして登山者への警鐘とする。
道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖―。
本書では実際に起きた「道迷い遭難」を取材し、遭難者の行動をつまびらかにして登山者への警鐘とする。
道に迷い、何日間も山中をさまよう恐怖―。
迷ってから地図を使っても遅い
迷うのは見通しが悪い場所や悪天候時なので、クロスベアリングは使えないことが多いです。読図講習会では余興として教えることがありますが、実際に迷ったとき使うのはほとんど無理と説明しています。クロスベアリングが出来るような見通しが良い尾根やピークでは普通迷いません。出来ない状況で迷います。
どこにいるのか分からない状況で地形を読んで地図と照合して現在地を特定するのも非常に困難です。ほとんど勘の世界であり、慣れてない人には不可能です。
道に迷ったら紙の地図やコンパスは役に立たないと考えてください。紙の地図とコンパスは必須装備ですが、道迷い遭難を無くすには不十分です。
どこにいるのか分からない状況で地形を読んで地図と照合して現在地を特定するのも非常に困難です。ほとんど勘の世界であり、慣れてない人には不可能です。
道に迷ったら紙の地図やコンパスは役に立たないと考えてください。紙の地図とコンパスは必須装備ですが、道迷い遭難を無くすには不十分です。
迷ったらGPSを使いましょう
現在地が分かったら、正しい場所まで引き返してください。その前にお茶を飲んで行動食でも食べて落ち着いてください。
人間はパニックを自覚できず、パニックになった人間は冷静なつもりで間違った行動を選びます。まずは落ち着くことが大事です。
人間はパニックを自覚できず、パニックになった人間は冷静なつもりで間違った行動を選びます。まずは落ち着くことが大事です。
GPS専用機とスマホGPSの違い
■GPS専用機のメリット
・機能が単純で一定の品質が担保されている。GPS精度は高い。
・トラブルが少ない。
・外装が頑丈。
・海外版なら安く手に入る(2万円程度)。
・乾電池で動く。
・手袋をしていても操作できる。
■GPS専用機の欠点
・画面が低解像度で地図が見づらい。地形は読めない。
・単機能のわりにかさ張る。
・乾電池で動かすために低スペックで動作が遅い。操作性が悪い。
・冬に使う場合はリチウムイオン乾電池が必要でランニングコストが高くつく(2本500円程度)。
・日本語版の正規品は高価(5~10万円)。
・機能が単純で一定の品質が担保されている。GPS精度は高い。
・トラブルが少ない。
・外装が頑丈。
・海外版なら安く手に入る(2万円程度)。
・乾電池で動く。
・手袋をしていても操作できる。
■GPS専用機の欠点
・画面が低解像度で地図が見づらい。地形は読めない。
・単機能のわりにかさ張る。
・乾電池で動かすために低スペックで動作が遅い。操作性が悪い。
・冬に使う場合はリチウムイオン乾電池が必要でランニングコストが高くつく(2本500円程度)。
・日本語版の正規品は高価(5~10万円)。
スマホのGPSは山でも役に立ちます
まだまだ誤解が多いのですが、スマホのGPSは山でも十分使えます。
・携帯圏外や機内モードでもスマホのGPSは動作します。
・GPS精度はGPS専用機と大差ありません。十分実用的で山奥でも使えます。
・バッテリーはトラックログを記録しても20~30時間保ちます。ログを記録しないなら1日で10%も減りません。
・厳冬期の冬山でも使えます。
・ケース、ストラップ、画面保護フィルムガラスなどで保護すれば頑丈になり壊れにくくなります。
・MIL規格(軍事規格)対応の頑丈なスマホもあります。
・高解像度の画面に地形図を表示するため読図にも使えます。拡大表示すれば老眼でも見やすく、紙の地図よりも優れているとも言えます。
・バッテリーが切れたら使えない点を批判するのは筋違いです。ガスコンロのガスと同様、切れないように予備を用意し、残量を管理すればいいだけです。装備と準備の問題です。たらればの話であれば、紙の地図だって濡れて破けたり風で飛ばされたり落としたりというリスクがあります。
紙の地図とスマホのGPSを両方活用することでリスクヘッジになります。現代の登山では両方持つのが常識となっています。
・携帯圏外や機内モードでもスマホのGPSは動作します。
・GPS精度はGPS専用機と大差ありません。十分実用的で山奥でも使えます。
・バッテリーはトラックログを記録しても20~30時間保ちます。ログを記録しないなら1日で10%も減りません。
・厳冬期の冬山でも使えます。
・ケース、ストラップ、画面保護フィルムガラスなどで保護すれば頑丈になり壊れにくくなります。
・MIL規格(軍事規格)対応の頑丈なスマホもあります。
・高解像度の画面に地形図を表示するため読図にも使えます。拡大表示すれば老眼でも見やすく、紙の地図よりも優れているとも言えます。
・バッテリーが切れたら使えない点を批判するのは筋違いです。ガスコンロのガスと同様、切れないように予備を用意し、残量を管理すればいいだけです。装備と準備の問題です。たらればの話であれば、紙の地図だって濡れて破けたり風で飛ばされたり落としたりというリスクがあります。
紙の地図とスマホのGPSを両方活用することでリスクヘッジになります。現代の登山では両方持つのが常識となっています。
専用機でもスマホでもどっちでもいいけど、必須
使うのはGPS専用機でもスマホでも、どっちでもいいと思います。私はGPS専用機は持ってませんが、借りて使ったことがあります。使い勝手はスマホの方が優れていると思います。
すでにスマホを持っているのなら登山用アプリのインストールは無料で行えますから、とりあえずインストールしておいても損はありません。まずはスマホのGPSを登山で使ってみてください。
とにかく、パーティーに1台はGPSを使える端末を持ってください。単独行なら当然必須です。
冬山に入るときにビーコンやスコップを持つのと同様、山に入るときはGPSを使える端末を持ちましょう。
今やGPSは雨具と同じくらい必須の装備です。測位衛星が100機も飛んでいる21世紀において、道迷い遭難ほどバカバカしい遭難はありません。いつまで道に迷ってるつもりですか。
すでにスマホを持っているのなら登山用アプリのインストールは無料で行えますから、とりあえずインストールしておいても損はありません。まずはスマホのGPSを登山で使ってみてください。
とにかく、パーティーに1台はGPSを使える端末を持ってください。単独行なら当然必須です。
冬山に入るときにビーコンやスコップを持つのと同様、山に入るときはGPSを使える端末を持ちましょう。
今やGPSは雨具と同じくらい必須の装備です。測位衛星が100機も飛んでいる21世紀において、道迷い遭難ほどバカバカしい遭難はありません。いつまで道に迷ってるつもりですか。
まだまだ普及していない
周りの登山者にGPSの必要性を訴えてください。まだまだ普及の余地は大きいです。
特に、お父さんが思い付きで子供を連れてきちゃった風のパーティーはヤバイことが多い。低山でよく見かけますが、山のことを何も知らずに登っている可能性が高いです。まず登山用GPSアプリのことなんか知りません。
山小屋でお酒を飲みながらでもいいので、道迷いやGPSアプリのことを話題にしてみてください。バスや電車で隣に座った人と会話するときなんかもいいですね。あるいは仲間と山を歩きながらとか。意外と知らないもんですよ。
興味を持ってGPSを使うようになれば、将来道に迷って遭難するはずだった人を救えるかも知れません。話を聞いてGPSを使った人が別の人に勧めてくれるかも知れません。情報は輪のように広がっていきます。広めてください。情報の共有が未来の遭難者を未然に助けます。
特に、お父さんが思い付きで子供を連れてきちゃった風のパーティーはヤバイことが多い。低山でよく見かけますが、山のことを何も知らずに登っている可能性が高いです。まず登山用GPSアプリのことなんか知りません。
山小屋でお酒を飲みながらでもいいので、道迷いやGPSアプリのことを話題にしてみてください。バスや電車で隣に座った人と会話するときなんかもいいですね。あるいは仲間と山を歩きながらとか。意外と知らないもんですよ。
興味を持ってGPSを使うようになれば、将来道に迷って遭難するはずだった人を救えるかも知れません。話を聞いてGPSを使った人が別の人に勧めてくれるかも知れません。情報は輪のように広がっていきます。広めてください。情報の共有が未来の遭難者を未然に助けます。
最低限、迷ったら使ってください
GPSはクライミングにおけるロープ(命綱)みたいなものです。クライミングにはロープを使わずに高い壁を登る『フリーソロ』というスタイルがあります。当然、失敗して落ちたら死にます。それは確立したスタイルではありますが、ごく一部の人がやることです。ほとんどの人はロープを使います。
『GPSみたいな機械を使うのは邪道だしズル』とか変なハイテク批判もしないでください。ハイテク繊維のウェアを着てハイテク批判されても説得力ありません。公共交通や天気予報など現代科学の恩恵に浴しておいてGPSだけ批判するのは理にかなわないし、文明の利器を一つでも使っている時点ですでに自然と対等ではない。ただの好き嫌いでしょ。
道に迷った挙句死ぬ覚悟があるなら別ですが(それも家族や救助隊にとっては迷惑な話ですね)、普通の登山者はGPS端末を持ってください。そして、現在地が分からなくなったらGPSを使ってください。
『GPSみたいな機械を使うのは邪道だしズル』とか変なハイテク批判もしないでください。ハイテク繊維のウェアを着てハイテク批判されても説得力ありません。公共交通や天気予報など現代科学の恩恵に浴しておいてGPSだけ批判するのは理にかなわないし、文明の利器を一つでも使っている時点ですでに自然と対等ではない。ただの好き嫌いでしょ。
道に迷った挙句死ぬ覚悟があるなら別ですが(それも家族や救助隊にとっては迷惑な話ですね)、普通の登山者はGPS端末を持ってください。そして、現在地が分からなくなったらGPSを使ってください。
読図技術は必須
GPSは現在地が正確に分かるため、読図の勉強にも使えます。地図と地形を簡単に見比べる事が出来るからです。紙の地図で現在地を推定してからGPSで確認するというのも講習会ではやります。GPSは読図の答え合わせに使えます。
一方で、GPSは便利ですが万能ではないし、端末を持っただけで登山者としての実力が上がったわけではありません。ただの道具です。道具は使いこなしてこそ真価を発揮します。
道具は頼るものではなく、使うものです。
なお、この画像は拙作のGPSアプリ『ジオグラフィカ』の画面です。国土地理院の詳細な地図に現在地や歩いてきた軌跡、登録した地点(マーカー)を表示できます。地図は事前に画面で見ておけば自動で保存され(キャッシュと言います)、圏外でも機内モードでも表示できます。
一方で、GPSは便利ですが万能ではないし、端末を持っただけで登山者としての実力が上がったわけではありません。ただの道具です。道具は使いこなしてこそ真価を発揮します。
道具は頼るものではなく、使うものです。
なお、この画像は拙作のGPSアプリ『ジオグラフィカ』の画面です。国土地理院の詳細な地図に現在地や歩いてきた軌跡、登録した地点(マーカー)を表示できます。地図は事前に画面で見ておけば自動で保存され(キャッシュと言います)、圏外でも機内モードでも表示できます。
iPhoneやAndroid端末を登山用GPSとして使うためのアプリです。
リスクヘッジも忘れずに
このままでは今年も1200人が道迷い遭難します
遭難者3,000人のうち1,200人が減れば探す方のリスクも大幅に減ります。道迷い遭難は、遭難のうちでも最も減らすのが簡単な遭難態様です。
GPSを持ち、道迷い遭難を防いでください。周りの人に勧めてください。2019年以降の遭難史を塗り替えましょう。未来の歴史は変えられます。
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keizi666さんの記事一覧
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- 登山とGPS『山登りの道迷い遭難防止にGPSを役立てよう』 226 更新日:2019年02月05日
※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
どなたでも、山に関する知識や技術などのノウハウを簡単に残して共有できます。
ぜひご協力ください!
全く賛成です。私は沢歩きが多いので、etrex30の英語版を持って歩きます。もちろん、事前に地形図を検討してルートを決め、そのコピーを持って行き(コンパスも持ってゆきます)、現地で最終的に詰めのルートを決めるようにしています。特に沢はGPSがないと、かなり困難な状況になることが良くあります。また、下りも登山道ではない尾根などを下るので、支尾根のRFも大切です。間違えて一旦下ってしまうと、登り返すのが大変なので、なるべく分岐ではGPSで確認しています(少しやりすぎかもしれませんが、コンパスだけだと、10度程度の角度で分かれる支尾根の場合、地磁気の補正をした方位でさえも区別することは困難です。)。それと、電池ですが、私はリチャージャブルのニッケル水銀電池を使っています。特にamazon製の電池はすごく優秀です(宣伝ではありません!)。以前、なるべく容量の大きいものと言うことで、日本メーカや韓国メーカのものを使いましたが、ことごとく寿命を待たずに充電できなくなりました。
GPSを持たない山行は「無謀な登山」だと認識すべきだと思います。
道迷いによる遭難、ましてや死亡というのをニュースで見聞きすると、とても悲しい気持ちになります。GPSが無かった時代は仕方がありませんが、スマホを持っているのに、そのスマホのGPSを活用していないというのは本当に残念でなりません。
私も、山でお子様連れの方を見かけると、地図アプリを使用しているかをお聞きしています。
現在では、車も船も飛行機も、動くものは、みなGPSを頼りにして動いています。人も、これに頼って行動するのが「安心・安全な登山」と認識しています。
スマホは電子機器ですから必ず故障しますし、動作させればバッテリーは必ずゼロになります。しかし、これは、バックアップスマホと携帯型バッテリーを2重化・3重化することで解決しますので、これを一人で、あるいは同行者を含めた装備にするかという選択になるだけです。
但し、IT初心者がスマホのGPSを使えるようになるには、ほんのちょっとした壁があると感じています。これを解決する手助けとして、以下のホームページで「IT初心者向け地図アプリ使用法」を紹介しています。
https://keyama106.jimdo.com/%EF%BD%89%EF%BD%94%E5%88%9D%E5%BF%83%E8%80%85%E5%90%91%E3%81%91%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8/
ボタンの名称だけでなく、そのボタンが画面のどこにあるかを同時に説明しよう。それには、画面ごとの操作箇所と画面の遷移を示して説明しよう。ということで記述してあります。IT初心者向けなので、ちょっとわかる人にはくどい内容です。
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