準備編に続き、実際の遡行の流れを見ていこう。
ここでは沢に入ってから出会う地形などに沿って、入渓から脱渓までの流れを解説してみたい。また別記の技術編では地形別の歩き方を詳述している。
ここでは沢に入ってから出会う地形などに沿って、入渓から脱渓までの流れを解説してみたい。また別記の技術編では地形別の歩き方を詳述している。
1)「集合時間」には「出発できる準備が完了している状態」でいよう。
2)「集合場所」から乗り合わせて入渓地点の近くまで移動する場合もある。限られた駐車スペースなので、車は出来るだけ詰めて停めよう。
3)チーフリーダー(CL)は入渓前に以下の事を確認、説明する。
・パーティ構成の確認。サブリーダー(SL)の指名(多人数であれば複数)をし、フォローメンバーの経験値や力量、体調の把握もしておきたい。
・ギアチェック。ルートや人数によってギアの内容・量は変わるので都度チェック。ハーネスの相互チェックなど手順はマルチの時と同じだ。特にCLとSLはお互いの装備を把握しておくといい。
・ルート説明。入渓と脱渓の地点と時間、高巻きする大滝や堰堤など留意点があれば事前に話しておく。まあ大抵は誰も覚えていないので簡単でいいけど。
2)「集合場所」から乗り合わせて入渓地点の近くまで移動する場合もある。限られた駐車スペースなので、車は出来るだけ詰めて停めよう。
3)チーフリーダー(CL)は入渓前に以下の事を確認、説明する。
・パーティ構成の確認。サブリーダー(SL)の指名(多人数であれば複数)をし、フォローメンバーの経験値や力量、体調の把握もしておきたい。
・ギアチェック。ルートや人数によってギアの内容・量は変わるので都度チェック。ハーネスの相互チェックなど手順はマルチの時と同じだ。特にCLとSLはお互いの装備を把握しておくといい。
・ルート説明。入渓と脱渓の地点と時間、高巻きする大滝や堰堤など留意点があれば事前に話しておく。まあ大抵は誰も覚えていないので簡単でいいけど。
初めて沢歩きをするメンバーは、沢に足を漬けることにためらいがあるだろう。普通の登山では足元は濡らさないようにしてきたからね。
入渓は穏やかで浅い沢辺から入ることが多いので、ここで思い切って沢に足を漬けてみよう。ジャブジャブと沢を歩くことで水に慣れる、沢の中の石の上を歩く感覚を掴み、足元を濡らして歩く楽しさを感じて欲しい。
ちなみに歩き方はフラットフッティングが基本。足裏全体をフラットに押し付けて最大摩擦を得るワケだ。静荷重・静移動を意識したい。まあ現場で覚えるのがイチバンなんで、心配するな。
入渓は穏やかで浅い沢辺から入ることが多いので、ここで思い切って沢に足を漬けてみよう。ジャブジャブと沢を歩くことで水に慣れる、沢の中の石の上を歩く感覚を掴み、足元を濡らして歩く楽しさを感じて欲しい。
ちなみに歩き方はフラットフッティングが基本。足裏全体をフラットに押し付けて最大摩擦を得るワケだ。静荷重・静移動を意識したい。まあ現場で覚えるのがイチバンなんで、心配するな。
やがて背丈ほどの小滝が現れる。
ここで上半身も濡らしながら滝を越えてみよう。落口の両脇や流れの中にホールドがあるはずだ。大事なのは足元のスタンスホールド。しっかりと乗り込めるスタンスをじっくり探そう。後続メンバーはスポットしてあげよう。
さてここで滝を乗り越す動作(マントリング)が必要となる。インドアジムでは出てこないムーブなので初めてのメンバーは戸惑うかも知れない。動きは先行するCL/SLや経験者を観察して欲しい。これも数をこなして覚えるのが一番早いので、小滝は積極的に越えて行こう。もちろん難しいと感じれば巻いてもいいんだ。
ここで上半身も濡らしながら滝を越えてみよう。落口の両脇や流れの中にホールドがあるはずだ。大事なのは足元のスタンスホールド。しっかりと乗り込めるスタンスをじっくり探そう。後続メンバーはスポットしてあげよう。
さてここで滝を乗り越す動作(マントリング)が必要となる。インドアジムでは出てこないムーブなので初めてのメンバーは戸惑うかも知れない。動きは先行するCL/SLや経験者を観察して欲しい。これも数をこなして覚えるのが一番早いので、小滝は積極的に越えて行こう。もちろん難しいと感じれば巻いてもいいんだ。
背丈より高い小滝はオブザベをしっかりしてフリーで登るか、お助けヒモを出してもらうか、ロープを出すか、になる。足場が不安定だったり最初の一手が遠いときは、メンバーの膝や肩の上に足をかけて乗りあがり越える事もある(ショルダーと呼ぶ技だ)。下が釜で落ちてもダメージがないと思われる個所なら、どんどんトライしてみよう。
岩の表面を水が流れるナメ(スラブ)は苔もついていて滑りやすい。岩の弱点を見つけて足裏全体でしっかり踏もう。ラバーソールは滑りやすくて苦手な箇所だ。ウォータースライダーみたいに遊べるところもある。
沢の両岸が狭く切り立っている地形をゴルジュと呼ぶ。ゴルジュの突破は大滝登攀と並んで沢登りの「華」だ。画像のマキのように水面近くをトラバースする(へつる)場面も多いし、泳ぐ場合もある。
「へつり」には注意点がある。それは出来る限り水面に近く、低い位置をトラバースすることだ。これを意識してないと視野が狭くなり知らず知らずに高く登ってしまい進退窮まる事がある。これは後述の★「高巻き」でも同様なので気を付けよう。低い位置なら落ちても水だし、安心だ。水中にも意外と良いスタンスがあったりするので意識して探そう。
「へつり」には注意点がある。それは出来る限り水面に近く、低い位置をトラバースすることだ。これを意識してないと視野が狭くなり知らず知らずに高く登ってしまい進退窮まる事がある。これは後述の★「高巻き」でも同様なので気を付けよう。低い位置なら落ちても水だし、安心だ。水中にも意外と良いスタンスがあったりするので意識して探そう。
滝壺や甌穴など丸く流水が溜まっている所を「釜(かま)」と呼ぶ。ゴルジュと同様にへつるか泳ぎで突破する。ただし水流がゴルジュのように直線で流れず、巻いている場合も多いことに留意。ミーボーは釜の中でグルグル回って溺れそうだった(笑)。
その沢を代表する滝が「大滝」だ。一見登れなさそうな滝でも、近くで観察すると意外にホールドがあったりする。もちろんオブザベして登れそうにないと判断したら取りつかない事だ。画像のラララ君はザックを背負っているが、空身で登るトライもありだ。水流の中に良いホールドがあってシャワークライムを楽しめる滝もある。基本的にはロープを出すようにする。水量の多い深い滝壺に落下したら、水中でグルグル回って浮かんでこれない場合もある。
砂防ダムとも呼ぶ「砂防堰堤」は登れないので高巻きする。画像のラララが登ろうとしてるのはシャレだww。
★「高巻き」は沢登りで最も重要な技術の一つだ。高巻く壁がグズグズの泥壁や滑りやすい草付きの場合も多い。しっかりとキックステップで足場を固めよう。登り過ぎると今度は下降点から厳しくなるので、基本は出来るだけ小さく巻くことだ。高巻く壁の取りつきと下降点の弱点を見つけるルーファイ力が要るのだ。まあ最初の沢は人気の1級(初心者向け)ルートなんで、そんなに心配はいらないが。
★「高巻き」は沢登りで最も重要な技術の一つだ。高巻く壁がグズグズの泥壁や滑りやすい草付きの場合も多い。しっかりとキックステップで足場を固めよう。登り過ぎると今度は下降点から厳しくなるので、基本は出来るだけ小さく巻くことだ。高巻く壁の取りつきと下降点の弱点を見つけるルーファイ力が要るのだ。まあ最初の沢は人気の1級(初心者向け)ルートなんで、そんなに心配はいらないが。
高巻きするルート等にも良く出てくる固定ロープ。画像のハルちゃんが掴んでいるのは鎖だが、トラロープも良く見る。いずれにしても余り信用してはならない。ロープはもしもの為の補助的に使うつもりで、基本はシッカリ足で登ることだ。どうしてもゴボウで登る(ロープに体重をかけて登る)場合は、ロープの支点が確実であることを確認しよう。
またロープを出して滝を越える時に、メンバーが多ければロープを固定して登攀器を使う場合がある。これはまたおいおい練習しよう(宙ちゃん、頼むね★)。
またロープを出して滝を越える時に、メンバーが多ければロープを固定して登攀器を使う場合がある。これはまたおいおい練習しよう(宙ちゃん、頼むね★)。
沢歩きの流れのイメージが掴めただろうか?
最初の沢は初心者向けや初級(1級)からスタートするので、あまり大げさに心配しなくてもいいが、それでも一般登山よりもはるかに危険だという認識をもって臨んで欲しい。具体的には、次の事に留意されたい。
【歩行は、フラットフッティングで静荷重移動】
雪山のアイゼンワークと同じ要領だ。足裏の接地面積を最大にすること、体重をゆっくりとかけて滑らない、ぐらつかない状態から乗り込むイメージだ。猫足忍び足からベタ足にする感じだろうか。慣れれば滑る岩や浮石の見分けもついてくる。
【登攀は、いつものクライミングよりホールドが悪い】
苔でぬめっているし、浮石も多い。よって、ホールドはしっかり効いているかを確認しつつ登る事。基本はガバを掴むが、いつものジムのように引き付けるのではなく、押さえ込む意識をもって掴むべし。いきなり引き付けると岩が剥がれることはよくある。
スタンスも同様で不安定なものが多い。3点支持を確実にして登ろう。
【キレイにカッコ良く登らなくていい】
外岩クライミングではヌンチャクや樹木を掴みたくないだろうが、沢では何でもあり。どんな所でも掴めるところは掴んで登ろう。空身になったり、お助けヒモを出してもらったり、ショルダーしてもらたり、サポートが欲しいときは遠慮なく言うべし。
【タイムマネジメント】
大人数のパーティになると遡行時間は長くなりがちだ。時間がかかると、リスクも高まる。登攀にトライするのは楽しいが、CLの指示がある場合は、それに従い時間短縮に協力しよう。「心構え編」でも述べているが、トライすることを否定しているのでは無い。
【水中に入った方が安全な場合もある】
水温が低いときは水に漬かりたくないだろうが、水中によいスタンスがあったりもする。へつるより胸まで漬かって岩を掴んだ方が進める場合もある。
【自分が思う以上に消耗している】
沢登りはトレッキングやクライミング以上に全身運動だ。水分や行動食はこまめに摂りたいが、安全な場所も少ないのでおろそかになりがち。登攀の順番待ちなども使ってエナジーバーやゼリー等でこまめに補給をしよう。帰宅後は十分な休息と睡眠をとろう。
心の準備が出来たら、さあ一緒に沢を楽しみに行こう!
最初の沢は初心者向けや初級(1級)からスタートするので、あまり大げさに心配しなくてもいいが、それでも一般登山よりもはるかに危険だという認識をもって臨んで欲しい。具体的には、次の事に留意されたい。
【歩行は、フラットフッティングで静荷重移動】
雪山のアイゼンワークと同じ要領だ。足裏の接地面積を最大にすること、体重をゆっくりとかけて滑らない、ぐらつかない状態から乗り込むイメージだ。猫足忍び足からベタ足にする感じだろうか。慣れれば滑る岩や浮石の見分けもついてくる。
【登攀は、いつものクライミングよりホールドが悪い】
苔でぬめっているし、浮石も多い。よって、ホールドはしっかり効いているかを確認しつつ登る事。基本はガバを掴むが、いつものジムのように引き付けるのではなく、押さえ込む意識をもって掴むべし。いきなり引き付けると岩が剥がれることはよくある。
スタンスも同様で不安定なものが多い。3点支持を確実にして登ろう。
【キレイにカッコ良く登らなくていい】
外岩クライミングではヌンチャクや樹木を掴みたくないだろうが、沢では何でもあり。どんな所でも掴めるところは掴んで登ろう。空身になったり、お助けヒモを出してもらったり、ショルダーしてもらたり、サポートが欲しいときは遠慮なく言うべし。
【タイムマネジメント】
大人数のパーティになると遡行時間は長くなりがちだ。時間がかかると、リスクも高まる。登攀にトライするのは楽しいが、CLの指示がある場合は、それに従い時間短縮に協力しよう。「心構え編」でも述べているが、トライすることを否定しているのでは無い。
【水中に入った方が安全な場合もある】
水温が低いときは水に漬かりたくないだろうが、水中によいスタンスがあったりもする。へつるより胸まで漬かって岩を掴んだ方が進める場合もある。
【自分が思う以上に消耗している】
沢登りはトレッキングやクライミング以上に全身運動だ。水分や行動食はこまめに摂りたいが、安全な場所も少ないのでおろそかになりがち。登攀の順番待ちなども使ってエナジーバーやゼリー等でこまめに補給をしよう。帰宅後は十分な休息と睡眠をとろう。
心の準備が出来たら、さあ一緒に沢を楽しみに行こう!
■関連サイト
今シーズン初沢★金山沢(坊主谷) - YouTube
6月の声を聞けば沢登りのシーズンだ。 九州は年間を通して沢登りできるのだが、僕は夏以外は岩攀りばかり。岩が熱くて触れなくなったら沢に通い始めるのだ。今シーズンは祖母傾山群の沢に通いたいなぁ。
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wakatakeyaさんの記事一覧
- 沢登り/情報編(道路・河川・遡行図・トポ他) 11 更新日:2020年09月05日
- 沢登り/メンバーの心構え編(NACCメンバー用) 52 更新日:2022年04月20日
- 沢登り/リスクマネジメント編(NACCメンバー用) 51 更新日:2021年06月09日
※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
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沢登りって しょうむない と感じました
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