1. はじめに
山での「もしも」のときの備えとして近年様々なサービスがある。ヤマレコの「いまココ」やYAMAPの「みまもり」機能などのスマートフォンを使用して位置情報を共有するものや、「ココヘリ」のように小型発信器を携帯してピンポイントで捜索してもらえるものなど。しかし「いまココ」や「みまもり」は携帯電波が圏外だと機能を活用できないし、「ココヘリ」は誰かに通報してもらわないと捜索が開始されない。携帯電話が圏外の場所で怪我をして動けなくなってしまうと「待つ」しか手段がなくなる。
そういうリスクをなくすためにも携帯電話が圏外の場所でも通信手段を確保しておくことは重要である。そこでGarmin inReach などのサービスが必要となってくる。inReachはもっと普及して欲しいと思っているのでその良さを布教活動しようと思う。
そういうリスクをなくすためにも携帯電話が圏外の場所でも通信手段を確保しておくことは重要である。そこでGarmin inReach などのサービスが必要となってくる。inReachはもっと普及して欲しいと思っているのでその良さを布教活動しようと思う。
2. inReachとは
inReachはGarminがサービスを行っているイリジウム衛星網を使用した通信システム。携帯電話が圏外でも空が見える場所であれば通信が可能である。GlobalstarがサービスしているSPOTも同様のシステム。衛星携帯電話は各通信キャリアもサービスを行っているが週末の登山だけのために持つには金額的負担が大きい。inReachは機能を絞ることで比較的低額な月額料金で利用可能となっている。
■出来ること
・テキストメッセージの送受信
・位置情報の共有
・緊急時のSOS通報
・天気予報の取得
■出来ないこと
・音声通話
・Webブラウジング
inReachを利用するための端末は現時点で、inReach Exproler+、inReach mini、GPSMAP 66iの3機種だと思う。どの機種を選択してもinReachとしての機能はほぼ同等。予算と機能(地図表示の有無やトラッキング機能等)に応じて選択できる。僕は複数台Garmin GPS端末を所有していてinReach機能以外は必要がないためinReach miniを選択した。重量も100gしかなく超小型軽量。2021年7月時点でinReach minは4万円前後ぐらいで購入可能。本ノートでは主にinReach miniについて記載している。
■出来ること
・テキストメッセージの送受信
・位置情報の共有
・緊急時のSOS通報
・天気予報の取得
■出来ないこと
・音声通話
・Webブラウジング
inReachを利用するための端末は現時点で、inReach Exproler+、inReach mini、GPSMAP 66iの3機種だと思う。どの機種を選択してもinReachとしての機能はほぼ同等。予算と機能(地図表示の有無やトラッキング機能等)に応じて選択できる。僕は複数台Garmin GPS端末を所有していてinReach機能以外は必要がないためinReach miniを選択した。重量も100gしかなく超小型軽量。2021年7月時点でinReach minは4万円前後ぐらいで購入可能。本ノートでは主にinReach miniについて記載している。
3. 料金プラン
inReachを利用するにはGarminとのサービス契約が必要。現時点で3つのプランが用意されている。テキストメッセージの送信件数や位置情報の送信回数の違いによりプランを選択する。僕は月額$11.95のSafety Planを利用している。週末ハイカーが個人で使用するには一番安いプランで十分だと思う。
月額料金プラン
・Safety Plan $11.95
・Recreation Plan $24.95
・Expedition Plan $49.95
Safety Planの詳細は以下の通り
・SOS : 無制限
・プリセットメッセージ : 無制限
・テキストメッセージ : 10件
・トラッキング周期 : 10分以上
・1トラックあたり : $0.10 ea.
・位置情報発信 : $0.10 ea.
・天気情報 : 1メッセージ/回
料金は都度変更される可能性があるため詳細はGarminのサイトを参照してください。
月額料金プラン
・Safety Plan $11.95
・Recreation Plan $24.95
・Expedition Plan $49.95
Safety Planの詳細は以下の通り
・SOS : 無制限
・プリセットメッセージ : 無制限
・テキストメッセージ : 10件
・トラッキング周期 : 10分以上
・1トラックあたり : $0.10 ea.
・位置情報発信 : $0.10 ea.
・天気情報 : 1メッセージ/回
料金は都度変更される可能性があるため詳細はGarminのサイトを参照してください。
4. 機能概要
■メッセージの送受信
テキストメッセージは、inReach mini本体からとBluetoothでペアリングしたスマートフォンから送受信可能。inReach mini本体では日本語表示が出来ない(文字化けする)。日本語を送受信するにはスマートフォンが必要。メッセージはメールとSMSへ送信可能。(2022年6月追記:inReach mini2が発売されています。こちらは本体で日本語表示が可能となりました)
メッセージは3個のプリセットメッセージと10個のクイックテキストメッセージをあらかじめinReach miniにセットしておくことが可能。定型文の送信なので山の中で文字を入力する手間が省ける。このときに位置情報も同時に送信できる。プリセットメッセージはinReach miniから数回のボタン操作で送信可能なので吹雪の稜線で手袋をした状態でも送信できる。メッセージの内容は事前にwebサイトで入力しておく。
3個のプリセットメッセージは無課金で無制限に送信可能。僕は休憩中や山頂に着いたタイミングなどに「Just checking in. Everything is fine」のプリセットメッセージとともに位置情報付きで妻へ不定期に送り付けている。プリセットメッセージ以外のメッセージを月に10件以上送受信すると1メッセージあたり$0.5課金されるがオーバーしたことはない。ハプニングがなければプリセットメッセージ以外に伝えることもないし…。
メッセージを受信した家族はメール本文に記載されたURLをクリックすることで、メッセージが送信された位置を地図で確認できる。あらかじめ自分専用のURL(パスワード設定可能)を共有しておくことで家にいる家族が自分の現在位置を検索することもできる
テキストメッセージは、inReach mini本体からとBluetoothでペアリングしたスマートフォンから送受信可能。inReach mini本体では日本語表示が出来ない(文字化けする)。日本語を送受信するにはスマートフォンが必要。メッセージはメールとSMSへ送信可能。(2022年6月追記:inReach mini2が発売されています。こちらは本体で日本語表示が可能となりました)
メッセージは3個のプリセットメッセージと10個のクイックテキストメッセージをあらかじめinReach miniにセットしておくことが可能。定型文の送信なので山の中で文字を入力する手間が省ける。このときに位置情報も同時に送信できる。プリセットメッセージはinReach miniから数回のボタン操作で送信可能なので吹雪の稜線で手袋をした状態でも送信できる。メッセージの内容は事前にwebサイトで入力しておく。
3個のプリセットメッセージは無課金で無制限に送信可能。僕は休憩中や山頂に着いたタイミングなどに「Just checking in. Everything is fine」のプリセットメッセージとともに位置情報付きで妻へ不定期に送り付けている。プリセットメッセージ以外のメッセージを月に10件以上送受信すると1メッセージあたり$0.5課金されるがオーバーしたことはない。ハプニングがなければプリセットメッセージ以外に伝えることもないし…。
メッセージを受信した家族はメール本文に記載されたURLをクリックすることで、メッセージが送信された位置を地図で確認できる。あらかじめ自分専用のURL(パスワード設定可能)を共有しておくことで家にいる家族が自分の現在位置を検索することもできる
■位置情報の共有
一定間隔で位置情報を自動で送信するヤマレコの「いまココ」と同等の機能もある。これは1トラック送信するのに$0.10課金される(Safety Planの場合、その他のプランは無制限)。送信間隔も設定可能。間隔を短くし過ぎると一回の山行で結構な金額を課金されてしまう。僕はこの機能は使用していない。
■緊急時のSOS通報
inReach mini本体横のカバーを開けてボタンを長押しすると位置情報とともにGEOSという国際的なレスキュー組織へ通報が行き、そこから日本のチームへ連携されるらしい。出来れば使用したくない機能。もしものとき以外は使用することはない。救助費用は含まれないので別途必要。僕はJROに加入している。怪我で動けなくなってもレスキューへ連絡が取れれば希望につながる。
■天気予報の取得
天気予報も取得できるらしい。そんなに天気予報を見ることもないし電波が通じるところでスマホを使って確認すればいいのでこの機能は今のところ使用したことがない。
一定間隔で位置情報を自動で送信するヤマレコの「いまココ」と同等の機能もある。これは1トラック送信するのに$0.10課金される(Safety Planの場合、その他のプランは無制限)。送信間隔も設定可能。間隔を短くし過ぎると一回の山行で結構な金額を課金されてしまう。僕はこの機能は使用していない。
■緊急時のSOS通報
inReach mini本体横のカバーを開けてボタンを長押しすると位置情報とともにGEOSという国際的なレスキュー組織へ通報が行き、そこから日本のチームへ連携されるらしい。出来れば使用したくない機能。もしものとき以外は使用することはない。救助費用は含まれないので別途必要。僕はJROに加入している。怪我で動けなくなってもレスキューへ連絡が取れれば希望につながる。
■天気予報の取得
天気予報も取得できるらしい。そんなに天気予報を見ることもないし電波が通じるところでスマホを使って確認すればいいのでこの機能は今のところ使用したことがない。
5. 使用感
2020年10月から使用を始めて約9か月が経過した。雪山、夏山の両方で使用しての良いところとイマイチなところの感想。
■良いところ
・単独で山奥や谷底の携帯電波が圏外の場所にいるときに精神的な安心感が全く違う。
・プリセットメッセージはinReach mini本体から数クリックで送信できて超簡単。2秒ぐらいで操作が完了できる。
・小型軽量で携帯するのに邪魔にならない。
・案外電池も長持ち。カタログ値ではディフォルト設定で最大50時間とのこと。3泊ぐらいだと充電しなくてもOKだと思う。今のところ真冬の北海道の雪山でも寒さでshutdownしたことはない。
■イマイチなところ
・他のGarmin端末よりもGPSの性能が悪いような気がする。雨蓋やショルダーベルトの上の方に付けておかないとGPS衛星を捕捉してくれない。ポケットやザックの下側に入れておくとほぼ無理。位置情報付きでメッセージを送る場合、現在位置の捕捉が終わらないと送信が開始されないため状況によっては送信完了に数分かかってしまう(バックグラウンドで送信処理を行うので特に操作は必要なし)。GPSモジュールが他のGarmin製品とは違うのかもしれない。
・ペアリングして使用するときのスマホアプリのUIがあまり洗練されていない。もう少し頑張ってほしい。
・USBポートがMicro-B端子というところ。Type-Cだと良かった。
■良いところ
・単独で山奥や谷底の携帯電波が圏外の場所にいるときに精神的な安心感が全く違う。
・プリセットメッセージはinReach mini本体から数クリックで送信できて超簡単。2秒ぐらいで操作が完了できる。
・小型軽量で携帯するのに邪魔にならない。
・案外電池も長持ち。カタログ値ではディフォルト設定で最大50時間とのこと。3泊ぐらいだと充電しなくてもOKだと思う。今のところ真冬の北海道の雪山でも寒さでshutdownしたことはない。
■イマイチなところ
・他のGarmin端末よりもGPSの性能が悪いような気がする。雨蓋やショルダーベルトの上の方に付けておかないとGPS衛星を捕捉してくれない。ポケットやザックの下側に入れておくとほぼ無理。位置情報付きでメッセージを送る場合、現在位置の捕捉が終わらないと送信が開始されないため状況によっては送信完了に数分かかってしまう(バックグラウンドで送信処理を行うので特に操作は必要なし)。GPSモジュールが他のGarmin製品とは違うのかもしれない。
・ペアリングして使用するときのスマホアプリのUIがあまり洗練されていない。もう少し頑張ってほしい。
・USBポートがMicro-B端子というところ。Type-Cだと良かった。
6. 最後に
ココヘリは月額約330円〜。inReachは現在の為替レートで月額約1300円〜。1000円ぐらいの差額しかない。ココヘリとinReachのサービスが一部重複するため僕はココヘリを解約してinReachのみにした。滑落して意識がなくなる可能性もあるのでココヘリは契約しておいて良かったのかもしれない。
携帯が圏外の山奥で滑落やケガで動けなくなって状況を伝えられなかったら絶望しかない。どんな場所にいてもコミュニケーションの手段があるということは心強い。トレースのない雪山やマイナールートを単独で行く可能性がある方は保険として持っておくメリットは大きいと思う。
携帯が圏外の山奥で滑落やケガで動けなくなって状況を伝えられなかったら絶望しかない。どんな場所にいてもコミュニケーションの手段があるということは心強い。トレースのない雪山やマイナールートを単独で行く可能性がある方は保険として持っておくメリットは大きいと思う。
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