はじめに
第1報は以下の内容でした。
・雪崩に巻き込まれてから15分から20分以内に救出できれば生存率は高いため、雪崩遭難者の生命は、その場に居合わせた人達により短時間で救助できるかにかかっている。
・雪山に入る登山者全員がアバランチビーコンを携帯するのが理想。ただし、現状では雪山に入る登山者の多くが携帯しているとは考えにくい。一方、現在多くの登山者はスマホを携帯して登山しているため、スマホのBluetoothを使った簡易的なビーコンアプリでも、何も持たないよりも救助の可能性が高くなるのではないか。
・四阿山でテストした結果、アバランチビーコンと同じようには使えないものの、埋没地点周辺(5〜10m)で検知でき、ある程度実用性はあるのではないか。
今回の第2報では、4月30日に至仏山でもスマホビーコンの確認をしたので、その結果を記載し、実用性の範囲について追加の考察をしてみました。
・雪崩に巻き込まれてから15分から20分以内に救出できれば生存率は高いため、雪崩遭難者の生命は、その場に居合わせた人達により短時間で救助できるかにかかっている。
・雪山に入る登山者全員がアバランチビーコンを携帯するのが理想。ただし、現状では雪山に入る登山者の多くが携帯しているとは考えにくい。一方、現在多くの登山者はスマホを携帯して登山しているため、スマホのBluetoothを使った簡易的なビーコンアプリでも、何も持たないよりも救助の可能性が高くなるのではないか。
・四阿山でテストした結果、アバランチビーコンと同じようには使えないものの、埋没地点周辺(5〜10m)で検知でき、ある程度実用性はあるのではないか。
今回の第2報では、4月30日に至仏山でもスマホビーコンの確認をしたので、その結果を記載し、実用性の範囲について追加の考察をしてみました。
至仏山でのテスト結果
第1報で、「性能は限定的でもある程度実用性はあるのではないか」と書きましたが、今回の至仏山の結果から、Bluetoothビーコンの性能は環境条件の影響をかなり受けるようなので、雪質の違いによる影響や埋没深さの影響など実用性の範囲についてもう少し考察しようと思います。
実用性の考察 〜雪質と通信距離
実用性の考察 〜埋没深さ
スマホの埋没深さは30cmでテストしてきましたが、実際の雪崩遭難での埋没深さも実用性を考察するうえで重要です。参考にした情報はこちら
https://journals.plos.org/plosone/article/figure?id=10.1371/journal.pone.0175877.g001
参考情報より雪崩遭難の累積件数50%の埋没深さは87cm。
https://journals.plos.org/plosone/article/figure?id=10.1371/journal.pone.0175877.g001
参考情報より雪崩遭難の累積件数50%の埋没深さは87cm。
まとめ
スマホのBluetoothのビーコン信号の性能はアバランチビーコンの性能には全く及びません。
アバランチビーコンよりも、ゾンデ棒での探索のようなピンポイントの探索に近い性能であり、埋没地点の直上付近で検知できそうです。実用性能の範囲をまとめると
■雪崩遭難のうち埋没深さが87cm(累積50%)までのケース
冬期の表層の雪質(水分含有率2%)による雪崩では埋没地点から5mの範囲、冬期の中間層の雪質(水分含有率5%)による雪崩では埋没ポイントの直上付近でビーコン信号を受信でき、遭難者を救助できる可能性がある。
融雪期の雪質による雪崩では、埋没深さ30cm程度であれば埋没ポイントの直上付近でビーコン信号を受信でき、遭難者を救助できる可能性がある。
■雪崩遭難で埋没深さが87cmを超える場合
雪崩遭難で埋没深さが87cmを超える場合でも、冬期の表層の雪質による雪崩(表層雪崩)の場合では、埋没ポイントの直上付近でビーコン信号を検知でき、遭難者を救助できる可能性がある。
アバランチビーコンよりも、ゾンデ棒での探索のようなピンポイントの探索に近い性能であり、埋没地点の直上付近で検知できそうです。実用性能の範囲をまとめると
■雪崩遭難のうち埋没深さが87cm(累積50%)までのケース
冬期の表層の雪質(水分含有率2%)による雪崩では埋没地点から5mの範囲、冬期の中間層の雪質(水分含有率5%)による雪崩では埋没ポイントの直上付近でビーコン信号を受信でき、遭難者を救助できる可能性がある。
融雪期の雪質による雪崩では、埋没深さ30cm程度であれば埋没ポイントの直上付近でビーコン信号を受信でき、遭難者を救助できる可能性がある。
■雪崩遭難で埋没深さが87cmを超える場合
雪崩遭難で埋没深さが87cmを超える場合でも、冬期の表層の雪質による雪崩(表層雪崩)の場合では、埋没ポイントの直上付近でビーコン信号を検知でき、遭難者を救助できる可能性がある。
Bluetoothビーコンアプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.example.hereiam
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学会誌は処分して手元にないので検索してみたら関連した次の記事が見つかりました。
「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定」
https://www.journal.ieice.org/summary.php?id=k101_2_191&year=2018&lang=J
記事は有料なので、他にもないかと探したら、多分同じ実験の次の記事がありました。
「携帯やスマホのGPS機能で雪山遭難者の位置を特定する実証試験」
https://qzss.go.jp/info/archive/softbank_161215.html
他にも電子情報通信学会の論文で次のようなものがあり、PDFでダウンロードできます。
「携帯・スマホ等を活用した遭難者の位置特定」
https://www.journal.ieice.org/summary.php?id=k101_2_191&year=2018&lang=J
「携帯やスマホのGPS機能で雪山遭難者の位置を特定する実証試験」
https://qzss.go.jp/info/archive/softbank_161215.html
以上、ご参考まで。
コメントありがとうございます。これまでも様々な取り組みがあったのですね。
アバランチビーコンがもっと軽量安価になって、多くの方が携帯できるようになるのが一番いいと思っています。
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