免責事項
・本記事はパラグライダーの独学を推奨するものではありません。
パラグライディングは原則独学すべきではないというのが筆者の立場です。コストの捉え方、登山観、死生観などを踏まえてなお独学で運用したいという方に選択肢と情報を提供することが本記事の目的です。
・パラグライダーは自己責任でお願いします。
パラグライディング、特に管理されたエリアではない一般山岳地帯での飛行は登山とパラグライディング双方のリスクを複合的に伴う活動です。この記事を読んでパラグライダーを始められた方が起こした事故について筆者は一切の責任を負いません。
・本記事の内容、特にパラグライディング技術に関する記載には誤りが含まれる可能性があります。
2023年5月末の時点で筆者はパラグライダーを始めて一ヶ月ちょっとの初級者です。さらにスクールでの訓練を受けていません。記事の内容の正確性は保証できません。
・独学でのパラグライダーの運用は社会的な不便益やリスクを伴います。
日本にはJHFとJPAという2つのパラグライダー関連団体があり、これらの団体傘下のスクールで教習を受けて技能証を取得することが業界常識とされており、独学は一般に推奨されません。日本のほぼ全てのパラグライダーエリアは当該技能証の保持を利用条件としています。独学でパラグライダーを運用した場合パラグライダーの主要コミュニティとの関係性においてリスクを負うことになります。
パラグライディングは原則独学すべきではないというのが筆者の立場です。コストの捉え方、登山観、死生観などを踏まえてなお独学で運用したいという方に選択肢と情報を提供することが本記事の目的です。
・パラグライダーは自己責任でお願いします。
パラグライディング、特に管理されたエリアではない一般山岳地帯での飛行は登山とパラグライディング双方のリスクを複合的に伴う活動です。この記事を読んでパラグライダーを始められた方が起こした事故について筆者は一切の責任を負いません。
・本記事の内容、特にパラグライディング技術に関する記載には誤りが含まれる可能性があります。
2023年5月末の時点で筆者はパラグライダーを始めて一ヶ月ちょっとの初級者です。さらにスクールでの訓練を受けていません。記事の内容の正確性は保証できません。
・独学でのパラグライダーの運用は社会的な不便益やリスクを伴います。
日本にはJHFとJPAという2つのパラグライダー関連団体があり、これらの団体傘下のスクールで教習を受けて技能証を取得することが業界常識とされており、独学は一般に推奨されません。日本のほぼ全てのパラグライダーエリアは当該技能証の保持を利用条件としています。独学でパラグライダーを運用した場合パラグライダーの主要コミュニティとの関係性においてリスクを負うことになります。
改訂履歴
はじめに
筆者は今年2023年の4月にパラグライダーを入手し独学での訓練・実践を通じて「パラグライダーは登山道具としてどうなのか?」の検証をしてきました。2023年6月28日までに6回ほどの高高度飛行を実施した結果、少なくとも下山手段としてはそれなりに使えるという結論に至りました。
この記事では装備の入手方法や練習方法、山岳地帯における運用について情報共有します。99.99%の人には刺さらない内容だとは思いますが登山とパラグライダーの振興のためという名目で書かせていただきます。
なお「下山手段として使う分にはパラグライダーは十分安全で有効」という筆者の認識は筆者の登山経験や体力が前提となっており前提の異なる方にとっては結論も異なってくる可能性があります。そのため以下に筆者のバックグラウンドを簡単に記載しておきます。
・大学時代山岳部に所属(縦走や岩稜登攀、初歩的な冬季登攀や山スキーを経験)
・ガチ勢ではなかったので卒業後は5年程度まともな登山をしておらず、2023年になって本検証のために登山を再開
・インドアクライミングを定期的に実施
・男性・アラサー・扶養家族無し
この記事では装備の入手方法や練習方法、山岳地帯における運用について情報共有します。99.99%の人には刺さらない内容だとは思いますが登山とパラグライダーの振興のためという名目で書かせていただきます。
なお「下山手段として使う分にはパラグライダーは十分安全で有効」という筆者の認識は筆者の登山経験や体力が前提となっており前提の異なる方にとっては結論も異なってくる可能性があります。そのため以下に筆者のバックグラウンドを簡単に記載しておきます。
・大学時代山岳部に所属(縦走や岩稜登攀、初歩的な冬季登攀や山スキーを経験)
・ガチ勢ではなかったので卒業後は5年程度まともな登山をしておらず、2023年になって本検証のために登山を再開
・インドアクライミングを定期的に実施
・男性・アラサー・扶養家族無し
パラグライダー経験者の方へ
この記事はパラグライダーの振興に資することを意図して執筆していますが「パラグライダーの独学」「エリア外での運用」がメイントピックでありしかも筆者が初心者ということで不適切だと感じられる記述があるかもしれません。何卒ご容赦ください。事実誤認などありましたらご指摘いただけますと幸いです。
パラグライダーは登山道具としてどうなのか?
購入方法等の実用的な話をする前に上記の問への現時点での回答を書いておきます。パラグライダー山行の是非は様々な評価観点があり、それらの重み付けも個々人の価値観に大きく左右されると思います。以下、あまりまとまりはないですがポイントをいくつか上げておきます。
【パラグライダーと登山の関係】
(海外のパラグライダー事情)
パラグライダーは欧州の登山家が下山を効率化するために使用したのが始まりと言われています。なので「登山道具としてどうなのか?」への答えはある意味自明で「当然使える」となります。実際欧州では一般山岳地帯で飛ぶいわゆる「hike and fly」スタイルの運用が割と盛んですし、XAlpsというパラグライダーを使ったアルプス山脈縦走大会のようなことも行われています。
(日本のパラグライダー事情)
ではなぜ筆者が本検証を実施しているのかというと日本では事情が異なるからです。日本のパラグライダーコミュニティに属する人たちの殆どは管理されたパラグライダーエリア(通称「エリア」)でのみ活動しています。エリアは車道の通った通常300m〜500m、高くても1000mを超えない山に整備された離陸場と麓の着陸指定地、およびその周辺の空域から構成され、スタッフが駐在しており天候判断や離着陸場への送迎、ツリーラン(樹林帯への不時着)時の救助などのサービスを受けることができます。スキーのゲレンデのようなものです。一般の山岳地帯で登山の一環として飛ぶ人はほとんどいません。
後で紹介するように一般山岳地帯で飛んでいる方もいますが僅かです。なぜ僅かしかいないのか、登山とセットでの運用には向かないのかを調べることが筆者の検証の目的の一つでした。なお山岳飛行人口が少ない理由についてまだ強い結論は出せていませんが文化(死生観)、経済(購買力)、風土(地形と植生)の3つが大きいと考えています。
※ 「エリアでのみ活動している」というのは正確ではなく、クロスカントリーフライト(XC)と呼ばれるエリア外での長距離飛行を楽しむ方はそれなりにいます。ただしXCにおいても離陸はエリアの離陸場が用いられるのが基本で登山要素はありません。
【危険度】
アルパインクライミングや山スキーと同様、活動のレベルに左右されるので一概には言えませんが山頂から降下する典型的な山岳フライトの難易度とリスクは「5.12クライマーによる5.8ルートのオンサイトフリーソロ」がイメージとしては近いと思います。つまり基本的には簡単で安全だけどテールリスクが大きいイメージです。
「パラグライダー 危険」で検索すると「パラグライダーは危険なイメージがあるけど正しくやれば安全です!よくある事故原因はハーネスの締め忘れです!」のような定性的な主張が書かれたスクールのサイトがたくさんヒットしますが、実はJHFというパラ主要団体が2016年以降の重大事故を取りまとめて公表してくれているのである程度定量的に危険性を把握することが可能です。
https://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/accident.html
どれくらい重大な事故だとここに掲載されるのかは不明ですが取り敢えず死亡事故はあまり取りこぼしがないと考えてよいと思います。また99%以上のパラ活動者はJHFまたはJPA(または両方)に所属しており、団体の人数はそれぞれ5000人と500人程度らしいので事故頻度を見る上ではJPA分は無視してもよさそうです(JHFの事故報告には非JHF会員の事例も一部混ざっているようです)。
死亡事故は年間3件程度なので一年当りの死亡率は0.1%程度となります。死亡に至らない背骨や骨盤の骨折、足の開放骨折など生活に大きな支障をきたす事故は更に多く発生していますので例えば10年当たりの死亡・重症事故率は1%を超えそうな感じです。なおこの事故率は離着陸の安全性が確保され救助体制の整った一般エリアで飛んだ場合のもので、山岳フライトでは離陸時に疲労していたり離陸場所が悪かったり墜落時の救助が困難だったりと山岳特有の危険性がプラスされることは考慮する必要があります。一方で事故を起こしているのはフィジカルや判断力の衰えた高齢者の割合が多く、山岳フライトの前提となる登山能力を有している母集団に限ると事故率が下がる可能性はあります。
なおJHFの重大事故報告で個人的に着目したいのはタンデム飛行(二人乗り)の事故頻度の高さです。おおよそ年1件のペースでコンスタントに重大事故が起きています。タンデム飛行には通常のパイロット証よりも取得の難しいタンデム専用ライセンスが必要ですから基本的に操縦者はベテランであると考えられます。また客を載せて飛ぶわけですから一人で飛ぶのとは段違いに慎重になるはずです。それでも重大事故が発生してしまうということから「パラグライダーには技術や安全運転をもってしても根本的に回避しきれないリスクがそれなりにある」ということがわかります。
【装備重量】
重いですが山スキーや登攀装備と比較して圧倒的に重いというほどでもないかなと思います。
参考までに筆者のパラグライダー固有装備重量はだいたい、
機体(Advance Alpha 7):4.2kg
ハーネス(Supair Everest 3):0.3kg
緊急パラシュート:1.7kg
くらいなので合計6.5kgくらいです。
より軽量な製品もあり、機体は2kg前後、緊急パラシュートは1.2kgくらいの製品があったと思います。また死生観によっては緊急パラシュートを持たないという選択もあり得るかと思います。
【下山負荷の低減】
下山負荷の低減は筆者がパラグライダー導入を検討した最大の理由で、パラグライダーを使う最大のメリットだと思います。
(肉体面)
登山における筋組織の損傷や軟骨の損耗、靴擦れ等は下山時に発生しやすいですがパラグライダーで下山することで回避できます。
(経済・スタイル面)
下山後に登山口から道路を数時間歩かなければいけない山行がしばしばあり筆者はストレスを感じていました。もちろんタクシーを使えば歩く必要はありませんが相応の金がかかるのとそもそも登山スタイルの観点でアプローチにタクシーを使うことに抵抗感があります。また経験上タクシーは呼べば必ず来てくれるとは限りません。パラグライダーによって有害無益な車道上の移動を減らせるメリットは大きいです。
【飛行可能性】
山岳飛行では離陸可否が最初で最大のハードルになります。離陸可能な気象・地形・植生の条件は厳しくパラグライダーの導入を検討する上で大きなマイナス要素になると思います(簡単に言うと登れる山が少ない)。
(気象)
パラグライダーは一般に5m/s以上の風では危険なので離陸しないほうがよい言われています(離陸が危険という話であって離陸できてしまえば5m/sを超える風でもある程度安全に飛べます)。一方2000m超えの稜線上では10m/s超えの風は珍しくないので絶対にパラグライダーで下山したいとなると登山できない日が多くなります。また機体にもよりますがパラグライダーの最大対気速度は10m/sを少し超える程度です。当日強風で着陸予定地が風上側にある場合はそこまで到達できない可能性が高まります。また雨天時は原則飛行できません(機体が濡れて挙動が悪化するため)。
上記の理由から天候による山行実施判断が通常の登山よりシビアになります。
(地形と植生)
離陸ポイントは風に向かって少し傾斜している広い芝生がベストです。しかし自然の山にそんな都合の良い場所は殆どありません。日本の山は概して急峻で痩せ尾根が多くほとんどが樹林帯です。森林限界より上でも離陸に適さないハイマツや熊笹の藪や岩稜が多いです。この点は欧州との違いかもしれません。
なお雪は芝生の良い代替になるため積雪期・残雪期は離陸可能な山が多くなります。特に残雪期は風も弱まるため山岳飛行に最適のシーズンだと思います。実際山岳飛行は残雪期に実施された記録が多い思われます。ただこれらの季節は山スキーとバッティングすることから潜在的には有望な参入源である山スキー勢の参入があまり期待できないという課題はあります。
ここでひとつ注意が必要なポイントは気象も地形も植生も確かなことは現地に行ってみないとわからないということです。風の予報は外れうるし植生や地形もネットの記録からは読み切れないことがあります。行ってみて飛べなかったら徒歩で下山しなければいけません。飛行下山と徒歩下山では所要時間が大きく異なりますから山行計画の立て方が難しくなります。帰りの夜行バスを予約しておくことが難しいケースがあり得ます。
【飛行経路の不確実性】
パラグライダーで飛べる距離や経路は当日の大気の状態に依存します。
【マイカーとの相性の悪さ】
マイカーアプローチとの相性はあまり良くないと思います。マイカーで登山口まで行った場合帰りはそこに戻って来なければいけないのでパラグライダーの移動能力の恩恵を十分に受けられない可能性があります。
【空を飛ぶ楽しさ】
本来これを一番に語るべきなのかもしれませんが自明なので劣後させていました。空を飛ぶのは気持ち良いです。
【費用】
個人的にはパラグライダーをやらない理由の90%はこれで説明できると思っています。なお残りの5%が習得コストでその他が5%というイメージです。
昨今の円安の影響もあり普通に装備を揃えると70万円くらいはするんじゃないでしょうか。登山をやっている方であれば靴やヘルメットは購入する必要がないので多少安くなると思いますが大量出血には変わりないでしょう。日本では社会保障制度を通じて現役世代から高齢者へ巨額の所得移転が為されており現役世代の購買力が低下していることから参入が難しくなっていると感じます。少子化が進む一方で生産性の低い高齢者向け医療介護にリソースが割かれて経済成長が抑制される状況はシルバー民主主義により今後も維持される可能性が高いことから輸入品であるパラグライダーが低価格化する望みは薄いでしょう。
後述しますが筆者は海外通販のセールで合計40万円程度で装備を揃えました。先述の通り個人的に緊急パラシュートはオプショナルと思っておりそれを買わなければ総額33万円以下で行けたと思います。
【習得コスト】
スクールに通って免許を取得するという標準ルートは家の近くにスクールがない人にとってはかなりタイパが悪いです。毎週末スクールに通った場合でもパイロット証(一人前とされるJHF発行の技能証。エリア外飛行をしたかったらたぶん必須)取得に一年以上かかるとされています(JPAの教習体系でも同様)。正直一生やろうとは思っていないですし早々に飽きて辞める可能性もあるのでそんなに時間はかけられないと筆者は感じました。
【メンテナンス】
機体が濡れた場合日陰干しする必要があります。筆者は部屋の中でグチャッと広げて乾かしています。ワンルームマンションにお住まいでスペースの余裕がない方は厳しいかもしれません。
【パラグライダーと登山の関係】
(海外のパラグライダー事情)
パラグライダーは欧州の登山家が下山を効率化するために使用したのが始まりと言われています。なので「登山道具としてどうなのか?」への答えはある意味自明で「当然使える」となります。実際欧州では一般山岳地帯で飛ぶいわゆる「hike and fly」スタイルの運用が割と盛んですし、XAlpsというパラグライダーを使ったアルプス山脈縦走大会のようなことも行われています。
(日本のパラグライダー事情)
ではなぜ筆者が本検証を実施しているのかというと日本では事情が異なるからです。日本のパラグライダーコミュニティに属する人たちの殆どは管理されたパラグライダーエリア(通称「エリア」)でのみ活動しています。エリアは車道の通った通常300m〜500m、高くても1000mを超えない山に整備された離陸場と麓の着陸指定地、およびその周辺の空域から構成され、スタッフが駐在しており天候判断や離着陸場への送迎、ツリーラン(樹林帯への不時着)時の救助などのサービスを受けることができます。スキーのゲレンデのようなものです。一般の山岳地帯で登山の一環として飛ぶ人はほとんどいません。
後で紹介するように一般山岳地帯で飛んでいる方もいますが僅かです。なぜ僅かしかいないのか、登山とセットでの運用には向かないのかを調べることが筆者の検証の目的の一つでした。なお山岳飛行人口が少ない理由についてまだ強い結論は出せていませんが文化(死生観)、経済(購買力)、風土(地形と植生)の3つが大きいと考えています。
※ 「エリアでのみ活動している」というのは正確ではなく、クロスカントリーフライト(XC)と呼ばれるエリア外での長距離飛行を楽しむ方はそれなりにいます。ただしXCにおいても離陸はエリアの離陸場が用いられるのが基本で登山要素はありません。
【危険度】
アルパインクライミングや山スキーと同様、活動のレベルに左右されるので一概には言えませんが山頂から降下する典型的な山岳フライトの難易度とリスクは「5.12クライマーによる5.8ルートのオンサイトフリーソロ」がイメージとしては近いと思います。つまり基本的には簡単で安全だけどテールリスクが大きいイメージです。
「パラグライダー 危険」で検索すると「パラグライダーは危険なイメージがあるけど正しくやれば安全です!よくある事故原因はハーネスの締め忘れです!」のような定性的な主張が書かれたスクールのサイトがたくさんヒットしますが、実はJHFというパラ主要団体が2016年以降の重大事故を取りまとめて公表してくれているのである程度定量的に危険性を把握することが可能です。
https://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/accident.html
どれくらい重大な事故だとここに掲載されるのかは不明ですが取り敢えず死亡事故はあまり取りこぼしがないと考えてよいと思います。また99%以上のパラ活動者はJHFまたはJPA(または両方)に所属しており、団体の人数はそれぞれ5000人と500人程度らしいので事故頻度を見る上ではJPA分は無視してもよさそうです(JHFの事故報告には非JHF会員の事例も一部混ざっているようです)。
死亡事故は年間3件程度なので一年当りの死亡率は0.1%程度となります。死亡に至らない背骨や骨盤の骨折、足の開放骨折など生活に大きな支障をきたす事故は更に多く発生していますので例えば10年当たりの死亡・重症事故率は1%を超えそうな感じです。なおこの事故率は離着陸の安全性が確保され救助体制の整った一般エリアで飛んだ場合のもので、山岳フライトでは離陸時に疲労していたり離陸場所が悪かったり墜落時の救助が困難だったりと山岳特有の危険性がプラスされることは考慮する必要があります。一方で事故を起こしているのはフィジカルや判断力の衰えた高齢者の割合が多く、山岳フライトの前提となる登山能力を有している母集団に限ると事故率が下がる可能性はあります。
なおJHFの重大事故報告で個人的に着目したいのはタンデム飛行(二人乗り)の事故頻度の高さです。おおよそ年1件のペースでコンスタントに重大事故が起きています。タンデム飛行には通常のパイロット証よりも取得の難しいタンデム専用ライセンスが必要ですから基本的に操縦者はベテランであると考えられます。また客を載せて飛ぶわけですから一人で飛ぶのとは段違いに慎重になるはずです。それでも重大事故が発生してしまうということから「パラグライダーには技術や安全運転をもってしても根本的に回避しきれないリスクがそれなりにある」ということがわかります。
【装備重量】
重いですが山スキーや登攀装備と比較して圧倒的に重いというほどでもないかなと思います。
参考までに筆者のパラグライダー固有装備重量はだいたい、
機体(Advance Alpha 7):4.2kg
ハーネス(Supair Everest 3):0.3kg
緊急パラシュート:1.7kg
くらいなので合計6.5kgくらいです。
より軽量な製品もあり、機体は2kg前後、緊急パラシュートは1.2kgくらいの製品があったと思います。また死生観によっては緊急パラシュートを持たないという選択もあり得るかと思います。
【下山負荷の低減】
下山負荷の低減は筆者がパラグライダー導入を検討した最大の理由で、パラグライダーを使う最大のメリットだと思います。
(肉体面)
登山における筋組織の損傷や軟骨の損耗、靴擦れ等は下山時に発生しやすいですがパラグライダーで下山することで回避できます。
(経済・スタイル面)
下山後に登山口から道路を数時間歩かなければいけない山行がしばしばあり筆者はストレスを感じていました。もちろんタクシーを使えば歩く必要はありませんが相応の金がかかるのとそもそも登山スタイルの観点でアプローチにタクシーを使うことに抵抗感があります。また経験上タクシーは呼べば必ず来てくれるとは限りません。パラグライダーによって有害無益な車道上の移動を減らせるメリットは大きいです。
【飛行可能性】
山岳飛行では離陸可否が最初で最大のハードルになります。離陸可能な気象・地形・植生の条件は厳しくパラグライダーの導入を検討する上で大きなマイナス要素になると思います(簡単に言うと登れる山が少ない)。
(気象)
パラグライダーは一般に5m/s以上の風では危険なので離陸しないほうがよい言われています(離陸が危険という話であって離陸できてしまえば5m/sを超える風でもある程度安全に飛べます)。一方2000m超えの稜線上では10m/s超えの風は珍しくないので絶対にパラグライダーで下山したいとなると登山できない日が多くなります。また機体にもよりますがパラグライダーの最大対気速度は10m/sを少し超える程度です。当日強風で着陸予定地が風上側にある場合はそこまで到達できない可能性が高まります。また雨天時は原則飛行できません(機体が濡れて挙動が悪化するため)。
上記の理由から天候による山行実施判断が通常の登山よりシビアになります。
(地形と植生)
離陸ポイントは風に向かって少し傾斜している広い芝生がベストです。しかし自然の山にそんな都合の良い場所は殆どありません。日本の山は概して急峻で痩せ尾根が多くほとんどが樹林帯です。森林限界より上でも離陸に適さないハイマツや熊笹の藪や岩稜が多いです。この点は欧州との違いかもしれません。
なお雪は芝生の良い代替になるため積雪期・残雪期は離陸可能な山が多くなります。特に残雪期は風も弱まるため山岳飛行に最適のシーズンだと思います。実際山岳飛行は残雪期に実施された記録が多い思われます。ただこれらの季節は山スキーとバッティングすることから潜在的には有望な参入源である山スキー勢の参入があまり期待できないという課題はあります。
ここでひとつ注意が必要なポイントは気象も地形も植生も確かなことは現地に行ってみないとわからないということです。風の予報は外れうるし植生や地形もネットの記録からは読み切れないことがあります。行ってみて飛べなかったら徒歩で下山しなければいけません。飛行下山と徒歩下山では所要時間が大きく異なりますから山行計画の立て方が難しくなります。帰りの夜行バスを予約しておくことが難しいケースがあり得ます。
【飛行経路の不確実性】
パラグライダーで飛べる距離や経路は当日の大気の状態に依存します。
【マイカーとの相性の悪さ】
マイカーアプローチとの相性はあまり良くないと思います。マイカーで登山口まで行った場合帰りはそこに戻って来なければいけないのでパラグライダーの移動能力の恩恵を十分に受けられない可能性があります。
【空を飛ぶ楽しさ】
本来これを一番に語るべきなのかもしれませんが自明なので劣後させていました。空を飛ぶのは気持ち良いです。
【費用】
個人的にはパラグライダーをやらない理由の90%はこれで説明できると思っています。なお残りの5%が習得コストでその他が5%というイメージです。
昨今の円安の影響もあり普通に装備を揃えると70万円くらいはするんじゃないでしょうか。登山をやっている方であれば靴やヘルメットは購入する必要がないので多少安くなると思いますが大量出血には変わりないでしょう。日本では社会保障制度を通じて現役世代から高齢者へ巨額の所得移転が為されており現役世代の購買力が低下していることから参入が難しくなっていると感じます。少子化が進む一方で生産性の低い高齢者向け医療介護にリソースが割かれて経済成長が抑制される状況はシルバー民主主義により今後も維持される可能性が高いことから輸入品であるパラグライダーが低価格化する望みは薄いでしょう。
後述しますが筆者は海外通販のセールで合計40万円程度で装備を揃えました。先述の通り個人的に緊急パラシュートはオプショナルと思っておりそれを買わなければ総額33万円以下で行けたと思います。
【習得コスト】
スクールに通って免許を取得するという標準ルートは家の近くにスクールがない人にとってはかなりタイパが悪いです。毎週末スクールに通った場合でもパイロット証(一人前とされるJHF発行の技能証。エリア外飛行をしたかったらたぶん必須)取得に一年以上かかるとされています(JPAの教習体系でも同様)。正直一生やろうとは思っていないですし早々に飽きて辞める可能性もあるのでそんなに時間はかけられないと筆者は感じました。
【メンテナンス】
機体が濡れた場合日陰干しする必要があります。筆者は部屋の中でグチャッと広げて乾かしています。ワンルームマンションにお住まいでスペースの余裕がない方は厳しいかもしれません。
パラグライダー山行(ハイク&フライ)をされている方の山行記録やYoutubeチャンネル
日本のパラグライダー人口全体に対する割合としては僅かではあるもののパラグライダーを一般山岳地帯で運用している(いた)方は存在します。以下にリンクを貼っておきます。
1980年代、パラグライダー黎明期で今より機体が重く性能の悪かった時代に多数の山岳フライトを実施されていたようです。パラグライダー以外にもアルパインクライミングなどハイレベルな登山をされていたようです。
この方もパラグライダー以外にアルパインや山スキー、スピードライディング(スキーを履いてパラグライダー)など幅広い活動をされているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=zEL8Hd_H5ok
立山での山岳フライト動画。詳しくは知りませんがJPA系の輸入代理店・スクールの関係者の方のようです。
立山での山岳フライト動画。詳しくは知りませんがJPA系の輸入代理店・スクールの関係者の方のようです。
やまどりという方のプレイリスト。この方は山岳フライトをするためにパラグライダーを始めてちゃんとスクールに通われたようです。
手前味噌で恐縮ですが筆者の飛行動画をアップロードしてあります。現状高度なことは何もしておらず真っ直ぐ下っているだけですが。
パラグライダーを独学する理由
筆者はパラグライダーを独学しましたし、この記事も独学者向け情報共有が主目的ではありますが冒頭の免責事項にも記載した通りパラグライダーの独学を筆者が推奨しているわけでは決してなく、むしろ非推奨というのが基本的な立場です。
以下で筆者がスクールか独学か判断する際に決め手としたことを紹介します。共感できることが多くなければ独学はやめたほうがいいと思います。
・スクールが遠すぎる
筆者は東京の南東部に住んでいますが、そこから一番近いスクールは埼玉の秩父の山奥で片道二時間半以上かかります。タイパが悪すぎます。
・パラグライダー運用の目的が登山後の下山だった
活動の主旨は遊覧飛行や競技飛行ではなく、あくまで登山なので毎週末まる二日潰してスクールに通って(=登山はお預け)一年以上かけて技能証を取ることは現実的でないと思いました。また他のスクール生やエリアで活動している方々は基本的に遊覧飛行や競技飛行が目的で嗜好が違うのでそのコミュニティに入るモチベーションがあまりありませんでした。
・教習内容への不満
筆者はパラグライダー体験のため一度だけスクールに行ったことがあります。そのときに「時間の使い方」に不満を持ちました。例えば離陸場の回転が遅かったです。複数人が同時に離陸することはスペースの関係上できないのでそれだけで回転が遅くなるわけですが、それに加えて風待ち時間が長過ぎる。安全に離陸できる良い風が入ってくるまでひたすら待たされるわけです。その件に限らずスクールの教程というのは基本的に体力の衰えた高齢者でも安全にこなせるよう配慮された、「タイパより安全重視」の内容になっています。時間感覚が高齢者仕様ですしリスクのあることはさせてくれません。筆者は大怪我をしない範囲で自己責任で危険を体感することも有益だと考えています。この辺の感覚が合わないなと思いました。
・意思決定の自由度
上記の「タイパより安全」もそうですが、一般にスクールで習う場合はあらゆる意思決定の自由度が小さくなります。例えば筆者はSupair Everest 3という山用の超軽量ハーネスを購入して練習・本番で使っていますが恐らく多くのスクールでは「まずはちゃんとしたハーネスを買ってね」という話になると思います。スクールによっては機体もスクール指定のものしか買えず、コスパの良いものを自分で選ぶことができないそうです。
・スクールで体験してみて正直簡単だと思った(下山用途であれば)
・1年くらいで飽きる可能性があった(ので教習2年コースはオーバヘッドが大きすぎる)
バンジージャンプみたいな感じで人生で一度やればよくて継続的に繰り返すものではないと感じる可能性がありました。
以下で筆者がスクールか独学か判断する際に決め手としたことを紹介します。共感できることが多くなければ独学はやめたほうがいいと思います。
・スクールが遠すぎる
筆者は東京の南東部に住んでいますが、そこから一番近いスクールは埼玉の秩父の山奥で片道二時間半以上かかります。タイパが悪すぎます。
・パラグライダー運用の目的が登山後の下山だった
活動の主旨は遊覧飛行や競技飛行ではなく、あくまで登山なので毎週末まる二日潰してスクールに通って(=登山はお預け)一年以上かけて技能証を取ることは現実的でないと思いました。また他のスクール生やエリアで活動している方々は基本的に遊覧飛行や競技飛行が目的で嗜好が違うのでそのコミュニティに入るモチベーションがあまりありませんでした。
・教習内容への不満
筆者はパラグライダー体験のため一度だけスクールに行ったことがあります。そのときに「時間の使い方」に不満を持ちました。例えば離陸場の回転が遅かったです。複数人が同時に離陸することはスペースの関係上できないのでそれだけで回転が遅くなるわけですが、それに加えて風待ち時間が長過ぎる。安全に離陸できる良い風が入ってくるまでひたすら待たされるわけです。その件に限らずスクールの教程というのは基本的に体力の衰えた高齢者でも安全にこなせるよう配慮された、「タイパより安全重視」の内容になっています。時間感覚が高齢者仕様ですしリスクのあることはさせてくれません。筆者は大怪我をしない範囲で自己責任で危険を体感することも有益だと考えています。この辺の感覚が合わないなと思いました。
・意思決定の自由度
上記の「タイパより安全」もそうですが、一般にスクールで習う場合はあらゆる意思決定の自由度が小さくなります。例えば筆者はSupair Everest 3という山用の超軽量ハーネスを購入して練習・本番で使っていますが恐らく多くのスクールでは「まずはちゃんとしたハーネスを買ってね」という話になると思います。スクールによっては機体もスクール指定のものしか買えず、コスパの良いものを自分で選ぶことができないそうです。
・スクールで体験してみて正直簡単だと思った(下山用途であれば)
・1年くらいで飽きる可能性があった(ので教習2年コースはオーバヘッドが大きすぎる)
バンジージャンプみたいな感じで人生で一度やればよくて継続的に繰り返すものではないと感じる可能性がありました。
機材購入と練習の大まかな流れ
本題に入ります。パラグライダーを独学で始める流れは概ね以下のようにするとよいと思います。
1. パラグライダーのスクールで体験する
スクールに一度も行かないのは流石にないというか、あまりそうする意味がないと思うのでまずはスクールで一日体験することを推奨します。体験内容はタンデムフライトでも自分で飛ぶコースでも良いと思いますが山岳飛行を見据えている場合は後者の方がベターな気はします。
2. 情報収集
本当にパラグライダーをやる気があるのか自問するための情報収集という想定です。Youtubeやブログでの情報収集の他、自宅周辺で地上練習ができそうな公園の洗い出し、ライフスタイルの変化(とその変化に耐えられるか)の検討などが必要です。
3. 教材の購入
JHFやJPAが出版している教本を購入します。一般の書店では売っていないので入手は少し大変かもしれません。
4. 決断と機体購入
5. 地上練習(40時間程度)
パラグライダーは山に行かずとも芝生のある広い公園で有用な練習ができます。これはスキーとは大きく異なる良い点だと思います。このフェーズに時間をかけて基本的な地上操作(出し入れ、セッティング、グラウンドハンドリング、管理等)を身につけることが非常に重要だと思います。
6. 低空飛行練習(20回程度)
どこでやるかが厄介な問題です。回数は個人のセンスやリスク許容度の差にもよると思いますが2日くらいかけて10本〜20本くらい飛べればいいと思います。
7. 情報収集(テクニック)
5、6と並行して教本やYoutube、ブログなどでテクニックを学びます。
8. 高高度飛行
独学無免許山岳飛行の場合は練習≒本番になります。
上記のうち機体購入と低空飛行練習の難易度が高いというのが私の印象です。
1. パラグライダーのスクールで体験する
スクールに一度も行かないのは流石にないというか、あまりそうする意味がないと思うのでまずはスクールで一日体験することを推奨します。体験内容はタンデムフライトでも自分で飛ぶコースでも良いと思いますが山岳飛行を見据えている場合は後者の方がベターな気はします。
2. 情報収集
本当にパラグライダーをやる気があるのか自問するための情報収集という想定です。Youtubeやブログでの情報収集の他、自宅周辺で地上練習ができそうな公園の洗い出し、ライフスタイルの変化(とその変化に耐えられるか)の検討などが必要です。
3. 教材の購入
JHFやJPAが出版している教本を購入します。一般の書店では売っていないので入手は少し大変かもしれません。
4. 決断と機体購入
5. 地上練習(40時間程度)
パラグライダーは山に行かずとも芝生のある広い公園で有用な練習ができます。これはスキーとは大きく異なる良い点だと思います。このフェーズに時間をかけて基本的な地上操作(出し入れ、セッティング、グラウンドハンドリング、管理等)を身につけることが非常に重要だと思います。
6. 低空飛行練習(20回程度)
どこでやるかが厄介な問題です。回数は個人のセンスやリスク許容度の差にもよると思いますが2日くらいかけて10本〜20本くらい飛べればいいと思います。
7. 情報収集(テクニック)
5、6と並行して教本やYoutube、ブログなどでテクニックを学びます。
8. 高高度飛行
独学無免許山岳飛行の場合は練習≒本番になります。
上記のうち機体購入と低空飛行練習の難易度が高いというのが私の印象です。
スクールでの体験
パラグライダースクールはどこも体験イベントを定期開催しているはずです。体験してみてスクールで学ぶので問題ないと思われた場合は独学などせずにスクールで学んだ方が絶対にいいです。
情報収集
パラグライダーを独学して山で飛ぶことについて情報を収集します。以下にトピックの例を示します。
・自分は本当にやりたいのか、自分の山行スタイルに会っているか
先述の通りパラグライダーと登山の相性は必ずしもよくありません。マイカーとの相性が悪かったりします。
・どのようなリスクがあるか
Youtubeに上がっている事故動画を海外のものも含めて視聴することをおすすめします。またJHFやJPAの事故報告を読むことをおすすめします。
JHFの事故報告:https://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/accident.html
JPAの「ひやっとノート」:http://jpa-pg.jp/hiyatto_blog/
・練習はどうするか
近所の公園など具体的な練習場所の洗い出し。
時間は取れるか?
・自分は本当にやりたいのか、自分の山行スタイルに会っているか
先述の通りパラグライダーと登山の相性は必ずしもよくありません。マイカーとの相性が悪かったりします。
・どのようなリスクがあるか
Youtubeに上がっている事故動画を海外のものも含めて視聴することをおすすめします。またJHFやJPAの事故報告を読むことをおすすめします。
JHFの事故報告:https://jhf.hangpara.or.jp/jhsc/accident.html
JPAの「ひやっとノート」:http://jpa-pg.jp/hiyatto_blog/
・練習はどうするか
近所の公園など具体的な練習場所の洗い出し。
時間は取れるか?
教材の購入
JHFやJPAが教習生向けに発行する教科書を入手することをおすすめします。どうも一般の書店(アマゾン正規を含む)では売られていないようです。筆者はJHFの教本をメルカリで購入しました。少し調べたところJHFの教本はJHFの事務所に所定の注文書を送付すると買えるようです。
ソアリングに関する技術書を買うこともお勧めします。山頂から真っ直ぐ降りるだけであればソアリングは必要ないことが多いですがソアリングの基本セオリーを知らないと飛行計画を練る際に悪いルートを選択してしまう可能性がありますし、後々上達してサーマルソアリングをしたくなるかもしれないからです。
ソアリングに関する技術書を買うこともお勧めします。山頂から真っ直ぐ降りるだけであればソアリングは必要ないことが多いですがソアリングの基本セオリーを知らないと飛行計画を練る際に悪いルートを選択してしまう可能性がありますし、後々上達してサーマルソアリングをしたくなるかもしれないからです。
決断と機材購入
機材購入が個人的には最大の障壁だと思っています。
(背景知識)
2023/06現在、日本でパラグライダーを独学者向けにパラグライダーを販売している小売業者は存在しないと思われます。パラグライダーの流通経路はJHF、JPA、輸入代理店等により統制されており、スクール経由でないと機体を購入できない仕組みになっています。
(購入方法)
正解はわかりませんが、筆者は海外のネット通販で購入しました。Flybubble.comという英国の業者になります。
https://flybubble.com/
パラグライダーの通販サイトはいくつかあり、真面目に比較したわけではないですがFlybubble.comには以下のメリットがあります。
・名が通っており英国の企業である程度信用できる。Youtubeチャネルも運営しています。
https://www.youtube.com/user/FlybubbleParagliding
・配送先に日本の住所を指定することができるため、別途個人輸入代理店などを利用する必要がない(日本に届いた際に通関手続きをする必要がありますが、基本的に郵便局に委任すればいいので簡単です)
なお英国のサイトなのでポンドで英国の消費税20%込みで値段が表記されていますが、日本から購入する場合は20%の消費税はかかりません。日本の消費税10%がフルでかかったかは忘れてしまいました(なんか控除でだいぶ安くなった記憶があります)。
(購入物)
筆者は以下を全てFlybubble.comで購入しました。
・翼(Wing)
筆者はAdvance Alpha 7という初級機を購入しました。理由はセールで25万円くらいになっていたからです。
最初は初級機(EN-Aクラス機)に乗るのが普通ですが中級機(EN-B)だとどれくらい危険なのかはよくわりません(今は正直EN-Bスタートでも良かったと思っています)。A/B/C/D/CCCというのは機体の安全認証クラスでAが最も安全です。同時代同レベルの製造技術を前提とした場合機体の安全性と性能(滑空比、速度、旋回等に関わる性能)にはトレードオフがあり、AよりもB、BよりもCの方が性能が良いとされています。
・ハーネス
筆者はSupair Everest 3というハーネスを購入しました。理由はセールで安かった(180ポンドくらい)のと軽量だからです。
・緊急パラシュート
筆者はGin社のG-Liteという製品を買いましたが、これは正直買わなくても良かったかもしれないと思っています(スクール関係者にはめちゃくちゃ怒られるかもしれませんが)。理由は以下になります。
○上級機で頻繁にフライトをする愛好家でも一度も開傘せずに人生を終える確率が高い
○安全性の高い初級機・中級機であればぶっちゃけ無視できる確率では
○重い(あと数千円出せば1.4kgくらいのも買えたので後悔しています)
○高い(安いのでも6万円くらいします)
・バリオ
単に滑空下山するだけであれば不要だと思います。ノリで一番安いやつを買いました。
(その他必要ないが買ったもの)
・アクションカメラ
ドラレコ代わりです。死亡事故などが起きた際に警察や遺族が原因究明するのに役立ちます。
(背景知識)
2023/06現在、日本でパラグライダーを独学者向けにパラグライダーを販売している小売業者は存在しないと思われます。パラグライダーの流通経路はJHF、JPA、輸入代理店等により統制されており、スクール経由でないと機体を購入できない仕組みになっています。
(購入方法)
正解はわかりませんが、筆者は海外のネット通販で購入しました。Flybubble.comという英国の業者になります。
https://flybubble.com/
パラグライダーの通販サイトはいくつかあり、真面目に比較したわけではないですがFlybubble.comには以下のメリットがあります。
・名が通っており英国の企業である程度信用できる。Youtubeチャネルも運営しています。
https://www.youtube.com/user/FlybubbleParagliding
・配送先に日本の住所を指定することができるため、別途個人輸入代理店などを利用する必要がない(日本に届いた際に通関手続きをする必要がありますが、基本的に郵便局に委任すればいいので簡単です)
なお英国のサイトなのでポンドで英国の消費税20%込みで値段が表記されていますが、日本から購入する場合は20%の消費税はかかりません。日本の消費税10%がフルでかかったかは忘れてしまいました(なんか控除でだいぶ安くなった記憶があります)。
(購入物)
筆者は以下を全てFlybubble.comで購入しました。
・翼(Wing)
筆者はAdvance Alpha 7という初級機を購入しました。理由はセールで25万円くらいになっていたからです。
最初は初級機(EN-Aクラス機)に乗るのが普通ですが中級機(EN-B)だとどれくらい危険なのかはよくわりません(今は正直EN-Bスタートでも良かったと思っています)。A/B/C/D/CCCというのは機体の安全認証クラスでAが最も安全です。同時代同レベルの製造技術を前提とした場合機体の安全性と性能(滑空比、速度、旋回等に関わる性能)にはトレードオフがあり、AよりもB、BよりもCの方が性能が良いとされています。
・ハーネス
筆者はSupair Everest 3というハーネスを購入しました。理由はセールで安かった(180ポンドくらい)のと軽量だからです。
・緊急パラシュート
筆者はGin社のG-Liteという製品を買いましたが、これは正直買わなくても良かったかもしれないと思っています(スクール関係者にはめちゃくちゃ怒られるかもしれませんが)。理由は以下になります。
○上級機で頻繁にフライトをする愛好家でも一度も開傘せずに人生を終える確率が高い
○安全性の高い初級機・中級機であればぶっちゃけ無視できる確率では
○重い(あと数千円出せば1.4kgくらいのも買えたので後悔しています)
○高い(安いのでも6万円くらいします)
・バリオ
単に滑空下山するだけであれば不要だと思います。ノリで一番安いやつを買いました。
(その他必要ないが買ったもの)
・アクションカメラ
ドラレコ代わりです。死亡事故などが起きた際に警察や遺族が原因究明するのに役立ちます。
地上練習
地上練習は近所の公園や河川敷でできる割に非常に有効かつ重要な練習なのでしっかりやるべきです。具体的な練習トピックは以下になります。
・機体の出し入れ、持ち運び
山で運用することを考えて登攀のロープワークと同様手際よくこなせるよう練習する必要があります。また、ある程度強風下でもこなせるように練習しましょう(強風下で畳んでしまうのが意外と難しい)
・グラウンドハンドリング(グラハン)
これは正規ルートでパラグライダーをやっている人もほぼ全員同意すると思いますが、グラハンの練習は非常に重要です。特に山岳地帯では離陸地点の足場が悪い(狭い、助走が短いなど)ことが多く、機体の立ち上げとバランス維持を高い精度で行えなければ危険です。
練習メニュー(フロント、リバースでのバランス維持、スラローム走行など)はネットで調べてください。
注意点として、市街地の中にある公園では風の強い日にグラハンができない可能性があります。理由は建物によって風が巻いてしまい公園内で安定した風が吹かないからです。河川敷や海沿いの公園であればそのような日でも風が安定している可能性が高いです。家の近くにそういった場所がない方はパラグライダーを諦めたほうが良いかもしれません。
・機体の出し入れ、持ち運び
山で運用することを考えて登攀のロープワークと同様手際よくこなせるよう練習する必要があります。また、ある程度強風下でもこなせるように練習しましょう(強風下で畳んでしまうのが意外と難しい)
・グラウンドハンドリング(グラハン)
これは正規ルートでパラグライダーをやっている人もほぼ全員同意すると思いますが、グラハンの練習は非常に重要です。特に山岳地帯では離陸地点の足場が悪い(狭い、助走が短いなど)ことが多く、機体の立ち上げとバランス維持を高い精度で行えなければ危険です。
練習メニュー(フロント、リバースでのバランス維持、スラローム走行など)はネットで調べてください。
注意点として、市街地の中にある公園では風の強い日にグラハンができない可能性があります。理由は建物によって風が巻いてしまい公園内で安定した風が吹かないからです。河川敷や海沿いの公園であればそのような日でも風が安定している可能性が高いです。家の近くにそういった場所がない方はパラグライダーを諦めたほうが良いかもしれません。
低空飛行練習
少し高いところから離陸して数十〜数百m飛ぶことを通して離着陸や旋回の感覚を学ぶほか、自身の機体性能の把握をすることが目的になります。
(練習量)
グラハンを十分たくさん様々な風のコンディションでやっていれば低空飛行練習にはそこまで時間をかけなくてよいかなと思います。2日程度かけて20本飛べば良いかなというのが筆者の所感です。これは個人のセンスや機体の性質によると思いますが。
(練習場所)
残雪期であれば雷鳥沢や涸沢のような残雪豊富なカール地形で実施するのがベストだと思います。理由はある程度広い範囲の風向きに対応できることと雪のおかげでどこからでも離陸でき墜落時に怪我をしにくいことです。なお筆者は実際に雷鳥沢で訓練を行い最高の環境でしたが、涸沢は行ったことがなくもしかしたら春は風向きが微妙かもしれません。
無雪期の練習場所については筆者は正解を見つけられていません。地形や植生的にはスキー場が適していますが3つ懸念事項があります。
・追い出される可能性
スキー場は私有地なので管理者に追い出される可能性があります。全てのスキー場がそうかはわかりません。なんとなく小さいスキー場ほど追い出されやすいという直観はあります。例えば小さなファミリーゲレンデの管理棟近くでやると追い出される確率は高そうですが、乗鞍岳スキー場の上部で少人数でちょろちょろやってる分には問題ないかもしれません。
・風向き
大抵のスキー場は滑走面がおおよそ一方向を向いています。つまりあまり広い範囲の風向きには対応できません。天気予報の風向きは標高の低いところでは外れやすいので行ったけど風向きが悪くてできなかったみたいなことがあり得ます。
・植生
雪のないスキー場は必ずしもきれいな芝生ではなく灌木や灌木の切り株、熊笹などが生えていることが多くあります。その場合ラインが引っかかるなどでかなり練習しにくいですし、翼の生地にも良くないかもしれません。
やったことはないですがひとつ可能性としてあるかなと思う練習場所は富士山の御殿場ルートの下部です(離着陸地点に大きなブルーシートを敷いて練習する想定)。
(練習量)
グラハンを十分たくさん様々な風のコンディションでやっていれば低空飛行練習にはそこまで時間をかけなくてよいかなと思います。2日程度かけて20本飛べば良いかなというのが筆者の所感です。これは個人のセンスや機体の性質によると思いますが。
(練習場所)
残雪期であれば雷鳥沢や涸沢のような残雪豊富なカール地形で実施するのがベストだと思います。理由はある程度広い範囲の風向きに対応できることと雪のおかげでどこからでも離陸でき墜落時に怪我をしにくいことです。なお筆者は実際に雷鳥沢で訓練を行い最高の環境でしたが、涸沢は行ったことがなくもしかしたら春は風向きが微妙かもしれません。
無雪期の練習場所については筆者は正解を見つけられていません。地形や植生的にはスキー場が適していますが3つ懸念事項があります。
・追い出される可能性
スキー場は私有地なので管理者に追い出される可能性があります。全てのスキー場がそうかはわかりません。なんとなく小さいスキー場ほど追い出されやすいという直観はあります。例えば小さなファミリーゲレンデの管理棟近くでやると追い出される確率は高そうですが、乗鞍岳スキー場の上部で少人数でちょろちょろやってる分には問題ないかもしれません。
・風向き
大抵のスキー場は滑走面がおおよそ一方向を向いています。つまりあまり広い範囲の風向きには対応できません。天気予報の風向きは標高の低いところでは外れやすいので行ったけど風向きが悪くてできなかったみたいなことがあり得ます。
・植生
雪のないスキー場は必ずしもきれいな芝生ではなく灌木や灌木の切り株、熊笹などが生えていることが多くあります。その場合ラインが引っかかるなどでかなり練習しにくいですし、翼の生地にも良くないかもしれません。
やったことはないですがひとつ可能性としてあるかなと思う練習場所は富士山の御殿場ルートの下部です(離着陸地点に大きなブルーシートを敷いて練習する想定)。
高高度飛行(本番)
理解しておくべきことは非常に多いためここで列挙することはしませんが、いくつかポイントを記載しておきます。
・残雪期が最も適している
無雪期の自然の山で離陸できる場所は多くありませんが、残雪で岩やハイマツ、熊笹が隠されていると容易に離陸できます。また雪の安定したカール地形では低高度飛行から徐々に離陸地点を上げていくことができ安心感があります。
・windy.comによる風予報
・Googleマップのマイマップ機能
・XCTrackアプリ
・航空法
・フライトマナー(民家の上を低空飛行しないとか)
・個人賠償責任保険
・残雪期が最も適している
無雪期の自然の山で離陸できる場所は多くありませんが、残雪で岩やハイマツ、熊笹が隠されていると容易に離陸できます。また雪の安定したカール地形では低高度飛行から徐々に離陸地点を上げていくことができ安心感があります。
・windy.comによる風予報
・Googleマップのマイマップ機能
・XCTrackアプリ
・航空法
・フライトマナー(民家の上を低空飛行しないとか)
・個人賠償責任保険
最後に
筆者はかつて登山の際に天気予報や地形図などほとんど真面目に見ていませんでした。天気とクラスでAかAじゃないか、コースタイムが何時間か、など表面的な要約情報を確認するだけで実用上なんとかなってしまっていました。一方パラグライダーを始めてからは山行計画段階で天気とクラスはもちろん大域的・複数高度の風の時間変化や雲の量を詳細に確認するようになったほか、地形図についても等高線一本一本に着目するようになりました。これは我ながら面白い変化だなと思っています。とは言え現在は飽きて一時引退していますが・・・
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