「ヒマラヤのペリチェから、ヘリコプターで下山させてもらったくせに、懲りずによく書
けるよ」という山やの人や、山岳警備隊関係者、ヤマレコ読者から聞こえてきそうな影の
声を無視し、被害妄想になりそうな自分の心をだましつつ、今日はSPO2についての調査結
果を「mont_bienの科学的分析」としてまとめましたのでご報告いたします。
(以下、レポート)
1.はじめに
さて、年末年始を控え、体がそわそわし始めた方々も多いかもしれません。
私のような若輩者が年末年始などという言葉を使うと、今度は別の影の声が
聞こえてきそうな気がしますが、今年はどうしようかと考えております。
ヒマラヤ敗退後、まだ本格的に登山をしておりません。2週間程はバーンアウト
現象で、当分山を登りたいという気持ちはありませんでした。
しかし、スキーに出掛けて雪山などを眺めていると、年末年始という言葉が
脳裏をかすめてくるようになりました。
そこで、昨日はトレーニングの一環として、栃木県の古賀志山583mの周遊にある
Japan Cupロードレース用のサイクリングコースをジョギングしてきました。
すると、肺水腫の後遺症でしょうか、横隔膜の横あたりに少し痛みを感じます。
どのような後遺症があるのか、インターネットで探していると、
「プードルの肺水腫」という記事を見つけ、少しうれしくなりました。
この記事の回答期限がもう少し長ければ、「私も肺水腫になりました。」と冗談を
書いたところです。
冗談はさておき、記事を探しているうちに、エベレスト登頂成功者で、
「一時高山病のため、SPO2 38%で下山」という記事を見つけました。
※私の敗退時のSPO2は書類上48%
そこで、SPO2とはどういう値を示すものなのか、以前1Day 6000mを敢行した
低圧室「Vent」に、計測に行きました。
2.SPO2の計測
今日は体に負担を与えないよう、無理をせず、疑似3500mに挑戦。
(実際には4000mまで圧を下げてくれました)
いつもならすぐにベンチバイクにまたがり、チアノーゼになり、「あまり無理を
しないでくださいね」と社長の幸田さんに指摘をうけるところですが、今日は
バイクを漕がず、のんびり椅子に座ってSPOの計測を開始ししました。
3.計測結果
○開始時 標高約 200m SPO2 99% 脈拍 63
○約15分後、最初の疑似4000mまで徐々にSPO2が下がり始める(座っているだけ)
標高約4000m SPO2 85−88% 脈拍 −
○約25分後 2度目の疑似4000m(座っているだけ)
標高約4000m SPO2 82−85% 脈拍 100前後だったと思います。
○約30分後 疑似3000mくらいから約4000mまで、体に負担にならないよう、
ベンチバイクを軽く漕ぐ
SPO2値は瞬時に下がり始め、4000m付近で57%を計測 脈拍130−135程度
○その後標高約1000mまで、脈拍を120−130を維持し、軽くバイクを漕ぐ
SPO2値は、57%から徐々に回復し、90%に戻る。
○約50分後(終了時)標高200mでSPO2値は95%−98%に戻った。
4.SPO2と脈拍の相関
SPO2は単独での値ではなく、脈拍値とも相関があるようだ。
例えば、
過度な運動後、脈拍が下がると、多少SPO2値も下がる
[運動直後]
脈拍130 SPO2 90%で安定している場合、
脈拍が100に下がると、SPO2値は85%に下がる
5.仮説
疑似4000−5000mでベンチバイクを必死に漕いで、幸田社長に指摘を受けている
状態、「唇が紫色になり、チアノーゼになっている状態、脈拍140-160」では、
SPO2は50%を下回っているはず。もしかすると、瞬間的に45%を下回っているかも
しれない。
この状態が長く続くと、危険な状態に入る。
6.ヒマラヤという場所
低圧室「Vent」では瞬間的にこのようなSPO2の状態を作り出すことができる。
しかし、ヒマラヤでは瞬間風速ではなく、エベレストから吹き出す雪煙のように
何日間もこの値の中にいるわけだ。
当然高所順化していくわけだから、この値はもう少し高い値を示すはずだが
(高所の医学などにあるように、順化が成功していれば80%−90%を示すらしいが)
この環境に1週間以上もいるのだから、冷静に考えるととても恐ろしい環境だ。
8,000m峰にアタックしている人たち、4000mで走り回って育ったシェルパ族は、
恐るべき体力を持っているに違いない。
以上、SPO2の値について、「数値を用いた科学的分析結果」として記載しましたので、
ご参考まで。
尚、低圧室「Vent」幸田社長にも指摘を受けましたが、4000m−5000m、または
それ以上で、目の前がオレンジ色になるくらい必死にベンチバイクを漕いでいると
血栓ができる可能性がありますので、無理な体験は控えてください。
以上
23/Dec/2013
Editor mont_bien
けるよ」という山やの人や、山岳警備隊関係者、ヤマレコ読者から聞こえてきそうな影の
声を無視し、被害妄想になりそうな自分の心をだましつつ、今日はSPO2についての調査結
果を「mont_bienの科学的分析」としてまとめましたのでご報告いたします。
(以下、レポート)
1.はじめに
さて、年末年始を控え、体がそわそわし始めた方々も多いかもしれません。
私のような若輩者が年末年始などという言葉を使うと、今度は別の影の声が
聞こえてきそうな気がしますが、今年はどうしようかと考えております。
ヒマラヤ敗退後、まだ本格的に登山をしておりません。2週間程はバーンアウト
現象で、当分山を登りたいという気持ちはありませんでした。
しかし、スキーに出掛けて雪山などを眺めていると、年末年始という言葉が
脳裏をかすめてくるようになりました。
そこで、昨日はトレーニングの一環として、栃木県の古賀志山583mの周遊にある
Japan Cupロードレース用のサイクリングコースをジョギングしてきました。
すると、肺水腫の後遺症でしょうか、横隔膜の横あたりに少し痛みを感じます。
どのような後遺症があるのか、インターネットで探していると、
「プードルの肺水腫」という記事を見つけ、少しうれしくなりました。
この記事の回答期限がもう少し長ければ、「私も肺水腫になりました。」と冗談を
書いたところです。
冗談はさておき、記事を探しているうちに、エベレスト登頂成功者で、
「一時高山病のため、SPO2 38%で下山」という記事を見つけました。
※私の敗退時のSPO2は書類上48%
そこで、SPO2とはどういう値を示すものなのか、以前1Day 6000mを敢行した
低圧室「Vent」に、計測に行きました。
2.SPO2の計測
今日は体に負担を与えないよう、無理をせず、疑似3500mに挑戦。
(実際には4000mまで圧を下げてくれました)
いつもならすぐにベンチバイクにまたがり、チアノーゼになり、「あまり無理を
しないでくださいね」と社長の幸田さんに指摘をうけるところですが、今日は
バイクを漕がず、のんびり椅子に座ってSPOの計測を開始ししました。
3.計測結果
○開始時 標高約 200m SPO2 99% 脈拍 63
○約15分後、最初の疑似4000mまで徐々にSPO2が下がり始める(座っているだけ)
標高約4000m SPO2 85−88% 脈拍 −
○約25分後 2度目の疑似4000m(座っているだけ)
標高約4000m SPO2 82−85% 脈拍 100前後だったと思います。
○約30分後 疑似3000mくらいから約4000mまで、体に負担にならないよう、
ベンチバイクを軽く漕ぐ
SPO2値は瞬時に下がり始め、4000m付近で57%を計測 脈拍130−135程度
○その後標高約1000mまで、脈拍を120−130を維持し、軽くバイクを漕ぐ
SPO2値は、57%から徐々に回復し、90%に戻る。
○約50分後(終了時)標高200mでSPO2値は95%−98%に戻った。
4.SPO2と脈拍の相関
SPO2は単独での値ではなく、脈拍値とも相関があるようだ。
例えば、
過度な運動後、脈拍が下がると、多少SPO2値も下がる
[運動直後]
脈拍130 SPO2 90%で安定している場合、
脈拍が100に下がると、SPO2値は85%に下がる
5.仮説
疑似4000−5000mでベンチバイクを必死に漕いで、幸田社長に指摘を受けている
状態、「唇が紫色になり、チアノーゼになっている状態、脈拍140-160」では、
SPO2は50%を下回っているはず。もしかすると、瞬間的に45%を下回っているかも
しれない。
この状態が長く続くと、危険な状態に入る。
6.ヒマラヤという場所
低圧室「Vent」では瞬間的にこのようなSPO2の状態を作り出すことができる。
しかし、ヒマラヤでは瞬間風速ではなく、エベレストから吹き出す雪煙のように
何日間もこの値の中にいるわけだ。
当然高所順化していくわけだから、この値はもう少し高い値を示すはずだが
(高所の医学などにあるように、順化が成功していれば80%−90%を示すらしいが)
この環境に1週間以上もいるのだから、冷静に考えるととても恐ろしい環境だ。
8,000m峰にアタックしている人たち、4000mで走り回って育ったシェルパ族は、
恐るべき体力を持っているに違いない。
以上、SPO2の値について、「数値を用いた科学的分析結果」として記載しましたので、
ご参考まで。
尚、低圧室「Vent」幸田社長にも指摘を受けましたが、4000m−5000m、または
それ以上で、目の前がオレンジ色になるくらい必死にベンチバイクを漕いでいると
血栓ができる可能性がありますので、無理な体験は控えてください。
以上
23/Dec/2013
Editor mont_bien
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