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更新日:2014年05月24日 訪問者数:8956
クライミング/沢登り 山道具・装備
(温故知新)44年前の山道具 長持ちさせる手入れ法
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 山の道具は大事に使えば一生物で、これからお見せする私の山道具は全て現用品です。
羽毛服だけは写真を撮った次の年、雪崩に埋まり半年後見つかりましたが、腐っていた為 廃棄しました。その他は現在も使えるように手入れしています。
 ピッケルは最初に購入したエバニュー社のグレッチャー75cmは、谷川岳で雪崩に埋まりさび付いて発見されましたが、使用不能でした。 新橋にあった「好日山荘」の海野氏が「欲しい物は後払いで良いから持って行け」と言われ、温情にすがり購入したのがシモンです。
 登山靴は私が山を始めていたときは、鋲靴(ナーゲル)が主流で、新宿駅や上野駅で良く転んでいました。私はビブラムで岩を登り始めたので、ナーゲルは履きませんでした。

 ザイルは未だUIAA公認の麻ザイルが有り、丹沢で懸垂下降の訓練は何時も首が擦りむけて帰り、襟を隠して、薬を付けた物です。

 オーバーシューズも5月の涸沢では必需品でしたが、靴の防水性が良くなり、ロングスパッツ
で登れるようになり隔世の感が有ります。
ピッケル シモンD シモンE フランス製 1970年
シモンD 70cm 縦走、雪上訓練用
シモンE 65cm 岩場、氷登り用
メタルシャフトも使いましたが、やっぱり木の肌がしっくりします。

長持ちさせる手入れ方法
 使用しないときは、日陰で良く乾燥させますが、木部は亜麻仁油を布に染みこませ巻き付けておきます。金属部は一番目の細かい布ヤスリでサビを落とし良く擦ってから、油(CRC556等)で被膜を作ります。
 ピッケルバンドの長さ(手首からでもたすきがけでも)は下りのステップが刻める長さ(足下にブレ−ドで切れる事)でそれ以上でもそれ以下でも使いにくい、穴の部分にはカラビナを入れて確保点にするため、バンドを通しては行けません、上部も堅い雪面にハンマ−にてたたき込み、確保点やセルフビレイ点に使う為、シヤフトの上側にはバンドがこないように(写真参照)結構、間違えている方が多いので気を付けましょう。
Lowa トリプル(三重靴)西ドイツ 1970年
Lowa三重靴は、日本人として初めてアルプスの三大北壁を登った、高田氏が輸入元でヒマラヤ遠征隊にのみ販売してたが、無理を言って購入しましたが、当時の月給の倍しました。
(インナーが駄目になりスキーの内靴をオーダーして現用しています。)
Lowa トリプル(三重靴)西ドイツ 1970年
 これが、オリジナル内靴でこの中に、もう一枚インナーが入りますが、耐用年数を過ぎ穴だらけになり廃棄
長持ちさせる手入れ方法
使い終わったら、亀の子たわしで表面を良く擦る、靴の中に新聞紙を丸めて詰め陰干し、1週間位したら、防水保革油(ミンクオイル)を指で暖めながら革の部分に塗り込む、爪先とかかと部分には薄く、足首と上面は厚く塗り込むの基本です。このとき底の部分(アイガメ)の縫い目に付けないように注意すること(糸に染みこむと靴底がはがれ易くなります)、縫い目には松ヤニとロウを混ぜて溶かした物を塗りますが、無ければ良く洗って乾燥させること
山スキー用ビンディング (登山靴で使用)
 40年以上前の山スキー用ビンディング、ジルベレッタ社製で登山靴にワイヤーの溝が無いと外れるため、靴を選ぶのに苦労しました。
Lowa トリプルは最初から溝が着いていました。
オーバシューズ メーカー?  1972年購入
 昔の登山靴は防水が、悪く5月の連休は絶対に必要アイテムで、この袋の中に登山靴を入れ、上からひもで固定、下はアイゼンを付けないと歩けませんでした。
CMIサレワ ロックハンマー アメリカ製  1969年
 日本に一番最初に輸入されたメタルハンマーです。バランスも良く長時間振るっていても疲れない優れものです。この子を連れて日本中の岩場を登りました。当時の月給の半額もしました。
チョークバック モンベル製 1975年
 このチョークバックは購入した物ではなく、モンベル社の幹部が山仲間だったので、試作品を頂きました。国産品第1号で、普段でも小物入れに持ち歩いていました。みんなが真似をするので仕舞っていました。
チョークバック モンベル製 1975年
全景です。40年も前に町で持ち歩いていました。町中で使ったのは、私が最初みたいです。アメリカには有りましたが、国産では販売されていませんので、間違いないと思います。
ヒップベルト(落下傘)式安全帯 試作品 1968年 
 安全ベルト、日本で最初に岩登り用として考案されたヒップベルト式安全ベルトです。
 これは45年前に当時、私が水道橋にある山道具や「さかいや」に勤めているとき。属していた、会の小勝氏が考案し、試作品として頂きました。落下傘を参考に作らせたそうです。
ジュラルミン カラビナ カシン イタリア1968年
 日本に入ってきた最初のジュラビナです。青いのが強度2200Kg赤いのが1800Kgで、それまでは
右側に有る鉄ビナが主流でした、10個以上持って登らなくてはならず、かなり重いので苦労しました。
確か、赤いのが3500円で青いのが3000円だったと思います。安全環付きは高いのを覚えています。

長持ちさせる手入れ方法
使い終わったら、バネ部分にグリスを入れるか、CRCを塗布する、ジュラビナはさびませんので可動部分のみの手入れで長持ちします。
各種ハーケン  1965〜1970年 自作も有ります。
ハーケンは消耗品で、できるかり抜いてきますが、残置してきたのも、かなり有ります。

 私が持っていても、可愛そうなのですが、アメリカ製やフランス、イタリアのも有ります。

 何処かにそっと打ち込んでやりたい
ザイル(9mm)クライミングロープ フランス 1975年
 赤いザイルは永年苦楽を共にした、フランス製のエーデルリットでしたが、20年前にショックを掛けてしまい、サブザイルとして使っていましたが、もう寿命みたいです。青い方は国産のザイルでそんなに使っていません。

ザイルの点検と手入れ
本当の命綱です。毎回自分の目と指先で確認しましょう、麻のザイルは亜麻仁油を良く染みこませて使用していましたが、ナイロンザイルは使い方と保存方法に気をつけてください。
まず、紫外線は禁物です。日の当たるところには置いておかないでください、薬品の側や溶剤、ガソリン、等揮発成分の側にも置かないでください、それとアイゼンで踏んだらショックの掛かる使用を辞めてください、使う前に手で全部たぐり、コブやキンクの無いことを確認する癖を付けてください、キンクしたままですと加重が加わったとき切れるおそれが有ります。岩で擦れて表面の袋打ちの切れているザイルは強度が落ちる事を承知しておいてください
鍛造八本爪アイゼン 門田 製造 国産1967年購入
 国産品です。北海道の門田 製造 国産品です。
縦走用に頑丈なアイゼンが必要で日本中の山を一緒に登りました。現用品です。
長持ちさせる手入れ方法
アイゼンの手入れはさびていても使用には影響がありません、雪面を歩けば錆は直ぐ取れます。一番大事なのはバンドで、使用する前に登山靴に付けて思いっきり締める事、この時に切れたり抜けたりしたらバンドを交換します。アイゼンの爪(ツアッケ)は金属のヤスリでとがらせますが、あまりするどく尖らせると、危険ですので指先が痛く感じない位鈍角にします。
アイゼン10(12)本爪 谷 製造 国産1967年購入
 こちらは岩登りと氷登り用としての軽量ですが、外国製に比べ頑丈でしなりが無く、岩場を登るときには写真にあるように前爪のみ交換出来る優れものです。私は爪先を引っかける癖があり、12本では転ぶため私の大事な伴侶です。
羽毛服フェザー工業製 1970年
 ちょと恥ずかしいのですが44年前の私と家内です。着ているのがフェザー工業製 の特注羽毛服です。当時羽毛服は南極観測とヒマラヤ遠征隊にしか購入出来ず、市販品はモンクレイテレイ社(フランス)しか有りませんが当時の月給の倍以上もしました。とても購入出来ず、山道具屋に勤めていましたので遠征隊用で発注して購入しました。
 今、普通に皆様町中で羽毛服を来ていますが、43年前に富士山雪上訓練の後、銀座の真ん中で封切りの映画館まで羽毛服を着たまま4人で歩き回りました。
 日本で最初に街着にしたのは私たちだと思っています。封切り映画はソフィアローレンの「ひまわり」です。

長持ちさせる手入れ方法
羽毛服は乾燥させる、紫外線に当てないしか長持ちさせる方法はありません、モンクレイテレイ社に専用クリーニング剤が有るらしいですけれど、今は安くなったので消耗品です。
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コメント

よく手入れされていますね
私も40年くらい前の道具を今でも大切にしています。最近はピッケルバンドを穴に通しているようですが、本来カラビナを通すところです。最近の道具はやたらに軽く使いやすくなりましたが、基礎の基礎を知っている人が少なくなりました。若い人にカラビナ2枚あればなんでもできるよ、と話したら驚いていました。山岳部で必至で覚えた技術は忘れません。古いアンドウの靴を底を張り替え張り替え使っています。本当によく足になじんでくれます。
2014/10/21 9:26
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