槍ヶ岳・涸沢(上高地〜槍ヶ岳〜横尾〜涸沢〜パノラマ新道〜上高地)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 49.3km
- 登り
- 2,878m
- 下り
- 2,866m
コースタイム
10月2日6:48槍沢ロッヂ出発-8:40天狗原分岐9:55-10:50坊主岩屋下-11:22ヒュッテ大槍12:18-13:08槍ヶ岳山荘-(槍の穂先往復)
10月3日7:24槍ヶ岳山荘出発-8:32天狗原分岐-8:55大曲前休憩9:18-9:24大曲-10:00槍沢ロッヂ10:10-11:10横尾11:45-12:40本谷橋12:50-14:20涸沢小屋
10月4日8:16涸沢-9:21屏風のコル-9:46屏風の耳10:17-10:38屏風のコル-12:21新村橋-(徳沢で食事)-14:30上高地河童橋
天候 | 10月1日曇り時々晴れ10月2日曇り10月3日曇り後晴れ10月4日晴れ後曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
24時を超えると課金される為、朝早く出庫しても500円追加、夜遅く入庫してもその日は500円なので注意。 トイレ・足湯・バス乗り場(沢渡中)至近。沢渡中〜上高地 バス料金は往復だと2,000円、片道は1,200円。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地〜槍ヶ岳〜横尾・・・特記事項なし。ただし私たちが歩いたこの日は気温が下がりとても寒かったです。 強い低気圧がやってきていたら確実に積雪したと思います。(実際小雪がちらつきました) この時期軽アイゼンは必携と思います。 横尾〜涸沢・・・特記事項なし。 涸沢〜(パノラマ新道)〜徳沢・・・凍結している箇所があり、ハシゴや鎖場もあり注意が必要。 健脚者向け、上級者向けなどと書かれているが、物見遊山で涸沢に来ている人への警告程度。山屋さんなら問題ありません。 屏風のコルで荷物をデポして屏風の耳に行くとそこは素晴らしい眺望の場。涸沢からの帰りはここを通るのが吉。 ただしコルから徳沢への下山路は歩きにくくて疲れる道。健脚者向け、というのは本当かもしれない。 |
写真
感想
(10月1日土曜日)
いよいよ槍ヶ岳と涸沢を目指す旅の始まりだ。
朝3時に起きて4時に自宅を出発、目指すは沢渡。
マイカーで北アルプスに行くのはこれが初めて。
知人から仕入れた情報によれば、5時間ぐらいかかるとのこと。
そして駐車場は沢渡第2駐車場がベストとのこと。
道は全く問題ない。登山靴も忘れてない(笑)
途中立ち寄った諏訪湖SAで軽く蕎麦を仕込む。これが旨い。
やはり信州は蕎麦処、自分への土産はもう決まった。
ただ残念なのは天候。全くスッキリしない天気。
沢渡に着いても空には厚い雲が。松本から向かう時にもちっとも眺望なし。
まあ、いつものことだし気にしない、いや気にするわ(泣)
と言ったところで仕方がない、予定より1時間早く到着。
ゆっくり身支度して上高地行きのバスに乗り込む。
新釜トンネルを抜けて、期待するのはあの眺望。
かろうじて焼岳は少し姿を見せてくれたけど、肝心な穂高方面は駄目。
バスターミナルから河童橋に行ってみても変わらず。
あの、お約束&分かりやすい河童橋からの風景、やはり見たかった・・・
やや落ち込んだ二人に追い打ちを掛けるように、上高地は全く紅葉してない。
河童橋を渡り明神池に向かう道すがら悪態をつく・・・「新緑か!!」
そうは言っても10月の上高地、ちょっとした茂みにほんのり秋を感じられないでもない。
失意の二人を慰めるべく、嘉門次小屋で山女魚と日本酒をやることにする。
今日は槍沢ロッヂ止まり、急ぐ旅ではない。ほろ酔うともう帰りたくなる(笑)
明神から槍沢ロッヂまでは距離は長いが標高差はあまりないので安心していた。
しかし歩き始めると荷物は重いし、朝早くから運転してきたダメージもあり
槍沢ロッヂに着くまでには結構一杯一杯だったりする。情けない。
4年前はさわやか信州号で金曜の夜に発ち、土曜の朝から一気に槍沢を詰めた訳だが・・・
槍沢ロッヂはその4年前の槍への道すがら昼食休憩をした際に立ち寄ったことがある。
今回は初めての宿泊。ここはお風呂があるのが嬉しい山小屋。
一週間前の赤岳天望荘とは違い、本格的なボイラーのお風呂。
ただし、入浴者が気を利かせて水を入れながら湯を沸かさないと
みるみるお湯の量が減る&お湯が汚れてくる・・・
汗をかいてそれなりに消耗してきた自分たちには小屋の温度は低く感じた。
談話室も何も敷いていない板張りのガランとした空間で居られなかった。
それでも持ち込んだ赤ワインで一杯やって良い気分な二人。
混んでいない為、隣人に気を遣うことなく寝ることができた。
(10月2日 日曜日)
さあ、今日は槍ヶ岳本番の日。天気は・・・あまりパっとしないが悪くはない。
昨日の山行をゆとりをもって行けた分、体力的には全く問題ない。順調。
大曲を過ぎ、期待していた紅葉が「まあまあ」なので少しホッとする。
ナナカマドがしっかりと赤い。まるで血を吸って育ったかのようだ。
途中お猿の集団を見かけたりしながら、天狗原分岐から天狗池方面に少し歩く。
ここは槍の穂先を仰ぎ見るのに最高のロケーション。
ヤマケイ2011年カレンダーの9月はこの辺りからのショットに間違いない。
これまた4年前に穂高を縦走して天狗池から槍沢に降りた際に感動した場所。
今回はここで休憩、カップヌードルにコーヒー、槍を眺めながらの優雅な時間。
ま、後半はガスってきて槍も見えなくなっていたけど・・・クソー
天狗原分岐に戻ってからは標高差のある本格的な登り。ややもすると無言になる。
雲が出て日が陰ったせいか、体感気温が下がってきて辛い状況ではあったが
それでも体力には余裕があったせいか、気持ちにはゆとりがあった。
その辛い状況と精神的なゆとりが生んだ閃き、「そうだヒュッテ大槍に行こう」
今回の槍山行、ルート選定で悩んだのが東鎌尾根からの槍ルート。
マイカー登山の為、始点終点設定の為に諦めた次第。
ヒュッテ大槍で昼食休憩、そして東鎌尾根から槍に向かうことができる!
我ながらナイスアイデア。
坊主岩屋下からヒュッテ大槍に向かう。ペンキマークは多すぎるぐらいあって安心??
一見急登と思いきや、つづら折りの歩きやすい道が整備されている。
ゆっくり確実に歩みを進めるとヒュッテ大槍に。
二人してカレーライスを注文。ストーブのそばの席に着くものの暖まらない。
外はかなり気温が下がっていた模様。装備としてはギリギリ何とかなるものは持ってきていて良かった。
意を決して外に出て、今度こそ槍に向かう。
東鎌尾根のラストにはハシゴがあるとのことだったが、先週赤岳真教寺尾根を登った二人には無問題。
それより何より、時折ガスが晴れて姿を見せる槍の穂先の見事なこと!!
やっぱり(インチキして)東鎌尾根から登って良かった〜〜と思った。
北鎌尾根から穂先に突き上げる稜線の荘厳なこと。山やっていて良かった。
たくさん写真を撮って、肩の小屋に着いた二人。早速チェックインとなるのだが・・・
ga-koさんが「モンベルカード持ってる?」カードの提示でドリンク券一枚サービスとのこと。
長年モンベル会員になっていて初めてモンベルショップ以外で役に立った瞬間(笑)
荷物を寝る場所に置いて、サブザックいっちょで槍に向かう。
ガスが再びかかっていて眺望は期待できそうもないが、やはりテンションが上がる。
ga-koさんにしてもこの日の為に灼熱の丹沢を歩き、赤岳のマイナールートを歩いてきた訳で。
実際登り始めると拍子抜けするぐらい平和な岩稜、余裕綽々なga-koさん。
途中おばちゃんが難儀していると、後ろから足の置き場を冷静にアドバイスする生意気なオッサン。
あっという間に山頂に着く。360度の眺望、ならぬ360度のガスガスにもう笑うしかない二人。
それでも登ったことには違いない。ga-koさん、よく頑張ったね。
晴れそうもないし寒いし、さっと切り上げて山荘に戻る。
そして先ほどのドリンク券を使うという名目の元、キッチン槍にてまたまた酒を煽る二人。
おつまみは「おでん」熱燗をグイグイいっちゃいました。
混雑するかと危惧していたけど、実際は布団1枚を2人で使用する程度。
このぐらいなら何ともない。高山病の症状もなく気持ちはスッキリ。
(10月3日月曜日)
昨日の朝は槍沢ロッヂ、ご来光がない箇所だけに今日は、と期待していたが・・・
全くのガスガス、小雪がちらつく低温状態・・・ウーム最悪。
それでも一縷の望みをかけて、東鎌尾根を下りる。
普通はヘッデンつけて穂先に登るのが普通だけど、朝日があたる穂先を見たかった。
結果的にはご来光も穂先も見えないという展開・・・ウーム最悪。
昨日槍山頂からの眺望を楽しめなかっただけに、ガスが晴れるのを待って
穂先に再度登る事も考えたが、今日は涸沢まで行かなければならない。
決して楽な行程でもないだけに時間は大切にしなくてはと槍ヶ岳山荘を後にした。
殺生ヒュッテへの道すがら、ga-koさんは霜柱にご執心。この時期で見るとは思わなかったらしい。
確かにこの朝の冷え込みは10月の第1週としてはかなりのものだった。
勢力の強い低気圧でも突っ込んできたら雪が積もってもおかしくなかった。
やはり山は山、舐めたらあかん。
その様な状態で下山しながらも背中にある槍ヶ岳はどうなっているのか気になっていた。
槍沢ロッヂで振り返った時に、綺麗に穂先が見えた時には本当に笑うしかなかった(泣笑)
横尾で食事(ラーメンだったかな)を摂った後は、半分ぐらい本気で帰ってもいい気がしていたり。
だって紅葉はまだ見頃前だし、槍の眺望は裏切られ。この先涸沢でも同じ思いをするのはヤダ・・・
とは言え、せっかくga-koさんが予約してくれた涸沢小屋、行かない訳にはいかない。
横尾でおそらく涸沢方面に向かうと思われる人たちがウヨウヨいる状況にもへこたれず
ルビコン河を渡る決意で涸沢に向かった。
槍沢と違って、明らかに物見遊山度の高そうな面々が多い登山道。登りはそれなりにきつく感じる。
先を急ぐあまり、ga-koさんのペースを考えないでどんどん歩いたせいで無口になる二人。
涸沢ヒュッテの旗が見え隠れする箇所でそれなりに紅葉した光景が見えてくる時点でリミットだった。
涸沢小屋とヒュッテの分岐を小屋方面に取り、さっさと小屋に向かう。
小屋は到着する人が受付に列を作っている。平日でも紅葉見頃前でも混んでるようだ。
もたもた、ウロウロするオッちゃん達の後ろでジッと待つこと15分?ようやく二人の番に。
今日は2人で1枚の布団程度の混み具合と聞いてホッとする。
小屋には談話室がなく、食堂も封鎖されている為、夕食まで時間を潰す場所は
小屋が併設しているレストランか外のテラス席のみ。
地形の関係でとっくに日が落ちている涸沢、外のテラスで過ごすには着込まなければならない。
すっかりそういう装備を仕舞い込んだ二人には外は無理。室内のレストランは混んでいて席がない。
仕方なく、涸沢ヒュッテに向かう。一応はヒュッテからの風景も見たかったし。
ヒュッテのテラスで期待するのは「おでん」東海ローカルのNHKでも紹介されていた。
時間も時間だけに、とやや期待してなかったけど、残っているおでんの種は
「ちくわとジャガイモです!」とヒュッテの若きスタッフさんに爽やかに言われてしまう。
それでもそのちくわとジャガイモで無理矢理乾杯する(笑)
寒くてすぐにおでんが冷えたのは言うまでもありません。
部屋に入って寝るにあたって、一つ問題が。
隣になってしまった若いカップル、男の方がかなり神経質な感じ。
オッサンがいない間に、ga-koさんに二人とうちらの境界線を確認してきた模様。
若い癖に(なんて言うようになったんだな俺も)早い時間から布団でたじろぎもしない。
きっちり境界線ギリギリまで体を置いて寝ている横に、邪魔しないように横になるのには気を遣う。
就寝時間となり、隣の男に体が当たらない様にオッサンはga-koさん側に体を寄せていたが
なんと境界線確認男は、その境界線を越えて体を寄せてくるではないか!!
熟睡するga-koさんと境界線男の狭間で固まるオッサン、こんな辛い状況は久しぶりだ。
思い切って布団を出て誰もいないレストランに行き、テラスにも出たりする。
星は綺麗だがそこで過ごせる程の室温気温は高くない。
仕方なしに布団に戻ると、領海侵犯男、しっかり自陣に帰っていてくれた。
後で聞いたところによると、ga-koさんがこいつを追い出してくれていたそうだ(笑)
お陰で綺麗に空いたスペースで快適に朝まで過ごすことができた。
(10月4日火曜日)
涸沢カール内に朝日が差す・・・モルゲン何とかを見てみたい。
そんな程度で特に起きて外に向かう時間を決めていなかったが
5時半からの朝食を終えて小屋のテラスに出てみると
ちょうど涸沢岳の上部がオレンジ色に!!写真で見るより穏やかだった。
小屋からカール方面に散歩に出かける。写真何枚取ったかな。
ま、一晩で大きく紅葉が進むことはないだろうけど、何となく鮮やかな気もした。
上高地への下山路は当初の計画通り、パノラマ新道・徳沢ルート。
新道に乗ってからもちっともペースが上がらない。
だって振り向くとまさに「パノラマ」ここでもたくさん写真を撮る。
昭文社山地図では下山路に使われる、と書いてあったが
屏風のコルから涸沢に向かう方が振り向かずともいいし、登りルートも悪くない気がする。
道自体は横尾からの道に比べれば確かに「初心者向き」ではないが
凍結していた箇所があることを除けば一般登山道としては普通だと思う。
鎖やハシゴ・岩場もガレ沢トラバースも、かえってエスプリになる。
ま、凍結が厳しくなるとそうも言っていられないだろうけど。
屏風のコルに至る道、涸沢方面からは一度尾根を乗越ことになるが
この乗越した地点は展望の場。富士山が見えてga-koさんのテンションが回復。
居合わせたグループも感激していた。オッサンは見慣れてしまって・・・
コルまで降りるとザックが点々としている。やはりデポして屏風の耳に上がる人が多いようだ。
時間的には我々も余裕がある、サブザックいっちょで耳に向かう。
道はちょっとアスレチックで楽しい道。何より荷物が軽いから楽ちん。
岩が堆積するピークに立てば、今回の山行中最高の眺め。
左から前穂→吊尾根→奥穂→穂高岳山荘、その下にザイテングラード。
涸沢岳、その下に涸沢カール、北穂双耳峰、北穂小屋→大キレット→槍
北アルプスのオールスター級が勢揃い。
パノラマ新道、下山にでも何でもいいから是非使うのをお勧めします。
コルに戻り、あとは徳沢まで降りるだけ。だけ、と言ってもこの道が結構厄介。
岩がゴロゴロする道で歩きにくい道。下りが苦手な人にはかなり堪えるはず。
そしてここを登りにするのは結構辛い気がする。
屏風の耳の展望を楽しむだけなら涸沢から往復する方がいいと思った。
足首がグラグラな自分には気を抜けない下りとなった。
しかしそこは下り番長な二人。コースタイムは大きく短縮、徳沢に降りる。
徳沢に入って昼食休憩のつもりでいたが、冗談で言っていたことがほぼその通りになったのには驚いた。
オッサン「徳沢で食堂入ったら、本日団体様貸し切りとかだったりして」
果たして入ってみると貸し切りではないが、団体客がどーんといて予約席のプレートが。
そしてその団体客の注文裁くのに必死なスタッフさん、放置される我々二人・・・
ようやく空きテーブルを見つけて一息していると、団体客で後から来たのが無遠慮に相席を求めてくる。
情けなくなる展開だったが、気を取り直して生ビールで乾杯(笑)
さっと食べて上高地に向かう。
あとは林道を歩くだけ、歩く速度は速いけど気持ちはゆったり。
少しあるアップダウンには心が折れそうになったけど。
いよいよゴール、河童橋からは例のパノラマが広がっていた。
4日間の山行の締めくくりには最高のご褒美だった。
沢渡行きのバスに乗り、懐かしいマイカーに。お疲れ様でした。
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