【過去レコ】キリマンジャロ/頂上稜線で酸素の薄さを実感
- GPS
- 128:00
- 距離
- 64.1km
- 登り
- 4,003m
- 下り
- 4,003m
コースタイム
1日目(8月25日)
マラングゲート(登山口)12:10−マンダラハット着15:30
2日目(8月26日)
出発8:20−ホロンボハット着13:35
3日目(8月27日)
出発8:40−東溶岩台地(標高4300m)10:55〜11;25−同小屋着12:25
4日目(8月28日)
出発8:00−Last Water Point 9:15〜9:35−キボハット着12:30−同小屋発13:10−4950m地点13:40〜13:50−同小屋着14:05
5日目(8月29日)
出発0:15−ハンス・メイヤーズ・ケープ2:15〜2:25−ギルマンズポイント(標高5685m)4:40〜4:50−ウフルピーク(標高5895m)6:50〜7:15−ギルマンズポイント8:20−ハンス・メイヤーズ・ケープ8:45〜9:10−キボハット着10:05−ホロンボハット着13:00
6日目(8月30日)
出発7:50−マンダラハット11:15〜11:35−マラングゲート14:05
天候 | 連日晴れ一時曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
飛行機
|
コース状況/ 危険箇所等 |
写真説明と感想欄に記載 |
写真
感想
今から14年前の2006年8月29日、アフリカ大陸の最高峰であるキリマンジャロ(5895m)に登った。山専門の旅行社が主催するキリマンジャロ登頂ツアーに参加しての登山である。
登山日程は6日間であるが、入山前と下山後にサファリが付くので、8月22日〜9月3日の13日間の日程であった。
このツアーには山仲間で2年後輩のT君と一緒に申し込んだ。参加者は11名。その半数以上はリタイア組で、70歳を最高齢者に当時63歳の私は3番目の年寄り。平均年齢は60歳を越えるシルバー登山隊である。女性も3名参加していた。さらに、ツアー・リーダーとしてプロの山岳ガイドが同行した。
以上の日本人12名に対して現地で組まれたパーティは、現地ガイド8名、ポーター24名、コック3名の大所帯。我々は僅かな荷物を背負うだけの大名旅行を満喫できた。
入山5日目の8月29日が山頂アタック。前日までの様子は写真で説明した通り。
29日は深夜0時15分に出発。赤道直下といえども寒い。防寒具を着込み、オーバーズボン、オーバー手袋を着用する。
今までの硬い路面はウィリアムスポイント下の岩舎あたりで終わり、細かい砂礫の中に靴がもぐるザラザラ道に変わる。周りは真っ暗、自分のヘッドランプで足元を照らすが、この明かりでは立体感に乏しく、不安定で歩きにくい。その上、傾斜も次第に増してきて皆黙々と歩く。2時間ほどでハンスメイヤーズケイブに着く。大きな岩小屋だ。ここまで500m近く登ったが、頂上稜線までのまだ半分だ。寒くなって来たので、さらにダウンを着込む。
ここから上は砂礫の広大な急斜面。30度は越えているだろうか。ルートはジグザグに切られているが、富士山の下山ルートになっている砂走りを逆に登っていくようなもの。蟻地獄を這い上がっていく感じで、非常に歩きにくい。落石の危険があるから、と言う事で休憩なしで登り続ける。疲労が募る。ひたすら上へ上へ。やっと岩混じりの登山道になると、間もなく頂上稜線の一角であるギルマンズポイント(5685m)に着く。小屋から4時間半かかった。
ここは、富士山で言えば富士吉田から登ってきて吉田口の頂上に着いたようなものだ。そこから降りたとしても富士山に登ったと言えるのと同様に、このギルマンズポイントに着けば登頂証明書は貰える。しかし、富士山でもお鉢を半周して剣が峰まで行かないと、日本最高地点に登ったことにはならない。同様に、この先、頂上稜線を2kmほど歩き、あと210m登らないと最高峰のウフルピークには達しない。
ギルマンズポイントは今回のツアーのチェックポイントでもある。小屋からここまでの所要時間が6時間以上かかったら、ここで降りなければならない。しかし4時間半で来たのだから、ここでゆっくり休憩を取るのかと期待したら、10分も休まずに出発。ポレポレ(ゆっくりゆっくり)とは口先だけか。やれやれ。
この先は外輪山を形成している頂上稜線を辿る。今までの急斜面と違ってなだらかだ。右手に巨大なカルデラを見ながら(と言ってもまだ真っ暗で、何も見えないが)、岩場や砂礫が交互に現れ、緩やかにアップダウンを繰り返しながら次第に高度を上げる。道は良く踏み固められて歩きやすい。夜が明けて次第に明るくなり、足元を確認できることも助かる。
しかし高度がある。すでに5700mを越えているので息苦しい。肺が張り裂けんばかりに深呼吸して一生懸命空気を取り込んでも、どれだけ酸素が吸収されていることやら。ここは海岸地の半分の酸素量しかない。
私の場合、肺活量は4800cc程あるが、体質的に酸素吸収能力が弱いらしい。毎朝晩、全員がパルスオキシメータで血中酸素濃度を測っているが、70歳の最高齢者と私でいつも最下位を争っていた。
今朝は64%で今までの最低であった。ちょっとした登りにも息切れが激しい。十数歩行っては立ち止まって数回深呼吸。これの繰り返し。次第に皆から遅れてきた。仲間のT君はいつも90%台でトップレベルの血中酸素濃度。今朝は少し下がったと言っていたが、それでも89%だけに余裕だ。でも義理堅く私に付き添う。
頂上直下のさほど急でもない登り、低地ならばわずか4,5分でいける100mほどの距離を、どれだけ時間がかかったことやら。
トップ集団から遅れること20分、下山する彼らとすれ違いでやっと5895mのウフルピークに着いた。ギルマンズポイントから2時間もかかった。
5人のトップ集団に同行していたチーフガイドが我々とすれ違って下山する時、写真を取ったら直ぐ下山するように、と我々に向かって叫んでいた。我々2人にも現地ガイドが2人付き添っているが、彼らもまた我々をせかす。
でも、まだ午前7時前、急ぐことはない、ポレポレだ。頂上から少し下がった風陰で休憩し、日本では山頂に着いたら恒例としている羊羹を食べて登頂を祝う。さらに煙草を一服。でも、やはり酸素が少ないせいか、煙草はまずかった。
山頂の風景やその後の下山時の様子は写真の説明通り。
今回ウフルピークまで登ったのは11名中7名、ギルマンズポイントからウフルピークの途中までが2名、ギルマンズポイントまで登れずに下山したのが2名であった。このツアーは成績良好な方で、一般にはギルマンズポイントまでが8〜9割、ウフルピークは5割らしい。
私が山登りに熱中した昭和30年代に、海外の山に登るなどは夢のまた夢であった。それが今では旅行社が主催するツアーを利用すれば、誰でも気楽に海外の山を楽しむことができるようになった。隔世の感である。
標高5000mを越える高山で、今回のキリマンジャロのように、高度の登山技術は不要で、ただひたすら歩けば登頂できるツアーは結構多い。この場合、それなりの体力があれば、誰でも頂上に立てるチャンスはある。後は、高度順応できるかどうかで決まる。
出発の1ヶ月前に富士山に登り、お鉢の脇にツエルトを張って1泊、22時間滞在して高度順応を試みた。それでも、キリマンジャロの頂上稜線では無様であった。酸素が薄いと、あんなに体が動かなくなるとは!
高所に順応できるかどうかは現地に行ってみなければ分らないのかしら?でも、富士山で少しは高所に慣らしたから登れたのだ、と考えて、良しとしよう。
(2020年05月19日登録)
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