【最後に追記あり】鳥海山 西鳥海馬蹄形カルデラを横断しました(千畳ヶ原ですよ)
- GPS
- 07:08
- 距離
- 11.8km
- 登り
- 1,120m
- 下り
- 1,092m
コースタイム
9:15滝の小屋
(5分休憩)
10:00河原宿小屋
(薊坂手前で5分休憩)
12:17伏拝岳
13:12七五三掛
13:29御田ヶ原分岐
13:44鳥海湖下分岐
13:59蛇石流分岐
14:10T字分岐
(10分休憩)
15:03月山森下
15:14河原宿
16:00滝の小屋
16:10車道終点
約7時間歩いた――――
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
山と高原地図で見た限りではごく普通の一般ルートに見えましたが、千畳ヶ原から月山森に登り返す幸次郎沢は巨石連続の急登で、少なくとも100mは登ります。ずっと腕も使って登るので、逆方向は怖いと思います。 |
写真
感想
【目的】
1、とりあえずゆるく歩く
2、きれいだよって噂の千畳ヶ原を見る
【方法】
早起きしない
普段の生活に響かない
朝ごはん晩御飯を普通に家で食べる
でも秋ならではの美しい景色に出会いたい
そんな願いをかなえるコースはどこだろう。
噂の千畳ヶ原、複数の人たちのおすすめがあった。県外からも多く訪れるらしい。
ではそこに行ってみよう。どこから入ってどのルートを取れば楽かな〜地図とにらめっこ。湯ノ台→河原宿→伏拝岳→御田ヶ原→月山森→河原宿→湯ノ台と、頂上目指さなかったら時間もかからず行けるんじゃないか。そう仮定した。
試しにコースタイムを計算…約8時間 距離は11kmくらい。
初めに計算したはずなのになぜか8時間を6時間と勘違いしたまま、7時半に家を出て9時きっかりに登り始めた。(今回1番目のミス)
【経過】
<登山口〜河原宿>
この日は平日で誰もいなかった。しかも自分9時出発で一番遅かったが、頂上まで行かないから遅くてもいいやってのんきに歩き始めた。前日までも当日も好天続きで沢にも滝にも水がほとんど流れていなかった。ゆえに苦手な沢の音は全く聞こえなかった。少しの雲があったが庄内平野も日本海も月山もすべて見渡せる。前回来た時はガスで何も見えなかったのに比べるととても歩きやすい日。どちらかと言うと月山から東の方は雲で覆われていたように見えた。
<河原宿〜伏拝岳>
雪渓がだいぶ小さくなっていた。約2週間前に来た時よりもずいぶん小さくなっている。上部の雪渓はスノーブリッジになっていてすでに上を歩けない状態であった。黄色ペンキの道しるべは雪渓渡りとそうでないルートの2種類あるようだ。ガスのある時などは十分注意されたい。薊坂の手前で5分だけ休憩を取る。
<伏拝岳〜御田ヶ原分岐>
これまで数回歩いたルート。千蛇谷を見下ろす外輪のルートは本当に気持ちがいい。ここまで来ると秋田県のにかほ方面もよく見えるようになる。七五三掛までは片側が切れている箇所もあるので注意されたい。
<御田ヶ原〜T字分岐>
ここは自分にとって初めての道である。どんな景色が待っているかドキドキ。道はよく整備されているし東の方向のなだらかな斜面も黄色く色づいてきれい。左に目をやると七高山まで見えるかっこよさ。今この道を歩いているのは自分だけ。この広い世界に人類は自分一人なんだ。そう思うだけでまた気持ちいい。やや急斜面もあるが特に危険ではない。T字分岐の標識はベンチのよう。ここで昼食にするか?でも残り時間を計算すると結構とんでもないことに気付き、まずは歩くことにした。10分だけ休憩。
<T字分岐〜月山森〜河原宿>
初めは傾斜のない木道。ずっと絵葉書の景色が続く。しかし…その先に月山森までの登り返しがある事は地図上で認識していた。しかし、地図に示されていた幸次郎沢の注意書き「大きな岩の連続」これについてはあまりイメージできていなかった。気持ちのいい木道の先に一筋の岩の急斜面が見える。まるで壁だ。あれが幸次郎沢か。100m以上の登り返し。楽しいお散歩の最後にあのような試練が待っているとは…想像できなかった自分の認識力の甘さを反省する。
幸次郎沢は、私にとっては壁でした。沢とはいうもののこの日は水が流れていなくて命拾いした。両手を使った登り。背丈よりも大きい岩を乗り越える。これ登りだからまだいいけど、下りはヤバいでしょ。私は無理だ。どの岩を乗り越えるか観察し考えながら登る。足場もしっかりしているし、まあ私でも乗り越えられたので一般的に特に危険ではないと思いますが、雨が降ったらここ通っちゃダメ。あと、私は絶対に下る事はないな。はい、はっきり言って怖かったです。
月山森から河原宿はほとんど起伏のない木道が多い。草地の向こうに河原宿小屋が見えた時はほっとしたよ、すでに16時に近づいていた。
<河原宿〜登山口>
河原宿でも休憩しなかった。とにかく早く下山したかった。ご飯食べていない。河原宿から先、とぼとぼ歩きになった。スピードには乗れなかった。休憩と食事は大事だね。でも早く車にたどり着きたかったんだ。そしてめでたく16:10には下山。ダメだよ、こんなの、日没まではまだ時間はあったがこんな時間はないよな…大大反省。
【結果】
1、全然ゆるくなかったです。時間の把握ミスに途中気づき、結果休憩時間を削って歩き続けました。上記のルートはコースタイムで約8時間。休憩も入れるとなると9時出発では遅すぎでした。
2、秋色の千畳ヶ原はまるで絵ハガキ!何度も写真を取ったけれど両目で見る大パノラマには到底かなわない。これはすごい!お勧めの場所ですよ。
【その他…いつものこだわり地質云々、特に鳥海火山の事だと鼻息荒い私…】
薊坂を登っていて、ふと振り返った。千畳ヶ原が見渡せた。すげーーー!これすごいよ。広くてなだらかな草の斜面。そこを横切る木道もキラキラ光り、鼻歌交じりで歩けそうな雰囲気。西の方にはまるい鍋森、笙ヶ岳、東の方には月山森。。。すばらしいな〜なんて感慨にふけっていたが…
ハッと気付いた。これって西鳥海の馬蹄形カルデラじゃないか。
高校の時から地質図であきるほど見ていた。(高校の時はむしろ東鳥海の馬蹄形カルデラに注目していたが…)登山地図を何度も見ているし、鳥海の地形地質はよく知っているつもりだったのに、こ両者をリンクさせて想像することができていなかった。実際に地形を見て気付くと言う…平面の地図を頭の中で立体化することがとても不十分だったことと同時に、慣れ親しんでいた鳥海の火山地形と合わせられなかった自分を悔やむ。
鳥海山は大きく分けると西鳥海と東鳥海に分けられる。西鳥海の方が古い火山活動でできた山体。西鳥海は鳥海湖や鍋森を含み、その溶岩流は吹浦の海まで続く。馬蹄形カルデラは鳥海湖のあたりを頂点にして南西方向に口をあける山体崩壊のあとだ。東鳥海は東半分の最も高いところを含む部分で、東鳥海の馬蹄形カルデラは新山や七高山のあたりを頂点にして北西方向に口をあけている山体崩壊のあと。東鳥海の山体崩壊は約2600年前。その岩屑は現にかほ市の平野にまで達し、岩屑堆積物が小丘になって点在している事が有名。(ほら、田んぼに浮かぶ沢山の島のように点在するあの小山ですよー松尾芭蕉の時代はあの田んぼは全部海で、ホントに島だった。)
それにしても鳥海山凄すぎ。何がすごいってその規模です。東北では2番目の高さの山ですが、火山の規模としては1番目の山よりも大きい。奥羽山脈など脊梁山脈に位置する火山はもともと基盤としてある程度の高さにあるところに溶岩噴出でその高さ(海抜)になっているが、鳥海山は海の近く、海抜0からの溶岩噴出なのです。日本海にまで達している溶岩流、これはすごい量なのですよ。(そういう意味では海底火山からのスタートである三原山なんかもすごいですよね。)
てことで、馬蹄形カルデラの事を意識しないで歩き始めた自分。よく考えればカルデラだから滑落崖を下りて登り返すのは当たり前で、幸次郎沢に現地でビビるってのもおかしなことで、そもそも鳥海火山の地学的なことについては結構認識はあったはずなのに、登山地図上でそれを生かせなかった。大大大反省。。。
【追記】
火山としての鳥海の歴史に関心のある方、以下の文献もご覧ください。古くから山をやっている方ならどこかで見たことのある内容かもしれませんが…
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/93_06_01.pdf
こちらのページは別サイトでつながりのある地質学に非常に明るい方から教えていただきました。
うーん、自分やっぱり知らない事ばかり、目から鱗です。人とのつながりが一筋の光になることも大いにあるのですね〜
何かといろいろサイトを巡っているうちに、1992年くらいに発行された5万分の1地質図「吹浦・鳥海山」があると知り、思わず地図購入サイトでポチっとしてしまいました。もう間もなく届くころと思います^^ 閲覧サービスによりネットでも見れますが、やはりこれまで十分に聞くことのなかった情報がそこにはぎっしり詰まっていました。
自分が大昔恩師に借りた地質図は、現鶴岡市の旧櫛引町が「櫛引村」と記載されていてその古さにびっくり。時代とともに地名も変化しますが研究成果の積み重ねによりそこに記載されている地名以外の内容にも変化があるでしょう。真実は一つかもしれませんが、人間はその真実にはまだたどり着いていません。過去を調べる科学も進歩し変わっていくんです。
なーーーんちゃって、もうこういうのやめます。鼻につきますね^^;
次は普通のレコにしますよー、山に行けたらね^^
Kimberliteさん こんばんは!
念願の千畳ヶ原を満喫されましたね
しかも幸次郎沢も
草紅葉の千畳ヶ原、素晴らしいです
自分は千畳ヶ原から望む笙ヶ岳が大好きですね(´∀`)
誰もいない静かな鳥海山をのんびり過ごす
時間が有れば尚、満喫出来ると思います
東鳥海と西鳥海、それぞれに趣きが異なり
全てを知り尽くすにはもっと通わなければなりませんね(^-^)/
素晴らしいです。
あの草原の中で風に吹かれたい気分になります。
二つの馬蹄形カルデラ、海からせり上がる火山等の地形の解説
とても勉強になります。
鳥海山は仰る通り、素晴らしい山ですね。
そしてD-Metalさんのように
通い続けてもっと他のルートから登らなくては鳥海山の懐に入って行けませんね
幸次郎沢…いつか行ってみたい。
私は自分を励ます魔法の言葉に
“常念岳〜蝶ヶ岳の歩き”を囁いております
kimberliteさん、初めまして。
おじゃまさせていただきます。(^^)
楽しく拝見させていただきました。
お一人でものんびり景色を楽しめるのは、
気持ちの余裕でしょうか。
私も見習えるといいのですが。。。
地質のお話、目からウロコの話ばかりで、
興味深く拝読させていただきました。
フムフム、中々面白いものですね。
あ〜、また歩きたくなりました〜。(^o^)/
絵葉書のようなステキな風景、堪能させていただきました
実際に目で見るのとは全然違うというのは、重々承知していますから、それも込みで楽しみましたよ
それにしても、kimberliteさんのカメラ、気になります (詳細情報はないので…)
発色がいいですよね
私もどちらかというと理科ヲタなところがあり、一番は星なんですが、高校時代地学が大好きでした。
地質というか、地形は、地学の中では苦手分野でしたが…
でも、そうやって考えると、山が楽しくなりますね
よくD-Metalさんのレコで拝見していたルートでした。他にも県外の方や会の先輩方もお勧めのルートと言うことで、歩いてみたいなーとおぼろげに思っていたのでした。
単純にCTと距離を計算し、結構大丈夫かもって安易に9時から歩き始めましたが、結構とんでもないことになってしまいました。
自分なりのイメージを持ち、初めて出会う景色にしたかったので、ごめんなさい、D-Metalさんのレコも他の方のレコも全く見ないままに出発しました。そしたら、幸次郎沢でビビってしまい、あとは恥ずかしながら上記のとおりです。
調べれば調べるほど鳥海山は奥が深い。(どの山でもそれは一緒ですが)知らない事がまだまだ多すぎます。私は歩きつくすと言うより、資料を見ての考察にすぎないので得るものもそれなりです。(自己紹介に書いた)自分が尊敬する方のように沢と言う沢を歩くくらいの体力はもちろん、根性も能力も持ち合わせていません^^;残念
D-Metalさんの更なる進化した鳥海山レコを楽しみにしております
常念〜蝶はきつかったですよね〜
ほんときつかった。特に常念の上り下り!!!あんなに切ない山登りはこれまで未経験でしたので、自分を励ます魔法の言葉にやっぱり常念が出てきますよ。
常念岳、あれを思えば薊坂なんてちょろいもんさ!なんて強がってはみても、やっぱり薊坂もきついです^^;
二つの馬蹄形カルデラのことである可能性について指摘されて、冷静に考えればそれは当たり前なのですが、両社とも山頂付近からの崩落なんです。新しいのは約2600年前に崩落したとされていますので、それより前には今よりもずっと高い山だった。もしかしたら3000m近かった?と想像するだけでまたワクワクしてしまいます。
はじめまして(^O^)/
自称ナンチャッテ地質屋のkimberliteです。(ナンチャッテと言うところがみそです)
私の好きな山は鳥海山に限ったものではありませんが、やはり小さいころからよく眺めていた山、そして地学を始めてからはフィールドとなった山域です。
山にはいろんな地形があり植生があり、それを地質学の面から理由を考えてみると物凄く面白い。歩く前にその山域の地質や地形について予習したり復習したりと言うのがマイブームです。
一人でのんびり景色を楽しんでいたかと言われると、それはどうだったかな…今回に関してはあまり夕方にならないうちに早く下山したくて、昼食もとらず最低限の休憩だけで歩き続けましたので、自分としてはのんびり感はありません。写真だけは撮りましたが…計画段階からの失敗でした
はじめまして(^O^)/
理科ヲタ
なんて素敵な響きでしょう。
理科全般得意とは言い難いですが、好きですよー。
高校の時から地学やってました。このサイトにいらっしゃる方は高校の時から山岳部と言う方が多いと思いますが、私は山登りと言う点ではずっと初心者です^^;
地質から山を考察するのには物凄く関心がある。
岩質が違うと植生も変わります。そこに気候的要因が加わるとさらに複雑なことになります。
山には面白い地形がたくさんあります。
普段のレコや日記で、(ちょっと変わっているとは思いますが)地質に関連した内容を入れて掲載するようにしていますが、それが自分の勉強にもなっています。
山登りの知識に地質学の要素を加える、お勧めしたい事の一つです。
kimberliteさんの記録を拝見していて、今年は鳥海山に一回も行けてないなと思っていたところです
山形側からのルートは歩いたことが無いので、行ってみたいですね。
鳥海山の紅葉はあっという間に過ぎてすぐに雪になってしまいますね
こんばんは^^
鳥海山に行けてない、それは私も同じです。
山頂とうとう行けませんでした。今年の予定はもうなしです。
それはそうと…
笊森山付近の雪渓と突然の雨とガス、夏道見失いにビビって、6月以降秋田駒にも行けていない残念な自分もここにいます。
行く行く詐欺とでもいうのでしょうか、意気込みだけはありますが行動が追い付かない年でした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する