前穂高・北尾根〜明神岳主稜
- GPS
- 15:35
- 距離
- 22.1km
- 登り
- 1,806m
- 下り
- 1,807m
コースタイム
- 山行
- 8:15
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 9:50
- 山行
- 5:15
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 5:45
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
GW後半、遭難事故が相次いだみたい。
北尾根も僕が入る数時間前に滑落事故があったようでした。
僕は10時頃に涸沢を出て北尾根に向かったけど、
涸沢から見ていた方々には、ご心配をお掛けしたことと思います。
今回の山行目的は下記3点で、その為の記録です。
昨今の事故多発はSNS等の情報過多もあるかもしれません。
本稿も事故を煽ってしまうのではと懸念していますが、
今後の参考の為、アップさせて頂きます。
【目的】
1.冬期装備/クライミング装備での前穂高北尾根・明神主稜縦走。
(一泊二日予定)
2.前穂高山頂でのビバーク確認。
(シュラフ/イスカ630等の使用感)
3.融雪して水分補給する山行確認。
(ガスカートリッジ(小)の消費量確認)
《事前の水分計画》
入山前:アクエリアス2000ml確保
涸沢 :水分1000ml補給
5/6のコル:アクエリアス1500ml+水分1000ml確保
前穂高山頂:融雪して水分800ml〜1000ml補給
前穂高出発時(二日目):アクエリアス1000ml+水分1000ml確保
※略、予定通りの行動(前穂高山頂で800ml水分を作成)。
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5月4日 12:30 北尾根・絞にて。
1メートル程トラバースをしようと左足を出した。
その瞬間、右足が雪を踏み抜く。
ホールドをつかんでいた右手にぐっと力がかかる。
ひやりとした。
先週の疲れが残っているのか、
5/6のコル迄でかなり体力を消耗したのか、
この時点で予想外に疲労していた。
集中が少し足りないようだった。
己もやはり雪が腐っていた。
岩の氷結も明らかに弱くなっており、
5センチくらいのホールドでも
アイゼンを掛けると、ごそっと抜けることもあった。
一手一手、崩れないか確認して登攀する。
雪壁は踏み抜いて滑落してしまう危険もあったので
トレースを外して岩稜帯を登攀することもあった。
13:45 己に着く。
この調子だと、おそらく山頂には15時だ。
予想より遅れている。
友人が心配するかもしれない。
『四峰通過 雪が悪く手間取っています』
とLINEを入れた。
この時点でかなり疲労しており、
明らかにいつもより注意力が落ちていた。
景が間近に現れ、進むか躊躇ったが、
明日のことを考えると
ここ(3/4のコル)でビバークよりも
前穂高山頂でのビバークの方が良いと思った。
体力面を再検討する。
縦走系の体力は、かなり無くなっていたが、
クライミング系の瞬間的な力はまだ大丈夫であった。
景は簡単だがクライミング主体となる。
一歩一歩確実にいけば必ず抜けられるはずだ。
実際、景は緊張はしたが、
1ピッチ目にあたる側面登攀、
2ピッチ目のあたる氷結したルンゼ(階段状になっていた)、
最後の小ハングも特に問題なく安定して通過。
緊張を緩めてはいけないが、
頂上まで抜けられるなと思った。
ただ、
いつもなら殆ど気にならない曲登攀が長く感じられた。
曲の下降はクライムダウンで通過し、
最後の雪壁を登攀して前穂高山頂につく。
無事登頂のLINEを友人に入れ、やっと一息ついた。
クロスオーバードームを設営して暫し休む。
日の光が暖かい。
レーズンとチーズパンは疲労した体に優しく、美味しかった。
徐々に日は
奥穂高岳の稜線へと傾いていき、
焼岳と霞沢岳を紫色に染めていく。
空はさらに深くなり、槍穂高の稜線が夜空に浮かび上がった。
その変化を外に出てずっと眺め続けた。
夜は思っていたよりも寒くなかったが、
やはり結露が凄かった。
入り口をほぼ全開にして気温差をなくしたが、
クロスオーバードームは構造上、どうしても換気が悪いようだ。
まぁ、それも分かっていたことだ。
明日の縦走に備え、
満点の星空を暫し見ながら眠りについた。
明日は槍穂高連峰のモルゲンロートが楽しみだ。
Ps:翌日、予定通り明神主稜を行く。
雪は殆どなく、アイゼンなしで通過できた。
風は涼しく、晩秋のような気持ち良さがあった。
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【日程】
《5月3日》
9:00自宅出発➡15:00 平湯の森 16:00➡アカンダナ駐車場➡小梨平(泊)
《5月4日》
小梨平5:00➡7:00横尾➡9:40涸沢➡11:30 5/6のコル
➡14:50前穂高山頂(泊)
《5月5日》
前穂高山頂➡明神岳主稜➡明神岳南西尾根➡上高地
◎当初は5月4日 4:50発のアカンダナバスに乗車予定だったが、
乗車できない可能性を懸念し、小梨平で前泊。
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【ソロ対策】
・登山計画書:会社引き出しの中、車の中(ダッシュボード上)、登山口
・連絡:友人に要所要所で随時連絡
・ココヘリに登録済
【ソロリードについて】
・支点がしっかりしていないと意味が無い。
この為、基本的にはノーザイルで通過予定。
ザイル可能性箇所は以下である。
前穂高岳4峰:大岩を上高地側に巻いた後、直上する箇所
前穂高岳3峰:1ピッチ目、2ピッチ目(大チムニー)
2峰へのクライムダウン
明神岳:2峰
・ザイルは7.1ミリ ダブルロープをシングル方式で計画。
この径では通常使用しているグリグリの適用外の為、
ルベルソを使用(事前に確保可能は確認済)。
ロールンロックも7.1ミリザイルでは適用外。
(事前に確保可能は確認済)
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【衣類装備】
上:厚手ベースレイヤ-(ノースフェイス)
R1フーディー(パタゴニア;サイズS)
ナノエアフーディ-(パタゴニア;サイズS)
ストーム10ジャケット(パタゴニア;サイズS)
ダウン
下:厚手ベースレイヤー(ノースフェイス)
ガルヴァナイズドパンツ(パタゴニア;サイズS)
ナノエアパンツ(パタゴニア;サイズS)
厚手靴下
手袋:アウター(ブラックダイヤモンド/ソロイスト)
薄手ドライフット(ファイントラック)
薄手手袋
予備手袋(ソロイスト/ブラックダイヤモンド)
◎今年のGW中は気温が高く、上記装備で問題なかった。
特に行動中は暑く、厚手ベースレイヤーのみで行動
◎手袋に関しても全工程で
「アウター」+「薄手ドライフィット」+「薄手手袋」で問題なし。
【登攀装備】
ザイル(7.1ミリ・60メートル;エーデルリッド/スキマープロドライ)
ハーネス(ブルーアイス/コーカスプロ)、チェストハーネス(自作)
ルベルソ×2+管付カラビナ×2、ロールンロック+カラビナ
アルパインヌンチャク(60僉2、120僉2、180cm×1)、PAS
アックス(BD/ベノムLT×2)、アックスホルダー
アイゼン(ペツル/バサック)、登山靴(スカルパ・ファントムテック)
ヘルメット、ストック(BD・ディスタンスカーボンZ)
【宿泊装備】
シュラフ(イスカ/エア630)
シュラフカバ-(イスカ/ウルトラライトシュラフカバー)
マット(サーマレスト/ネオエアーXサーモ)
テントマット(薄手/100円ショップ)、銀マット(薄手/100円ショップ)
クロスオーバードーム(1人用)、ペグ(割り箸)
コッヘル、コップ、火器、ガスカートリッジ、スプーン、
コンタクトレンズ、メガネ、食料/水(下記)
ヘッドランプ、電池、テーピング、地図、コンパス、ライター、
リップ、ナイフ、トレペ、ウェットテッシュ、お金、腕時計(※7)
携帯充電器、登山靴用の袋、サングラス
◎前穂高就寝時は下記で特に問題なし(若干腰が寒いのみ)。
上:R1フーディー+ナノエアフーディー+ダウン
下:厚手ベースレイヤー+ナノエアパンツ
寝具:イスカ/エア630+ウルトラライトシュラフカバー
+サーマレスト/ネオエアXサーモ
◎ガスカートリッジ使用量:38g(212g→174g)
(300ml×5回沸騰+融雪して800mlの沸騰水作成)
【摂取量(食料/水分)】
1日目:アンパン(75kcal)×5、チーズパン(500kcal)、ソーセージ
レーズン少々、ドライカレー、レトルトカレー
アクエリアス1200ml+水分900ml
2日目:アップルパン(500kcal)、ソーセージ、レーズン少々
アクエリアス800ml+水分400ml
※上記以外に徳沢/涸沢でそれぞれ200ml程度水分摂取。
※他、アーモンド小魚、アメ×10ケ、紅茶/コーヒーパック×4を携帯。
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