ジャンダルムと大キレットを一日で【西穂-大喰縦走】
- GPS
- 26:47
- 距離
- 29.2km
- 登り
- 3,034m
- 下り
- 4,310m
コースタイム
- 山行
- 17:34
- 休憩
- 4:10
- 合計
- 21:44
天候 | 晴れのちガスのちにわか雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
はじめに、表題と山行内容に相違があるとの指摘が入るかもしれませんので、事前にお詫び申しあげます。
・西穂山荘に前泊しているため、1泊2日とも取れなくはない。→仮に上高地前泊なら許される?
・登山開始から下山までが一日(24時間)に収まっていない。→0泊2日の連続した一山行としてご容赦ください。
なお、日付が変わるタイミングで通過した地点が‘‘宿泊地’’と表記されていますが、実際には行動中です。
それでは本題ですが、本山行は当初「ワンデイ穂高全山」として、一日のうちに前西奥北すべての穂高岳山頂を踏み、新穂高に下山するというコンセプトで計画しました。
しかしながら、気持ちが高ぶっていたせいか西穂山荘での前泊において一睡もできなかったため、とりあえず奥穂高までいき、元気なら前穂高をカットした上で続行、体調が悪ければ下山というプランに変更しました。
穂高山荘でもまだ余力があったので続行したのですが、休憩時にヘルメットを脱いで山荘手前の広場に置いたまま涸沢岳に登ってしまい、慌てて取りに戻って再び涸沢岳に登ったタイミングでバテてしまいました。
南岳以降は難易度が高くないこと、下山で使用する飛騨沢ルートは何度も歩いていることから、明るいうちに南岳山荘に着いていれば良く、残りはヘッデン行動で何とかしようと開き直り、その後は牛歩の如き速度で進みました。
※有事の際に対応をお願いすることになるであろう人には、事前に深夜下山になることを伝え、また現在地を山レコGPSで共有しています。
とはいえこの時点でも24時頃には下山できるだろうと考えており、最終的に5時下山になるとは想像だにしていませんでしたが。
【西穂山荘〜西穂高岳】
以前登頂したことがあり、その時はガスで真っ白。今回は真っ暗で、結局どんな風景が見られるのか何も分からないまま通過した。
【西穂高岳〜天狗のコル】
じゃない方の間ノ岳や逆走スラブがある。夜明け前ではあったが、ようやく山様が分かるほど明るくなっており、間ノ岳の手抜き感にはガクッときた。
【天狗のコル〜ジャンダルム】
二年前に天狗の沢を詰め上げてコルから稜線に乗り、涸沢カールまで縦走した経験があるため、その反省を活かし、しっかり○印を見ながらルーファイを行った。前回は○印をよく見ずに登りやすい岩をホイホイ登った結果、崖っぷちに飛び出してすごすご引き返しという事象がよく発生したので、かなり時短になったかと思う。
また、前回はジャンがジャンだと分からずに、右からサクッと巻いてしまったが、今回はちゃんと左から回り込んで登頂した。
また、ありがたいことに誰かが落として失われてしまった天使ちゃん(私には魔女に見える)が、なんとこの日の朝、有志により再び設置された。これで三代目だそうですが、本当にありがとうございます。
早く着きすぎたら納品が間に合っていなかったかもしれないので、兎に角運が良かった。
【ジャンダルム〜穂高山荘】
ロバの耳(いまいちどこかピンと来ていないが)も馬の瀬も、二度目なのでそれほど怖いと感じなかった。
山荘ではC.C.レモンを購入し、脱いだヘルメットを一時置き去りにした。
【穂高山荘〜涸沢岳】
ヘルメット回収のため二往復したが、ルート状況が記憶にない。多分登りやすくて特記事項なし。
【涸沢岳〜北穂高岳】
さて、涸沢カールから望める奥穂高・涸沢岳ともにサクッと登れてしまうことから、北穂高岳も大したことないだろうと高を括っていたが、涸沢岳からアプローチする場合は相当難易度が上がることを身をもって実感した。
特に涸沢岳直下の垂直の鎖場は、妙義山で鍛えておいて良かったァと思える高度感。(GoProには収めたが、写真は取り忘れ)
【北穂高岳〜南岳】
大キレットについては、北穂高岳と鞍部の標高差だけだと350mと一見大したことがなさそうだが、北穂・南岳のどちらにアプローチするのも大変であり、更に序盤でほぼ垂直の急斜面を下降させ、終盤では細かいアップダウンを織り混ぜて消耗させにくる。
そして最後の踏ん張りポイント、南岳への登り返しについて、写真を見ていただくと分かるとおり、下部と中央と上部に縦割れの岩が横一列に並んでおり、また、真ん中辺りには岩窟のような窪みが確認できるため、石柱造りの秘密結社のアジトのように見える。
どこにルートが付いているのかさっぱり分からないし、ラスボス感ある見た目にすっかり圧倒された。
槍の南にあるから「南岳」。何とも地味でモブ扱いの命名方式だが、もっと他にあっただろ…と思いながら岩峰を突破するとそこには「丸山」という名前がしっくりくるようなまあるい丘が…。いや、お前が南岳かよ!
坊主頭の鼻垂れ小僧に西洋の甲冑を着させたかのようなチグハグ感を覚えた。
【南岳〜中岳〜大喰岳〜飛騨乗越】
南岳はゆる〜い登りで体力の消耗なし。助かる。そしてここからヘッデン行動開始。
中岳は積み重なった巨石を登る感じだが、ルートには○印が付いているのと、浮き石がほとんどなく安定しているので、大変登りやすい。
大喰岳はあまり記憶にないが、中岳ほど登り返しがなかったので、ありがたい。
上記三山の稜線に歩きについて、非常に緩やかで景色を楽しむ余裕をもって通行できるはずなので、是非いつか日中にリベンジしたい。
【飛騨乗越〜白出沢出会〜林道〜下山】
私は飛騨沢ルートを赦さない。
上部はゴロゴロ石が我が物顔で登山道上に溢れかえっており、体重を掛けようものなら受け身を取ってくる。当然私は転びそうになる。そんな区間が標高差800m分くらい続くのだ。
第一の地獄を越えたとて、第二の地獄が待っている。それが千丈沢乗越分岐と槍平小屋の中間で多少斜度が緩やかになってくるあたりである。
まず大量のゴロゴロ石はなくなった。だがしかし、体重を掛けると手のひら返しを繰り出すゴロ石は過疎りながらも存在を主張しており、邪悪さは健在である。
また、新たな敵として体重を掛けても動かないが、ツルッと滑って転がしにくる岩がみっちり登山道にひしめき合っている。
特に0:11から振りだした小雨により、岩表面の摩擦係数がより低いものとなっており、まさに鬼に金棒の様相であった。
下山を始めた21〜0時は斜度が急なこともあり、太ももの痛みと胃腸の調子悪さと寝不足による意識レベルの低下で本当に辛く、2分歩いて3分休むくらいの進行速度であった。
行動食はいっぱいあったが、胃が受け付ける対象はほとんどなく、朝から食べたのもカレーパン1個、おにぎり1個、シュウマイ1個、押し出しようかん1個、カロリーメイト1ブロック、たんぱく質ゼリー1個、クエン酸ゼリー1個、ベビースターラーメン丸1小袋だけであった。
一日動けたのは前日夜に食べた西穂山荘の夕食のお陰だが、下山を始めて下りラッシュになると体内の筋肉を分解してエネルギー産生を行っているのではと疑いたくなるくらい太もものが痛くなってきた。
しかし、槍平小屋手前あたりから、ログインボーナスで当日分のアドレナリンが付与されたかのごとく元気が沸いてきた。
具体的には立ち止まってヘタリ込んで休むことがなくなり、何かを食べられるわけではないが、お腹の気持ち悪さも消えた。
かといって雨で濡れた岩に対して特効薬はなくペースは上がらないが、各チェックポイントへの到着予想が具体的にイメージできるようになった。
最終的に下り始めてから7時間で下山完了となったが、前回トレラン並の軽装で日帰りした際は5時間掛かったことを踏まえると+2時間で下山はよく耐えた方だと思う。
ただ、何といってもヘッドライトでは数歩先までしか照らせず、憎たらしい石たちの永遠に変わらない光景を目前にひたすら足を動かす7時間は、拷問に応用できるのではと思えるくらい
大変な苦行であった。
冬期も含めて既に4回歩いた飛騨沢ルートだが、誘われない限り、いや仮に誘われてももう歩きたくないかな。
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