【令和最初の夏山特集~前編】奥穂高岳・西穂高岳縦走

HOME > ヤマレコのおすすめルート > 【令和最初の夏山特集~前編】奥穂高岳・西穂高岳縦走

ルートID: r1160 熟達 1泊2日槍・穂高・乗鞍令和最初の夏山特集~前編

【令和最初の夏山特集~前編】奥穂高岳・西穂高岳縦走
おくほたかだけ / にしほたかだけ

濃い緑山行に最も適した時期薄い緑山行に適した時期

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

11月

12月

国内でも屈指の難度をほこる一般縦走路をたどり、孤高の尖峰「ジャンダルム」から西穂高岳を目指します。
しっかりとした経験と、それに裏付けされた体力と技術が必要不可欠。
万全に装備を整え、しっかりと計画を立てて天候に恵まれた時、初めてスタートに立てるルートです。

※2019年07月01日更新

ルート長16km

登り標高差2101m

下り標高差1038m

行程概要: 新穂高登山指導センター(1090m) → 中崎山荘奥飛騨の湯(1090m) → 新穂高温泉駅(1117m) → 小鍋谷ゲート → 穂高平小屋(1320m) → 白出沢出合(1542m) → 重太郎橋 → 荷継小屋跡(2200m) → 穂高岳山荘(2983m) → 穂高岳(3190m) → 馬の背 → ロバの耳 → ジャンダルム(3163m) → コブ尾根ノ頭(3147.8m) → 畳岩尾根ノ頭(3067.7m) → 天狗のコル(2835m) → 天狗岩(2909m) → 逆層スラブ → 間天のコル(2845.2m) → 間ノ岳(2907m) → 赤岩岳 → P１(2890m) → 西穂高岳(2908.59m) → チャンピオンピーク４峰(2816m) → ピラミッドピーク(2750m) → 西穂独標(2701m) → 西穂丸山(2452m) → 西穂山荘(2385m) → 旧ボッカ道分岐(2135m) → 西穂高口(2156m)

地図／標高グラフ

【槍・穂高連峰】奥穂高岳・西穂高岳縦走の詳細解説

＼おすすめポイント／

難ルートを歩き通した時の達成感
国内でも有数の岩稜ルート
素晴らしい展望と胸のすくうような高度感
日本百名山

モデルプラン	1日目歩行時間:9時間新穂高温泉～穂高平小屋～白出沢出合～白出大滝～穂高岳山荘 2日目歩行時間:10時間穂高岳山荘～奥穂高岳～馬ノ背～ジャンダルム～天狗のコル～間ノ岳～西穂高岳～西穂独標～西穂山荘～西穂高口駅
登山計画書作成	《ヤマレコらくルート》 http://yamare.co/ndIB9u
山と高原地図	《ヤマプラ》 http://yamare.co/PaLiOX
計画書提出先	岐阜県警察本部または高山警察署地域課 ※登山口に登山計画書提出ポストあり。
宿泊	穂高岳山荘:090-7869-0045 https://www.hotakadakesanso.com/
交通	《松本方面から》 JR中央本線松本駅よりアルピコ交通バス（特急高山バスセンター行き：1,570円）にて平湯温泉バス停へ。平湯温泉バス停より濃飛バス（新穂高ロープウェイ行き：890円）にて新穂高ロープウェイバス停へ。《高山方面から》 JR高山本線高山駅より濃飛バス（新穂高ロープウェイ行き：2,160円）にて新穂高ロープウェイバス停へ。
駐車場	新穂高温泉・深山荘周辺に登山者専用無料駐車場あり。
アドバイス	雨天・悪天候時の行動は慎みたい。ヘルメット必携。両日とも行動時間が長いので早出を心掛けよう。白出沢の石切道周辺での転落・滑落に注意。奥穂～西穂間（馬ノ背・ロバの耳・ジャンダルム・逆層スラブ・間ノ岳周辺）は悪場の連続だ。転落や滑落・落石に十分注意したい。ルートの確認を怠らないこと。わずかなミスが致命的な事態を引き起こす。すれ違いの際に自己確保をするスリングがあると安心だ。
サブコース	逆コースも考えられるが充実度は時計回りの方が高い。
エスケープルート	天狗のコルから岳沢へ下ることが可能だが一部不明瞭。
入浴	《中崎山荘奥飛騨の湯》ロープウェイ新穂高温泉口駅からわずかな距離にある。宿泊・入浴・食事が可能だ。 https://goo.gl/maps/DqGqTec15Nr2Js3n9
おすすめ周辺情報	《中崎山荘》ここは食事の提供もしている。飛騨牛の朴葉味噌ステーキは下山後の英気を養うには最高の一品。 https://goo.gl/maps/DqGqTec15Nr2Js3n9 《リバー亭》各種定食やこだわりのカレーがいただける。特に飛騨牛のカツカレーは味わい深いコクが癖になる一品だ。 http://rivertei.com/ 《奈賀勢》ラーメンやカツ丼なども美味しいが名物の「てっちゃん」はこれを目的に訪れる人もいるほどの人気メニューだ。 https://goo.gl/maps/9uuZL4MX3vFiQmzg9 《うな亭》ふっくらとした美味い鰻重がいただける。持ち帰り可能な「うなぎむすび」もおすすめの一品だ。 http://j47.jp/unatei/ 《CAFE MUSTACHE》平湯温泉にあるカフェ。チーズオムライスなども美味しいがここのパフェは食べ応えがある人気の一品。 https://goo.gl/maps/hvvZ52wRUsBVNpkU7

【1日目】
新穂高温泉から登山を開始する。
自家用車の場合はここから10分ほど下方にある深山荘前の登山者専用市営駐車場を利用する。
ただし前夜から満車になる場合が多い。その場合には鍋平の駐車場に停めることになる。

新穂高登山指導センターで登山届を提出してから歩き始めよう。

新穂高温泉から右俣林道を進む。
白出沢出合まで約7kmほどの距離だ。

新穂高温泉から1時間弱で穂高平小屋に到着する。
夏期のみ営業だが早朝は閉まっていることが多い。水場とトイレあり。

右俣林道を2時間ほど歩くと白出沢出合となる。
奥穂高登山口の道標に従って樹林帯の登山道へと進む。

しばらくは針葉樹林帯の中を緩やかに登っていく。
道はよく整備されており歩きやすい。

奥穂高登山口から2時間ほどで白出沢と出合い沢床へと下る。

白出沢に架かる重太郎橋を通過し対岸へと渡る。
増水時には橋が流されることもあるので無理に渡ろうとしないこと。

対岸の長い梯子を登り石切道へと進む。
ここからしばらくは悪場が続くので転落や滑落・落石に十分注意したい。

白出沢の右岸に付けられた石切道を進む。
正面には涸沢岳や滝谷第4尾根などを望む。

石切道を終えると鉱石沢を渡り右手の草付きへと進む。
迷いやすいところなので道標やペンキ印を見落とさないようにしたい。
また最終水場となるが上方からの落石に注意すること。

鉱石沢から草付きを進み樹林帯を抜けると荷継沢を対岸へと渡る。

ここから白出沢本線の長い登りが始まる。
一部不明瞭な箇所もあるがペンキ印を追えば問題なく歩くことが可能だ。

通称「アビナイヨ岩」を通過する。
ここから穂高岳山荘まで130分の距離だ。

遥か上方に穂高岳山荘の石垣が見えるが中々近づかない。
この辺りは非常に苦しい登りが続く。

足元が石積みの階段になると間もなく穂高岳山荘に到着だ。

荷継沢から約4時間ほどで穂高岳山荘に到着する。
初日はここで宿泊となる。
夏の繁忙期は非常に混雑するので余裕があればシュラフを持参すると快適に過ごすことができる。

【2日目】
翌日は行程が長いので早出を心掛けよう。
奥穂高岳の山頂でヘッドランプが必要なくなる時間に到着したい。

穂高岳山荘から奥穂高岳へ向かう。
ご来光が目的の登山者で梯子が混雑するので様子を伺いながら歩き始めよう。

歩き初めてすぐに2段の梯子場となる。
ここは落ち着いて行動したい。

梯子場を終えると浅いルンゼ状の岩場から右手の斜面を登るようになる。

短い鎖場を登り小リッジを越えて進めば奥穂高岳の山頂に到着する。
国内で第3位の高峰だ。

奥穂高岳の山頂から赤く染まるジャンダルム。
右手には笠ヶ岳・奥には乗鞍岳や木曽御嶽山を望む。

奥穂山頂でヘルメットなどの身支度を整えて馬ノ背へと向かう。

馬ノ背は左右共に切れ落ちた高度感満点のナイフリッジを下っていく。

上から見て左側（南側）の方が足場が多く安定して下ることができる。

馬ノ背を終えると正面にロバの耳とジャンダルムを望む平坦地を通過する。

ここから更に岩場を下り奥穂高岳とロバの耳との鞍部へ向かう。
この下りは落石が多く危険なので常に気を配りながら行動したい。

下り切った鞍部からロバの耳への登りとなる。
鎖が設置されたスラブ状の岩場から右上して岩場の基部へと進む。

岩場の基部で突き当たるとロバの耳のトラバースルートとなる。
高度感のあるルートで鎖が設置されている。ここは慎重に進みたい。

ロバの耳を回り込むように進むとジャンダルムとの鞍部へと向かう。
傾斜の強い岩場なので足元をよく確認して下ろう。

岩場を下るとロバの耳とジャンダルムを繋ぐ痩せた尾根を進む。

正面に望むジャンダルムの威容。
一見すると登ることは不可能に思えるが裏側から比較的簡単に山頂へ立つことができる。

ジャンダルムの基部をトラバースする。
正面崩落跡の左側にルートがあるが取付かないこと。一部崩落によりホールドができて登りやすくなっているが内部が崩壊している恐れがある。「×」印があるという事は理由があってのことなのでルールは守りたいものだ。

西穂方面に基部をたどると右から回り込むようにしてジャンダルムへと登る。

裏手から回り込むように登るとジャンダルムの山頂に到着する。
奥穂高岳からたどってきた道と穂高岳山荘・槍ヶ岳方面を一望する。

ジャンダルムへの登路を戻り縦走路へと復帰。
正面に乗鞍岳・木曽御嶽山を見据えながら天狗のコルへと向かう。

程なくして急な岩稜の下りとなる。
安定した岩場だが浮石もあるので注意して下ろう。

コブ岩尾根から畳岩尾根ノ頭を通過するとガリー状の岩場を下る。
この辺りは飛騨側を進むが陽が当たらないので陰険な印象を受ける。

稜上に復帰すると天狗のコルへの急下降が始まる。
飛騨側に付けられた逆層気味の岩場を下っていく。

奥穂高岳より3時間前後で天狗のコルに到着する。
ここからは悪路だが岳沢へのエスケープルートがある。目安としては午前10時までにここを通過できていなければ岳沢へ下ったほうがよい。

天狗のコルからは傾斜の強い岩場を登って天狗ノ頭へ向かう。
なおこの辺りから西穂方面からのすれ違いが発生する。譲り合いの気持ちを持って行程を進めたい。

天狗のコルから急な岩場を登ると稜線上の岩稜歩きとなる。
一部鎖がない岩場もあるので慎重に行動しよう。

高度感満点の岩稜を進むと正面の天狗ノ頭が見えてくる。
左眼下に見えているのは焼岳だ。

天狗ノ頭への登りは脆い岩場が続く。
ホールドが剥がれないかどうか確認しながら進もう。

天狗ノ頭に到着。
背後には槍ヶ岳から双六岳・三俣蓮華岳・黒部五郎岳などを一望する。

天狗ノ頭からは悪名高き「逆層スラブ」の下りとなる。
滑り台のような岩場が続くが靴底のフリクション（摩擦）を最大限に生かして鎖を補助に下っていこう。

この岩場で西穂からの登山者とすれ違う確率は高い。
自己確保用のスリングを用意しておけば安心だ。

逆層スラブを下ると間ノ岳への登り返しとなる。
ここから間ノ岳-P1（赤石岳）の区間は岩が脆く道も不明瞭な箇所がある。
ひとつのミスが取り返しのつかない事態を引き起こすので慎重を重ねて行動しよう。

傾斜の強いフェイス状の鎖場を登る。
落石に要注意。

鎖場を登り飛騨側をわずかに進むと間ノ岳の山頂に到着する。
ここまで来ると西穂高岳がはっきりと目視できるようになる。

間ノ岳からはガレ場の下りとなる。
不明瞭な箇所もあり岳沢側へ引き込まれる事案も発生しているので注意が必要だ。

間ノ岳とP1（赤石岳）との鞍部はテラス状の岩場をトラバースする。

鞍部のトラバースを終えるとP1（赤石岳）への急な登りとなる。

P1（赤石岳）に到着。
ここまで来れば西穂高岳も指呼の距離だ。

P1（赤石岳）から緩く下ると西穂高岳への登りとなる。
痩せた尾根の信州側を進むと山頂へと至る。

奥穂高岳から6時間前後で西穂高岳の山頂に到着する。
国内最難関の縦走路もここで終わる。

西穂高岳から西穂山荘へ向かうがここも事故の多い箇所だ。
核心部を抜けても気を緩めないよう引き締めて行動しよう。

チャンピオンピークを越えてピラミッドピークへと向かう。
奥穂-西穂間に比べれば歩きやすい道が続く。

ピラミッドピークまで来るとここまで歩いてきた奥穂-西穂間の縦走路を仰ぎ見ることができる。

ピラミッドピークから急な下りとなる。
正面には多くの登山者で賑わう西穂独標が見える。

西穂高岳から1時間前後で多くの人が行き交う西穂独標に到着する。

西穂独標から最後の鎖場を下る。
ここを通過すれば主な岩場は終了だ。

正面に乗鞍岳・焼岳を見ながら穏やかな縦走路を緩やかに下っていく。

ハイマツ帯を下れば丸山に到着だ。
山頂と言うよりも尾根上の「肩」と呼べるところだ。

丸山から巨石の間を下ると西穂山荘に到着する。
時間に余裕があれば少し足を休めていくといいだろう。

西穂山荘から西穂ロープウェイの西穂高口駅までは1時間ほどの距離だ。
ロープウェイの終発は16時45分なので覚えておくこと。

西穂ロープウェイの西穂高口（千石平）に到着。
あとはこれに乗車して新穂高温泉に下るだけだ。

【入浴】
「中崎山荘奥飛騨の湯」は新穂高温泉口からわずかな距離にある。
宿泊・入浴・食事が可能だ。

【おすすめ周辺情報】
「中崎山荘」では食事の提供もしている。
飛騨牛の朴葉味噌ステーキは下山後の英気を養うには最高の一品。

【おすすめ周辺情報】
「リバー亭」では各種定食やこだわりのカレーがいただける。
特に飛騨牛のカツカレーは味わい深いコクが癖になる一品だ。

【おすすめ周辺情報】
「奈賀勢」はラーメンやカツ丼なども美味しいが名物の「てっちゃん」はこれを目的に訪れる人もいるほどの人気メニューだ。

【おすすめ周辺情報】
新平湯温泉街にある「うな亭」のうな重はふっくらとしていて美味い。
持ち帰り可能な「うなぎむすび」もおすすめの一品だ。

【おすすめ周辺情報】
「CAFE MUSTACHE」は平湯温泉にあるカフェ。
チーズオムライスなども美味しいがここのパフェは食べ応えがある人気の一品。

※上記の情報は記事更新日（2019年07月01日）時点の情報です。最新の情報については、出発前に現地の各関係機関にお問い合わせいただく事をおすすめします。

※本記事内にて各山域に生息する動植物の紹介を行う場合がありますが、自然保護区域への立ち入りや希少生物の採取・捕獲・譲渡・販売等は、法令により禁じられています。多くの方が自然を楽しみながら登山ができるよう、動植物の保護にもご協力ください。