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更新日:2015年07月04日 訪問者数:5537
ジャンル共通 山道具・装備
単独行の非常時を想定したヘッドランプの準備(初心者用)
非常時の想定ができるかどうかで山の危険性に対するセンスが分かる。
ヘッドランプ・雨具・食料の持参
真の闇の中、ビバークをすることになり、一人きりで悲惨な夜を過ごすことを想像すれば、「ヘッドランプ」の持参がいかに重要であるか理解できるはずである。

その昔、「どんな山でも、ヘッドランプ・雨具・食料は絶対に忘れるな!」と山の大先生から何度もしつこく我々は教えられた。この鉄則は習得した登山知識としては最も重要なものである。
この山の大鉄則を守らないとやがて死亡事故に結び付く。
どんな日帰りでもヘッドランプは必要
ヘッドランプを持参できないという理由はない。
ヘッドランプを持参しないということは登山者としての義務の放棄である。
どんな山でも、このことを理解していない初心者は考え方をあらためていただきたい。
「昼過ぎには下山できるじゃん」などと屁理屈をこねてはいけない。
初心者であってもなくても、「ヘッドランプ、雨具、食料」の大切さを盲信でもいいから覚えておいていただきたい。
それが命を救ってくれる。

山に行く時には「ヘッドランプから準備するクセ」をつけていただきたい。どんな山でも。
複数ならいいが単独だと致命的になる
複数で登山する場合は自分のヘッドランプがなくても後ろから足元に光を当ててもらって下山できるので「日帰りだし自分は忘れても大丈夫だな」とズルく考えていると山の神様は甘やかしてはくれない。それは仲間に対する裏切り行為でもある。
ともあれ、複数ならいいが単独だとヘッドランプ一つ無いだけで致命的な遭難になる場合がある。
余談になるが、有料の「日帰りツアー」にヘッドランプの記載がない場合はレベルの低い主催者だと思っていい。(ツアー会社は安全登山に対する啓蒙的な意味でもパンフレットにヘッドランプの持参を書いてほしいと思う)
ヘッドランプがない真の闇の恐怖
日が暮れて下山口まであと2時間もかかる場所でヘッドランプが無かったら?
残照、月明かり、雪明り…と、山の夕暮れは比較的明るい。
しかしながら、日暮れから1時間もたつと真の闇となる場合もある。
焦りが事故を呼ぶ
薄暗さの中で下り切るつもりなのか?
下山ルートに危険な場所はないか?
焦りが事故を呼ぶことは理解しているが…
…こんなに遅れてしまったと後悔してももはや遅い。
携帯電話の照明は使えるが・・・
携帯は長時間の照明には使えない。
万一遭難したら携帯の電池残量は極めて重要なものとなる。
携帯の照明を使って下り切るつもりなのか?
それとも携帯の照明を使ってビバークの準備をするのか?
それとも、携帯を使って救助要請をするつもりなのか?
(安易な救助要請は登山者の恥)
ビバークBivouacするかの判断
さらに暗くなってきて、自分の手先も見えない真の闇。
携帯電話も持っていない。
ビバーク(緊急露営)をしようかと考えても、ツェルトもないし、寝袋も勿論ない。そんな装備の無いビバークなんてやったことがない・・・という恐怖。
真の闇の恐怖、つまり、ヘッドランプ一つ無いだけで過酷なビバークをする羽目になることがある。
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非常時を想定した準備
非常時を想定して電池方向を分かりやすく書いておく
薄明りの中での電池交換を想定して、電池の方向を見やすくすることは大切である(参考:左の写真)。

ちなみに、電池方向を間違えると高い確率で故障の原因になる。
また、暗くなってから電池交換をしなくて済むように、日没1時間前にはヘッドランプの準備をしておくことは大切なことである。(家で点灯確認はしておく)
慣れていない道具は説明を書いておくとよい
最近の道具はコンパクトに出来ているので電池交換のために蓋を開けることだけでも分からない場合もある。
慣れていれば問題ないが、慣れていない場合は非常時を想定して見やすく書いておくことも必要である。
フラッシュ機能も覚えておく
個人的なことであるけれど、フラッシュ機能で救われたことがある(遭難じゃないけれど)。

ちなみに知識としては、
山での緊急信号:1分間に6回の光か音を出す。了解したことを示す答えは、1分間に3回の信号。
もっとも、「SOS」のモールス信号でもいい。

オマケとして、ヘリコプターに片手を振ると『着陸しないでけっこう。自分たちで何とか出来る』の意味。両手を上げると『助けて、着陸して」の意味。
単独であれば予備のヘッドランプが必要
単独登山でヘッドランプが一つだけだと、もしもそれが故障した場合は悲惨な状況に陥ることになる。
そのために、予備のヘッドランプの持参は必要である。
また当然のことであるが予備電池は必ず持参した方がよい。
予備は基本的に一つでよい
このようなことを書くと予備を二つ三つ持つ考えになる人がいるが、予備はあくまでも予備であるので、小型のヘッドランプ型の予備が一つあればよい。それ以上は重荷になってしまう。
ただし、危険箇所もなく慣れた山で早めの下山予定なら左のような小さな予備照明でもよいとも言える(軽量化の観点から)。
予備は1本入りが良いように思われる
真の闇のとき、何らかの原因でメインのヘッドランプが壊れたとき、予備のランプを使っていて、その予備の電池交換をする場合、暗闇の中で電池交換をしなければならない想定もあり得る。

その想定だと手の感覚でプラス・マイナスを判断しなければいけない。その場合、複数本だと間違えの原因となる。

私の考えであるけれど、そういう想定の場合、指先の感覚だけでも分かるために一本入りの物がよいように思われる。あくまでも予備であるから。
携帯電話は予備の予備という考え方
携帯の照明機能については上の方にも書いたが、予備として加えない方がいい。もしも使うようなことがあれば、それは失敗登山と考えるべき内容である。
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非常時を想定した夜間登山の訓練
初心者の人に対して訓練を強要をするものではないが、安全な場所で「夜間登山の訓練」はしておいた方がよいと思う。安全な場所というのは自分が昼間に登ったことのある簡単なルートの人の多い山道である。自宅の近所でもいいだろうけれど、ヘッドランプを使う上で気付くことは本当の山道の方が多いと思われる。
朝、暗いうちに出発
・真の闇を想定しなくても、暗い内に出発してヘッドランプの明るさなどを経験してみる。

・暗闇で予備のヘッドランプと交換してみる。

・やる気があれば、暗闇で電池交換をしてみたりする。(山の中でここまで訓練としてやれれば大したもの)
やがて朝を迎える喜び、太陽の光のありがたさ
こういう訓練をやると登山の力がものすごくつく。
それは登山技術や知識が身に付くというものではなく、登山の「センス」が身に付くと思う。

登山の技術や知識は比較的簡単に習得できるが、登山のセンスを身に付けるのは中々難しい。事故を防止し、自分の命を守る意味でも、それがとても大切に思うきょうこのごろである。
想定をしての準備
予備のヘッドランプをヘルメットにも着用してみる。
予備といえどもメインが故障したら不便だがそれを使って行動しなければならない。

そういう想定をどこまでするのか?
その想定での対応に間違いはないのか?

登山は、朝から晩まで夜中でも24時間以上いろいろなことをする危険を伴う趣味であるから、やることは多い。
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コメント

非常にためになる記事です。
m_asai さん、こんにちわ。
とてもためになる、わかりやすい解説をありがとうございます。
緊急セットの常備は常々心がけているところではありますが、
あらためて、読み直してみると、その重要さを再確認できてありがたいです。

他にもいろいろやってもらえるとうれしいです。
2015/7/2 15:47
ゲスト
Re: 非常にためになる記事です。
s-katayamaさん、
例の質問箱事件の反省もあり、なるべく上から目線にならないように書いたつもりですが、まだ少し上から目ですかね?
ただ、こういう重要な基礎的な内容を初心者の人の心に浸みるように伝えるには少なからずDignityも必要かなとは前々から思っているので微妙ではありますね。

私は目が悪いので電池のプラスマイナスの明示は昔からやっていたことですが、皆さん目がよいのか他の人の物はあまり見ていないです。
このノートのために、ペツルのヘッドランプではありませんが、某社のヘッドランプに電池を逆さまに入れて実験してみました。すると、一発で壊れてしまいました(涙)
保護回路が入っていないんですね。
おかげで少し高いノート記述になりました
2015/7/2 18:58
ゲスト
追記
コメントに電池の向きを反対に入れて実験したら一発で壊れたと書きましたが、それは私の電池蓋の閉め方が悪いことが原因でした。
ちゃんと閉めたら点灯しました。
2015/7/13 15:37
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