「沸点」が問題です!
私は、テント泊では、可能な限り、(ガス)ストーブで、焼き肉か、しゃぶしゃぶをすることにしています。平地では、海の幸(刺身など)で晩酌していますが、山では、お肉が食べたいんです(もともと火遊びが好き?なのでかな)。最近、北アルプスの山々では、初冠雪がみられました。季節的には、冬山の時期になってきました。ここで、冬山でお世話になる、ハイパワーガス(寒冷地対応ガス)について、調べてみました。(※私は、ガソリンストーブ等の使用経験がなく、ここでは取り上げません)山岳向けのガスボンベ(CB缶とOD缶があります)には、2ないし3種類のガスが、製造メーカ独自の割合で配合されています。
※CB缶=カセットボンベ缶、OD缶=アウトドア缶。
ちなみに、一般のカセットコンロのガセットボンベ(CB缶)には、n-ブタンのみが配合されています。
<このノートでは、以下の3種類のガスを略号で記します>
・n-ブタン(n-butane、ブタンないしノルマルブタン):NB
・イソブタン (isobutane) :IB
・プロパン (propane):PP
< 問題はこれら3成分の沸点の違いです >
・プロパン(PP) −42.1℃
・イソブタン(IB) −12.0℃
・n-ブタン(NB) −0.5℃
〜となっています。
極寒環境では、プロパン(PP)100%のボンベが、最強となりますが、内圧が高くなりますので、丈夫な容器(重くなる)が必要になりますし、第一、危険物扱いになりますので、一般には普通に持ち歩くことさえ出来ません。容器の種類ですが、OD缶の方が、構造的には、CB缶より内圧に対して有利です。もちろん、製品により丈夫さ(重さ)に違いがあります。
(※ガス缶の総重量とNett重量(中味の重さ)の差が、ボンベ缶自体の重量になります)
ちなみに、CB缶タイプのものでは、プロパン(PP)を配合してものが少ない(配合していても配合率が低い)ように思います。
※CB缶=カセットボンベ缶、OD缶=アウトドア缶。
ちなみに、一般のカセットコンロのガセットボンベ(CB缶)には、n-ブタンのみが配合されています。
<このノートでは、以下の3種類のガスを略号で記します>
・n-ブタン(n-butane、ブタンないしノルマルブタン):NB
・イソブタン (isobutane) :IB
・プロパン (propane):PP
< 問題はこれら3成分の沸点の違いです >
・プロパン(PP) −42.1℃
・イソブタン(IB) −12.0℃
・n-ブタン(NB) −0.5℃
〜となっています。
極寒環境では、プロパン(PP)100%のボンベが、最強となりますが、内圧が高くなりますので、丈夫な容器(重くなる)が必要になりますし、第一、危険物扱いになりますので、一般には普通に持ち歩くことさえ出来ません。容器の種類ですが、OD缶の方が、構造的には、CB缶より内圧に対して有利です。もちろん、製品により丈夫さ(重さ)に違いがあります。
(※ガス缶の総重量とNett重量(中味の重さ)の差が、ボンベ缶自体の重量になります)
ちなみに、CB缶タイプのものでは、プロパン(PP)を配合してものが少ない(配合していても配合率が低い)ように思います。
貴方は、「CB缶派」それとも、「OD缶派」?
以下に、販売されている主なハイパワータイプのガス缶(OD缶とCB缶)を挙げてみました。
_____【 OD缶 】_____
< スノーピーク >
●ギガパワーガス110プロイソ(金缶):IB65%+PP35%
(※金缶は、以前は、NB60%+PP40%でした?私の思い違いかも知れませんが)
●ギガパワーガス 110イソ(銀缶):NB70%+PP30%
< プリムス(代理店:イワタニ) >
●ハイパワーガス:NB75%+PP25%
●U(ウルトラガス):IB70%+PP30% 〜製造中止?
(※U(ウルトラガス)は、現在、販売されていないようです)
< EPI >
−−−−−−−−−−−−訂正前−−−−−−−−−−−−−
●X(エクスペディション):NB42%+IB18%+PP40%
(※この製品は、私の知る限り、最も高価です)
−−−−−−−−−−−−訂正後−−−−−−−−−−−−−
※:エクスペディションの配合ガスに誤りがありました。
《平成28年6月21日 訂正》
●X(エクスペディション):IB60+PP40% (正確かどうかは不明、NBの配合なし)
※:Xのガス配合率は、「たーさま」様のHP『ライダーの装備たち』に記載されていた配合比率を転記しました。ただし、「たーさま」様のHPに載せられているものは「エクスペディションスペシャル(銀色)」と書かれているボンベのようなので、現在のXとは違うのかもしれません?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
< ジェットボイル(代理店:モンペル) >
●ジェットパワー:?+?
(※配合ガス、割合は不明)
_____【 CB缶 】_____
< スノーピーク >
●ギガパワーガスCBイソ:NB+IB
(※配合率不明、PPの配合なし)
< 新富士バーナーブランド「SOTO」 >
●SOTO-ST760:NB+PP
(※配合率不明)
< ユニフレーム >
●ユニフレーム プレミアムガス:IB95%+PP5%
_____【 OD缶 】_____
< スノーピーク >
●ギガパワーガス110プロイソ(金缶):IB65%+PP35%
(※金缶は、以前は、NB60%+PP40%でした?私の思い違いかも知れませんが)
●ギガパワーガス 110イソ(銀缶):NB70%+PP30%
< プリムス(代理店:イワタニ) >
●ハイパワーガス:NB75%+PP25%
●U(ウルトラガス):IB70%+PP30% 〜製造中止?
(※U(ウルトラガス)は、現在、販売されていないようです)
< EPI >
−−−−−−−−−−−−訂正前−−−−−−−−−−−−−
●X(エクスペディション):NB42%+IB18%+PP40%
(※この製品は、私の知る限り、最も高価です)
−−−−−−−−−−−−訂正後−−−−−−−−−−−−−
※:エクスペディションの配合ガスに誤りがありました。
《平成28年6月21日 訂正》
●X(エクスペディション):IB60+PP40% (正確かどうかは不明、NBの配合なし)
※:Xのガス配合率は、「たーさま」様のHP『ライダーの装備たち』に記載されていた配合比率を転記しました。ただし、「たーさま」様のHPに載せられているものは「エクスペディションスペシャル(銀色)」と書かれているボンベのようなので、現在のXとは違うのかもしれません?
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< ジェットボイル(代理店:モンペル) >
●ジェットパワー:?+?
(※配合ガス、割合は不明)
_____【 CB缶 】_____
< スノーピーク >
●ギガパワーガスCBイソ:NB+IB
(※配合率不明、PPの配合なし)
< 新富士バーナーブランド「SOTO」 >
●SOTO-ST760:NB+PP
(※配合率不明)
< ユニフレーム >
●ユニフレーム プレミアムガス:IB95%+PP5%
「イソブタン」さえあれば、十分?
_____【 まとめ 】_____
< その1「配合率」 >
配合比率の分からない物がありますが、私の予想では、プロパン(PP)の配合率が最も高いのは、PP40%?(配合率に疑念、平成28年6月21日訂正)の「EPIのエクスペディション」と思います(他に私の知らない製品があるかも知れませんが)。ただ、この製品に気になるのは、n-ブタン(NB)が配合されている点です(これには、NBが配合されていない、平成28年6月21日訂正)。私の思い違いかもしれませんが、n-ブタンの配合されているガス缶を、寒冷状態で使い切らずに少しずつ繰り返して使っていると、そのガス缶の燃焼効率が悪くなる(火がつきにくくなる)ような気がします。ひょっとして、缶の中のプロパン (PP)が、先に気化燃焼されてしまい、n-ブタンの割合が増えてしまうのではないでしょうか。私は、最近は「スノーピークの金缶」=IB65%+PP35%を使っています。こちらには、n-ブタン(NB)が配合されていません。主成分のイソブタン(IB)の沸点-12.0℃なので、厳冬期の高山でない限りは、気化しなくなることはないと思うからです。ちなみに、陸上自衛隊のカセットガスの仕様では、一般用のボンベでは、n-ブタン、寒冷用ではイソブタンが主成分(95%以上)となっているみたいです。調べた限り、「ユニフレーム プレミアムガス」がイソブタン95%なので、自衛隊さんの寒冷用仕様に適合しています。つまり、たとえ、プロパン (PP)が配合されてなくても、イソブタン(IB)が入っていれば、多少の寒冷状態でも問題ないのではないでしょうか。OD缶でも、自衛隊寒冷用仕様にならい、イソブタン100%製品の販売があっても良さそうな気もしますが..
< その2「ブースター」 >
ガスボンベは使用すると、気化熱によって、缶自体が冷却され、燃焼効率が落ちていきます。これを防ぐため、カセットコンロやバーベキューコンロには、ヒートパネル(ないしはブースター)と呼ばれる物が取り付けられています。
(※ストーブ自らが缶をあたためるための、炎の熱をガス缶に伝える金属のブレードのことです)
登山向けのストーブには、ヒートパネルはついていませんが、大きめのストーブだと、気化装置(バーナーの上をとおるガス管)がついています。冬山では、なんとか頑張って登山者自身の体温でガス缶を暖めれば、ブースター効果が出てきます。また、どの程度、寒冷に対して有利か判りませんが(私は、使用した経験がありません)、EPIの海外モデルのストーブの中には、「液だしタイプ」の物があります。ガスボンベをサカサマにして使うタイプです。日本のメーカーは安全性を考慮して、「液だしタイプ」を製造していないのでしょうか。海外モデルでもネットでは購入出来そうなので、機会(お金の余裕とリスクへの覚悟)があれば、そのうち試してみたものです。
< その3「ストーブはロマンです」 >
私は、以前は「CB缶派」でしたが、数年前からは「OD缶派」になってしまいました。CB時代では、高山では、「ユニフレーム プレミアムガス」を、低山では、安価な一般用コンロ用ガス缶と使い分けていました。しかし、いつの間にか店頭で見かけることの多いOD缶に手が伸びていきました。今思い起こせば「ユニフレーム プレミアムガス」が懐かしいです。危険だけども気化効率の良い「プロパン」、安全だけれども気化効率の悪い「n-ブタン」、これらの中間で−10℃位まではいけそうな「イソブタン」〜三者三様です。山で使うストーブには、「登山のロマン」(本当は、こどもの火遊びのようなものかも?)があります。これからも、(出来るだけ安全に)遊んで生きたいものです。
〜以上です。
< その1「配合率」 >
配合比率の分からない物がありますが、私の予想では、プロパン(PP)の配合率が最も高いのは、PP40%?(配合率に疑念、平成28年6月21日訂正)の「EPIのエクスペディション」と思います(他に私の知らない製品があるかも知れませんが)。ただ、この製品に気になるのは、n-ブタン(NB)が配合されている点です(これには、NBが配合されていない、平成28年6月21日訂正)。私の思い違いかもしれませんが、n-ブタンの配合されているガス缶を、寒冷状態で使い切らずに少しずつ繰り返して使っていると、そのガス缶の燃焼効率が悪くなる(火がつきにくくなる)ような気がします。ひょっとして、缶の中のプロパン (PP)が、先に気化燃焼されてしまい、n-ブタンの割合が増えてしまうのではないでしょうか。私は、最近は「スノーピークの金缶」=IB65%+PP35%を使っています。こちらには、n-ブタン(NB)が配合されていません。主成分のイソブタン(IB)の沸点-12.0℃なので、厳冬期の高山でない限りは、気化しなくなることはないと思うからです。ちなみに、陸上自衛隊のカセットガスの仕様では、一般用のボンベでは、n-ブタン、寒冷用ではイソブタンが主成分(95%以上)となっているみたいです。調べた限り、「ユニフレーム プレミアムガス」がイソブタン95%なので、自衛隊さんの寒冷用仕様に適合しています。つまり、たとえ、プロパン (PP)が配合されてなくても、イソブタン(IB)が入っていれば、多少の寒冷状態でも問題ないのではないでしょうか。OD缶でも、自衛隊寒冷用仕様にならい、イソブタン100%製品の販売があっても良さそうな気もしますが..
< その2「ブースター」 >
ガスボンベは使用すると、気化熱によって、缶自体が冷却され、燃焼効率が落ちていきます。これを防ぐため、カセットコンロやバーベキューコンロには、ヒートパネル(ないしはブースター)と呼ばれる物が取り付けられています。
(※ストーブ自らが缶をあたためるための、炎の熱をガス缶に伝える金属のブレードのことです)
登山向けのストーブには、ヒートパネルはついていませんが、大きめのストーブだと、気化装置(バーナーの上をとおるガス管)がついています。冬山では、なんとか頑張って登山者自身の体温でガス缶を暖めれば、ブースター効果が出てきます。また、どの程度、寒冷に対して有利か判りませんが(私は、使用した経験がありません)、EPIの海外モデルのストーブの中には、「液だしタイプ」の物があります。ガスボンベをサカサマにして使うタイプです。日本のメーカーは安全性を考慮して、「液だしタイプ」を製造していないのでしょうか。海外モデルでもネットでは購入出来そうなので、機会(お金の余裕とリスクへの覚悟)があれば、そのうち試してみたものです。
< その3「ストーブはロマンです」 >
私は、以前は「CB缶派」でしたが、数年前からは「OD缶派」になってしまいました。CB時代では、高山では、「ユニフレーム プレミアムガス」を、低山では、安価な一般用コンロ用ガス缶と使い分けていました。しかし、いつの間にか店頭で見かけることの多いOD缶に手が伸びていきました。今思い起こせば「ユニフレーム プレミアムガス」が懐かしいです。危険だけども気化効率の良い「プロパン」、安全だけれども気化効率の悪い「n-ブタン」、これらの中間で−10℃位まではいけそうな「イソブタン」〜三者三様です。山で使うストーブには、「登山のロマン」(本当は、こどもの火遊びのようなものかも?)があります。これからも、(出来るだけ安全に)遊んで生きたいものです。
〜以上です。
「ユニフレーム 」様のHPに「液だし」してしまう現象についての注意喚起がされていました。「液体(生)ガスが出ると」〜どうなるかが判ります。
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※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
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記事拝見しました。
ガスの成分について少々気になりましたので失礼ながらコメント致します。
EPIのエクスペディションの成分についてですが、実物を見ると思いっきり「液化プロパン・液化イソブタン」と書いてあります。パワープラスでは「液化ブタン・液化プロパン」と書いてありますので、エクスペディションにはn-ブタンが入っていないものと思われます。
ご指摘ありがとうございます。
私は、最近は、スノーピークの「ギガパワーガス」しか使っていません。EPIの「エクスペディション」が手元にないので、アマゾンで表示されている写真を拡大して見ましたら、確かに、heyheymasa4さんが指摘されたように[液化プロパン・液化イソブタン]と書かれているのを先ほど確認しました。今となっては、わたしがガスの記事を書いたときの出典を覚えていません。記事を書いたとき、私が何か勘違いしたのか、あるいは、ネットで見つけた古い資料を参照したのかもしれません。これもまた、私の勘違いかもしれませんが、私が愛用している「ギガパワーガス」のガス成分の配合比率が、以前、変更されたことがあったように思います。「エクスペディション」も配合ガスの変更はなかったのでしょうか?また配合されている[プロパンと液化イソブタン]の配合比率は、公表されていないのでしょうか? 〜すみません。情報が、あればどなたか教えて頂きたいものです。
では、heyheymasa4さんお元気で
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