唐突であるが,私はペツルというメーカーが好きである.例えば,アイゼン(クランポン)の日本でのシェアは,グリベル,モンベル,ペツルの順でだろうか?シェアでは3番手かもしれないが,アイゼン(クランポン)のパーツの交換を考えて製品を設計し,パーツを別売りしているのは,ペツルが一番である.アイゼン本体のかかと部分以外のすべてのパーツを別売りしている.仮に,フロントにコバがついていて,ヒールにコバがついていない登山靴(逆セミワンタッチアイゼン対応?)があったとしても,パーツを寄せ集めることによって,そのようなアイゼンを構築することすら可能である.次は,グリベル.モンベルに至っては,バンドとアンチスノープレートしか別売のパーツがない.修理や改造が好きな私にとっては,ペツルは最高のポリシーを持ったメーカーといってもよい.私の感覚がおかしいことは認めているので,同感してもらえないことは承知の上である.
で,いつもの悪い癖が出て,異なるメーカーのアイゼンのパーツを入れ替えてみて,どの程度の互換性があるのかを確かめたくなって,いろいろと試してみたのである.
ここで,重要な前提知識として,ペツルのワンタッチ式のヒールハーネスは,グリベルやモンベルと異なりテンション調整のねじがなく,アイゼン本体への取り付け位置を変更することにより,調整することになっている点である.そのため,軽量にできるのだが,アイゼン本体に取り付け位置(穴)が3か所設定されている.言い方を変えれば,そうなっていなければならないことになる.
で,いつもの悪い癖が出て,異なるメーカーのアイゼンのパーツを入れ替えてみて,どの程度の互換性があるのかを確かめたくなって,いろいろと試してみたのである.
ここで,重要な前提知識として,ペツルのワンタッチ式のヒールハーネスは,グリベルやモンベルと異なりテンション調整のねじがなく,アイゼン本体への取り付け位置を変更することにより,調整することになっている点である.そのため,軽量にできるのだが,アイゼン本体に取り付け位置(穴)が3か所設定されている.言い方を変えれば,そうなっていなければならないことになる.
以下は,ペツルのバンド式アイゼンのヒールハーネスをカジタックス(モンベル)のワンタッチ式ハーネスに交換してみたもの.何の問題もなくできてしまう.モンベルでなくても,グリベルのものでもできてしまうだろう.
カジタックス(モンベル)のセミワンタッチ式アイゼンのヒールハーネスをペツルのワンタッチ式ハーネスに交換してみたもの.かなりキツメだったが,なんとか登山靴につけることができた.ペツルのヒールハーネスにはテンション調整がなく,モンベルのアイゼン本体にはテンション調整ための複数の取付穴がないため,相性が悪い.偶然,うまくいったと言ってもよいだろう.
モンベル(グリベルも)のアイゼンのヒール側本体には,テンション調整ための取付穴が一つしかないため,それで調整することになっているペツルのヒールハーネスとは相性が悪い.
カジタックス(モンベル)のセミワンタッチ式アイゼンのヒールハーネスをペツルのベンド式ハーネスに交換してみたもの.下の写真にあるように,登山靴が後ろにずれることを防止するためのアイゼンの突起の部分とヒールハーネスの突部分があっていない.ヒールハーネスのアイゼンへの取り付け穴がペツル以外のアイゼンには一つしかないことが原因である.これが原因となって,登山靴に取り付けることすらできなかった.この問題がクリアされたとしても,実は,ペツルのバンド式アイゼンのヒールハーネスは,パーツの交換性を持たせるために無理をしていて非常に出来が悪い.私が持っている登山靴で,ペツルのバンド式アイゼンのヒールハーネスにフィットするものは一つもない.モンベルやグリベルのバンド式アイゼンのハーネスは,フロントもヒール側もリベット止めしてある(このため,私ならやってしまうが,DIY素人には交換ができない)が,ペツルは交換性を考えてリベット止めをせず,アイゼン本体の穴に取り付けるようになっている.今回ばかりは,これが悪さをしている.
以下は,普通のペツルのアイゼンとバンド式ヒールハーネス.アイゼン本体にヒールハーネスの3か所の取付穴が開いていて,登山靴が後ろにずれることを防止するためのアイゼンの突起の部分とヒールハーネスの凹み部分が合うようになっている.
こんなことは誰もやらないだろうが,試してみていろいろと面白かった.改めて分かったことは,バンド式アイゼンを買うなら,ペツルはやめたほうがよく,グリベルかモンベルにしておいたほうが良い.セミワンタッチ式以上のアイゼンを買うなら,やっぱりペツルがいいなぁということ.ちなみに,ペツルは,セミワンタッチ式あるいはワンタッチ式アイゼンを買えば,フロントハーネスはバンド式とワンタッチ式の両方が付属してくるので,ワンタッチ式とセミワンタッチ式は,自分で変更できる.ただし,フロントハーネスの交換は,かなりの力が必要なので,その点,注意が必要である.私は,アイゼンの爪を万力に固定して,ナイロンバンドを使って力任せに引っ張って外して交換している.
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グリベルの締め付け金具が金属の輪なので今一つ外れそうで心配でしたが、モンベルの金具はバネクリップで安心感がありますね。
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