養老山地の地形と成り立ち-ヤマレコ

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更新日：2022年04月11日　訪問者数：1513

養老山地の地形と成り立ち

yokota1967

　養老山地は，濃尾平野の西の端に位置し，養老鉄道が並行して走っていてアクセスが良いため，トレランなどの縦走で人気の山地である．トレランに人気のため，稜線につけられた登山道がとにかく良く整備されているのであるが，この稜線を歩いていると面白いことに気が付く．トレランの人は急いでいるのであまり気にしないと思うが，稜線にしては，とにかく地形が複雑なのである．ちなみに，ここで言う稜線とは，水を東西に分ける意味での稜線である．
　例えば，稜線の東側，つまり濃尾平野側は非常に景色が良いのに，西側は，霊仙山などがあるはずなのだが，ほとんど景色が見られない．養老山地の最高峰は笙ヶ岳(908.3m)であるが，これは，この稜線上になく，稜線の西側にある．したがって，養老公園から笙ヶ岳に登ろうと思うとひと山を超えていかなければならない．養老山地の南部の最高峰は，おそらく恋姫山(694m)であるが，これも稜線上にある石津御岳山(629m)よりも高い．また，稜線のすぐ西側にも稜線のようなものが頻繁に出ていて，とにかく稜線をたどることが難しい．また，稜線の西側には沼や水溜まりなどの湿地帯が多い．　
　これまで，なんでこんな複雑な地形をしているのか疑問には思っていたが時間もなかったので調べることを保留にしていた．ようやく時間的余裕ができたので調べて見たらいろいろ面白いことが分かって合点がいくようになったので，紹介しようと思う．細かいところで間違っているところもあると思うが，ご指摘頂ければ幸いである．（最初の投稿から若干の修正を加えています）

　下の図は，養老山地と濃尾平野の成り立ちを表した図である．基本，南側から北側を見た図になっている．(a)にあるように大昔は平地であったが，(b)に示す傾動運動と言われる比較的珍しい地殻変動（濃尾傾動運動という）により，東側が沈み込み，西側が隆起した．その境界が養老－伊勢湾断層と呼ばれる．隆起した部分は傾動地塊と呼ばれ，養老山地となった．(c)沈み込んだところには，川からの土砂が堆積し，再び平野ができる．養老－伊勢湾断層の東は，揖斐川，長良川，木曽川によって濃尾平野を形成した．西側は，牧田川，員弁川によって，上石津，いなべ市などが入る小さな平地が形成された．こうした傾動運動と堆積が繰り返されて，(d)となる．養老山地の東側は急峻であるのに対して，西側は緩やかな傾斜となっている．(d)を上から見た図がその下の図である．かつては水を東西に分ける稜線と標高の高いところは一致していた．その後の傾動運動により，元の断層よりも若干西側に新たな断層ができ，その西側が隆起し，元の稜線の標高を超えるようになる．この隆起は地震のように急激に生じるのではなく徐々に隆起するため，川の流れは変わらない．こうして水の流れを分ける稜線と標高の高い場所が異なる不思議な今の地形(e)が完成した．この稜線と標高の高い場所の間には，沼，水溜まりができるなど，複雑な地形になっている．当然，稜線の西側は，さらに標高の高い山があるので見晴らしは良くない．

東側の濃尾平野側は，こんなに景色が良い．揖斐川，長良川，木曽川の三川が絡みつくように流れている．濃尾傾動運動により濃尾平野は西側に傾くため，これらの三川は，ほっておくと西側に寄ってゆくそうだ．明治時代に治水事業によりこの三川の流れる位置を最後に決めたのが，オランダ堰堤で有名なオランダ人土木技術者ヨハネス・デレーケだそうだ．海津市のさぼう遊学館にデレーケさんの銅像がある．草津の金勝アルプスにあるオランダ堰堤にもデレーケさんの銅像があり，日本の治水に偉大な影響を与えた方なんだなぁと思う．

西側は，三方山の近くの稜線上の笹原峠から霊仙山が望めるくらいである．

稜線の西側には，こうした池や沼，湿地帯が広がっている．池の向こうには，稜線より高い支尾根がそびえたっていて景色も良くない．

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yama106

　私、スッキリしました。
　笙ヶ岳に行こうとすると、養老の滝方面から登って、旧牧場からいちど下り、そして、また登ります。また、恋姫山の周辺には割と大きな池があります。なんとなく、何で？とは思っていましたが、そのままにしていました。
　何で？と思ったら調べる。これが、大きな差ですね。本当にありがとうございました。

2022/4/14 14:08

yokota1967

yama106さん
コメントありがとうございます．Facebookでも同じような投稿をしているのですが，
ブラタモリ風解説面白かったとか，自分の中で盛り上がったとか喜んで頂いています．

2022/4/15 15:36