沢登りというほど積極的に沢の中を進むスタイルはしてませんが、沢筋の濡れた路面を歩いたり走ったり、滝や段差をよじ登ったりしてますので、沢向きシューズについて調べてみてました!
ぬめった岩や苔ではフェルトソールや草鞋(←私の場合)の出番ですが、沢の中をずっと歩くスタイルでなければゴム底シューズが基本だと思います。
多くのシューズのソールはゴムですが、格安沢靴として知られている「ムーンスター ジャガーシグマ」などはウレタン製のソールになります。ゴムとウレタン、特性の違いはどうなのでしょうか?
私的に、雨用の普段履きがジャガーシグマです。(←いつか山で使ってみようと思い購入したもの)
個人的印象は「ドライではゴムのグリップに負けるけど、ウエットでもあまりグリップが低下せずいつもと同じ感じで歩ける」です。対してゴムは「ドライでは強力なグリップだがウエットではいきなりグリップが低下して扱いにくい場面がある。さらに、路面やゴムの種類によって低下の仕方がだいぶ異なる」という印象です。あと…泥や苔にはウレタンの方が強そうな印象。
まとめると、私的使用感は「いつでもどこでもそこそこ行けるウレタン、ゴムはコンディションや配合によってグリップが大きく変わってやや神経質」となります!
ただの感想では結論出ないので、データを探してみましたが…普通の物性データには摩擦係数がない?!
さくっと読める日本語論文でさくっと調べてみると、2000年の日本ゴム協会誌に「靴底の滑り試験機の開発」(田上ら)というのがありました。
普通の状態と人工泥塗布での計測をステンレスとPタイルで行っています。画像1の表ですが、数字は摩擦係数、()内は人工泥塗布時の数値だと思います、SUS304ってのはステンレスの種類、No design/Designってのは多分トレッドパターンを刻んでないかあるかってこと?
市販シューズは通常トレッドパターンありますので、ステンレスとPタイルの人工泥有り無し、トレッドパターンあり(Design)のデータを、ゴムとウレタンで比較してみます!数字は摩擦係数、人工泥なし→あり、()内はドライに対する人工泥塗布時の摩擦係数の比率です!
#ステンレスSUS304
ゴム: 2.66 → 0.30 (11.3%)
ウレタン: 0.58 → 0.34 (58.6%)
#Pタイル
ゴム: 2.43 → 0.56 (23.0%)
ウレタン: 0.76 → 0.56 (73.7%)
・ゴムはドライでの摩擦係数が圧倒的に高いですが、泥ありでは大きく低下します(11.3%/23.0%)。
・ウレタンはドライでの摩擦係数は高くないですが、泥ありでもさほど低下しません(58.6%/73.7%)。
・泥ありではゴムもウレタンもグリップ(摩擦係数)は同等です!
「ドライでは強力だけど泥がつくと不甲斐ない…でも絶対的な戦闘力は泥でもウレタンに負けないゴム / ドライでは控えめだけど泥ありでもあまり変わらないウレタン」という結果といえ、泥あり≒ウエットと考えると使用感と一致します!
クライミング的な使い方でドライな岩肌をよじ登りたい場合はゴムソール…ただし、条件によって摩擦が大きく変わる神経質な面があり、相対的にコントロール性は良くはない。
ウエットでもドライでもあまり摩擦が変わらず扱いやすいのがウレタン。ドライでの戦闘力はゴムに負けるけど、ウエットではゴムと同等。コントロール性の良さを活かせば、ウエットで限界ギリギリの領域を使いやすく悪条件で攻めやすい?!…と、言えるかと思います!
参考文献: 田上ら、靴底の滑り試験機の開発、日本ゴム協会誌 第73巻 第1号(2000)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/73/1/73_1_54/_pdf/-char/ja
ぬめった岩や苔ではフェルトソールや草鞋(←私の場合)の出番ですが、沢の中をずっと歩くスタイルでなければゴム底シューズが基本だと思います。
多くのシューズのソールはゴムですが、格安沢靴として知られている「ムーンスター ジャガーシグマ」などはウレタン製のソールになります。ゴムとウレタン、特性の違いはどうなのでしょうか?
私的に、雨用の普段履きがジャガーシグマです。(←いつか山で使ってみようと思い購入したもの)
個人的印象は「ドライではゴムのグリップに負けるけど、ウエットでもあまりグリップが低下せずいつもと同じ感じで歩ける」です。対してゴムは「ドライでは強力なグリップだがウエットではいきなりグリップが低下して扱いにくい場面がある。さらに、路面やゴムの種類によって低下の仕方がだいぶ異なる」という印象です。あと…泥や苔にはウレタンの方が強そうな印象。
まとめると、私的使用感は「いつでもどこでもそこそこ行けるウレタン、ゴムはコンディションや配合によってグリップが大きく変わってやや神経質」となります!
ただの感想では結論出ないので、データを探してみましたが…普通の物性データには摩擦係数がない?!
さくっと読める日本語論文でさくっと調べてみると、2000年の日本ゴム協会誌に「靴底の滑り試験機の開発」(田上ら)というのがありました。
普通の状態と人工泥塗布での計測をステンレスとPタイルで行っています。画像1の表ですが、数字は摩擦係数、()内は人工泥塗布時の数値だと思います、SUS304ってのはステンレスの種類、No design/Designってのは多分トレッドパターンを刻んでないかあるかってこと?
市販シューズは通常トレッドパターンありますので、ステンレスとPタイルの人工泥有り無し、トレッドパターンあり(Design)のデータを、ゴムとウレタンで比較してみます!数字は摩擦係数、人工泥なし→あり、()内はドライに対する人工泥塗布時の摩擦係数の比率です!
#ステンレスSUS304
ゴム: 2.66 → 0.30 (11.3%)
ウレタン: 0.58 → 0.34 (58.6%)
#Pタイル
ゴム: 2.43 → 0.56 (23.0%)
ウレタン: 0.76 → 0.56 (73.7%)
・ゴムはドライでの摩擦係数が圧倒的に高いですが、泥ありでは大きく低下します(11.3%/23.0%)。
・ウレタンはドライでの摩擦係数は高くないですが、泥ありでもさほど低下しません(58.6%/73.7%)。
・泥ありではゴムもウレタンもグリップ(摩擦係数)は同等です!
「ドライでは強力だけど泥がつくと不甲斐ない…でも絶対的な戦闘力は泥でもウレタンに負けないゴム / ドライでは控えめだけど泥ありでもあまり変わらないウレタン」という結果といえ、泥あり≒ウエットと考えると使用感と一致します!
クライミング的な使い方でドライな岩肌をよじ登りたい場合はゴムソール…ただし、条件によって摩擦が大きく変わる神経質な面があり、相対的にコントロール性は良くはない。
ウエットでもドライでもあまり摩擦が変わらず扱いやすいのがウレタン。ドライでの戦闘力はゴムに負けるけど、ウエットではゴムと同等。コントロール性の良さを活かせば、ウエットで限界ギリギリの領域を使いやすく悪条件で攻めやすい?!…と、言えるかと思います!
参考文献: 田上ら、靴底の滑り試験機の開発、日本ゴム協会誌 第73巻 第1号(2000)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/73/1/73_1_54/_pdf/-char/ja
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Akky0118さんの記事一覧
- 【レビュー】トレランシューズとアイゼンのマッチング 42 更新日:2023年03月16日
- 【考察】沢筋用のシューズ(ゴム底vsウレタン底の特性) 20 更新日:2022年06月29日
※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
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昨年、トレラン中に沢を歩いて転倒してあばらをやってしまったので、今度は
沢筋ロートを行く場合は沢シューズを持っていこうと考えています。
そうすると考えられるのが、ラバーorフェルトかなと思いますが、そのほかに作業靴の日進ゴム ハイパーVが候補に出てきて悩みます。
40年前の記憶ではわらじが最高と思っているんですが、やや高価で使用前は軽いが濡れると重いし、耐久性が無いので少しためらわれます。しかし、クライミングシューズは濡れるとダメダメなのに沢用ラバーでどうなっているんでしょうね? 昔、濡れた岩には安い\1000くらいのスポンジ状の底の靴がいいと言っていた人がいました。
そういえばフェルトはポリプロピレンフェルトが主流みたいですが、羊毛フェルトも試してみたいですね。
トレランを前提にして沢筋ルートも通るという方向ですと荷物は多くしたくないので別のシューズ持参する方向でなく、私なら沢も行けて走れるシューズを履いていく方向で行きます!具体的に思いつくのは、ご指摘の日進ゴムの「ハイパーV #005」走れますし(前モデルの#003ならちょっと使いました)、ぬめった岩や苔まみれでなければ問題ないです。
ノートに書いた「ジャガーシグマ04」も走れますし、実際雨天のロードのランニングで使ったこともありますが、蒸れやすいので長時間のトレランには向かない気がします。
もっと走り方向に振って、「濡れた岩でも不用意に滑らない」くらいのレベルを求めるなら、アディダスのコンチネンタルソールだとトレランシューズの中では濡れた岩に強いと思ってます。
沢筋に振って、「走れるところは走るけど、基本沢筋を楽しみに行く」方向でしたら、ハイパーV#005+モンベルのフェルトサンダル持参、の方向ですかね?
私は個人的趣味でランも普段は地下足袋なんで、ランだけなら普通の地下足袋、ラン+少しだけ滝登りだと普通の地下足袋+草鞋、滝の登り伴う沢筋優先だと耐滑ソール地下足袋(ハイパーV的ソール)+草鞋持参、単に沢沿いの一般的なルートを通るだけ(私の日記だと比良の「八淵の滝コース」)レベルだと耐滑地下足袋のみ、で行きますかね?ランの比率は変わりますが、いずれも走れるところは走りますよ!
クライミングシューズ、はレーシングカーのスリックタイヤと同じで排水溝がないのでドライなところでのグリップは抜群でも、濡れるとダメダメ…という感じなんじゃないかと思います。(レーシングカーも乗ってました)
「安いスポンジ底の靴」は今回のデータにもある「EVA」だと思いますが、データ的にはパターンがあれば行けるけどパターンなしだと恐ろしいほど滑る…という方向になりそうです。接地面や摩耗具合によっては一気に滑りそうなので、使い勝手は悪そうですね(^^;
個人的には使う区間を限定して草鞋併用でやってますが、モンベルのオーバーサンダルタイプのフェルト底は興味あります!が、所詮ベースがトレイルランナーなので、フェルト系まだ使ったことないんですよ…
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