おや、まあ！キノコ）世間一般に言われる判別法は、あてになるのかな-ヤマレコ

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更新日：2013年09月16日　訪問者数：2690

おや、まあ！キノコ）世間一般に言われる判別法は、あてになるのかな

おや、まあ、キノコ」は、菌界の魅力と危険を案内する、私のヤマレコ日記のシルーズで、19回を数えています。その中から、きのこについての世間の常識の危険、きのこの意外な生態と人間との深い関係などを記したものを、「ノート」にアップします。　最初は、2010年8月に書いた、世間一般に言われる判別法の危険。

tanigawa

　盛夏をまわれば、いよいよキノコ・シーズン、到来ですね。
　今回は毒きのこと、食べられるきのこの見分け方について。

　「柄が縦に裂けるキノコは食べられる」とか、「毒のあるキノコは苦い」、「毒々しい色のキノコには毒がある」なんてよく言われます。
　でも、昔からの言い伝えもふくめて、これらの判別法は、実際にはまったくあてにならないだけでなく、むしろ危険ないざないになりかけません。

柄が縦に裂けるキノコは、食べられる？

　　　　　　　　　　　　　　　　カキシメジ。中毒事故が多い。　胃腸をこわす（毒）

　たとえば中毒事故が多いカキシメジやクサウラベニタケも、柄が縦に裂けます。猛毒のドクツルタケも同じ。
　もともと、キノコには、柄の繊維は縦に通っているキノコが多く、この方法では毒・無毒は判別できません。
　キノコのつくりや構造と、毒・無毒は相関しません。

どぎつい色や苦味のあるキノコは毒きのこ？

　　　　　　　　　　　　　タマゴタケは、こんなどぎつい色合いでも、食べられます。（食）

ツキヨタケとかクサウラベニタケのように、中毒の事故が多いキノコは、ごくありふれたキノコの色、姿をしていて、いかにもおいしそう。苦味もないので、食べてしまうから、当たっちゃう！　むしろ、いかにもうまそうなキノコこそ、よくよく気をつけないと。

　だいたい、キノコの毒成分は主なもので十種類を超します。抽出された毒成分は無味無臭、無色のもが多い。
　外見上の色合いや造り、味と、そのきのこがどんな毒成分を含んでいるかは、まったく無関係です。

虫に食われているキノコは人間も大丈夫？

　　　　　　　　　　　　写真はツキヨタケ。幻覚を起す　（毒）

　これもよく耳にします。確かに、食用に採集するキノコには、何かの幼虫がいっぱい付いていることもあるし、かじられた跡もあったりします。
　それから、猛毒のドクツルタケなどには、確かに虫がついたものは、あまり出会ったことがありません。

　だけど、ツキヨタケは虫に食われているものを見かけます。
　食べた虫の苦しみやもだえを、虫に聞いてみた人がいるわけでもありません。
　結局は、毒の種類によっては、それに耐性がある虫がつくということで、人間もそれで大丈夫というわけではないらしい。

イグチの仲間には毒はない？

　　　　　　　　　　　　　　アシベニイグチ。イグチの仲間だが毒。

　イグチ（猪口）というのは、傘の裏面に、白いヒダがなくて、スポンジ状の管孔があり、ここから胞子を飛ばす種類のキノコです。
　これも最近まで通用してきた判別法でしたが、現在ではキノコ中毒のデータがそろい、
キノコの成分分析もすすんで、実はイグチの仲間でも相当数のものに毒キノコがあることがわかってきました。

　他の仲間の食べられてきたキノコにも毒成分が見つかっています。なぜ、それでいままで無事だったり、報告例がなかったのかというと、十分な加熱や、煮こぼしなどで、毒が抑えられてきたらしい。

――それならば、一番確実なキノコとの付き合い方は？

　方法は単純明快。名前がわからないキノコは、食べなければいいのです。
　逆にいえば、2種類でも、3種類でもいいから、食べられるキノコを確実に覚えていく。
　印象にしっかり残るように、写真を撮ったり、自分用の写真図鑑を作ったりする。

　結局、キノコは色や姿で食・毒を見分けることはできません。ちゃんと名前で確認できた食べられるキノコを、森からおすそ分けしていただく、という方法しかない。
　図鑑や、経験者のアドバイスなどが大事です。
　はっきり名前で確認できるキノコを増やすのが、近道です。

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