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Yamareco

記録ID: 156676
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
富士・御坂

登山か冒険か、冬富士に挑んだ三日間〜北口本宮富士浅間神社から〜

2011年12月12日(月) ~ 2011年12月14日(水)
 - 拍手
GPS
56:00
距離
35.5km
登り
2,932m
下り
2,939m

コースタイム

12月12日 10:15富士山駅‐11:00北口本宮‐13:00馬返し‐13:20一合目‐14:00二合目‐14:30三合目‐15:20四合目‐15:40五合目‐16:10佐藤小屋
12月13日 6:50佐藤小屋‐7:40六合目付近‐8:40七合目付近‐9:25八合目‐10:15九合目付近‐12:20吉田ルート頂上‐16:35佐藤小屋
12月14日 8:20佐藤小屋‐11:00馬返し‐14:20北口本宮
天候 三日間快晴、無風(山頂を除き)。
過去天気図(気象庁) 2011年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
往路:大月から富士急行に乗換て、富士山駅へ(かつての富士吉田駅から改名された)
復路:富士山駅から高速バスで新宿へ
コース状況/
危険箇所等
北口本宮‐馬返し:舗装道路、中の茶屋から路面凍結個所あり。
馬返し‐5合目まで:一部登山道陥没しているが危険性はない。歩きやすい。
5合目‐8合目まで、夏道ルートで上がれる。鎖も一部見えている。ここまで、アイゼン、ストック使用。
8合目‐頂上:ここからピッケル使用。雪はクラストしている。先方に登山者が下山してくる際、落氷が雨のように降ってくる。ヘルメット必須。
9合目から岩伝いに上がり、最後の鳥居へトラバースしたが、滑落すれば数百メートルは落ちるだろう。雪はクラストしていてアイゼンはよく効く。トラバースせず、岩伝いに頂上直下まで上がる方法もあるかもしれない。両者とも危険には変わらない。
予約できる山小屋
佐藤小屋
江戸屋
胸突江戸屋
里見平★星観荘
日の出館
本七合目鳥居荘
白雲荘
ゼロ合目。北口本宮裏からスタート。
2011年12月13日 18:19撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 18:19
ゼロ合目。北口本宮裏からスタート。
富士慰霊碑。
2011年12月16日 15:36撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:36
富士慰霊碑。
古の登山道はどこに。
2011年12月12日 11:09撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/12 11:09
古の登山道はどこに。
馬返。ここから古の富士登山道へ。
2011年12月16日 15:36撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:36
馬返。ここから古の富士登山道へ。
シラビソやコメツガの原生林広がる。
2011年12月12日 13:19撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/12 13:19
シラビソやコメツガの原生林広がる。
やっと来た。ここが一合目。
2011年12月16日 15:37撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:37
やっと来た。ここが一合目。
二合目。雪が増えてきた。
2011年12月12日 14:01撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/12 14:01
二合目。雪が増えてきた。
3合目。かつてここに茶屋があった。
2011年12月12日 14:30撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/12 14:30
3合目。かつてここに茶屋があった。
五合目を超え、テント場に。雪の塊があって助かった。神の置き土産。
2011年12月16日 15:37撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:37
五合目を超え、テント場に。雪の塊があって助かった。神の置き土産。
-10℃くらい。寒い。でも夜景がきれい。
2011年12月12日 17:07撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/12 17:07
-10℃くらい。寒い。でも夜景がきれい。
雪を溶かし水を作る。
2011年12月16日 15:37撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:37
雪を溶かし水を作る。
秘密兵器!卵ケース。
2011年12月16日 15:37撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:37
秘密兵器!卵ケース。
今日はサムゲタンに。
2011年12月12日 17:26撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/12 17:26
今日はサムゲタンに。
ウィスキーのシャーベット。夏ならサイコー。
2011年12月16日 15:38撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/16 15:38
ウィスキーのシャーベット。夏ならサイコー。
翌朝。御来光には興味なし。マイペースでスタート。
2011年12月13日 06:51撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 6:51
翌朝。御来光には興味なし。マイペースでスタート。
-8℃。快晴、無風。特別に寒くはない。
2011年12月16日 15:38撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:38
-8℃。快晴、無風。特別に寒くはない。
御来光でなくても十分、美しい。
2011年12月13日 07:17撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 7:17
御来光でなくても十分、美しい。
奥秩父見える。
2011年12月13日 18:22撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 18:22
奥秩父見える。
ダブルストックでサクサク行く。
2011年12月16日 15:38撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:38
ダブルストックでサクサク行く。
なかなかの斜面じゃないの。
2011年12月16日 15:38撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/16 15:38
なかなかの斜面じゃないの。
登れ、登れ。
2011年12月13日 09:12撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/13 9:12
登れ、登れ。
7合目超え、8合目へ。
2011年12月16日 15:38撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:38
7合目超え、8合目へ。
溶岩の巨大な塊。増えてきた。
2011年12月13日 08:49撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 8:49
溶岩の巨大な塊。増えてきた。
鎖は見えている。ルート確認。
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:39
鎖は見えている。ルート確認。
雪面に自然のアート。
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/16 15:39
雪面に自然のアート。
徐々に高度を上げていく。
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:39
徐々に高度を上げていく。
溶岩伝いに登る。
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:39
溶岩伝いに登る。
スキー場じゃありません。富士山です。
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:39
スキー場じゃありません。富士山です。
雪面を横切る。一歩ずつ、アイゼンを効かせながら。
2011年12月13日 10:53撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/13 10:53
雪面を横切る。一歩ずつ、アイゼンを効かせながら。
ここから核心部。頂上まで写真撮る余裕なし。
落氷の飛礫をかわしながら。
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:39
ここから核心部。頂上まで写真撮る余裕なし。
落氷の飛礫をかわしながら。
核心部を見下ろす。5,6人のパーティと外国人の2人組が降りていく。そして、
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/16 15:39
核心部を見下ろす。5,6人のパーティと外国人の2人組が降りていく。そして、
頂上!
2011年12月16日 15:39撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:39
頂上!
小屋は氷で閉じ込められている。
2011年12月13日 12:18撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/13 12:18
小屋は氷で閉じ込められている。
爆風が吹くお鉢。剣が峰は断念。
2011年12月13日 12:27撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 12:27
爆風が吹くお鉢。剣が峰は断念。
大内院。(噴火口)
2011年12月13日 12:27撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 12:27
大内院。(噴火口)
久須志神社前より。体感温度は-20℃以上か。頂上滞在時間は10分ほど。速効下山す。
2011年12月13日 18:16撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/13 18:16
久須志神社前より。体感温度は-20℃以上か。頂上滞在時間は10分ほど。速効下山す。
滑落すれば・・・。緊張のトラバース。
2011年12月15日 10:47撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/15 10:47
滑落すれば・・・。緊張のトラバース。
5,6人のパーティはアンザイレンで確保しながら下降していった。俺はフリーでカニ歩き。思ったほど恐怖感はなかった。
2011年12月16日 15:40撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:40
5,6人のパーティはアンザイレンで確保しながら下降していった。俺はフリーでカニ歩き。思ったほど恐怖感はなかった。
信じられない景色。
2011年12月13日 13:02撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/13 13:02
信じられない景色。
9合目の斜面。登って降りた。
2011年12月13日 13:12撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 13:12
9合目の斜面。登って降りた。
太陽が傾き雪面が輝く。
2011年12月13日 13:12撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/13 13:12
太陽が傾き雪面が輝く。
現れた巨大な影富士。
2011年12月13日 14:14撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/13 14:14
現れた巨大な影富士。
幽玄なる地平線。
2011年12月16日 15:40撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/16 15:40
幽玄なる地平線。
倒れるようにテントに転がり込む。
疲れたな。それだけ。登頂の実感なし。
2011年12月16日 15:41撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/16 15:41
倒れるようにテントに転がり込む。
疲れたな。それだけ。登頂の実感なし。
山菜おこわにサンラータンスープ。
明日、下山したら、何食べよう。
2011年12月13日 17:36撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/13 17:36
山菜おこわにサンラータンスープ。
明日、下山したら、何食べよう。
3日間天気に恵まれる。運だけの男。
2011年12月14日 08:29撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/14 8:29
3日間天気に恵まれる。運だけの男。
水を作っていないことに気がつく。ツララをかじり、水分補給する。これが、めちゃうまっ。
2011年12月16日 15:41撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
1
12/16 15:41
水を作っていないことに気がつく。ツララをかじり、水分補給する。これが、めちゃうまっ。
1合目まで下山する。なんだかさみしい。
2011年12月16日 15:41撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:41
1合目まで下山する。なんだかさみしい。
帰りは遊歩道を歩く。
単調な道に半分寝ながら歩く。つらい。
昨日も3時間眠れただろうか。
2011年12月16日 15:41撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/16 15:41
帰りは遊歩道を歩く。
単調な道に半分寝ながら歩く。つらい。
昨日も3時間眠れただろうか。
北口本宮。普通の人達がいる。
感動する。疲れが飛ぶ。ほんとに帰ってきたんだ。
2011年12月14日 14:32撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
12/14 14:32
北口本宮。普通の人達がいる。
感動する。疲れが飛ぶ。ほんとに帰ってきたんだ。
場違いな登山者一人。参道を後にする。
友人に買ったお守りを持って。
2011年12月16日 15:41撮影 by  GR DIGITAL 3 , RICOH
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12/16 15:41
場違いな登山者一人。参道を後にする。
友人に買ったお守りを持って。
撮影機器:

感想

そういえば、富士に登っていない。
5年以上登山をしているのに。理由はいくつかある。
_討琉貘膣儻地と化している現状。
∪澑弔基本的に禁止されている。(と、思っていた)
ごみだらけらしい。
ぅ屐璽爐世箸流行など大っきらい。
ゥ好丱襯薀ぅ鵑箸いζ始が5合目まで続いている。
Ε淵鵐弌璽錺鵑剖縮がない。
理由を挙げたら、ただわがままな自分に気がついた。
でも、日本の象徴、富士にいつか登りたい。そう思っていた。そんな頃、
1年くらい前だろうか、日テレの「行ってQ」という番組でウッチャンが冬季の富士に登っている様子をたまたま目にした。もちろんガイドやスタッフが何人もサポートしている。
番組の演出もあるだろう。でも、そのウッチャンの姿にちょっと感動をしてしまった。
冬季に単独で富士に登れないだろうか。
番組のことは実はよく覚えていない。しかし、自分の中で冬季の富士に登りたいという思いだけが消えることがなかった。
そして、そのチャンスが来た。3連休。富士、御坂方面の天気予報は晴れ。予報ではこれ以上ない条件を満たしている。あとは意思の問題。

「決めた。行く。」

やるんだったら、とことんわがままをやりたい。3日間ある。実は1年前から北口本宮を拠点に吉田口ルートを1合目から登ったら面白いと考えた。江戸時代から富士講の人たちが歩いた古の道だ。明治にこのルートが復元されている。
かつて富士に思いを馳せた人たちが何を祈り、歩いたのか。
ルートは決まった。あとは実行に移すだけだ。
当日、富士山駅(かつての富士吉田駅)から北口本宮裏に回り歩くと、5.6歳くらいの男の子が「どこに行くの?」と聞いてきた。
でかいザックに目を引かれたのだろう。
「富士山だよ」というと、「富士山かあ」とつまらなさそうな顔をした。
この子にとって富士は裏山だ。高尾山といった方が反応は良かったかもしれない。
と、くだらないことを考えると、馬返しに到着。この先が一合目だ。
もうすでに2時間以上歩いている。
5合目までは歩きやすい良い道だ。ごみひとつ無い静かな道。実際、5合目まで誰にも会わなかった。
5合目の先で7.8名の登山者が降りてきた。冬季、1合目から登るこのルートは思ったよりも使われているようだ。
スバルラインにさしかかると佐藤小屋に着く。
テントを設営する。水は雪で作ろうと思ったため、スポーツドリンクしかない。
と、ちょうどよい雪の塊が置いてある。先ほどの人たちが使ったものだろうか。
とにかく、これがなければ、食事が作れなかったので助かった。
夜景を見ながら食事をし、寝袋に入るがやっぱり寒くて熟睡できず。3時間寝ればよい方だ。
翌日、4時には目が覚めていたが、明るくなってからのスタート。御来光には興味がない。天気は予報通り、快晴、無風。これ以上ない天気。
太陽が上がると、奥秩父方面、八ヶ岳、甲斐駒ケ岳、そして北アルプスが遠望できる。すんだ空気に浮かぶスカイラインが美しい。
8合目までピッケルを出さず、ダブルストックで上がった。夏道をそのまま上がれる。
8合目から先は、ピッケルとアイゼン絶対必須のゾーンに突入する。鎖はほとんど埋まっている。9合目から溶岩伝いに急斜面を直登する。
すると、5.6名のパーティが降りてくる。女性もいるようでアンザイレンで下降してくる。一歩降りるたびに岩と化した凍った雪が雨あられと頭上に降ってくる。
「ラク!」と聞こえてもよけることはできない。
ゴーグルはつけていたがヘルメットまでは用意していなかった(というか持っていない)。なるほど、昨日すれ違った人たちはヘルメットをみんな持っていた。
ゴルフボール大程の塊が頬を直撃する。
痛っ。痛いが、ここで燃えてきた。絶対、上がる。
楽石ならぬ、落氷をなんとかかわし、登山者たちとすれ違う。女性メンバーは「すみませんでした」と謝ってくれた。ただ、リーダー格の男は謝るそぶりなし。代わりに「上まで行くのか」と聞いてきた。
俺を無謀だと思ったのかもしれないが、礼節ない者に登山者たる資格なし。
さらに上がると、大柄な外国人2人組がなんとストックをついてなんでもないように降りてきた。
「ハロー」「ファイン」
と声をかけてきた。こっちの方たちの方が礼節があるようだ。
そして、見えた。あれより上がない。頂上だ。
100メートルほどの急斜面を横切ると最後の鳥居が見えた。ここをくぐり、すこし上がると、
「富士山頂上」と彫った石塔が立っている。
着いた。ここより上はない。大内院と呼ばれる噴火下降が見える。
猛烈な風が吹いていく。体が振り回される。小高い丘ようなところに木製の鳥居がある。そこまで吹き飛ばされないように歩く。鳥居にしがみつきながら、写真を必至で撮る。突風で体が下から浮き上がる。
剣が峰まで行けば、時間もない、命もない。
富士山最高地点はここで断念する。課題は残した方がよい。また挑戦する理由ができる。
セルフで一枚写真を撮り、速効で下山する。頂上には10分もいなかったかもしれない。
先ほどの急斜面を慎重に降りる。一歩踏み出すたび氷が石ころのように落ちていく。もし、誰かが下にいれば氷の雨を降らすことになった。
5合目までの帰路は本当に長くつらかった。体力はぎりぎりだった。余裕などなかった。途中、影富士や彩雲を見ながらも、早く降りたい、休みたい。それだけだった。
テントに転がり込むと、
疲れた。登頂の実感、喜びなどなかった。
その日の夜も寒く3時間も眠れなかった。北口本宮までの遊歩道で何度もザックを下して休んだ。浅間神社に到着するとたくさんの人がいた。
登山者でない普通の観光客を見るのがなんだか不思議な感じがした。
そのとき、初めて、あー終わったんだ!
喜びと成功の実感が急に湧いてきた。
いくつか友人にお守りを買った。
登山のついでであるけど、なんだか、もしかしたらこのために来たのかもしれないと、すこしだけ思った。











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コメント

素晴らしいです。
はじめまして、拝見させていただきました。
いやぁ、感動です。
ありがとうございました。
2011/12/19 7:22
「駅から登る」というのがいいですね!
はじめまして、yamaheroと申します。

厳冬期の富士山に駅からというのは粋な登り方ですね。
冒険的な雰囲気もプラスされて…  いいですね。

私も残雪期に駅からチャレンジしましたが体力不足で駄目でした。
もう、年齢的にも積雪期は厳しいようです。
こういう記録を見ると羨ましい限りです。

ところで、途中で山岳会のリーダーらしき人の礼節無い態度に気分を損なわれたようですね。
おそらく、makasioさんがノーヘルで単独だったので、素人だと思われたのでしょう。

私としては、リーダーさんは器の大きさを見せて
「厳冬期はヘルメットかぶった方がいいよ」ぐらいの言葉をかけてくれれば良かったかなぁ、と思います。
(まぁ、厳冬期の富士山でそんな優しい人いないか)

せっかく高い技術と意欲をお持ちでも、ちょっとしたことで軽く見られてしまいます。

それより何より、安全のためにも、次回の富士山の時はヘルメットかぶって、挑戦がんばって下さい。
2011/12/19 19:22
redcat_jpさん、はじめまして。
コメント、ありがとうございます。
3日間、天気にも恵まれ、人生最高の体験ができました。山って、本当にいいですね。
塔ノ岳の御来光、拝見させてもらいました。
御来光って・・・・いいですね
富士登山のときは明るくなるのを待ち、安全策をとりました。なんせ、初めて富士山に登ったのです。しかも冬季だし。
塔ノ岳だったら何度もいっているので、御来光、見てみたくなりました
2011/12/20 18:25
ヘルメット、必須でした。
yamaheroさん、はじめまして。
山岳会の方、そうですね。
僕も逆の立場だったら、
「おい、おい・・・大丈夫か、冬富士をなめるなよ」
と、思ったに違いありません。反省です。
自由な単独行が好きですが、山岳会に入って基礎から学んでみようかなと実は最近思っています。
yamaheroさんの甲州街道を経て高尾山へ、拝見しました。
僕、こういうのすごく好きです。 真似できませんが・・・。
目的地へ結ぶその過程が長く、険しいほど、達成したときの充実感や喜びが大きいものです。
yamaheroさんしかできない山行、次も楽しみです。
2011/12/20 18:43
冬富士。。感動しました!
makasioさん こんばんは。

三つ峠のレコで富士山に触れていましたが、
まさかその後すぐに冬富士を一合目から登るとは。。。
有言実行ですね。チャレンジ精神に感動しました。
ちょっぴり命がけですね。ご無事で良かったです。

余談ですがnoborundaさんとオベリスクに登ったんですね!
凄いです。私は下から見上げるだけで足が震えましたよ。
当日私も鳳凰でスライドしてますね。
あの日は稜線の風が強かったですね。
2011/12/21 0:19
houraikenさん、こんにちは。
遅い返信でごめんなさい。
富士をどうのぼるか。ずっと、考えていました。
たまたま、条件がそろったので。いざ、という形になりました。
本当に天候に恵まれ、無事に生還しました 。いまだに、感動と達成感に浸っています。
チャレンジということが、ひとつのモチベーションになっています。まったりも、大すきですが
オベリスク、登りましたよ。
←この写真、noborundaさんにオベリスクのてっぺんで撮ってもらった写真です。
自慢の写真ですよ。
鳳凰、スライドしているんですね!綾線、風、強かったですね。
でも、冬山の練習になると思って、あえて、ピストンすることしたんです。帽子を飛ばされた方もいました。
2011/12/26 14:03
素敵なレコですね。
makasioさん、おはようございます。

お話のレコ、拝見しました。
とっても素敵で厳しいレコですね。
僕の周りにも、さすがに積雪期に下から登った知人はいませんよ〜。
さすがだなぁ〜って感心しました。

落氷もこわいですね。しかも命中とは・・・。
ただ、これも怪我をしなかったところを考慮すると、貴重な経験かもしれませんね。

レコを見て、makasioくんのニュートラルなお気持ちと負けず嫌いさ、課題に挑戦する男らしさ、精一杯さ等々、いろんなことに感銘を受けました。
これからもいろんなことに挑戦なさってくださいね。
おじさんも応援していますよ〜。
2013/4/3 6:10
schunさん。
見てくれたんですね。
もう、懐かしい思いでですね。

makasio史上最大の挑戦でした。
ただ、あまりほめられたものではありません。
この時、冬山の経験は僅か一年。
ヘルメットすら持っていなかった。
知識も経験も乏しかったのです。
無謀でした。
無事に帰ってこれたのは、快晴無風の強運だから。
この日の前後にも遭難者は出ていました。

これは自分の中の思い出です。
しかし、最高の思い出ですけど。
2013/4/5 18:47
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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