記録ID: 21413
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
大雪山
大雪山・黒岳、北鎮岳、比布岳、愛別岳
1988年03月14日(月) ~
1988年03月18日(金)
- GPS
- 104:00
- 距離
- 30.8km
- 登り
- 2,063m
- 下り
- 2,312m
コースタイム
3日14日快晴:黒岳スキー場(9:50)→黒岳山頂(11:40)→黒岳小屋C1(12:00)
3日15日快晴後ガス風:午前桂月岳アタック・メンバーピッケルストップ練習・低気圧は浦河沖から千島へ・停滞C1=C2
3日16日地吹雪ー20度:停滞C2=C3
3日17日ガス後晴れ:C3(11:30)→北鎮岳(13:00)→比布岳(14:10ー30)→愛別岳(15:50)→標高1460樹林の中C4(17:15)
3日18日晴れ:C4(7:20)→白川(11:40)
3日15日快晴後ガス風:午前桂月岳アタック・メンバーピッケルストップ練習・低気圧は浦河沖から千島へ・停滞C1=C2
3日16日地吹雪ー20度:停滞C2=C3
3日17日ガス後晴れ:C3(11:30)→北鎮岳(13:00)→比布岳(14:10ー30)→愛別岳(15:50)→標高1460樹林の中C4(17:15)
3日18日晴れ:C4(7:20)→白川(11:40)
アクセス | |
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コース状況/ 危険箇所等 |
88年春の北日高パーティー最後の準備行山で、黒岳から北岳、比布、愛別へ全く白い稜線を縦走した。黒岳を起点として2000m台地を突き進むこの計画は天気の安定しないこの時期は、停滞確実の上、視界、風など悪い要因が重なるのであまり計画にあがらない。しかし人の作らない計画に惹かれるパーティー面々だったので、ルームでは数年振りの計画ゴーとなった。 黒岳北尾根はスキー場のリフ卜でずいぶん上までひっぱり上げてもらった。斜面は急でピークはすぐだった。しかしこのピークは違う。いきなり広がる2000mの高原はここが引き返し点ではなく、出発点である。これから緊張の白い台地が始まるという場所だ。はるか彼方まで続く標高2000mの雲上の高原台地は別世界だ。非日常に切り替わる瞬間だ。雪に埋もれて出入り口不明の黒岳石室に這い込んで侵入、翌日からなだれ来る低気圧を迎え撃った。 浦河沖の低気圧が千島へ進む2日目、前半は天気がいいが後半は冬型確実なので思い切って停滞、片道5分ほどの桂月岳の山頂を踏んであとは地下室のような石室でくわえタバコで延々トランプ。北鎮岳をのっこしていく数時間の行程を、視界と風を選んで出発する必要がある。こういうルートは天気さえ良ければ何もないが、視界が効かないだけで難易度があがり、風雪があれば危険度も上がる。結局この小屋で3泊ごろごろと過ごした。窓が雪で埋まっているため昼から暗く、ローソクをつけ、その灯りで終日ナポレオンをやった。下山最初のビールをかけてだ。 三日目のお昼近くになって天気が好転。ちょっと出発時間が遅いが、この晴れ間を使ってのっこしをかけることになった。日と風でガリンゴリンに凍った大雪原を越えて北鎮の登りにかかる。でくのぼうのドームのような山だが、展望は素晴らしい。何しろ北海道の第二の高峰だ。限られたチャンス時間をいかして、どんどん先へ超えていく。 北鎮岳からは、いよいよのっこしの緊張感を以て出発する。少し時間は遅いが、ここから先は引き返すわけには行かない。ノコギリと呼ばれる岩峰群の南側基部をトラバースし、広い雪原を抜けると比布岳の岡の上に立つ。ここに来て今までにない大雪山のアングルを知る。旭岳の裏側は何とも間抜けで憎めない姿だ。ここからの愛別岳は素晴らしい。北海道にもまだ知らないこんな尖ったピークがあったのかと思った。愛別の向こうの急斜面にはカンバ帯が見えている。なんとか日暮れまでには樹林限界に逃げ込めそうだ。 算段して愛別への斜面を下り始めたが予想外の強風に凍った雪面、ピークに辿り着いたのは午後4時になっていた。天候は安定に向かっているので、暗くなるまで行動しても大丈夫だ。石狩川の対岸のニセイカウシユッぺは夕日を浴びて美しく、その南稜から大槍へのスカイラインはあの世との境のように厳かだ。次はあの山に登る、と思うと幸せを感じる。 愛別からの急な下りの雪面は今にも雪崩そうにフワフワの雪が腰まで潜った。僕は先頭を一人離れて下る。時間ぎりぎりでのっこしをかけて、樹林帯を前にここで雪崩れたらまずい。辺りの夕日の美しい朱色の中で、怖さと感動の板挟みの感情。しかし冴えた頭で行動はしなやかだ。なんだかいいようのない恍惚である。不思議と死が違和感なく感じられたり。 半分暗くなってからタンネの森に逃げこんで夏テンをはった。心地好い疲労感でぐっすり眠った。 翌朝はスキーで快調にとばして無人地帯のバス停「日東」へ。バスがくるまで1時間、さんさんたる日光のもと、ザックに腰掛けて、ナポレオンの総決算をやった。結局僕の一人負け。ニセイカウシュッペの見えるバス停だった。 |
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