LAKE BIWA 100試走
- GPS
- 18:34
- 距離
- 95.8km
- 登り
- 5,229m
- 下り
- 5,405m
コースタイム
- 山行
- 1:59
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 2:02
- 山行
- 14:30
- 休憩
- 1:12
- 合計
- 15:42
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
帰り:比良駅 |
写真
感想
kohimo隊長と中央アルプスへ行く予定でしたが、台風の心配もあり中止になったので、10月開催予定のLAKE BIWA 100という100mileレースの試走に行ってきました。
LAKE BIWA 100(LB100)は御在所岳から鈴鹿山脈を南下し、柘植から信楽を越えて、比叡山から比良山脈を北上し、琵琶湖バレイに向かう100mileの山岳レースです。
(もう、果てしなくて訳が分からない)
鈴鹿山脈は以前に踏破してコースタイムもだいたい把握できるので、今回は後半部分をどんなもんか下見してきました。
■スタート
紫香楽宮跡駅からスタート。
貴生川駅で30分の電車待ちがあったので貴生川からスタートしようかとも考えたが、ここは確実にゴールするため無理せずホットコーシーとパンを食べながら電車を待つ。
信楽鉄道は、誰もいないローカル線かと思いきや、結構乗車率が高めで驚いた。しかしながら、5インチの短パンをさらけ出したオッサンは私一人のようだ。
本番ではスタート地点で73kmの山々を越えてきている計算になる。今回はフレッシュな足でスタートするが、真夏のハンデと差し引いてちょうどいいくらいじゃないの。などと、今から始まる恐怖の連続にまだ気づいていない。
■AS5 田上枝公園(ファミマ)
ここまでは楽勝。と、行きたかったところだが、細かいトラブル続出でこれから先の不安しかなかった。
・スタート直後のプチ藪で蜘蛛の巣スパイダー攻撃に遭い失速
・ビチャビチャトレイルで山ヒルのドラキュラ攻撃に遭い出血
・ロードで寝静まった住宅地をウロウロして犬に吠えられ挫ける
本番では田上枝公園がエイドステーションになるが、今回はもちろんエイドは無いのでコンビニに突入。最近、深夜は閉めているコンビニもあるので不安だったが開いててよかった。
■AS6 小関越(何も無し)
ここまで景色も何もない単調なロードとトレイル。延々と続く林道は嫌いじゃないけど少し眠くなる。国道1号と交わるロードで自販機補給くらい出来るかと思ってたので、AS5のコンビニから約30km何の補給もできなかったのが精神的に辛かった。
■AS7 北白川児童公園(ファミマ)
長い夜だった。ようやくたどり着いた印象。
途中、逢坂山の絶景や大文字からの景色に癒されたが、ほぼ何もない低山里山トレイルなので、蒸し暑く、AS5で2L準備していた水も底をつきかけた。大文字の下りで沢を発見して朝の身支度を整えてから銀閣寺の街中へ。
コンビニで何するか考えながら走ってたので、計画通りに補給し比叡山に向かう。
・炭酸水とアイスボックスを買ってプチ宴会気分
・ぶっかけうどんにゆで卵をトッピングでプチ贅沢
・頭からぶっかける用の水を洗面所で補給
・氷結麦茶ペットボトルで頭を冷やしながら比叡山アタック
■AS8 還来神社(何も無し)
奥比叡ドライブウェイ沿いの補給個所は全く見つけられず、叡山ケーブル比叡駅の自販機が最後の補給となるとは、この時は知らなかったので炭酸缶ジュース1本で先に進んだ。水は2Lあったので大丈夫と思ってたが、仰木峠で京都一周トレイルから比良比叡トレイルにスイッチすると、トレイルの様相は一変した。急登が連続する無限回廊トレイルだ。途中で水がなくなりリタイヤした昨年夏の尾鷲を思いだす。
比良比叡トレイルは、OSJ新城、Koboトレイル、尾鷲に次ぐ、私的4大無限回廊に認定。
何度も小ピークを越えるが、全く終わる気配が全く無い。気温はグングン上昇する。あかん、これで還来神社まで行ってコンビニ無かったら確実に終わる。大原に下りてリタイヤするのが良い判断じゃないか。悪魔(天使?)の囁きが聞こえる。
この夏にチャレンジした熊野三山も六甲60kmも全て失敗に終わっている。リタイヤ癖を残したままLB100への挑戦などあり得ない。絶対にゴールする。大原へのエスケープは無い。強く心に誓い、弱気な自分に寄生するリタイヤウイルスを蹴散らした。すると、突然軽トラックに遭遇した。
爺「どこまで行くん。大原に下りるんか?」
私「蓬莱山まで行こうと思ってます」
爺「ええっ!こっから蓬莱山かいな。どっから来たん?」
私「信楽から来ました」
爺「ふゎぁぁぁぁー。なんと!凄いことしとんな。気ぃつけて、頑張りや」
ここまで鹿以外の誰とも遭遇することが無かったので、他愛もない会話でも元気が出た。しかも、行くって宣言した以上、ゴールするしかない。あのお爺さんは私の覚悟を確かめるために現れてくれたのだろうか。
無限回廊最後のピークを越え、急登を慎重に下ると源流の天然水を発見!まさに命の水。タンクトップを脱いでジャブジャブ洗う。めっちゃ気持ちいい。ここを降りて街中に出ても、自販機は無いかもしれない。全てのペットボトルを冷たい沢水で満水にして、ラスボス・蓬莱山の準備を整える。
自販機は無いかも。と、覚悟はあったが、JAのスーパーとか、ご飯食べられるとこがあったらいいな、まで期待していた。下調べで何もない場所にスーパーが突然現れるわけもなく、自販機も無いまま比良比叡トレイルを表す標識に到着した。手持ち食料は柿の種、ソイジョイ、オールレーズンなどの行動食とさっき調達した天然水のみ。何とかなるやろ。という気持ちになれず、少し遠回りしても確実にゴールしたかったので、この先に自販機が無いか近くで畑仕事をしていた方に聞いてみた。
私「このあたりに自販機ありませんか?」
神「この先にあったと思うけど、何で?」
私「蓬莱山に登ろうと思うのですが水分補給しておきたくて」
神「ここから蓬莱山って無茶な!それなら家に冷えてるのがあるから持っていき」
私は神様に遭遇したようです。ずっと火照って全身暑いのですが、更に胸が熱くなるのを感じました。申し訳ないので自販機まで行きますとも申し上げたのですが、そんなことしてたら遠回りになるといって、神様は1Lのポカリとキンキンに凍ったアクエリアスを出してくださいました。
私「本当に助かりました。お気持ち程度で恐縮ですが支払わせてください。」
神「あかん!そんなん受け取らへん。早よ行きなさい!」
何度もお礼をして、逃げるように登山口に向かい、待望のポカリを口にした瞬間、全身の細胞が歓喜を上げました。あまりの美味しさと神様への感謝で涙が出そうになりましたが、脱水で涙は枯れ果てていました。しかし、このポカリの味は生涯忘れることが無いでしょう。ポカリを得た体はガシガシと登りを消化し、冷凍アクエリアスで首や額を冷やしながら、ゴールへの不安が確信に変わりました。
■Goal 比良レークハウス
本来ならカンカン照りの太陽が容赦なく体力を奪ってくる時間帯。ゴールすることを諦めなった恩恵なのか、お天道様も手加減してくれて、丁度良い具合に曇っている。それでも蒸し暑く、滝のように汗が流れ出る。霊仙山をクリアして、残る大きなピークはあと2つ。右手に琵琶湖を見下ろしながら進めば確実にゴールは近づいてくる。こんな簡単なことなのに、霊仙山山頂で方向感覚を失い、ピークを越えたところで逆走していた。簡単なことが出来なくなるくらい疲労がピークに達している。それでも、冷凍アクエリアスのおかげで、体温を上昇させ過ぎずに稜線へ出ることができた。残りは2つ。
ズコノバンを越えて権現山へ。垂直に思えるほどの急登をよじ登り山頂を目指す。無限回廊を登ったり下りたりするよりも、急でもわかりやすい登りの方が得意かもしれない。スピードは出ないが、淡々したリズムで一歩一歩前に進む。明らかにピークと分かる山頂が見えてきたが、偽ピークかもしれない。騙されないぞ!とその先に続くかもしれない登りを警戒しながらピークに出ると、そこは360度見渡す限りパノラマの絶景が広がっていた。行く先にはゴールの蓬莱山頂も見える。あれほど疲れていた体が一気に軽くなり、あとはひたすら山頂を目指すのみ。天空の稜線を山頂目指して突き進む。LB100でゴールするイメージが出来た。
観光客で賑わう蓬莱山頂・琵琶湖バレイに到着した瞬間、思いっきり芝生に倒れこんだ。やり切った安堵感と達成感が全身を包む。ファミリーやカップルでにぎわっている山頂で短パンノースリーブのオッサンが横たわる光景は何よりも美しい(そんなはずはない)。
山頂の売店で「世界一美味しいコーラ」を購入し、90km走破してカラカラになったカラダに500円の贅沢品を流し込む。これくらいの贅沢は許してほしい。世界一美味しいコーラを、世界一美味しいタイミングでいただいた。最高という言葉では物足りない、マクシマムでファンタスティックな瞬間だ。(語彙力の限界)
山頂の高原に吹く心地よい風で体を十分に冷やした後は、観光客をかき分け、1,000mを一気にダウンヒル。ガレガレの岩場で全ての足を使い果たし、琵琶湖畔のロードに出たときは暑さと疲労で走れなくなった。決して、湖水浴の水着を眺めたくて歩いていたわけではない。
水着姿の若者たちから「えっ、何あれ?なんでこのクソ暑いのに走ってんの」という白い目線を浴びて待望のゴール。ここから温泉施設まで走る予定だったが、もう1歩も動けない。
確か近くの温泉施設で送迎バスがあったハズだと電話してみるが、一番混む時間帯に電話したため、送迎を断られ路頭に迷う。比良駅近くの格安券売機で切符を買うと、おごと温泉駅で降りられる分割切符だった。おごと温泉で一旦電車を降りたが、汗を流したいだけなので、おごと温泉は面倒だと思い、そのまま京都まで行って450円の公衆浴場へ。水風呂に浸かりながら今日の出来事を振り返る。
諦めなければ道は拓ける
還来神社の神様が現れなければ最後まで行けなかったかもしれない。でも、絶対に諦めないと決めていたので神様が道を拓いてくれたのだと信じたい。本当にありがとうございました。
感謝してもし切れないので、LAKE BIWA 100本番でもう一度還来神社にお参りし、今回の御恩に報いたい。
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