大キレット–奥穂高岳 〜マイペース歩きの四泊五日〜
- GPS
- 104:00
- 距離
- 27.7km
- 登り
- 2,996m
- 下り
- 2,985m
コースタイム
二日目 槍平小屋07:40―13:13南岳小屋14:13―14:26南岳14:40―14:48南岳小屋
三日目 南岳小屋06:57―10:47北穂高岳11:44―12:00北穂高小屋テン場
四日目 北穂高小屋テン場06:35―涸沢岳09:11―09:30穂高岳山荘10:40―11:30奥穂高岳11:48―12:20穂高岳山荘
五日目 穂高岳山荘07:05―白出沢出合11:19―12:37新穂高12:41―鍋平駐車場13:27
天候 | 19日 曇り後雨 20日 晴れ後薄曇り 21日 晴れ後薄曇り 22日 晴れ 23日 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
途中、雨の影響で川の渡渉ができないとか、ガケくずれで通行できないなどということはありませんでしたが、ただ、稜線コースの状況は皆さんご存知のとおり。 お気をつけて。 |
その他周辺情報 | 下山後は新穂高温泉、無料駐車場横にある深山荘の檜風呂と露天風呂。 身も心も洗われます。 |
予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
少々厳しい穂高の稜線も、体力の消耗を少なくして、のんびり景色を楽しみながら歩けたら、こんな素敵な山旅はない。
時はシルバーウィーク。
時間はたっぷりある。
後は天気だけ。
ということで、連休に合わせるかのように発生した台風も、幸い日本列島を逸れてくれて、普通で一泊二日、もしくは二泊三日のコースを、思いっきりゆとりをとって四泊五日。1日の地図上平均コースタイムがなんと4時間22分と、ゆるっゆるの日程で体力を温存しながら穂高の稜線を歩いてきた。(それでもキツかったが。汗)
以下は、その顛末をさらっと。
一日目(9月19日 曇り後小雨) 新穂高〜槍平小屋
前夜10時半、新穂高の無料駐車場に到着するも、すでに満車。
そこからかなり離れた鍋平駐車場に向かうハメに。
(23日の下山時に警備員さんに聞いたところ、この日は夜10時頃には既に満車で、鍋平の方もその後満車。多くの車が道路に溢れる状態だったとか)
仮眠の後、朝5時57分駐車場を出発。40分近く歩いて新穂高の本来の出発地に到着。言ってみればここまでは本当なら歩かなくていい距離だったはず。
7時04分、登山届けを提出して改めて出発。
単調な林道歩きが続くこと2時間。白出沢の手前で林道が終ると、そこからは本格的な登山道に変わる。
ここから槍平小屋までは樹林帯の中の歩きで、こちらもまた単調。
12時過ぎ、傾斜が緩くなって小屋近しかな?と思った頃、目の前に槍平小屋が現れた。
テン泊代1,000円を払ってテント設営。
旨そうな流しっぱなしの水が無料なのは有難い。ここで2ℓ補給して担ぎ上げることにした。(極力荷物を軽くしたい身にとって2ℓはちと重いが)
酒の肴にコンビニで買った、野菜の浅漬けがメチャクチャ旨かった。(これは次回も必携)
二日目(20日 晴れ後薄曇り)槍平小屋〜南岳小屋
昨日、テントに入った後降り出した小雨もすっかり止み、夜中には星も輝きだした。
朝、出発しようとしたところで、男性が一人しきりに足の状態を気にしている。
聞けばここまで来る途中で足をくじいて、一夜明けても違和感が消えないとのこと。見た感じではどうも無理なようだが、このスカっと晴れた空に諦めきれない様子。
「またいつでも出直すことができるし、無理しないで」と慰めにもならない言葉で励まして、こちらは南岳小屋目指して出発。7時40分。
コースタイム通り結構な急登がつづいて、しょっぱなからペースが上がらない。
やっぱり2ℓの水は失敗だったか、などと思いながら歩いているところへ後ろから声を掛けてくる人物が。
「やっぱ来ました」
おやおや、来ちゃったよ。あの男性。
「何かあったら困るよ」とは言ってみたものの、気持はもう固まっているようだ。
スローペースの小生の足と、足をかばいながら歩く男性の足の速さが微妙に一致して、結果的に以後小屋まで同行することに。
森林限界も越え、登る程に景色も広がってくる。
後ろに見えるはずの笠ヶ岳は頭にガスがかかって、今ひとつ同定できないが、右には明日行く北穂高岳が見え隠れしてくる。
南岳小屋近くになると、左には槍が頭を出してきた。
南岳小屋到着が1時13分。
テントを張った後は、とりあえず南岳頂上(3,032m)を踏んでおこう。
前後に名だたる山が控えて、南岳はどちらかといえば通過点のような存在だが、そこから眺める景色はやっぱり一級だ。
東には常念岳が、北には槍がガスの間から迫って見える。
当初、まるっきり反対方向の常念岳を笠ヶ岳と勘違いしたのはここだけの話。このとき、笠ヶ岳にはまだガスがかかっていた。
テントに帰ってからは、ここまで同行してきた三重の男性と、それに道中同じようなペースで登ってきた「山は楽しまなくちゃ」がモットーという、東京からの男性三人で宴会。
その夜は、朝までグッスリ眠ることができた。
三日目(21日 晴れ後薄曇り)南岳小屋〜北穂高小屋テン場
6時57分出発。
いよいよ大キレットへ。
いままで他の山から、半ば羨望の思いで眺めていたものだが、それが叶うときがきた。(ちょっと大袈裟か)
間近でみる大キレットはやはりスケールが大きい。
どなたかのブログで、「知らない間に大キレットを通過していた」と冗談めいたことを書いていたが、その気持も分からないではない。
キレットに突入したところで、早々に目印を見落としてコースアウト。20m程進んだところで、これ以上進むのはどう見たって無理。おかしいなと思いながら、後ろからやってきたお二人さんに「コースこっちでいいんですよね〜」と聞いたところ、「違いますよ〜、こっちですよ〜!」の返事。
大丈夫か、自分。
それでも、なんとか順調に下りをクリアして次のH(長谷川)ピークも無事通過。
Hピークは自分が通過しているときよりも、後で通ってくる人を見る方がよっぽど怖い。
ところで、「飛騨泣き」ってどこだったんだろう。知らない間に通り過ぎた。
最後は小屋への急登を喘いで登って、北穂高岳頂上(3,106m)到着10時47分。
ここから見る奥穂高岳は少しガスがかかっているが、もう間近に見える。
テン場までは下りで15分、登りで20分とある。
仮に、夜中にでももよおすなどしてしまったら、どうしたらいいというのか。
そんなことも考えずに売店でビールを購入、いっきに飲み干してしまった。
(携帯トイレはやっぱり必要だ。恥ずかしながら改めてそれを実感した)
そんな事情も考慮してのことだろう。テント代500円はなかなか良心的だ。
四日目(22日 晴れ)北穂高小屋テン場〜奥穂高岳
空は真っ青、今日もいい天気になりそうだ。
6時35分、出発。
トイレの方はなんとか大丈夫だった。
小屋に寄ってスッキリしたところで奥穂に向かおうかとも思ったが、できるだけ無駄な力は使いたくない。我慢。
相変わらず鎖や楔(足がかり用に打ち込まれた鉄の棒)などの難所が続くが、もう、これまでの経験でちょっとやそっとの危険箇所には恐怖心を覚えなくなってきている。(いかんいかん、油断は禁物)
背後の槍は、進むほどに徐々に小さくなっていく。
一方で、右方向を見ると笠ヶ岳はいつも変わらずそこに佇んでいる。まるで、その大きな山体ごと一緒に移動してくれているかのようだ。
通ってきた大キレットの最低コル辺りを歩いているときも思ったが、こちらも最低コルの辺にくると、それまでの、人を拒絶するかのような岩壁のコースから、一変して実に穏やかな登山道に変身する。そこだけ歩いていると、まるで千メートル級ののどかな山を散策しているかのようだ。
歩き始めて2時間半、垂直の岩場を登るとひょっこり涸沢岳頂上(3,110m)に飛び出した。眼下には穂高岳山荘が、そして、垂直の壁を上がったその向こうには、奥穂高岳頂上へとつながる道が延びている。
9時30分、穂高岳山荘に到着。
さっそくテントを設営。
ゆっくりくつろぐのは頂上に行ってきてから。身軽になって今回の最終目的地、奥穂頂上へ向かう。
そして、奥穂高岳頂上(3,190m)到着、11時30分。
気のせいか、ここから見る周囲の景色はまた一味違う。
北のランドマーク、槍はすっかり小さくなってしまったが、その存在感はやはり変わらない。笠ヶ岳も常念岳もカッコいい。
そして、西穂方面。
ロバの耳、ジャンダルム。
また来る機会があったら、身軽な装備で挑戦してみたいものだ。
でも、もうそんなに若くはない。無理はしない。
テントに戻ると、隣に新しくテントが張られていた。
伺うと滋賀から来られたとのこと。お互い半地元の鈴鹿の山のことなどで話題には困らない。もう少しお酒を付き合えれば良かったかなと後になって思った。
「明日は早朝に出掛けるので迷惑をかけるかもしれない」
とのことだったが、翌朝、男性は知らない間に音もなく発っていった。
五日目(23日 晴れ)下山
穂高の稜線とも別れを告げて今日は下山。
7時05分、穂高岳山荘を出発。
これまでは横に見ていた笠ヶ岳を、今度は前方に見ながら山荘から続く岩屑のガレ場を下って行く。
途中、頻繁に目印を失ってコースに迷うが、これもゲーム感覚のようなものだと思えば苦にもならない。
ただ、ペースだけはゆっくりと。過去、ガムシャラ下って何度膝や腰をやられて泣かされたことか。
ガレ場を過ぎてからも、しばらくは急な下りが続くが、それも少しの辛抱。
強い日射しが遮られた樹林の中は歩きやすい。
進むほどに道はなだらかになって、行きに通った白出沢出合には思いのほか順調に到着。
五日間の余韻に浸りながらの林道歩き1時間18分。新穂高に到着。
下山届けを提出して、出発点の鍋平駐車場に向かう。
そして、鍋平駐車場着、1時27分。
無事、今回の山旅の終着点を迎えた。
深山荘の檜風呂で汗を流し、車中に漂う檜の香りに癒されながら帰途についた。
穂高山荘のテント場で隣に張らしてもらったものです。
音も無く風のように撤収した後は無事に西穂高岳まで縦走できました。
本当はもっとお話ししたかったんですが、実はこめかみが痛くてさっさと寝てしまいました。
私も日数にゆとりのある山行がしてみたいです。レコ読んで非常に羨ましく思いました。
山で一人物思いに耽るのもいいものですが、やっぱり、少しでも気持を共有できる人がいると、山の楽しみもまた全然違ってくるものですね。
あの日は、疲れからかアルコールがあまり進みませんでしたが、RYOSUNさんとお話しさせていただいただけで、その量が変わりました。
無事、西穂まで縦走とのこと。
私も、自分の年齢と相談しながら、遠くないうちにでもそのコースに挑戦できたらと思っています。
また、お立ち寄りください。
先ずは無事に下山できて何よりです。
私と違い写真を撮る余裕があり、山を満喫しているのが
伝わってきます。いい山歩きですね
でも正直、カメラ片手にキレットは大丈夫かな〜っと
思っていましたが要らぬ心配でしたね。
カメラケースは不必要?
お話を聞いてしまうと、カメラケースはやっぱり欲しいですね。
その他、いろんな情報をありがとうございました。
全部揃えようと思うと予算オーバーになってしまいますが・・・笑
Inagakiさんは、アルコールはあまり、ということでしたが、三人での宴会、楽しかったです。
また、鈴鹿などに行かれる予定があったら連絡ください。
一度ご一緒できたらと思っています。
最後に、背中の映った私の写真、コピーさせていただきますね。あれはお気に入りです。
10月18日の白山南縦走路の避難小屋付近でお会いしたものです。
その節は楽しいお話しありがとうございました。
お話しの中にあった新穂高温泉からの南岳〜奥穂周回とはこの報告だったのですね。
お聞きした通りの内容でした^^
私も以前、駐車場に止められず鍋平まで上がりましたが、山行を終えて新穂高温泉まで下山してから鍋平まで上がるのは気持ち的にシンドかった記憶があります。
でも無料で利用できるのでありがたいのですが。
報告を拝見したのはこの1件だけですが、また遊びにきたいと思います。
では、今後も楽しい山旅を!
↓2015/10/18 22.別山登山(白山南縦走路 石徹白よりピストン)
http://ghblog.sunnyday.jp/yamakiko/2015/1018-191229.php
yamakikoさんこんにちは
失礼しました。「南岳-奥穂高岳」の中にコメントいただいていたのですね。
気付かずに朝、yamakikoさんの「別山登山」の記録を拝見し、コメントさせていただきました。
お話の中で出たジャンダルム。
奥穂から西穂山荘までの距離を考えると、私の年齢からして、挑戦できるのはせいぜいここ数年がリミットだと思っています。
その点、yamakikoさんだったら行こうと思えばどこでも楽勝ですね。
羨ましい限りです。
そうそう、別山の御手洗池は表示板が風化していて、通過した後に見下ろして気付きました。絶妙な位置にある素敵な池でしたね。ビールでも飲みながら一日のんびりしていたいような場所でした。
また、ちょくちょくホームページ拝見させていただきます。
山歩きは体が資本。ケガなどされないように気を付けて。
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