朝日連峰 出谷川中俣沢
- GPS
- 23:27
- 距離
- 31.0km
- 登り
- 2,579m
- 下り
- 2,476m
コースタイム
- 山行
- 7:11
- 休憩
- 2:10
- 合計
- 9:21
- 山行
- 8:09
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 8:35
天候 | 16日 雨時々曇り 17日 晴れ時々曇り 18日 稜線ガス 麓晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
もう1台で南俣登山口へ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
八久和川本流 出谷川 中俣沢 体感3級上 水量少ない 水温ぬるい 魚影あり ラバー○ SBなし ■アプローチ〜ウシ沢下降 南俣登山口から焼峰経由で天狗角力取山まで登り、湯沢峰方面の縦走路に入る。 1つ目のコルから右の藪に入ると、すぐにウシ沢の沢型が現れ、そのままウシ沢を下降する。 滝は何個かあるが、いずれもクライムダウンか小さく巻いて下降出来る。中には真新しい残置ロープまであった。 下降時間90分程で出谷川に至る。 ■出谷川〜中俣沢出合い遡行 ウシ沢を下降して出谷川に合流する地点は、コマス滝を含む立派なゴルジュになっており水線突破は厳しい。 出谷川に合流する直前にウシ沢の左岸にコマス滝の巻道らしき踏み跡があったが、我々はとりあえず出谷川まで降りてこの目でゴルジュとコマス滝を確認してから右岸の藪に入る。 なんとなく踏み跡を追って行くと懸垂なしでゴルジュ上に降り立つ事が出来た。 ゴルジュ上の右岸に優良物件を見つけたので、1日目はここで終了。 2日目は、河原や淵を進むと呂滝登場。今回は水量もかなり少なく釣り師もいなかったので、躊躇なく泳いで取り付き右壁を登ってあっさり突破。 その後もダイナミックな渓相の中を積極的に泳いでは登り、泳いでは這い上がりを繰り返しながら進む。 この辺りは、水温や水量で突破の仕方が変わってくるだろう。今回はかなりの好条件であった。 855m付近で左岸から西俣沢が出合い、そのすぐ先の左岸から出会う沢が中俣沢である。 西俣沢出合いまではテン場適地は至る所にあるが、増水すると危険な場所も多い。 ■中俣沢遡行 中俣沢に入ると沢幅も狭まり、大味だった渓相から一気に沢登りらしくなる。 出合いから滝が続くが、相変わらず泳ぐ場面も多く、体力勝負の始まりだ。 15mの滝でザイルを出した他はフリーで越えて行ける滝が多い。ゴルジュ帯も出来るだけ水線から突破したり小さく巻いたりしたが、ゴルジュ帯を一気に巻くなら大高巻きになるだろう。 終盤の疲れてきた頃に現れる連瀑帯は、3段目くらいまでは左岸巻き。 巻きの途中に岩壁が出てくるので、これを右からさらに巻き上がれば連瀑帯を全て巻くルートだと思われる。 我々は岩壁の基部を左へトラバース。降り立った場所は3段目の落ち口辺りだったので、そこから連瀑帯上部の滝を直登、或いは左岸リッジからフリーで攀じった。 連瀑帯を登攀するならザイルは出した方がいい。 連瀑帯を抜けると一気に源頭の雰囲気。疲れ切った体にムチを打って小滝を越えて行くと草原になり、西に傾いた日を浴びながらビールが待つ狐穴小屋へグランドフィナーレとなる。 ■下山 狐穴小屋から一般登山道を、寒江山、竜門小屋を経由して日暮沢へ下山。 下山時間はヘロヘロで5時間半。 記mooree |
その他周辺情報 | ゆったり館 |
写真
装備
個人装備 |
登攀具一式
泊り装備一式
|
---|---|
共同装備 |
30mザイル
20m補助ザイル
|
感想
秋の天気は気まぐれです。計画しては雨で流れること三年目。今年も直前まで予報に雨マークがチラチラ見え隠れ。しかし渇水であえぐ今年の朝日連峰は多少の雨では問題ないはずと、ついに念願の出谷川中俣沢行ってまいりました。
途中の天狗小屋ではビールに釣られて危うく沈殿しそうになるところでしたが辛うじて自制心が働き脱出成功。おかげで好天の中無事中俣沢の遡行を完遂する事が出来ました。
しかし寝ても体力回復しないお年頃の二人は二日目三日目と喋る気力も出ない程ヘロヘロになりながら帰途につきました。山は逃げないけどドンドン遠くなるな。
初日、まだ薄暗い中をヘッデンをつけて歩き出す。
空はどんよりと重い雲がかかり、シトシトと雨を落としている。
カッパを着て歩き出すが、汗で蒸れて暑いので早々に脱いだ。
出谷川中俣沢の遡行を成功させるため、初日の今日は天狗を越えて出谷川に降り、出来れば呂滝も越えておきたい。
しかしそんな心とは裏腹に、雨脚は強まりをみせている。
八久和川の完全遡行をするならば、入渓地点は八久和ダム上流となり、林道と踏み跡を辿って入渓となるが、これには通常4泊5日を要する。
今回の計画はそれの途中からである。
最近開通されて話題の、8の字周回の出谷川渡渉地点から遡行を開始する計画だ。
その為には、アプローチで登山道を6時間程登り下りしなければならない。
この登山道歩きが効いた。
沢のアプローチで6時間か・・・。
めっきり登山から遠ざかっている私は、情けない事に気持ちも体もまったく登る気をみせない。
これはヤバい・・・、アプローチ敗退が何度も頭をよぎる。
ソロなら間違いなく帰ってる。
相方の鶏氏には申し訳ないが、
「ダメかも」
この言葉がもう喉から出たがっているのだ。
そんな私を後ろから見ていた鶏氏は一言、
「無理そうなら中止でもいいよ」
あまり口数が多くない鶏氏が苦渋の気持ちで発したのは痛い程伝わる言葉だった。
とりあえず天狗小屋まで。とりあえず・・・、とりあえず小屋まで行こう・・・。
なんとか気持ちを奮い立たせながらも、強まる雨に気持ちも一緒に流れていくようだった。
ヘロヘロになりながらようやく着いた天狗小屋で、とりあえずコーヒーを飲んで一息つく。
管理人さんや居合わせた登山者と談笑しているといつの間にか2時間も経っていた。
気付くと体調も回復してきているし、雨も小康状態だ。
管理人さんはしきりに泊まって行けと誘ってくれてはいるが。
どうするか・・・。
今日はここに泊まって明日早出すれば、夕方には狐に抜けれるだろう。しかし時刻はまだ昼前だ。
ここに泊まってもいいよと言っていた鶏氏に、ここに泊まるか、これから出谷川まで降りてどこかで幕を張るかの気持ちの割合を聞いみた。
「出谷川まで降りて泊まりたいが95パー」
そこにいる誰もが驚いた。
ビールを開けるのも時間の問題だった流れなのに、95パー行きたい?
人の気持ちは聞かないとわからない。
この言葉を聞いて目が覚めた。
ここに泊まる?それでなくても明日は狐小屋に泊まる予定なのに。
笑いながら引き止めてくれてる管理人さんに、
「我々は沢ヤなので!」
と、今までのひよった自分に言い聞かせるように捨て台詞を吐いて天狗小屋を後にした。
当初の予定では登山道で出谷川まで降りる予定だったが、少しでも距離を稼ぐためにウシ沢を下降して出谷川に降り立つ事にした。
コルから藪に入るとすぐに沢型が現れ始める。
そして沢水に足を入れた瞬間、全てが覚醒した。
「やっとだよ、これだよこれ、ようやく通常モードだ」
思わず声に出た。
歩きやすい登山道では辛く苦しい思いをしてたはずが、どう見ても登山道より歩きにくい沢に入った途端、楽しくて仕方なかった。
「沢に入った途端元気になったね。付いていけないよ」
そう鶏氏に言われて笑うしかなかった。
そしてあっという間に出谷川に合流。コマス滝上の極上物件が空いていたので、雨も相変わらず降り続いているし、即決でタープを張り行動終了とした。
濡れた薪を根気強く安定させ、焚火と酒を喰らった瞬間はまさに至福の一時だった。
小屋に泊まらなくて本当に良かった。
と、長々書いてまだ初日終了かよ、と突っ込まれそうだが、これで完結である。
今回の旅の核心は、私の中では紛れもなくこの初日の登山道歩きだった。
肝心の中俣沢遡行は、写真の通り素晴らしい渓相で、朝日のスケールのデカさをこれでもかと堪能出来るまさに名渓と呼べる素晴らしい沢であった。
西陽に輝く狐穴小屋に詰めあげて、鶏氏と交わした固い握手は一生忘れる事は出来ない私の宝物になった。
そして最後に。
狐小屋で呑み交わした仲間と登山者の方々、管理人さんのパーティー、天狗で話を交わした登山者の方、管理人さんとスーパーお婆ちゃん。泣く泣く天狗で芋煮を振舞ったオヤジ。お土産を持たされて重荷を担いで狐まで来たお姉さん。
皆がそれぞれの想いを持って朝日に集まり、それぞれの目標やチャレンジをしてる最中にまさに一期一会の出会いとして話を交わし、酒を呑み交わしたその時間は、私にとってかけがえのない貴重な時間となりました。
心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。
そして何より
「出谷川まで降りる気持ちが95パー」
この鶏氏の一言がなければ、今回の出谷川中俣沢遡行の成功はなかったと言っていい。
色々迷惑をおかけしました。本当にありがとうございました。
おしまい。。。
コメント
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来年は、どこの沢かな?
来年も朝日の沢に行くつもりなのでそろそろシノンさんを誘おうかと思っています。もう沢はじめないと間に合いませんよ?
絶景の連続でしたね。さすがは朝日の沢って感じでした。
来年は荒川流域辺りかな〜😁
これからもお二人のご活躍楽しみにしております。
隣でプシュとはじめたときはさすがに心が揺れ動きました。ヤマレコユーザーとお伺いしたとき何だかタイミングがずれて自己紹介し損ねてしまい大変失礼いたしました。明光山コースの整備もしていただいたのにお礼も述べず重ねて失礼いたしました。色々楽しいお話お伺い出来てその後の行動に弾みがつきました。あのあとも何やら楽しい時間だったようで泊まらなかったのを少しだけ後悔しております。次回どこかでお会いしたときは心ゆくまで飲んで語り合いたいものです。
その節はお世話様でした😊
昼前からのビール羨ましかった〜笑
今度はご一緒にゆっくりと山談義しながら呑めたら嬉しいです🍺
お疲れ様でした!
ん?今回は収穫せずでしたかな?
私はあまり知識ないですが、鶏氏は紫の怪しいキノコを採ってました。
狐穴に悠然と現れた二人は沢屋としての貫禄が見えた気がしました(笑)
それにしても三年待った甲斐がありました。良い沢でしたね。マニマニさんもいつか是非行ってみてください。叫び出したくなる絶景に酔いしれます。
下山後、ゆったり館で待ってようと思ったんだけど、先に帰っちゃいました😜
ごめんよ〜🙏
中俣沢、素敵な沢ですよね♪
そしてなかなか狐まで遠いですよね(苦笑)
何度も血反吐を吐きました(笑)
ホント狐穴まで遠かったです。正直なところ楽しい中俣沢以外、出谷川とか登山道歩きは無ければ良いのに思いながら歩いていてました(笑)しかし遠い詰めもまた朝日の沢の良さと家に帰ってしみじみ思います。
血反吐吐く。今ならよくわかります(笑)
鶏氏とも話してましたが、狐まで詰めたあとにその日の内に日暮沢まで降りるばにこさん達は本当に凄いですよ。
自分は絶対無理ですね笑。
ばにこさんがハーケン落とした釜もわかってはいたんだけど、探す余裕はなかったです💦
ウシ沢下降など、色々参考になりました。ありがとうございました👍
良い沢旅でした😊
chicken_manさん、年に二回も会えるとはビックリでした😁
暑い連休に沢登り羨ましぃ〜
中俣沢は素晴らしい景色ですね!
私は見に行けないので、レコでじっくり見せてもらいました。
また朝日で会えますよーにー!
ホント、お久しぶりでしたね😊
忘れる訳ありませんよ〜。ケイモモさんと会う時は毎回朝日で、毎回濃いメンツが揃う時なので印象はいつも強いですね😁
色々ご馳走様でした!またお会い出来るのを楽しみにしています👍
こんなにすぐに再会できるとは嬉しい驚きです。
沢山お話も出来て楽しい時間ありがとうございました。
二度あることは三度ある。またすぐお会いできそうな気がします。その時はまたいっぱい飲んでいっぱいお話ししましょう。その時を楽しみにしています。
鳶タケ凄い量ですね
やはり人が入らない所には沢山有りますね♪
思い出深い山行の一つとなった事でしょうね
先程安達さんより連絡があり、竜門の水が復活し、管理期間内は水洗トイレも使えるとの事です。
また山でお兄ちゃんと会える日を楽しみにしています♪
計画から三年。毎年天候に恵まれず延び延びとなってましたが今年は絶好の天気で大当たり。待ちに待ったおかげで楽しみも膨れて最高の山行になりました。
それにしてもあんなにたくさんのトンビ、初日に見つけてしまったのでさすがに持って帰れなかったのはつくづく残念でしたが今となってはそれも良い(?)思い出になりました(笑)。
何処へ行ってもやはり朝日は良い所ばかりです。
情報ありがとうございます。ようやく水不足解消したんですね。今年の暑さにはいろいろやられましたが真ん中の竜門の水場使えると安心して縦走できます。
また山でお会いしましょう。その時はもしかしたらご一家勢ぞろいでしょうか?楽しみにしております。
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