(記録完成)三ノ沢岳 〜試練の道の果てに待つものは…〜
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- GPS
- 10:01
- 距離
- 8.3km
- 登り
- 799m
- 下り
- 793m
コースタイム
天候 | 午前中晴れ 大気不安定のため 午後には曇り 夕方には雷雨だったようだ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
≪登山道の状況≫ ・千畳敷カール内:整備された道が一周している。しかし、遊歩道レベルではないので少なくとも運動に適した靴で来られたし ・千畳敷カール〜極楽平:よく整備された稜線までの道。この区間からはトレッキングシューズ以上を推奨。 ・極楽平〜三ノ沢岳:登山道はしっかりある。登山者が少ないのかハイマツが登山道を覆っている箇所が多い。また一跨ぎでは越えられない大段差の箇所もあり、3点確保で通過することが必要な箇所もある。 ≪危険個所≫ ・左右が切れ落ちている部分は無いが、路肩を踏み外すと危険な箇所は点在する。 ・斜めになった岩の上を通過する箇所があり、スリップすると滑落の危険がある。 ≪トイレ≫ ・千畳敷駅以降は山小屋・避難小屋等無く、トイレも無い。千畳敷駅で済ませて来ること。 ≪危険動物情報≫ ・ヤマビル:遭遇せず ・ヘビ:遭遇せず ・クマ:高山帯にも出没するようなので、要警戒。 |
その他周辺情報 | ≪温泉≫ ・菅の台駐車場近くに宗太郎温泉有り。 ≪商店≫ ・千畳敷駅売店で食料・飲料調達可能 ・菅の台駐車場付近に商店・売店有り |
写真
感想
中央アルプス唯一の独立峰は訪れる人の少ない高山植物の楽園。
花の百名山登山ガイドで知って以来、ずっと登ってみたいと思う一座でした。
2013年夏山シーズンは、始めてのアルプス遠征だったので、まずは木曽駒へ。
2014年夏山シーズンでは、初心者をガイドしていたので、やっぱり木曽駒へ。
木曽駒から谷を隔ててそびえるピラミダルな山に今年こそは…、と思うばかりでした…
2015年夏山シーズン、念願かなってついに登ることができました。
千畳敷カールで、青空にそびえる宝剣岳や咲き乱れる高山植物の写真撮影をしていると、あっという間に2時間が過ぎました。
いつもの悪い癖で、また序盤で大きなタイムロス。
千畳敷駅の放送では午後から雷雨の可能性が高いとの注意喚起が何度も流される折、目的地の三ノ沢岳は千畳敷駅を出ると避難小屋やエスケープルートの無い山。
天候悪化の兆しを感じたら途中でも撤収すると決めて、まずはいつもの反対側、極楽平を目指して千畳敷駅をスタートしました。
乗越浄土への八丁坂は今日も登山者で溢れていますが、極楽平方面は人影もまばら。
行きかう登山者も空木岳への縦走に向かうのか、あるいは極楽平から宝剣岳を経由して木曽駒ケ岳へ向かうのか、ヘルメットやザイルなどの重装備・上級者の方が多い印象。
静かな山歩きがお好みの方にはぴったりのルートと思いました。
20分ほど登ると極楽平へ到着。
木曽側の展望が開けていて、目の前には三角錐の山容がスタイリッシュな三ノ沢岳がドーンと広がります。
岩の間には新雪が積もったようにフサフサした花のコマウスユキソウや、稜線に秋の訪れを告げるトウヤクリンドウが咲いています。
宝剣岳に向かって稜線を一歩きすると、三ノ沢岳分岐。
宝剣岳の威容が目の前に迫る地点。
切れ落ちた岩稜、垂直な岩塊を登る箇所など度胸とバランス感覚が求められる区間ですが・・・
ネットで見たよりも、実際に自分の目で見ていると…
あれっ、なんとか行けるんじゃないか…?
ヘルメットなど必要な装備と、できれば上級者にガイドしてもらって、いつか挑戦してみたくなりました。
目標の奥穂高岳へのよいトレーニングになりそうですしね!
今日は宝剣岳へは行かずに、三ノ沢岳を目指します。
はじめは緩やかな稜線歩きで始まるのですが・・・
しばらくすると、傾斜が急な下り、一跨ぎでは乗り越えられない大段差、滑り落ちると登っては来られない斜めの岩の上の通過などが連続する試練の道になりました。
登山者が少ないのか、ハイマツの旺盛に伸びるハイマツの枝が登山道を覆い尽くす勢いで、行く手の道がどこなのか見失いそうになる区間もしばしば。
ガイドブックでは初級の山として案内しているものもありますが、初心者だけで踏み込むのは危険だと思いました。
シャクナゲの木もよく見ますが、時期が遅いのでもう葉のみ。
花もハイマツの陰にゴゼンタチバナがあるくらいで少な目。
ガイドブックでは素晴らしい花園のある山とあるのに、実際はこんなものかなぁ、と思いつつも、
せっかく来たのだから山頂まで行ってみようじゃないかと、黙々と歩きました。
3点支持が必要な大段差を乗り越えると、慰霊ケルンが立つ山頂直下のなだらかな区間に出ます。
ここでやっと一息。
雲が多くなってきたけれど、雷雲のようなものは無し。
山頂まであと一息なので頑張って進んでいると・・・
山頂手前のピークを過ぎると、道の両側に素晴らしいお花畑が広がっていました。
数は少ないものの、純白の豪華な花姿のコバイケイソウ。
千畳敷カールでは綿毛になってしまっていたチングルマも、ここではまだみずみずしい。
ハクサンイチゲの白、本家白山よりもたくさん咲くハクサンチドリの紫、コイワカガミのピンク、ミヤマキンポウゲの黄色・・・
試練の道を乗り越えてきた者には、素晴らしいお花畑のご褒美が待っていてくれました。
巨岩が折り重なる三ノ沢岳山頂で、しばし休憩し、ハードなコースの疲れをいやします。
雲が多めで展望はあまりないけれど、晴れていれば…
東には木曽駒ヶ岳〜中岳〜宝剣岳、さらには桧尾岳〜空木岳〜南駒ケ岳の中央アルプスの主稜線。
さらにその背後には南アルプスの稜線が二十稜線に展開し、
西には御嶽山や白山、乗鞍から連なる北アルプスも見えるはず。
今日は一部だけだったけれど、来年また来た時には山頂からの大展望も楽しめるといいなぁ。
一休みして、雷雲が来るのが怖いので、急いで撤収。
帰りも試練の稜線歩きを経て、なんとか無事に三ノ沢岳分岐へ帰還。
帰りは極楽平を通り越して、最初のピーク、島田娘の頭まで寄り道してみました。
島田娘からは桧尾岳・空木岳へ連なる稜線歩きの道が続きますが、本日はここまで。
いつか空木岳まで縦走してみたいなと、夢が膨らむ眺めでした。
帰りに季節外れのイワウメの花が見れたのは、立ち寄った者へのご褒美だったかな。
千畳敷駅まで急いで下ると、ちょうど16時半のロープウェイの発車時間。
朝はかなりの混雑でしたが、帰りは整理券配布等はしておらず、待ち時間なしで乗れました。
千畳敷カールが、濃ヶ池カールが錦に彩られる秋、また戻ってこようと思いながら、千畳敷を後にしました。
三ノ沢岳、予想に反してハードな山でしたが、試練の道の果てには素晴らしいお花畑のご褒美がある、とても登り甲斐のある山でした。
高山植物は主峰の木曽駒ヶ岳よりも豊富な印象でした。
花好きの方、山での人混みが嫌いな方は是非三ノ沢岳へ!
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