編笠山・権現岳・赤岳(観音平から往復)
- GPS
- 10:05
- 距離
- 15.5km
- 登り
- 2,020m
- 下り
- 2,010m
コースタイム
天候 | 晴れ後曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
観音平の駐車場に登山口があり、そこに登山ポストがあります。早い時間なら余裕で駐められます。私は登山口の真ん前に駐車しました。 登山口から編笠山山頂までは広くて明瞭な踏み跡がある登山道。ヘッデンで充分登れます。暑い時間帯に登るのが嫌なら真夜中に登るのもOKです。 編笠山から青年小屋、青年小屋付近はゴーロ状ですがペンキマークも明瞭です。 青年小屋から権現岳、いよいよと言った感じの岩稜帯となり鎖場もありますが特別難しい場所はありません。 権現小屋を過ぎて一見するとピークっぽい箇所がありますが、そこは山頂ではありません。ちょっと三ツ頭方面に歩いた先に山頂があります。 山頂はちょっとした岩場で剣が刺さっていて誰でも登れます(高所恐怖症の方は無理かな) 権現岳山頂への分岐を赤岳に進むと名物の「源治ハシゴ」があります。権現岳からは下り、20メートルぐらいはあります。(61段?) しっかりと備え付けられていますし、特別怖い箇所ではありません。 キレット小屋までは大下りと言った風情で、往復する人は帰りの辛さを感じる所となります(><) キレット小屋に用がない人には道標で示されてはいないですが赤岳方面への直通する道もあります。 小屋への巻き道ではなくそのまま稜線を進むことができます。 キレット小屋から赤岳の登りは遠目には登山道があるとは思えない程。実際はガレ場を延々と登ることになります。 ガレ場はあまり推奨ルートを示すペンキマークがありません。自分で踏まれていると思うルートを辿りましょう。 ガレガレですので変な所に立ち入るとすぐに足場が崩れるので注意。大きな落石はなさそうですが、自分が落石しないよう慎重に。 赤岳山頂付近は文三郎尾根経由の登山者と下山者と合流することになり、渋滞する可能性があります。 岩場・ハシゴが続くため(特別怖い箇所もありませんが)、年配者や初心者の通過はかなり時間がかかるかも、です。待たされます。 赤岳からの下山についてはキレット小屋までのガレ場の通過など、登りで苦労した分、今度は下りで注意が必要。 源治ハシゴは登りも下りも団体客が一人ずつ通過するので混雑します。ハシゴ慣れしていない人は譲った方がスマートです。 青年小屋から編笠山のピークを踏まない「巻き道」は滑り易いので安易に岩や根に足を置かないようにしましょう。 観音平から中央高速小渕沢ICまでの運転に関して、観光シーズンは結構車が多くて気を遣います。イライラせず落ち着いて帰りましょう。 |
写真
感想
月並みだけど夏真っ盛り、暑くなった。山に関してもちょっと低山はシンドイ季節。
とは言え、毎度毎度涼しい高山に遠征できるような資力は持ち合わせていない。
最近は丹沢(と言っても大倉尾根ばかり)で体力脚力を維持向上しつつ、たまに遠征を繰り返している。
今回は土日に仕事でイベントの手伝いがあり、どちらかに出ないとならないという制約がある中で遠征することにした。
で、どこに行くか。残念ながら泊まる山行は無理、アクセスは電車・バスを使っては遠征できない・・・
となるとマイカーでアクセスの良い登山口からさっと往復して昼には下山して夕方からイベントに出席することになる。
色々考えたが、八ヶ岳が一択であることに気付く。
実は昨年、南部八ヶ岳の主要なピークは踏んでいたが、編笠山・権現岳は未踏であった。
観音平から軽く往復するのにコースタイムも調度いい。ということで決定!
編笠山までの登山道は平易であり、危険な所もないので夜ヘッデン一つで歩けると判断した。
夜自宅を発ち暗いうちに登り始めて編笠山の山頂への急登あたりで夜明けを迎えるようにプランニング。
プランニングと言っても初めてで一人で行くにあたっては「山勘」でしかない(笑)
自分の中では早めであったが、夜11時過ぎに自宅を出た。
幸いにも小淵沢ICを降りてから観音平までの道は難しくない。舗装された充分対向できる道が標高を稼ぎながら八ヶ岳の裾野を登っている。
さすがに夜3時、車は一台も走ってない。自分と同じことを考える人は居なかったようだ。
観音平に近づくと道に縦列駐車が歯抜けになっている。恐らく土曜日に来て駐車場に駐めきれなかった車。
自分はその横をスルーして本丸を目指す。果たして駐車場には空きがある。
勘で進んだ方向に登山口らしき看板が見えた。空きスペースに駐めて確認。登山口発見。
なんと登山口の真ん前に駐車できた。マイカー登山でこういう展開は初めて。ちょっと嬉しくなる。
運転の疲れもなんのその、登山靴を履いていざ出発。時刻は3時半前。ほぼ予定通り。
電池を交換したばかりのヘッデンの灯りはとっても明るくて頼もしい。買ったばかりの熊鈴もリンリン。真っ暗な登山道に突っ込んで行く。
登山道はとっても歩き易い。ハイキングロードと言ってもいいぐらい。やがて岩がゴロゴロする段差もある道になるが、暗くても歩ける。
時折段差が大きくなると、武田信玄の「棒道」ならぬ巻き道が付いている。登山道が荒れる原因なのだが、歩き易いところに人が行くのは仕方ない。
雲海・押手川の分岐を過ぎ山頂に近づく頃、空が明るくなってきた。道は山頂にほぼ直線に伸びていて、傾斜がきつくなる急登の様相。
涼しいと思ってきた八ヶ岳だが、体感的には無風の樹林帯の登りはちっとも涼しくないし、景色がないため単調なアルバイトで精神的にはきつかった。
やっと明るくなってきて、ふと大きな段差を越えた時に振り返ると南アルプスらしき稜線が雲海の上に浮かんで見える。
今までの暗い気持ちが吹き飛んでテンションが上がる。高度も上がる。
樹林帯がきれ、ゴーロ状の斜面に広がるお花畑をパスすると編笠山山頂。
既にご来光は登ってしまったが、影富士ならぬ影編笠や見事な雲海、そして八ヶ岳の面々の偉容、南アルプスの稜線に指す朝日、見事な風景が広がる。
赤岳方面はちょうど日の出の方向なので完全な逆光。写真は難しい。
山頂でツイートしてオニギリを頬張る。
今回、自分の中では夜6時に仕事、帰宅は午後4時、下山は午後0時と逆算して計画した。
編笠山・権現岳を往復するならかなり時間が余ることは薄々分かっていたので、いつもの欲張り癖が頭をもたげてきてしまい
キレット越えの赤岳登頂を視野に入れての山行にするつもりであった。赤岳まで足を伸ばすとなると午後0時下山は難しいと分かっていたのだが・・・
そんなこともあり編笠山でユックリすることもなく、青年小屋に向かう。
小屋で最近買った「塩熱飴スポーツ」をザックのヒップベルトの小物入れに仕込み一つ口に入れる。
脚がつる原因は発汗によるミネラル不足と分かっていながら、こまめに補給する手立てがなかったのだが
これは飴の中に塩分だけでなく他のミネラルも入っていてカロリーも高い。
平地でたくさん摂取するのはかえって毒だが、大汗かく今の季節の登山では頼もしいスペック。
長い運転直後の登りで鍛えているはずの右足筋肉に違和感があったものの、オニギリとこの飴の摂取でいつの間にか気にならなくなった。
青年小屋からしばらく歩くといよいよ登山道は岩稜帯に。目の前にギボシの壁と深い谷が刻まれているのが見えてくる。
登山道のトラバースには鎖が付いている。高度感もないし道も人一人が充分歩けるスペース。鎖の世話になることもない。
ちょっと気になるのはどこの岩場もガレていること。あまり調子にのって好き勝手なルートを踏むと崩れることも。
ここは一般登山道、大人しくペンキマークや踏み跡に従いましょう。
やがて権現小屋が稜線に守られるように佇んでいるのを見ながら山頂らしき所に。
人が休んでいていかにもな雰囲気。しかし先ほど歩きながら奇岩の上に人が立っているのが見えたし
道標にハッキリとは見えないが「山頂はあちら」のような表示も付いている。
目を三ッ頭方面に向けるとここより高い箇所に何やら棒が立っているように見える。
一応行ってみようと足を向けると、単独行の青年が「山頂はここから上がれますよ」と声を掛けてくれた。
大きな岩の間をよじ登ると、さらに一段高く八ヶ岳のピークを示す「団子型」の
山頂碑と宝剣が刺さっている。ここが権現岳山頂。
○○と煙は高いところに登るよろしく、自分もそのピークに登る。高度感もさほどではなく、ちょっと休憩。
今まで登ってきた稜線やこれから向かう?赤岳方面を眺めながら、さてどうするか・・・行くのかおい俺・・・
地図でのコースタイムからして、なんとか午後1時半には降りられそうと判断。今のところ足の調子も良い。
仕事にはギリギリなれど、今の時間(午前7時前)に引き返すのはいかにも勿体ない。
欲張りオッサンはキレット越えの赤岳を目指すことに決める。もし足の調子が悪くなったらどうするんだろ・・・と思いつつも(苦笑)
赤岳に行くにあたって、もちろん下調べはしてあった。最初に待ち構えるのは源治ハシゴ。
長いハシゴ、というだけだが、岩場に完全に露出して付けてあるだけに慣れない人や高所がちょっと怖い人には難儀かも。
槍ヶ岳の直下のハシゴよりも怖くないけど。
その後はキレットまでの大下り。時折小ピークを登り返すことになるが、大キレットにも劣らぬ眺め、基部が見えない状態でドンドン高度を下げていく。
赤岳や阿弥陀岳の稜線には雲が出てきていて、テンションも下がっていく。キレットに降りてきてしまったことをクヨクヨする。
稜線づたいの樹林帯を抜けるように歩いていると、キレット小屋を示す簡易な道標が見えてくる。
どうやらキレット小屋はこの稜線を巻く道にあるようだ。実際稜線には細い踏み跡が藪の方向に伸びている(小屋に用がない場合はここを進んでも良い)
キレット小屋はひっそりしている。すぐそばにはコマクサが緑ロープに守られて群生している。見頃は少し過ぎたかな。
キレット小屋からがいよいよな登り。赤岳はほぼ垂直に聳え立っているように見える。
本当に登れるのか?どんな道が付いているんだろ?時間は大丈夫かな?不安と期待とが入り交じる。
実際取り付いてみると当然急登ではあるし岩場もあるが、道は明瞭で怖い箇所は全くなかった。
しかし延々と続くと思われるガレ場の急登には閉口する。ここは初心者を連れてきてはいけないと思う。山が嫌いになるよ(笑)
権現からここまであまり多くの人と会わずにきたが、時間帯なのだろうか、降りてくる人や登る人がちらほら現れる。
よりによってこのガレ場で、何という神の配剤(笑)
抜くのも行き違えるのもちょっと面倒。下る人はおっかなびっくり、登る人は完全に息があがっている。要するに余裕がない。
辺りにガスが拡がり、視界が悪くなる中いよいよ山頂に近づく。竜頭峰。昨年阿弥陀岳に向かう途中に立ち寄った。
少し高度感がある岩場となり、正面に赤岳のピークが見える。さらに文三郎尾根から登ってくる人が眼下に。
赤岳への取付(分岐)付近の岩場にはちょうど子供連れのパーティーがいた。当然通過には時間が掛かる。急がせてもいけない、写真を撮ってツイートする。
最後尾の子供は健気にも「後ろから人が来るよ」と声をあげる。抜ける場所もないし慌てず騒がず、彼らが通過するまで待機。
文三郎尾根と合わさり赤岳に向かうのだが、文三郎尾根からはこんな急登のガレ場で邪魔そうにダブルストックを振るって上がってくるオバチャン。
赤岳からは中高年の一団がへっぴり腰で降りてくる(←失礼)
そして先ほどのキレットから登ってきた子供連れのパーティー。
ここはお行儀良く譲り譲られ待っていては、山頂につくまで日が暮れてしまうと、岩場をさっと通過して子供連れのパーティーの背後にヌッと現れるオッサン。
その不気味さに気圧されてか、「遅いんで先に行って下さい」の言葉。やっとこさ上がってきたダブルストックおばちゃんは子供見つけると会話が始まる。
「権現から来たの?」「いいえキレット小屋からゆっくり上がってきました」
「こっちは大汗かいて観音平から来てるんだよ!」という無言の圧力の効果か、その後もどんどん譲ってもらいながら赤岳頂上を目指す(笑)
こういう岩場・急登では相手の表情で余裕があるかないか判断して、その場の空気で行ける時は行った方がお互い楽だと思う。
山頂に着く。キレット越えの感慨よりも、ガスガスで人が多い山頂にガッカリ。
写真を撮り頂上小屋で去年の山行で買わなかったバッチを購入。北峰で休憩。
居合わせた夫婦2組は頂上小屋で買った缶ビールで乾杯してる・・・羨ましい。
しかしこれからキレットに下って帰る自分が、ほろ酔いになるのは良くない。誘惑に負けずに下山開始!!
登りで苦労したガレ場の下り、ここでの注意点は自分が落石させないことのみ。
幸い登ってくる人は少ないし、余裕のない人はいなかったのでスムーズに行き違えることができた。
キレット小屋には寄らず稜線の細道を突破。足の調子も良く、登り返しも順調。
ただし視線の先には確か行きのガレ場ですれ違った中高年の一団が見えてくる。源治ハシゴに向かっている・・・
源治ハシゴの取付地点に来てみれば、その一団が上から降りてくる学生らしき一団を待っている状態。
一人ずつ慎重に降りてくる学生さん、あと3人いるとかいないとか聞こえる。
彼らが降りてオバチャン達が登って、いったい何分かかるんだろ・・・
たいして人が歩いていないキレットでこうした巡り合わせ、まさに神の悪戯。
しかしながらここでも「こっちは観音平から日帰りピストンして早く帰らないといけないんだよ!」オーラがオバチャン達に伝わったようで(笑)
最後尾のオバチャンが「私達遅いから先に行って」と譲ってくれた。
ところが学生の一団は一人ずつ降りてくるので、先頭のオバチャン達はズイズイと近づいてくるオッサンの姿を見て
「上から降りてくる人がいるから」と戸惑う様子。と、後ろから「分かっているけどとりあえず先頭に譲ってあげて」のフォローが。
本当に厚かましくも譲って貰った。感謝。
そのやり取りを見てか、オッサンの汗臭オーラに気圧されてか、学生のリーダーさんまでも「先に行きますか?」と言ってくれた。
上に向かって「おおい!先に人を行かせるから降りないで!」と叫ぶ。聞こえないのか「降りるな!」の大声。
ホント申し訳ないけどお言葉に甘えてハシゴに取り付く。
ここは少しでも早く通過しなくてはと、最大パワーで登る登る!20メートルのハシゴはキツイ。
登りきって譲ってくれた人に感謝を伝えるも、息は絶え絶え、暫く立ち止まって息を整えないとならないほど。
源治ハシゴ、20メートル61段、もう満腹です。
権現小屋・青年小屋に立ち寄るも、残念ながら「権現岳」「編笠山」のバッチは売っていなかった。巻き道を使い観音平に急ぐ。
帰りの渋滞を考えると2時では遅い。少しでも早く降りたいと、大倉尾根で鍛えた下りを披露しようと(って誰にだよ)意気込むも登山道は湿っていて岩と根っこが邪魔をする道。
当然ペースを上げることはできない。本当に滑り易い道で調子に乗ると転ぶこと請け合い。
巻き道はその名の通りで標高が下がらない。下山を焦る身にはちょっと堪えた。
押手川に着いてからは、登ってきた登山道の明るい版なので、決して歩き易い訳ではないがペースアップして一気に観音平に。
登山口の真ん前に駐めてある車に乗り込み家路を急ぐ。着替えも用意してあったけど靴を履き替えたのみ。渋滞に巻き込まれながらも無事帰宅。
途中コンビニで仕入れた缶ビールで乾杯!今日はこれからイベントに出勤(と言っても半分遊び)
イベントでは輪投げ係のオジサンになる。ほろ酔い気分の中、花火が打ち上がる。
労いの打ち上げでも酒を飲む。八ヶ岳に行ってきたばかりの興奮と酔いとが心地よく感じる。
昨日の10時頃から一睡もせず10時間の山行をこなし、往復8時間運転。
帰ってから爆睡したのは言うまでもなく。本当にお疲れ様でした。
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