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フィンスターアールホルン(Finsteraarhorn)

最終更新:ベルクハイル
奥(右手)がフィンスターアールホルン、手前(左手)はフィッシャーホルン 写真一覧へ フィンスターアールホルン(中央)と周辺の山々 写真一覧へ 南側から望むフィンスターアールホルン(wiki de) 写真一覧へ シュレックホルン。アイガー。遠くにフィンスターアールホルンも
基本情報
標高 4274m
場所 北緯46度32分13秒, 東経08度07分34秒
カシミール3D
フィンスターアールホルン("Finsteraarhorn";4274m)は、スイス中部、ベルナーオーバーラント(“Berner overland”)山群の一峰で、かつベルナーオーバーラント山群の最高峰でもある。

位置的には、スイスのベルン州とヴァリス州との境界部に位置する。ここはまた、ライン河水系(北の北海へと注ぐ)と、ローヌ河水系(南の地中海へと注ぐ)との分水界ともなっている(文献2)。
ベルナーオーバーラント山群を細かく分ける区分では、東部ベルナーオーバーラント山群(アール山群(“Aar Massif”)とも呼ぶ)に属する(文献1)、(文献2)、(文献3)。

フィンスターアールホルンは山系として見ると、フィッシャーホルン(”Fiescherhorn”)や、グロースグリュンホルン(“Gross Grunhorn")と、稜線でつながっていてひとつながりの山系を形成している。
この山系の北の起点は、フィッシャーホルンであり、そこから南南東方向への稜線と、南東方向への稜線が分岐している。このうち、南東方向へと延びる稜線の先に、このフィンスターアールホルンがある。
南南東方向へと延びる稜線上には、グロースグリュンホルンがあり、その2つの稜線の間には、ヨーロッパアルプスでは、アレッチ氷河に次いで2番目の長さを誇るフィッシャー氷河(“Fiescher Glacier”)が横たわっている(文献2)、(文献4)。
またフィンスターアールホルンの東側にはフィンスターアール氷河(“Finsteraar Glacier“)の源頭部が広がっている(文献4)。
但し、周辺の山々よりもひときわ高い標高があるので、独立峰として見える(文献2)。

フィンスターアールホルンは、ベルナーオーバーラント山群の中の最高峰であるため、比較的奥地に位置するが、人気が高い山である(文献1)。またヨーロッパアルプスの中の山としても第9位に相当する標高を誇る(文献2)。
また、周辺を氷河に囲まれ、ひときわ高い独立峰であり、頂上からはベルナーオーバーラント山群の山々が一望できる(文献1)。

この山の標高は、文献によって多少の差異がある。
(文献1)では、4273m と表記されている。
(文献2)、(文献3)、(文献4)では、4274m と表記されている。
本稿では、ウイキペディア英語版(文献2)に従い、4274mという値を採用した。

この山は、地質学的には、「アール地塊」(“Aar massif”)と呼ばれる地塊に属する。
アール地塊は、さらに広域的には、ヨーロッパ大陸由来の「ヘルヴェチカ地帯(“Helvetic zone”)」に属する。
この「アール地塊」は、アルプス造山運動のうち、初期にあたる、約3000〜4000万年(古第三紀 始新世)より隆起を始めた、と推定されている。この時期のテクトニックな造山運動の影響により、岩石の変成、変形などが生じたと推定されている(文献2)。

この「アール地塊」を構成している岩石の種類は、花崗岩類(Granites)、片麻岩類(Gneisses)などである。
フィンスターアールホルンの山頂部は、変成岩の一種である角閃岩類(Amphibolites)から成っている(文献2)、(文献3)。

フィンスターアールホルンの初登頂は、1812年8月に、R. Meyer , K. Huber, A. Abbuhl(guide) , J. Bortes (guide), A.Volker(guide)によって、南東稜からの登攀ルートにより達成された、と言われる(文献2)。
但し、(文献1)、(文献2)、(文献3)によると、この登攀の際、少なくともMayer, Huberの2名は前衛峰(3883m)までしか登れず、残り3名のガイドも、最高点に到達したのかどうかは疑問がもたれている、という。

その後、1829年8月に、F.J. Hugi(地質学者、氷河学者), J. Leuthold(guide), J. Wahren(guide)による3人パーティにより、現在のノーマルルートとなっている南西フェイスから、この山へのチャレンジが行われ、このうちガイドの、J. Leuthold , J. Wahren の2名は頂上に到達した。なお、F.J.Hugi は、足のケガのため、手前のコル(フギザッテル(“Hugi -sattel”))でとどまったという(文献1)、(文献2)、(文献3)。


フィンスターアールホルンへの一般的な登攀ルートについて、(文献1)に基づいて説明する。
まずユングフラウヨッホ(“Jungfraujoch”)からスタートする。アレッチ氷河(“Aletsch Glacier”)を下ってコンコルディア(“Konkordia Platz”)に至り、そこから東へと向かい、グロースグリュンホルンの南側の稜線を越えてフィッシャー氷河(“Fiescher Glacier”)側へと降り、フィッシャー氷河沿いに建つ、フィンスターアール小屋(“Finsteraar Hutte“;3050m)に至り、一泊する。
フィンスターアール小屋までは、南のローヌ谷からのアクセスもできる。

フィンスターアール小屋からは、主に氷雪に覆われた南西フェースを登って、山頂の北側稜線部にあるコルである、フギザッテル(“Hugisattel“;4088m)に出る。そこから、やや険しい北西稜(岩稜)を登攀して頂上に至る。

ユングフラウヨッホ駅からフィンスターアール小屋まで、約8−9時間。歩行距離 約13km。コンコルディアからの稜線越えは、登りの標高差 約500m、下りの標高差は、約1000m。
フィンスターアール小屋からフィンスターアールホルン山頂まで、登りで約4−5時間、標高差は約1300m。

フィンスターアール小屋からの登攀ルートの難易度は、フレンチグレードで、PD。
氷雪斜面の最大斜度は約35度。頂上付近の岩稜のピッチグレードは、供


※ 本稿は、「アルプス4000m峰登山ガイド」(リヒャルトゲーデケ著、島田訳、山と渓谷社刊(1997))の「フィンスターアールホルン」の項(文献1)
ウイキペディア英語版の、“Finsteraarhorn” の項(文献2)、
ウイキペディア ドイツ語版の、“Finsteraarhorn”の項(文献3)、及び
スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)(文献4)
を参照して記載した。


※ ウイキペディア英語版の、“Finsteraarhorn”(フィンスターアールホルン)の項

 https://en.wikipedia.org/wiki/Finsteraarhorn

※ ウイキペディア ドイツ語版の、“Finsteraarhorn”フィンスターアールホルンの項

https://de.wikipedia.org/wiki/Finsteraarhorn

※ スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)のサイト

 https://map.geo.admin.ch/

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