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更新日:2015年10月15日 訪問者数:29902
ジャンル共通 山道具・装備
寒冷地使用カセットコンロ型ストーブの限界温度実験
jyunntarou
汎用カセットボンベ型のストーブは、厳冬期にも使用できるのか?
長期滞在で挑んだ厳冬期富士山は、水を10L担ぎ上げました。はい、「六甲のおいしい水」を5本です。理由は、冬富士の雪は、雪に砂や微細な軽石などが混ざっていることが多く、雪を溶かして水にするときにフィルターにかけなければ炊事や飲用に使えないからです。
それと、富士山の雪は水分が少なくて何リットルも水を作るのには、時間がかかりすぎます。

もっと懸念されることは、水を作る為のストーブの火力です。
私は、汎用のカセットボンベで使えるストーブを利用しています。山用のカートリッジのは、値段が高いのと購入できる店が限られているからです。
カセットボンベ型ですと、コンビニでさえ手に入ります。

しかし、夏場は良いとして厳冬期のマイナス20℃前後にまで下がる厳冬期富士や北アでの使用は可能なのでしょうか?
現地でストーブが点かなければ命にも係わります。
冷凍庫(−18℃)でカセットガス缶を冷やします
上のガス缶は、ホームセンターで一本100円もしない、どこのメーカーか判らないシロモノです。
ブタン100%です。
下のガス缶は、SOTO ST-760 寒冷地仕様、一本250円程度の一応は名の通ったメーカーのモノです。
ブタンとプロパン混合です。
2時間後 取り出してストーブに装着・・・点火です。
あれっ? ホームセンターの激安カセットは、シューっとの音もしません。
まったくガス化していないようです。
コレでは、雪を溶かして水を作るどころか、テントで暖を取るのもできません。遭難一歩手前になります。
おおっ。見事に着火(^^)/
寒冷地仕様のカセットは、バルブを緩めたらシューっという音がして、点火スイッチを押すとボワッっと勢いよく、夏場と変わらずに炎が燃えました。
やはり、寒冷地仕様は伊達ではありませんでした。
ブタンとプロパン
ブタンは、沸点が−0.5℃ですから、当然−18℃に冷やされたら着火しません。しかし、プロパンのそれは、−42.1℃ですから、当然着火します。
但し、寒冷地仕様のカセットが、どれくらいの比でブタンとプロパンが混ざっているのか、疑問です。その比率は表示されていません。

あまりプロパンの割合を高くしますと、内圧が高くなりますのでこのカセットボンベ状の筒では、夏場に破裂する可能性が高くなりますし、低すぎると、寒冷地では、使えない…ジレンマがあります。プロパン100%のカセットにしたければ、内圧に耐えるために重くて頑丈な缶にせざるを得ないので、携帯に不便です。

それと、大気圧の問題です。
標高の高い山に登れば登るほど大気圧が下がりますので、ブタン・プロパン共に沸点が低くなります。
なので、理論上は高く上がれば気温が低下するが、逆に沸点は下がって気化しやすい・・・というビミョウな関係が生じます。
うむむ。水も富士山では、88℃が沸点だそうで…

その後、安物のブタン缶を激しく上下に振り、少し体温で温めると…微妙に着火できました。しかし、勢いはありません。ロウソクの炎に近い感じです。
厳冬期富士にて
標高2000m付近のお庭付近です。朝にテント内が−17℃まで下がりましたが、寒冷地仕様のカセットST-760は、夏場と変わらずに勢いよく炎が出て、お湯をいつも通りに沸かすことができました。ただ、ペットボトルの六甲のおいしい水がシュラフの中に入れていたのにも関わらず、半分以上凍ってしまいました。
厳冬期大峰山脈にて
この日は、テント内−11℃。雪をいっぱいつめたコッヘルを見事に、水⇒熱湯 に変えるパワーを発揮しました。
このお湯をテルモス2本に入れておくと、後々便利です。
ココア
雪を溶かして、温かいココアは 最高です。その他お茶やコ〜ヒー。カップ麺なども お湯がなければ、雪山でテン泊は悲惨な事になります。
これが、安物のブタンのガスカセット缶を持参していますと、下山しなくてはなりません。
槍ヶ岳 中崎尾根
ー2度 GWの槍ヶ岳 雪の中崎尾根で雪を溶かして、カップ焼きそばを食べています。
この時も 寒冷地仕様カセットは 勢いがとても良かったです。
これからも使い続けます。
カセットコンロ型ストーブ。夏場は、250mlで90円のカセットで済みます。同容量の山専用のカートリッジに比べ4分の1のお値段で済みます。
冬場も 同様に寒冷地仕様カセットで、お安くー20℃まで勢いよく燃焼してくれます。
不安はありましたが、冷凍庫で実験していましたので厳冬期の山でも使用できると確信が持てました。しかし、間違って、ブタンのみの安物カセットガスを担ぎ上げるのは命に関わって来ます。くれぐれもご注意ください。 ST−760は、販売店は限られていますが、ネットでいくらでも購入できます。冬になる前にセットで購入しておくと安心できますよ。

※イワタニのカセットは無名メーカーの1.5倍ほどの値段がしますが、ブタンなのに0℃前後でも勢いよく燃焼します。その他の激安ホームセンターモノは、0度近くなると極端に衰えます。
同じブタン100%製品なのに、これだけ違うのは何故なのか よく判りません。
春や秋は、イワタニのカセットが安心できます。(コンビニでも売ってます)
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