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更新日:2017年06月21日 訪問者数:8019
ジャンル共通 技術・知識
フォーストビバーク フォーカストビバーク(実例)
jyunntarou
ビバークとは、予期せぬアクシデントで、その場で一夜を明かさなくてはならない緊急泊(フォーストビバーク)があります。悪天候の場合は、ツエルトを持っていれば雨に濡れなくていいのですが、無ければエマージェンシーシートにくるまったり、傘やビニール袋なども利用して、なんとか朝を迎えます。

究極は、シェルターも何もなしでの着たまんまの「野宿」です。

反面、テントや寝袋・炊事用具など重い装備を避けて、身軽に行動するために最初からビバークすることを前提にしたビバーク(フォーカストビバーク)もあります。

私の経験上では、夕暮れ時体力も消耗し、おまけに道をロストして彷徨い始めた時に、ヘッデンを点けて行動を続けるか・・・がビバークのポイントだと思います。勿論、「道」がはっきりとしていて、ヘッデンもあれば(要替え電池)ビバークの必要性は、極端な体力消耗やケガをしていない限り、あまり感じませんので行動を続けます。特に、悲しいかな明日は「仕事」がある場合は、無理しても下山しなければなりません。
フォーストビバーク(緊急)
例 1 (厳冬期富士山)
背中、お中のダブルザックに、ボストンバックにスーパーの袋に入れた食料品等、合計60kgを大石小屋まで担ぎ上げました。
キツいボッカ訓練。
コレは、富士山で3〜4泊するため、重いのは「水」が原因でした。富士山は火山灰で覆われていますので、谷筋に入っても水はしみこんでいて得ることはできませんし、降雪量が少ないので雪を解かすこともできなかったからです。
たかが標高差220mですが、足腰に響きます。
太郎坊トンネル横のPから獣道を通って大石小屋まで登りますが、これだけの荷物を背負うと、体に負担を感じます。
ビバークの真反対と言えるBC方式
美味しいモノをたくさん食べて、厳冬期用シュラフに包まれて、すやすやと眠ることができます。寒くなれば、ストーブを炊けば 快適ですがその場合はくれぐれも換気を怠らないようにすることが大切です。
このように、大石小屋前に大量の食糧や水、重たいツーリングテント(モンベルクロノスドーム1)を担ぎ上げ、BC(ベースキャンプ)を設営。
夜明け前の爆風で1日目は、敗退・・・
27日は、夜明け前の大洗礼爆風に苦しめられ、ルートを誤り宝永山直登ルートに迷い込み、更に爆風が酷いコースに出てしまい、機関銃に打たれたような感じで小石や氷片に攻撃され続け、敢え無く7合目下で敗退を決めました。
厳冬期富士でビバーク?に・・・
下山して、連続二日目を狙います。
たらふく美味しいモノを食べ、仮眠後の午後9時前にサミット(山頂)目指して登り始めました。早朝出発だと、吹きおろしの「夜明け前の大洗礼」の爆風を喰らいますので、それを避けるためにこの時間の出発を狙いました。

しかし、登り始めてから何だか体の調子が思わしくなく、宝永山を越えた6合目付近から嘔吐に頭痛が襲い、歩くのもままならぬ状態に陥りました。
高山病でなく、ノロウイルスに感染したかと思われる症状でした。

とても歩ける状態でなく、おまけにアイスバーン地帯です。辺りは平たんな所はなく、横にもなれません。
「下山を決意」しましたが、フラフラでアイゼンを蹴り込むのも力が入りません。

そこで、六合目小屋跡の僅かな平坦地(つるん つるんのアイスバーンですがっ)を求めて、必死でアイスバーンの斜面を降りて行きました。

ピッケルをぶち込んで、それをアンカーにして体が流れないように、スリングで体を固定し、ユニクロダウンジャケットとベストを着こんで、エマージェンシーシートに体を包み込んで、朝までビバークを決め込みました。
爆風の無い事を願って
この時間から「夜明け前の大洗礼」の大爆風の吹きおろしが始まる厳冬期富士ですが、恐ろしく風が無くて静かでした。そういう日にこそ、ダムでせき止められていたような爆風が襲ってくるのですが・・・
朝まで保つか・・・
ひょっとして 朝まで保たないかも?と記念?の自撮しました。目が完全にイッていますね。このまま眠ってしまうと疲労・体調不良&低体温症で、永遠に目が覚めないかも?と思いながら、寒さと睡魔と闘います。背後に雪の斜面が写っていますが、コレは氷のアイスバーンです。
何とか夜明けを迎えることができました。
しかし、このような状態で、結局3時間程眠ってしまいました。目が覚めるとご来光を迎える時間になっていました。
幸いなことに、この日は「夜明け前の洗礼」の爆風が起らなかったのと、気温がマイナス12〜13℃前後で厳しい冷え込みは無かったので、事なきを得られました。これが、冬型の気圧配置時だとか低気圧接近中の猛吹雪なら、そのまま冷たくなっていたかと思います。危ないフォーカストビバークになりました。
フォーストビバーク 例2 台風直下大峰小笹谷
台風の進路が東寄りから急に西寄りに変わり、台風直下の中を悪谷を進む羽目になりました。
増水・・・
クソ滝(30m)辺りで水量が急に増え・・・赤〇の中は、私とHさんです
地獄のシャワー。
全身ずぶ濡れです。秋ですが体が震えてきました。
小笹大滝(50m以上)の中間ルーフに逃げ込みました。
見る見るうちに 濁流がっ
濁流が押し寄せ、もう谷には降りることはできません。この小笹大滝のルーフを越えて、右岸高巻ルートを作らなければなりません。
恐怖の高巻・・・谷から脱出へ
時刻がヤバくなってきましたが、小笹大滝の右岸を高巻します。ロープビレイは必至です。
しかし、岩壁に阻まれ夕刻を迎えます。岩壁登攀を試みましたが、3人とも突破できずに、痩せ尾根急斜面で緊急ビバーク。一人が低体温症になりかけました。
緊急ビバーク
写真すら写す余裕もなく、翌朝小雨になってからビバークした斜面を撮影。テントは撤収した後なので、イメージ図です。
ストーブを全開にして テントの中で体を温めましたので、なんとか復帰でき、ビバークして正解でした。翌朝は、小雨になり岩壁をショルダーやアブミを使って乗り越えることに成功しました。
フォーストビバーク(例)3 マンガ沢 彷徨い
ガイドブックにも載っていない、マンガ沢遡行。結構キビシイ沢でした。
この大滝は40m以上あり、左岸も右岸も壁です。巻くというよりは、登攀に近くなります。
尽きない滝群
連続する小滝と大滝が2本。特にこの大滝は、ルートミスをして恐怖の左岸の岩壁を空身で上がり、懸垂下降しながら固定ロープを設営して、突破するという面倒な作業も伴い、心身が少しヤラれました。後でネットで確認しますと、ココは右岸の高巻が正当なルートだったのです
道がまるでない・・・
核心部をなんとか超えて、上流の平凡な流れになりココで、遡行を打ち切り山道を村まで下るハズだったのですが、古いネットの情報によると「トンネル」を越えて下るとあったのですが、そんなものは無くて、まるで道などありません。
おまけに雨まで降り出してきました。
3時間程、リングワンデリングして 日没を迎えてしまいました・・・
緊急ビバーク
仕方なく、念のためにザックの片隅に突っ込んでおいたツエルトを張って 濡れたままの衣服で 一夜を過ごしました。6月と言えども 濡れた体では寒くて体が震えます。万が一の為にストーブとガスも入れていましたので、それを炊くとツエルトの中は温まり、衣服も少し乾かすことができて、眠ることができました。
食糧もほぼないので、夜が明けたら道を探し回るよりも、この悪沢を下降した方が速いと思い、懸垂下降を数十回行って、車までたどり着いたのを思い出しました。
この谷は、後から調べますと左側に村に続く小路がありました。古い情報は、右手の林道のトンネルでしたが、今はそれは崩壊して何処にもその痕さえ見受けられませんでした。
道に迷ったら谷に下るのはご法度ですが、ロープと下降器があれば、谷を下ることも可能になります。
フォーカストビバーク(あらかじめ予定)例1 六甲山
六甲山の岩場ルートを登り、山頂でツエルトビバークします。コレは緊急でなくあらかじめ、予定を立てたビバーク(フォーカストビバーク)です。
天候悪化の知らせ。
六甲山にもこのような 岩場のバリエションルートがあります。このルートを登攀した後に山頂まで行き、ツエルトでビバークするという予定を組みました。天候は雨の予報です。
予報通り天候悪化。
予報通り、雨・ガスになりました。気温も低く霙に変わる感じです。ここで予定していたフォーカストビバークします。標高はたがが930m。それでも寒いです。
下からの冷え
ツエルトの中は狭いですが、雨はしのげます。下からの冷えはホムセンで買った銀マット一枚。流石に冷えます。
結露
雨漏りではありません。外との温度差で結露が激しいのです。まぁ、雨に直接かかりませんが、結構衣服が濡れてしまいます。
気温低下
みぞれ交じりの雨になってきましたが、それでもツエルトがあるのとないのでは雲泥の差です。この冷雨に当たって一晩過ごすとなると、低山でもこの季節は危ないかもしれません。
朝食で温まる。
結露が酷いですが風も雨も防いでくれるので、こうして味噌汁も作れました。
フォーカストビバーク(例)2 大峰山脈 ナイトハイク 弥山 八経ヶ岳
軽量なので自転車で・・・節約
近畿最高峰群の大峰山脈を軽量ザックで 登ってみます。
トンネル横の駐車料金が高いので(1泊すると2000円也) 自転車でここの駐車場(標高1100m)まで登ります。
もう、とっくに陽が落ちました。
少し残雪も見られます。
到着
午後、10時30分、弥山小屋に到着。ザックは日帰りの小っちゃいモノに、銀マットと夏用化繊シュラフを外付けしています。重さは9キログラム以下
500mlのペットボトルと同じ位に小さく畳み込めるツエルトですが・・・用途は大きいです。
張り方一つで広くなります。
ココは、ペグが良く利くテントサイトなので、ツエルトがピシっと張れ、空間は広くなります。支柱となるトレッキングポールは、やや高めに設定します。
軽量・ナイトハイクなら、早朝に近畿最高峰1915mに立つことができます。
軽量化
ナイトハイクや自転車を活用する場合は、やはり軽量化に努めなければなりません。そういう時は、フォーカストビバークを考えても良いかと思いました。
六甲全山縦走往復 野宿
出発
自宅から一番電車に乗り込み、早朝、6時過ぎ…須磨浦公園を出発。約45km先の宝塚を目指して、六甲山を縦走します。
六甲山頂に着いたのは、もう夕方近くになってしまいました?
この時期は、もうヘッデンが要ります。
往路完走(歩)
はぁ、宝塚に予定より1時間遅れで やっとこさ到着です。普通はココで電車に乗って帰ります。
しかし、往復ですからまた、ココから六甲山に登り返します。
辛い登り返し(復路)スタート
一時間チョイとラーメン屋さんでくつろいで、またこの急なアスファルト坂を上り返します。超眠たいです。
膝が痛いのと、眠たいのとで 神社の空き地で寝込んでしまいました。はい、野宿です。
ココでビバーク
幸い、パイプ椅子がありましたので並べて緊急ベッド?を作り、下からの冷えを遮断。シュラフカバーだけで そのまんま寝ます。
50km程歩き倒していますので、寒さよりも眠気が勝って、爆睡(笑)
屋根
この屋根があるかないかで野宿は大きく環境が左右されます。屋根がありますと、放射冷却が防がれ地表面の温度が下がらないのと、夜露から逃れることができます。
必要なグッズ
それと、午前4時頃まで爆睡できたのは、パイプ椅子とこのダウンテントシューでした。コレはとても小さくなり嵩張りませんし、温かいです。野宿の場合は、タープを木にひっかけて簡単な屋根?を作るだけでも 全く変わって来ます。それほど放射冷却作用は、野宿にとって天敵となります。
この日も往復ができずに復路の摩耶山でバスに乗りました。70km程でリタイヤを決めたのは、寝不足ではなくて、膝の痛みでした。
登る形態の用途に応じて・・・
このように、ビバークを上手く活用できれば 重い荷物から解放されますが、快適さは全く期待できません。
しかし、万が一の為に ペットボトル一本分くらいの嵩だけのツエルトは、ザックの隅に出も入れっぱなしでも 良さそうですね。せめて、エマージェンシーシートを入れておくだけでも 安心感が違います。

皆様もこの夏 フォーカストビバークにチャレンジされてみたらいかがでしょう。
ただ、低山では 害虫(藪蚊 ブヨ アブ ヒル マダニなど)が野宿では避けられません。ツエルトは、下部が底割れしていますし、入り口も隙間がありますので、それらの侵入は避けられません。
その点、テントならしっかりと害虫から身を守ってくれます。
降雨が全く予想できない程のお天気ならば、フライシートを持っていかずに、テント本体だけという選択肢もあります。テント本体だけなら結構嵩張らないし軽いですよ。

しかし、一番大事な事はフォーストビバーク(緊急)に陥らないように、事前の計画をしっかりと立てることですね。 
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