〜 危険と困難は違う 〜
(いまさらですが、、、)
2019年6月3日(月)に新宿区四谷区民ホールで登山家の花谷泰広氏の講演会が
日本山岳救助機構(jRO)主催で会員向けに行われました。
テーマは「自分が経験した事故事例とリスクマネジメント」。とても興味深かった
ため、備忘のため自分でとったメモをもとにポイントをまとめました。
花谷氏はとてもイケメンかつ温和な方で、講演もとてもわかりやすかったです。
(後日、jRO関係者の方に伺ったところ、講演会後の主催者との懇談会では、講演
では言えないようなもっと面白い話しが満載だったとのこと…。笑)
聞き取りながらのメモなので、曖昧な部分がありますので、受講された方で間違い
などに気が付いた方はご指摘いただけると助かります。
(◆は自分的に大切だと思うところです。)
◇失敗を繰り返さない業界「航空業界」に対し、登山業界は「繰り返す」業界
◇自分は今まで命にかかわる事故を一度もしていない
◇(自己紹介として)現在山梨県北斗市の南アルプス甲斐駒ケ岳七丈小屋の指定管理
者として小屋の管理をしている。晴天が多い山で山頂から4200〜2400年前の縄文
土器が発見されている。
◇「山岳会に入ってる人はどれくらいいますか?」の質問に対し、1割くらい挙手。
◆「登山歴はあてにならない」。10年でも月1回なら120回。3年でも毎週なら150回。
日数より山にいた時間と質が重要で、山の耐久力は「山に長く入っている人」が養われ
ていると思う。
◆信州大学山岳部のとき、31日間連続で縦走し、ネパールでは45日間の行程中、
30日間は山にいた。「効率よく経験をかせぐ方法はない」。
◇機会に恵まれ20歳でヒマラヤに登れた。ヒマラヤは8000m級から5000m級まで
山はたくさんあって選択肢があるが、若いうちに登れたのはよかった。
◇エベレストはシーズンで380人も登山許可を出した。それと同じシェルパも許可が
でている。5/22に大渋滞したとニュースになったが、晴れの予報をみんな聞いて
それに合わせて山頂アタックしているため。
◇大学卒業後、富士山の強力を月3回していた。
◇2004年インドのメル中央峰で途中落ちて大けがした(3人パーティー)。後でわかった
が左足足首の靭帯が切れていて自分で降りるしかないのだがハイハイしかできない。
◇4つ足四つん這いで動くときは、手のひらをパーにしてはダメ。手首がやられる。
グーにしてゴリラのように手首の向きを横向きにするとまだいい。
◇背負い搬送の時、お尻が下がっている状態だと担がれているほうも担いでいる
ほうもどっちも疲れる。
◇ご遺体の捜索について、2010年ネパールのダウラギリ(標高8,167m、世界7位)で、
知人が雪崩で埋まった。本来、救助者の安全が第一なのに自分はまだ高度順応して
いないにもかかわらず5200mのカトマンズにヘリで移動し脈が200に上昇してしまった。
◇RECCOで捜索、3名のうち1名だけ50cmのところに埋まっていたのを発見。でも
2名は見つからなかった。行方不明だとくぎりがつかない。
◆なので大切なこととして、届けを共有しておくこと、雪山に行くときはビーコンを
装着しておくこと。(でも、自分でも少しでも軽量化したくて場合によってはビーコン
はつけないかもしれないが…。)
◆2011年、マッキンリーやデナリに谷口ケイさんと登ったが、途中「ないなぁ…」と
嫌な予感。谷口さんは行くというので行ったがデナリは断念。
◆やっぱりそうい時は潔く帰る。自分が「あかん」と思ったら主張せなあかん。
パーティーの誰かが帰ると行ったら帰る。
◆自分の状況判断は○だったが、結果は×。よってトータルで×だった。
◆登山をしていて「ブレークスルー(一線を超えるとき)」は何度もできない。
◆死なない程度の失敗を繰り返す必要。ただ、成功体験だけだと上には踏み出せない。
無事に帰ってきたという意味では成功だが、登山としては失敗。
◆最後は自分の心に正直に。
◇若い人をヒマラヤに連れて行っている。雪山に100日以上、2シーズン以上登った
人を対象。
◆危険と困難は違う。
危険=「山が来るなと言っているところ」
困難=「難しいところは自分の力を高めると登れる」
◆自分の実力よりちょっと上がドキドキ、ワクワクする。
◇(もう一度行きたい山は?の質問に)同じ山を何度も登っている。
好きなのはやはり甲斐駒ケ岳(笑)。あと剣岳と北穂高(涸沢からではなく下田中から)。
◇憧れは知床。南米のペルーのアルパマーヨというきれいな山。あとデナリ。
◇あと、パキスタン側からアフガニスタンに行きたいけど…。
◇(雪山荒天でパートナーは行く、自分は行きたくないけど、結局折れて行ったら
ホワイトアウトして、それからそのパートナーと登っていないがどっちが悪い?との
問に)結局一緒に行ったなら貴方がダメ。ちゃんと主張しないと。
2019年6月3日(月)に新宿区四谷区民ホールで登山家の花谷泰広氏の講演会が
日本山岳救助機構(jRO)主催で会員向けに行われました。
テーマは「自分が経験した事故事例とリスクマネジメント」。とても興味深かった
ため、備忘のため自分でとったメモをもとにポイントをまとめました。
花谷氏はとてもイケメンかつ温和な方で、講演もとてもわかりやすかったです。
(後日、jRO関係者の方に伺ったところ、講演会後の主催者との懇談会では、講演
では言えないようなもっと面白い話しが満載だったとのこと…。笑)
聞き取りながらのメモなので、曖昧な部分がありますので、受講された方で間違い
などに気が付いた方はご指摘いただけると助かります。
(◆は自分的に大切だと思うところです。)
◇失敗を繰り返さない業界「航空業界」に対し、登山業界は「繰り返す」業界
◇自分は今まで命にかかわる事故を一度もしていない
◇(自己紹介として)現在山梨県北斗市の南アルプス甲斐駒ケ岳七丈小屋の指定管理
者として小屋の管理をしている。晴天が多い山で山頂から4200〜2400年前の縄文
土器が発見されている。
◇「山岳会に入ってる人はどれくらいいますか?」の質問に対し、1割くらい挙手。
◆「登山歴はあてにならない」。10年でも月1回なら120回。3年でも毎週なら150回。
日数より山にいた時間と質が重要で、山の耐久力は「山に長く入っている人」が養われ
ていると思う。
◆信州大学山岳部のとき、31日間連続で縦走し、ネパールでは45日間の行程中、
30日間は山にいた。「効率よく経験をかせぐ方法はない」。
◇機会に恵まれ20歳でヒマラヤに登れた。ヒマラヤは8000m級から5000m級まで
山はたくさんあって選択肢があるが、若いうちに登れたのはよかった。
◇エベレストはシーズンで380人も登山許可を出した。それと同じシェルパも許可が
でている。5/22に大渋滞したとニュースになったが、晴れの予報をみんな聞いて
それに合わせて山頂アタックしているため。
◇大学卒業後、富士山の強力を月3回していた。
◇2004年インドのメル中央峰で途中落ちて大けがした(3人パーティー)。後でわかった
が左足足首の靭帯が切れていて自分で降りるしかないのだがハイハイしかできない。
◇4つ足四つん這いで動くときは、手のひらをパーにしてはダメ。手首がやられる。
グーにしてゴリラのように手首の向きを横向きにするとまだいい。
◇背負い搬送の時、お尻が下がっている状態だと担がれているほうも担いでいる
ほうもどっちも疲れる。
◇ご遺体の捜索について、2010年ネパールのダウラギリ(標高8,167m、世界7位)で、
知人が雪崩で埋まった。本来、救助者の安全が第一なのに自分はまだ高度順応して
いないにもかかわらず5200mのカトマンズにヘリで移動し脈が200に上昇してしまった。
◇RECCOで捜索、3名のうち1名だけ50cmのところに埋まっていたのを発見。でも
2名は見つからなかった。行方不明だとくぎりがつかない。
◆なので大切なこととして、届けを共有しておくこと、雪山に行くときはビーコンを
装着しておくこと。(でも、自分でも少しでも軽量化したくて場合によってはビーコン
はつけないかもしれないが…。)
◆2011年、マッキンリーやデナリに谷口ケイさんと登ったが、途中「ないなぁ…」と
嫌な予感。谷口さんは行くというので行ったがデナリは断念。
◆やっぱりそうい時は潔く帰る。自分が「あかん」と思ったら主張せなあかん。
パーティーの誰かが帰ると行ったら帰る。
◆自分の状況判断は○だったが、結果は×。よってトータルで×だった。
◆登山をしていて「ブレークスルー(一線を超えるとき)」は何度もできない。
◆死なない程度の失敗を繰り返す必要。ただ、成功体験だけだと上には踏み出せない。
無事に帰ってきたという意味では成功だが、登山としては失敗。
◆最後は自分の心に正直に。
◇若い人をヒマラヤに連れて行っている。雪山に100日以上、2シーズン以上登った
人を対象。
◆危険と困難は違う。
危険=「山が来るなと言っているところ」
困難=「難しいところは自分の力を高めると登れる」
◆自分の実力よりちょっと上がドキドキ、ワクワクする。
◇(もう一度行きたい山は?の質問に)同じ山を何度も登っている。
好きなのはやはり甲斐駒ケ岳(笑)。あと剣岳と北穂高(涸沢からではなく下田中から)。
◇憧れは知床。南米のペルーのアルパマーヨというきれいな山。あとデナリ。
◇あと、パキスタン側からアフガニスタンに行きたいけど…。
◇(雪山荒天でパートナーは行く、自分は行きたくないけど、結局折れて行ったら
ホワイトアウトして、それからそのパートナーと登っていないがどっちが悪い?との
問に)結局一緒に行ったなら貴方がダメ。ちゃんと主張しないと。
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