(はじめに)
この章では、槍穂高連峰のうち、槍ヶ岳と北鎌尾根という険しい岩稜、岩峰を形成している地質(岩石)について、説明します。
1)槍ヶ岳、北鎌尾根を構成している地質(岩石)
槍穂高連峰が約176万年前の巨大火山の跡であり、そのうち穂高連峰は溶結凝灰岩という火山噴出物がカルデラ内に堆積したものであることは、2−6章(パート1)で説明しました。
ところで、槍ヶ岳も同じ溶結凝灰岩か?というと、実は微妙に違い、凝灰角礫岩という岩石でできているそうです。槍ヶ岳から北に延びる、“超“険しい北鎌尾根を形成する岩石も、ほとんどが、穂先と同様の凝灰角礫岩です。北限は、独標より少し北のあたりまでです。(文献1)
ただし素人目では、槍穂高の岩場を歩いていても気が付かない程度ですが・・・
ではなぜ、穂高連峰の各ピークと、槍ヶ岳とは地質が異なるか?というと、(文献1)によると、槍ヶ岳の穂先の麓、ちょうど槍ヶ岳山荘あたりに、東西に走る断層(北落ちの断層)があり、その断層を境に、岩層が違うとのことです。(なお、産総研「シームレス地質図v2」の説明文では、どちらも「火砕流堆積物」という分類になっています)。
穂高側の溶結凝灰岩も、槍が岳側の凝灰角礫岩も、どちらも約176万年前の巨大噴火で噴出した噴出物であるので、兄弟のようなものですが、槍ヶ岳、北鎌尾根を作っている凝灰角礫岩は、巨大噴火に際して生じた火砕流により、もともとその周辺にあった、花崗岩や、頁岩といった地層の粉砕物が、火山灰溶結質のマトリックスに、角礫として混じっているとのことです。マトリックス部分である凝灰岩質部分も強固に溶結しているようで、普通の凝灰岩(火山灰堆積物、例;大谷石)のような、軽くてもろい感じのものではありません(文献1)。
なお、槍ヶ岳直下の断層で槍ヶ岳や北鎌尾根がどれくらい落ち込んだのか?その垂直変位量は判明していませんが、仮に変位量がマイナス300mだとして、この断層の活動がなかったと仮定したら、計算上、槍ヶ岳の標高は、現在の標高(3180m)に、プラス300m足されることになります。とすると標高 約3500mもの高さを持つ巨大槍ヶ岳がそびえたつことになります。
ところで、槍ヶ岳も同じ溶結凝灰岩か?というと、実は微妙に違い、凝灰角礫岩という岩石でできているそうです。槍ヶ岳から北に延びる、“超“険しい北鎌尾根を形成する岩石も、ほとんどが、穂先と同様の凝灰角礫岩です。北限は、独標より少し北のあたりまでです。(文献1)
ただし素人目では、槍穂高の岩場を歩いていても気が付かない程度ですが・・・
ではなぜ、穂高連峰の各ピークと、槍ヶ岳とは地質が異なるか?というと、(文献1)によると、槍ヶ岳の穂先の麓、ちょうど槍ヶ岳山荘あたりに、東西に走る断層(北落ちの断層)があり、その断層を境に、岩層が違うとのことです。(なお、産総研「シームレス地質図v2」の説明文では、どちらも「火砕流堆積物」という分類になっています)。
穂高側の溶結凝灰岩も、槍が岳側の凝灰角礫岩も、どちらも約176万年前の巨大噴火で噴出した噴出物であるので、兄弟のようなものですが、槍ヶ岳、北鎌尾根を作っている凝灰角礫岩は、巨大噴火に際して生じた火砕流により、もともとその周辺にあった、花崗岩や、頁岩といった地層の粉砕物が、火山灰溶結質のマトリックスに、角礫として混じっているとのことです。マトリックス部分である凝灰岩質部分も強固に溶結しているようで、普通の凝灰岩(火山灰堆積物、例;大谷石)のような、軽くてもろい感じのものではありません(文献1)。
なお、槍ヶ岳直下の断層で槍ヶ岳や北鎌尾根がどれくらい落ち込んだのか?その垂直変位量は判明していませんが、仮に変位量がマイナス300mだとして、この断層の活動がなかったと仮定したら、計算上、槍ヶ岳の標高は、現在の標高(3180m)に、プラス300m足されることになります。とすると標高 約3500mもの高さを持つ巨大槍ヶ岳がそびえたつことになります。
(参考文献)
文献1)原山、山本 共著
「超火山「槍・穂高」」 山と渓谷社 刊 (2003)
のうち第1部「天空にそびえる巨大カルデラ伝説を追うー槍・穂高連峰」の項
「超火山「槍・穂高」」 山と渓谷社 刊 (2003)
のうち第1部「天空にそびえる巨大カルデラ伝説を追うー槍・穂高連峰」の項
このリンク先の、2−1章の文末には、第2部「北アルプス」の各章へのリンク、及び、序章(本連載の各部へのリンクあり)を付けています。
第2部の他の章や、他の部をご覧になりたい方は、どうぞご利用ください。
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【書記事項】
初版リリース;2020年5月24日
△改訂1;文章見直し、一部修正。山名追加。参考文献の項を新設、記載。
2−1章へのリンクを追加。書記事項追記。
△最新改訂年月日;2022年1月7日
△改訂1;文章見直し、一部修正。山名追加。参考文献の項を新設、記載。
2−1章へのリンクを追加。書記事項追記。
△最新改訂年月日;2022年1月7日
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