日本産アザミ属植物検索表(全面改定版)
日本産アザミ属の検索表
本検索表はキク科植物うち,アザミ属を扱った.前置きについては日本産キク科植物検索表(全面改定版)を参照されたい.国立科学博物館の公開HP「日本のアザミ」を中心に検索表を組んだが,更に分類が進展する可能性が高く,最新の情報をもって判断されたい.尚,学名は全てCirsium
であり,種学名のみ表記した.
次回はシソ科の全面改定を予定しています.
1a.北海道・・・I.
1b.本州(佐渡島以外の諸島を除く)・・・II.
1c.四国・・・III.
1d.九州(対馬以外の諸島を除く)・・・IV.
1e.諸島・・・V.
I.北海道
1a.頭花を10個以上付け,小型-中型・・・2.
1b.頭花を1個-10個以内付け,中型-大型・・・6.
2a.総苞片は長く(総苞の高さに近い)平開して目立つ.利尻島固有・・・リシリアザミumezawanum (頭花は上向き.葉は裂けず鋸歯縁.山麓
部より上部にチシマが多く,分布接点で両種の交雑が多い).
2b.総苞片は細かくて短く(総苞の高さより明瞭に短い)反返るか斜上する・・・3.
3a.総苞外片は先端が反返る.北海道,本州(長野県以北)・・・タカアザミpendulum (丈1-3m,茎は太く直径1cmを超える.花期に根生葉はなく,茎葉は上部ほど小形,深裂,基部は抱茎しない.花期は8-10月,淡紫色の頭花を下向き.白花品種=シロバナタカアザミ).
3b.総苞片は斜上する・・・4.
4a.頭花は上向き,柄はなく基部で接する.北海道(釧路-函館,太平洋側)・・・エゾヤマアザミalbrechtii (花期に根出葉はなく,茎葉は鋭い
棘のある鋸歯縁か浅裂.総苞は筒型,総苞片は11-12列.アオモリとの雑種=マヨワセアザミ.アオモリは花期に根出葉があり,総苞にク
モ毛があり,総苞片は7列.トオノに似るが総苞内片に腺体があり,片の縁に膜状部がない).
4b.頭花は横向き-下向き,柄があり基部で接しない・・・5.
5a.総苞は四角-縦長.茎は上部で2分岐する程度.北海道(旭川市,幌加内町)・・・アサヒカワアザミkenji-horieanum (北海道中部の超塩基
性岩地.総苞は腺体が目立ち,粘らない).
5b.総苞は幅広い.茎は上部で鋭角的に数回分岐する.北海道(西南部と東部を除く)・・・コバナアザミboreale (丈1-2.5m,茎は直立.根出葉
は花期に枯れ,茎葉は全縁-中裂,縁に棘があり,基部は茎に沿下.頭花は紅紫色,総苞片は9-10列,腺体が目立つ.チシマに似るが,頭
花が小さく(チシマは5cm),葉は下方のものが中裂,茎に翼が出来ない場合が多い).
6a.頭花は総苞を含め深紅色.北海道(日高山脈)・・・ヒダカアザミhidakamontanum (総苞片は強壮.葉は幅広で鋸歯縁.頭花は下向き).
6b.頭花は浅い紅色,総苞は緑色掛かる・・・7.
7a.茎の下部に大型の葉があるが,中間以上では大型の葉が目立たなくなる・・・8.
7b.茎の中間以上にも大型の葉がある・・・11.
8a.茎は太く強壮.頭花は上向き.釧路以南.北海道(釧路-道南,太平洋側),本州(青森県,秋田県北部)・・・アオモリアザミaomorense (茎は直立.大きな根生葉が花期にあり,深裂か鋸歯縁,茎葉は抱茎.総苞片は7列,強壮で開出,腺体は時に発達,少し粘る).
8b.茎は繊細で華奢.頭花は横向き-下向き・・・9.
9a.中間の葉は浅裂,主脈域の幅は裂片より面積が広い.以下の葉も中裂して同様な傾向がある.アポイ岳固有.北海道(様似町アポイ岳蛇紋岩
地にのみ)・・・アポイアザミapoense (葉の基部は棘のある耳状に抱茎し沿下.頭花は1個.総苞片は6列,粘らない).
9b.中間の葉は全-深裂,主脈域の幅は裂片の幅と同じか狭い・・・10.
10a.道央以南.北海道(低地の湿地)・・・エゾノサワアザミpectinellum (上部にクモ毛がある.根生葉は花期に枯れ,全裂,棘があり,茎葉は無毛で棘がなく,全裂.チシマに似るが中葉が全裂.頭花を下向き.総苞片は6列.以下10b-10dは本種から細分された.エゾキレハアザミと仮称される未分類の形質群もあり,西は倶知安町から道央を経て道東と北に広く分布).
10b.根室半島産.北海道(根室半島高層湿原)・・・エゾマミヤアザミcharkeviczii (葉は全裂,基部は抱茎しない.頭花は横向き,総苞片は8-9
列,鋭角的に斜上,腺体は退化的,粘らない.同所のアッケシとエゾノサワは林縁や草原).
10c.鷹栖町嵐山固有.北海道(北海道鷹栖町嵐山=近文山)・・・チカブミアザミchikabumiense (葉は深裂.頭花は下向き.根室地方のエゾマミ
ヤに似るがストロンを出さない).
10d.鷹栖町より北部.北海道(中頓別町,幌延町,幌加内町)・・・テシオアザミteshioense (葉は深裂.頭花は下向き.幌加内町ではアサヒカワ
と同所的だが本種は花期が1ヶ月早い).
11a.総苞片の長さは総苞の2/1以下.北海道-本州(札幌南部-丹後半島の日本海側)・・・サワアザミyezoense (茎は斜上,中間以上で分枝する
が,枝はあまり伸びない.根生葉は花期になく,茎葉は浅裂-中裂,棘は弱い.花期は9-10月,頭花は数個が集合,総苞片は8-9列,斜上,
クモ毛,腺体を欠き,粘らない).
11b.総苞片の長さは一部でも総苞の高さに等しい・・・12.
12a.渡島半島産・・・13.
12b.渡島半島以外・・・14.
13a.総苞片は強壮で長く,総苞を覆う.北海道(渡島半島),本州(青森県津軽半島北部)・・・ミネアザミalpicola (茎は直立,単純か上部で分
枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期になく,下部の茎葉は粗い鋸歯縁か浅裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-9月,頭花は2-5個が密集,
直立か斜上,総苞片は針状,6-7列,斜上,クモ毛はなく,腺体は痕跡的,粘らない).
13b.総苞片は細長く少数,総苞を隠す程ではない.北海道(渡島半島南部),本州(青森県津軽半島北部)・・・マルバヒレアザミgrayanum (茎
は上部で分枝.下部の葉は鋸歯縁か中裂-浅裂,基部は棘のある翼になって浅く抱茎.頭花は単生か少数が上向き,総苞片は7-8列,裂片斜
上.同所するミネは総苞片が6列で長く,葉の抱茎は極く浅い).
14a.葉柄はなく,基部は茎に延下し縁に棘がある.総苞の最上部は赤紫で頭花に沿って伸びる.北海道(渡島半島除く)・・・チシマアザミ
kamtschaticum (根生葉は花期に枯れ,葉は全縁-深裂.頭花を下向き,総苞はクモ毛があり,総苞片は細く反返る).
14b.14aの特徴を全て備えない.根室地方-根室半島の海岸方面.北海道(道東地方海岸)・・・アッケシアザミiito-kojianum (葉は中裂.総苞に
腺体がある.チシマから分けられた).
14c.14aの特徴を全て備えない.茎や葉はクモ毛が目立つ.総苞はクモ毛が目立ち,総苞片は密で糸状に下へ伸びて波曲する.大雪山系と知床
山地の高地.北海道(大雪山,知床山地)・・・エゾノミヤマアザミ(ミヤマサワアザミ) yezoalpinum (低地のエゾノサワ高山型.茎は直立,
分枝しないか一回分枝.根生葉は花期に枯れ,根生葉と茎葉は深裂,鋸歯と棘がある.頭花は1-3輪で下向き,花期は8-9月,総苞片は11-
12列,腺体はない.同所のチシマと草体の長毛,花期の根生葉の有無,総苞片の列数で明瞭に区別出来る).
14d.14aの特徴を全て備えない.総苞のクモ毛は薄く,総苞片は針状.夕張岳-日高山脈-襟裳岬.北海道(夕張岳-えりも町日高山脈の山麓部)・・・
カムイアザミaustrohidakaense (葉は円い全縁-鋸歯縁.頭花は下向き.総苞片は8-9列,開出か反曲).
II.本州
1a.本州の広域,14以下と混生,注意を要する・・・2.
1b.本州の中域以下.1aと混生する可能性があり,それらとは全ての特徴を合わせ持たない(合わせて検討必要)・・・14.
(広域分布)
2a.総苞片は圧着,先端が極小さく開出する程度・・・3.
2b.総苞片は圧着せず,上半部は開出する・・・4a,b.
3a.総苞は全体的に球型で上部で狭まり,緑色掛かる.頭花は上向きで,草体は直立する.平地-低山中心.本州,四国,九州・・・ノアザミ
japonicum (花期に根生葉は残り,葉は中裂,縁に棘を持ち,基部は抱茎.花期は5-10月,紫色で白色もあり,総苞はよく粘る.初夏に咲
くが東北と中部の内陸に夏-秋に咲き,茎が良く分枝する型がある).
3b.総苞は台型,黒ずむ.頭花は下向きで,草体は傾く.白神山地と八幡平と鳥海山を除く山岳中心.本州(白神山地と八幡平と鳥海山を除く秋田県-石川県の山地)・・・オニアザミborealinipponense (茎は単純か上部で数回分枝.根生葉は花期にあり,深裂-中裂,鋭い棘がある.花期は6-10月,頭花は数個か単生,総苞片は6列,無毛か薄くクモ毛,腺体は良く発達,著しく粘る).
4a.総苞は細長い筒型,総苞片は針状に鋭く斜上する.小さな頭花が穂状に密に付く.近畿以東の太平洋側の山地中心.本州(東北南部から近畿の主に太平洋側)・・・アズマヤマアザミmicrospicatum (茎は直立-斜上,中間以上で分枝,枝は鋭角的に伸びる.葉は鎌状に曲がり,深裂.花期は9-11月.総苞片は11-12列.中部-関東では腺体が退化して総苞は粘らないが,東北-北陸-近畿では腺体がよく発達して著しく粘る(ネバリアズマヤマアザミ)).
4b.総苞は正方型(短い筒型の場合は総苞片の開出は針状ではなく長三角形)・・・4c,d.
4c.総苞片は幅広く,基部から開出して時に反転,縁に棘がある.花径は5-10cm.山岳中心.本州(東北-中部-北陸)・・・フジアザミpurpratum
(根生葉が花期に残り,葉は基部に集まり,深裂-中裂,先端は伸び,棘が目立つ.花期は8-10月,稀に白花,総苞片は紫色,反返り(反転
しない場合がある),先端は鋭く尖る).
4d.総苞片は幅の狭い長三角形かより細く,反返っても反転せず,縁に棘がない.花径は5cm以下・・・5.
5a.総苞片は先端が鋭い長三角形,重なり合って基部近くから弱く斜上する.東北北部と福井県以外の北陸を除いた本州のほとんどに分布.本
州(以下を除く=青森県と隣県県境域,新潟県と富山県と石川県の大半,山口県西部),四国(西南部を除く)の湿地・・・キセルアザミsieboldii
(茎は時に3m以上になり,頭花の重みで傾き,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,浅裂-中裂か全縁-鋸歯縁,弱い棘がある.根
生葉以外は中間のやや小型の中裂-深裂した葉を数枚持つ程度.花期は8-10月,単生か数個が疎らな総状花序,総苞片は8-10列,無毛か
薄くクモ毛,腺体は痕跡的,粘らない.白花品=シロバナキセルアザミ).
5b.総苞片は開出,各片は分離する・・・6.
6a.海浜植物.葉は厚みがあり,光沢がある.頭花の基部に棘立った5枚前後の苞葉(小葉)がある.茎は基部から分岐,丈50cm以下.本州(房
総半島-宮崎県の海岸)・・・ハマアザミmaritimum (茎は直立,単純か中間以上で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,両面か下面に毛
があり,鋭い棘がある.花期は6-12月,単生か数個が直立,総苞片は10-11列,下半部は圧着,上半部が斜上,腺体は無いか退化的,粘ら
ない.白い頭花をつける変種=シロバナハマアザミ).
6b.海浜植物ではなく,6aの特徴を全て合わせ持たない・・・7.
7a.総苞片は長三角形-糸状に伸びるが,中片の先端は花の基部に届かない・・・8.
7b.総苞片は錐状に鋭く長く,中片の先端は花の基部に届く・・・13.
8a.総苞片は均一で短くて整然としており,斜上する.総苞にクモ毛がある・・・9.
8b.総苞片は乱れ,平開-反返り.総苞のクモ毛は目立たない・・・10.
9a.葉の棘は目立たない.中間以下の葉は中裂した幅広い大きな葉が出て,草体は葉の塊から大きな下向きの頭花を付けた茎が突き出た感じが
する.北海道-本州(札幌南部-丹後半島の日本海側)・・・サワアザミyezoense (茎は斜上,中間以上で分枝するが,枝はあまり伸びない.
根生葉は花期に生存しない.花期は9-10月,頭花は数個が集合,総苞の基部に5枚前後の苞葉がある.総苞片は8-9列,腺体を欠き,粘
らない).
9b.葉の棘は顕著.上部にも葉が目立つ.本州(青森県,秋田県-長野県,愛知県)・・・ノハラアザミoligophyllum (花期に深裂した根生葉が残
り,茎葉は上ほど小さく,基部は抱茎.花期は8-10月,茎の上部で分枝.頭花は紫色,粘らない).
10a.総苞片は細く伸び,基部付近から開出する.頭花数はやや少なく,上向き中心・・・11.
10b.総苞片は長三角形,先端が長く開出する.頭花数は多め,横向き-下向き中心・・・12.
11a.上部の葉は細長い舟形で鋸歯縁,下部の葉は深裂する.葉の基部は広がって抱茎する.日本海側の山地中心.本州(青森県-新潟県,長野県)
・・・ダキバヒメアザミamplexifolium (茎は直立,上部で分枝,茎はしばしば紫色.根出葉と下部の茎葉は花期になく,中間の葉は低い鋸
歯がある全縁状か浅裂-深裂,棘を持つ.総苞片は8-9列,粘らない).
11b.上部の葉は深裂.葉の基部は抱茎しない.太平洋側の山地中心.本州(東北南部-中部の太平洋側)・・・トネアザミ(タイアザミ) incomptum
(茎が直立,上部で分枝,枝は開出せず,上向きに鋭角的に伸びる.葉は先が鋭く尖り,棘はやや長く鋭い.頭花の向きや付き方は変異が多
く,柄はナンブほどは長くならない,総苞片は粘らない).
12a.頭花は総状に付く.葉の基部は柄がなく,葉身が茎に接する(僅かに抱茎).総苞は筒形.山地の湿地.本州(宮城県,福島県,茨城県,長野
県)・・・シドキヤマアザミshidokimontanum (丈1.2-2.4m,中間以上で鋭角的に分枝.葉は深裂-鋸歯縁,棘々しさはない.花柄はごく短
いか無柄,総苞片は11-12列,腺体はなく,薄くクモ毛,粘らないが時に少し粘る).
12b.頭花は個別に付く.葉の基部は柄状,抱茎しない.総苞は球形.日本海側の山地中心.本州(東北,関東,中部の日本海側に偏る)・・・ナ
ンブアザミmakinoi (花期に根生葉は残らない.花期は8-10月,紫色,腺体があり,少し粘る.白馬岳周辺で頭花が小型で紫色を帯びる=
シロウマアザミvar. shiroumense).
13a.下部の総苞片は平開,上部では斜上する.本州(青森県と秋田県北半と岩手県北部を除く),四国,九州・・・モリアザミdipsacolepis (茎
は直立,上部で分枝か単純,枝はやや広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないか,ある場合でもロゼット状にならない.中下部の茎葉
は鋸歯縁か浅裂-中裂,鋭い棘がある.花期は9-11月,数個か単生,直立,総苞片は6-7列,外片の先端は尾状に長く伸び,多少ともクモ
毛,腺体を欠き,粘らない).
13b.総苞片は全体が斜上する.本州(青森県-富山県日本海側)・・・タチアザミinundatum (中間以下で分枝しない.花期に根生葉は残らず,葉
は変化が多く,基部は耳状に張出して抱茎.花期は8-10月,上向き,色は紫色.総苞片は6-7列,腺体はなく,粘らない.オゼアザミは変
種とされる).
(中域分布)
14a.桑名市−大垣市−彦根市−敦賀市を結んだ線より北東(東日本)・・・15.
14b.桑名市−大垣市−彦根市−敦賀市を結んだ線より南西(西日本)・・・91.
15a.新潟市−会津若松市−那須塩原市−水戸市を結んだ線より北東(東北地方)・・・16.
15b.新潟市−会津若松市−那須塩原市−水戸市を結んだ線より南西・・・42.
16a.東北地方の日本海側・・・17.
16b.東北地方の中央山地(南北に繋がる中央の県境帯を含む,福島県は中通り地方)・・・26.
16c.東北地方の太平洋側・・・35.
(東北地方の日本海側)
17a.総苞片は圧着する・・・18.
17b.総苞片は開出する・・・20.
18a.総苞は狭筒形.山形県と新潟県東部の沿海山地.本州(山形県と新潟県の沿海山地)・・・ウエツアザミuetsuense (葉は浅裂-中裂,耳状に
抱茎.頭花は上向くか斜め).
18b.総苞は台型・・・19.
19a.白神山地固有.本州(秋田と青森県境白神山地)・・・ツガルオニアザミshimae (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,浅裂-中
裂,棘は弱い.花期は6-7月,頭花は数個か単生,総苞片は7-8列,直立か斜上,薄くクモ毛,腺体は発達,著しく粘る).
19b.鳥海山固有.本州(秋田と山形県境鳥海山の高山草原)・・・チョウカイアザミchokaiense (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生
存,中裂,鋭い棘がある.花期は8-9月,頭花は単生か数個,総苞片は6列,圧着,薄いクモ毛か無毛,腺体は発達,著しく粘る.オニに
似るが,頭花が紅紫色,狭筒部が広筒部より明瞭に長い).
20a.総苞片は片の中央で開出し反返る・・・21.
20b.総苞片は錐状で長く斜上,中片下部の先端は花の基部に届く・・・25.
21a.葉は全縁で鋸歯縁,基部で小さく裂ける程度.本州(秋田県と山形県の海岸,酒田市から鶴岡市の砂浜海岸で分布域が切れる.男鹿半島に分布しない?)・・・リョウウアザミdomonii (頭花は直立,総苞片は11-12列).
21b.葉は浅裂-中裂する・・・22.
22a.山形県と新潟県の県境一帯.本州(山形県と隣接する新潟県)・・・ウゼンアザミuzenense (丈1-2m,上部で分枝,側枝が鋭角的に伸びる.
葉の裂片は欠刻状,基部は抱茎.頭花は多く,小型で横向き-下向き,総苞は狭筒形で赤みを帯び,総苞片は11-12列,先は反曲,中片の縁
に短い棘があり,外片は短く,中片と内片に腺体,クモ毛があり,よく粘る).
22b.男鹿半島に分布・・・23.
23a.総苞片は基部近くが最も長く,11列以上で全体的に密.頭花は上向き.男鹿半島の沿岸.本州(秋田県男鹿半島沿岸)・・・トガアザミtogaense (丈2mになる.頭花は上向き,総苞片は11-13列).
23b.総苞片は均一,10列以下で疎ら.頭花は横向き-下向き.男鹿半島の山地・・・24.
24a.茎の中間で葉の付く間隔が狭くなる.男鹿半島の芦ノ倉沢の上流部固有.本州(秋田県男鹿山地芦ノ倉沢の上流部)・・・アシノクラアザミashinokurense (総苞片は8-9列).
24b.葉が茎に付く間隔はほぼ均一.本州(秋田県男鹿山地)・・・オガアザミhoriianum (頭花は多数,総苞片は9-10列,開出,腺体は痕跡的,
粘らない).
25a.葉は全縁-中裂,棘は普通.大きな頭花の横に小さな花が数個付く.山地-高山.本州(秋田県と岩手県と山形県と福島県の日本海側-中央山
脈の高山)・・・ウゴアザミugoense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.茎葉の基部は耳状に抱茎し流れて翼状.
花期は7-8月,総苞片は6列,斜上し先端に鋭い棘がある.腺体はない,わずかに粘る.鳥海山・薊坂のアザミは本種でチョウカイはより
低い所).
25b.葉は深裂,棘が顕著.同じ大きさの頭花を数個総状に付ける.高山.本州(東北の鳥海山,栗駒山,月山,飯豊山地,朝日山地)・・・ナンブタカネアザミnambuense (丈50cmほど,茎には白い毛が密生.花期に根生葉は残り,茎葉の基部は抱茎.花期は7-8月,1-3個で斜め上向き-下向き,頭花は筒状,紫色,総苞は粘らず,総苞片は5列,長い棘状).
(東北地方の中央山地)
26a.総苞内片の縁に膜状部があり,縁が細かく波打つ・・・27.
26b.総苞片の縁は単純か不明瞭な棘や毛がある程度・・・28.
27a.山形県天童市の風穴じゃがらもがら固有.本州(山形県天童市の風穴じゃがらもがら)・・・ウゼンヒメアザミkatoanum (葉の縁は多くは鋸歯,中間以下の葉の基部は抱茎,葉の棘は弱い.頭花は上向きか斜め).
27b.二岐温泉固有.本州(福島県二岐山,二岐温泉)・・・フタマタアザミhasunumae (多数で頭花を下向き,総苞が良く粘る.ハナマキに似る
が総苞片の先端は短く斜上ないし反曲する).
28a.総苞片は圧着,花と共に暗色.八幡平源太清水周辺固有.本州(岩手県と秋田県の八幡平源太清水周辺)・・・ハチマンタイアザミ
hachimantaiense (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,上面に腺毛があり,中裂-深裂,鋭い棘がある.花期は7-9月,頭花は
数個が密集,総苞片は7-8列,薄くクモ毛か無毛,腺体は良く発達,非常に粘る).
28b.総苞片は開出,緑色掛かる・・・29.
29a.総苞片は反返り,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・30.
29b.総苞片は平開-斜上,中片下部の先端は花の基部に届く・・・32.
30a.上部の葉は長楕円形で鋸歯縁.山形市周辺固有.本州(山形県山形市と天童市)・・・マミガサキアザミtakahashii (多数の頭花を上向き,総
苞片は10列前後).
30b.上部の葉は裂ける・・・31.
31a.総苞片は短く,基部近くが長くなり,特に内片は極先端のみ開出する.本州(岩手県,秋田県)・・・ハナマキアザミhanamakiense (茎は細
く,大きいものは上部が傾き,側枝は広角度で伸びる.花期に根性葉はなく,茎葉は両面に薄くクモ毛,中裂-深裂,基部は短い柄状となって少し抱茎.頭花は横向き-下向き,総苞片は11-12列,時に縁に付属物を持ち,先端は短く開出して反曲,腺体があり,粘る.秋田県に腺体が痕跡的で粘らない群落がある).
31b.総苞片は伸長,上部近くが長くなる.本州(宮城県北部のブナ帯)・・・リクゼンアザミfuagataense (茎は分枝,上部にまばらなクモ毛と褐
色短毛がある.根生葉は花期に枯れ,粗い鋸歯縁か浅裂-中裂,茎葉の抱茎しない.頭花を下向き,総苞片は10-11列,クモ毛はなく,腺体
はなく,中外片は開出-反曲).
32a.総苞片は平開.早池峰山と岩手山固有.本州(岩手県早池峰山と岩手山の高山草原)・・・ガンジュアザミganjuense (根出葉は花期に枯れ,
茎葉の先は尖り,中下部の茎葉の基部は広く抱茎,縁は浅裂か全縁に近く,縁には短い棘がある.頭花は数個,斜上か平開,紅紫色,総苞
片は7列,棘はごく短く,粘らない).
32b,総苞片は錐状に斜上する・・・33.
33a.蔵王連峰固有.本州(山形県蔵王山連峰)・・・ザオウアザミzawoense (茎は直立,上部で数回分枝する.根生葉は花期に生存せず,茎葉は
中裂か鋸歯縁,基部はわずかに抱茎.花期は8-9月,頭花は数個が疎らな総状花序,総苞片は7-8列,斜上-開出,わずかにクモ毛があり,
腺体はあり,よく粘る.蔵王連峰では高所にザオウ,低所にナンブが生育する).
33b.蔵王連峰を除いた東北の中部から南部の山域・・・34.
34a.葉は中裂,棘は顕著ではない.茎は特に白毛は目立たない.本州(秋田県と岩手県と山形県と福島県の日本海側-中央山脈の高山=八幡平,
駒,鳥海,月山,朝日,磐梯)・・・ウゴアザミugoense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.茎葉は浅裂-中裂か粗
い鋸歯,基部は耳状に抱茎し流れて翼状.花期は7-8月,頭花は単生か数個,直立か斜上.総苞片は6列,腺体はなく,わずかに粘る.鳥
海山・薊坂のアザミは本種でチョウカイはより低い所).
34b.葉は深裂,棘が顕著.茎に白毛が密生する.高山性.本州(東北の鳥海山,栗駒山,月山,飯豊山地,朝日山地)・・・ナンブタカネアザミ
nambuense (丈50cmほど.花期に根生葉は残り,茎葉の基部は抱茎.花期は7-8月,1-3個で斜め上向き-下向き,頭花は筒状,紫色,総苞
は粘らず,総苞片は5列).
(東北地方の太平洋側)
35a.総苞片は短く,斜上-反返り,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・36.
35b.総苞片は長く,平開-斜上,中片下部の先端は花の基部に届く・・・40.
36a.枝の先端に同じ大きさの小型の頭花を密に付ける.葉の裂けは弱い.いわき市固有.本州(福島県いわき市)・・・ハッタチアザミyamauchii
(茎は直立,上部で分枝.根出葉は花期に枯れ,先はやや尖り,基部は短い葉柄があり,抱茎せず,縁は全縁-粗い鋸歯縁,両面無毛,光沢がある.頭花は紅紫色,狭筒部は広筒部より長いか同長,柄は短く,総苞は赤紫褐色でまばらにクモ毛,総苞片は11-12列,縁に膜状部があり,腺体はあり,ほとんど粘らない).
36b.枝の先端に大きな頭花を一個と脇に小さな花を数個を付ける・・・37.
37a.葉の変化は少なく,長楕円形で粗い鋸歯縁.総苞片は先端で小さく開出する.丈1m以下.名取市と丸森町固有.本州(宮城県名取市と丸森
町)・・・ナトリアザミkasaianum (小型のアザミ,丈15cm以下,上部で少し分枝するが側枝はあまり伸びない.葉の基部は柄状に細まり抱
茎,棘は弱い.頭花は数個が下向き,総苞はまばらにクモ毛,総苞片は7-8列,腺体は痕跡的,粘らない).
37b.葉の変異は大きく,裂けた葉が多い.総苞片は反返る・・・38.
38a.宮城県以北の海岸地域.頭花を上向きに付けるキタカミアザミグループ.下記の4種が北から分布し,一部重なる.
・本州(青森県-岩手県) ・・・キタカミアザミnipponicum (茎は中部で広角度に分枝.葉は中裂-深裂か時に全裂,抱茎しないか僅かに抱
く.総苞片は8-9列.ナンブの分布域と重複するが同所的でない.下北半島のアザミは本種).
・本州(岩手県-宮城県)・・・マツシマアザミsendaicum (茎から広角度でよく分枝,枝は長く伸びる.葉は深裂か鋸歯縁,下部の葉は抱
茎,棘は太くて鋭い.総苞片は細く,8-9列,中片が最も長く,腺体があり,少し粘る.キタカミに似るが,葉はより深く切れこむ).
・本州(宮城県牡鹿市金華山島と周辺) ・・・キンカアザミmuraii (花期に根生葉は枯れ,茎葉は深裂-全裂,先は長い棘,基部は抱茎,棘が太長い.頭花は紅紫色,大型の苞葉があり,総苞片は9-11列,クモ毛はなく,腺体はある.近縁のキタカミやマツシマに比べて棘が鋭く,鹿の食害に対する防御と考えられている).
・本州(宮城県名取市と丸森町)・・・マルモリアザミmarumoriense (茎は中部以上でやや広角度に分枝,葉は深裂-全裂,基部は抱茎.
頭花は少数,総苞片は11-12列,腺体は痕跡的.キタカミグループでは最も南に分布).
38b.福島県・・・39.
39a.分枝は弱く,草体全体は単純.深裂した葉の裂片の間隔は広く,間隔の間は水平.福島県岩代地方固有.本州(福島県岩代地方)・・・イワ
キヒメアザミCirsium yuzawae (茎は細く,中部以上で鋭角的に分枝するがあまり伸びない.根出葉は花期に枯れ,茎葉は時に脈に沿って
白班があり,深裂で稀に全縁,中部と上部の茎葉は羽裂か鋸歯縁,基部は半分ほど抱茎,棘は鋭く直立.頭花は茎頂に単生か総状に3-4個,
総苞は狭筒形,緑色で疎らにクモ毛があり,総苞片は11-12列,腺体はなく,粘らない).
39b.よく分枝,草体全体は膨らんだように見える.深裂した葉の裂片は基部でU字につながる.山地性.本州(福島県阿武隈高地)・・・アブク
マアザミtonense var. abukumense (丈1-2m,茎の下部からよく分枝,側枝も更に分枝.葉は深裂,抱茎しない.頭花は小型で多数,横向き
-下向き,総苞はやや鐘形,総苞片は8-9列,外片は狭卵形で中片とほぼ同長,腺体はないものが多いが,時に内片にある).
40a.総苞片は平開する.早池峰山と岩手山固有.本州(岩手県早池峰山と岩手山の高山草原)・・・ガンジュアザミganjuense (根出葉は花期に枯
れ,茎葉の先は尖り,中下部の茎葉の基部は広く抱茎,縁は浅裂か全縁に近く,縁には短い棘がある.頭花は数個,斜上か平開,紅紫色,
総苞片は7列,開出,棘はごく短く,粘らない).
40b.総苞片は斜上する・・・41.
41a.葉は中裂程度,棘は顕著ではない.茎は特に白毛は目立たない.本州(秋田県と岩手県と山形県と福島県の日本海側-中央山脈の高山=八幡
平,駒,鳥海,月山,朝日,磐梯)・・・ウゴアザミugoense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.葉の基部は耳状
に抱茎して翼状に流れる.花期は7-8月,頭花は単生か数個,直立か斜上.総苞片は6列,斜上し先端に鋭い棘がある.腺体はない,わず
かに粘る.鳥海山・薊坂のアザミは本種でチョウカイはより低い所).
41b.葉は深裂,棘が顕著.茎に白毛が密に生える.高山性.本州(東北の鳥海山,栗駒山,月山,飯豊山地,朝日山地)・・・ナンブタカネアザ
ミnambuense (丈50cmほど,茎には白い毛が密生.花期に根生葉は残り,茎葉の基部は抱茎.花期は7-8月,1-3個で斜め上向き-下向き,
頭花は筒状,紫色,総苞は粘らず,総苞片は5列,長い棘状).
42a.新潟市−十日町市−長野市(カーブして)−上田市−佐久市−北杜市−中央市−富士川を結んだ線より東(関東)・・・43.
42b.新潟市−十日町市−長野市(カーブして)−上田市−佐久市−北杜市−中央市−富士川を結んだ線より西(中部)・・・56.
(関東地方)
43a.総苞片は圧着か先端が僅かに開出する程度・・・44.
43b.総苞片は開出する・・・46.
44a.総苞は台型,黒ずむ.三国山地固有.本州(群馬と福島と新潟と長野の三国山地の高山)・・・ジョウシュウオニアザミokamotoi (茎は斜上,
上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,中裂,鋭い棘がある.花期は8-9月,頭花は単生か数個が密集.総苞片は7-8列,圧着,薄くク
モ毛か無毛,腺体は良く発達,著しく粘る.オニに似るが小花の狭筒部が広筒部より少し長く,総苞片が7-8列,より根生葉の切込みが深
く,棘が鋭い).
44b.総苞は筒型,緑色掛かる・・・45.
45a.福島県会津地方と周辺.本州(福島県と栃木県と群馬県の県境)・・・アイヅヒメアザミaidzuense (茎に白い毛が多く,葉は深裂か鋸歯縁,
基部は抱茎.頭花は多数上向き,総苞片は8-9列で圧着か斜上,腺体は発達,粘る).
45b.先端を除く千葉県房総半島.本州(千葉県房総半島で先端を除く)・・・カズサヤマアザミbosopeninsulae (花期に根生葉は生存しない.茎は
斜上-やや直立,上部でよく分枝,枝は鋭角的に短く伸びる.葉は深裂か粗い鋸歯縁,短い葉柄があり抱茎しない.花期は10-12月,頭花は
疎らな総状花序.総苞は狭筒形,クモ毛があり,基部には線形の苞葉が5枚つき1枚が長く伸びる.総苞片は11-12列,圧着,腺体はやや
発達して少し粘るか痕跡的になって粘らない).
46a.総苞片は長三角形か時に伸びるが,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・47.
46b.総苞片は錐状か伸長し,中片下部の先端は花の基部に届く・・・55.
47a.頭花は草体の上部に5個以下付く・・・48.
47b.頭花は草体の上部に5個以上付く・・・50.
48a.総苞は筒形.上部の葉は浅裂.本州(新潟県魚沼市茂倉沢)・・・シゲクラアザミshigekrense (丈2m,繊細で柔らかい.頭花は下向き,総苞
片が斜上).
48b.総苞は楕円形.上部の葉は深裂・・・49.
49a.茎に白毛が目立つ.葉の縁全体に細かい棘や毛が密生する.本州(福島県,栃木県,長野県,新潟県,高地の湿原)・・・ニッコウアザミ
oligophyllum var. nikkoense (ノハラアザミの変種.葉が二回切込む.総苞片は6-7列).
49b.茎は特に白毛が目立たない.葉の縁は特に細かい棘や毛を密生しない.本州(長野県ほぼ全域の湿地)・・・ヤチアザミshinanense (根生
葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.下部の茎葉は深裂-浅裂か鋸歯縁,鋭い棘がある.花期は8-10月,頭花は単か数個,
直立,総苞片は8-9列,鋭角的に斜上,腺体はあまり発達せず,少し粘る.頭花が上向きにつく点で似るタチやオゼヌマに比べ全体的に小
振り).
50a.上部の葉は浅裂-鋸歯縁.総苞片は伸びて平開する.本州(新潟県頸城山地,長野県志賀高原)・・・ミョウコウアザミmyokoense (下部の葉
は裂け,抱茎しない.多数の頭花を下向き,総苞片は開出,粘らない).
50b.上部の葉は中裂-深裂・・・51.
51a.総苞片は長三角形で一見鱗状,各片の中央付近から開出する・・・52.
51b.総苞片は伸び,各片の基部から開出する・・・53.
52a.中間以下の葉の裂片は幅があり,葉全体も長くて垂れ下がる.八王子固有.本州(東京都八王子市谷戸)・・・ハチオウジアザミ
tamastoloniferum (茎は直立か斜上,走出枝(ストロン)を出す.根出葉は花時に枯れ,茎葉は深裂して棘があり,基部はやや抱茎.頭花は多
数下向き,紅紫色.総苞片は短く反曲).
52b.中間以下の葉の裂片は幅狭く,葉全体も細身で重みはない.東海.本州(静岡県と長野県-三重県と滋賀県の東海から鈴鹿山脈)・・・スズカ
アザミsuzukaense (根生葉は花期になく,茎葉は中裂-深裂,基部は抱茎しない.頭花は上向き,総苞はクモ毛,総苞片は9-11列,先が尖
って短い刺針があり,少し反返り,よく粘る.鈴鹿山脈北部では上部の草原にも生育し,頭花が無柄に近くなって一見コイブキに似る)
53a.茎は太くてほぼ直立,頭花は横向き-上向き.総苞は丸みがあり,特に開花前は球形で棘が顕著.本州(千葉県-静岡県)・・・イガアザミincomptum var. commosum (トネ(ナンブ)の海岸型.丈0.8-1.2m. 茎は太くて直立.葉は互生,羽状に裂け,縁に鋭い剣がある.枝先に直径約4cmの紅紫色の頭花が数個かたまって咲く.花期は10-11月,総苞片は反り返り,先に棘があり,粘らない.蕾は栗のイガのように丸くて棘がある.同じく棘の鋭いトゲは春-夏に咲き,丈40cm以下と小さく,総苞片が反り返らない点が違う.日本固有).
53b.茎は細くて傾斜,頭花は横向き-下向き・・・54.
54a.総苞片は斜上する.頭花の数は10個前後付ける.本州(栃木県ブナ帯)・・・シモツケアザミnasuense (葉は深裂,中脈が白,抱茎しない.総苞は狭筒形).
54b.総苞片は特に下部で平開-反返る.頭花は10個以上付く.本州(関東と中部の東部)・・・ホソエノアザミtenuipedunculatum (葉は中裂,棘が2個出る.葉はタイよりさらに細い).
55a.総苞片は斜上する.本州(尾瀬と周辺)・・・オゼヌマアザミhomolepis (茎は直立,単純か数回上部で分枝.根生葉は花期に生存,茎葉は深裂し棘は弱い.花期は8月,頭花は数個が密か単生,直立,総苞片は6列,腺体を欠き,粘らない).
55b.総苞片は平開-反返る.本州(那須,尾瀬周辺,谷川連峰の高山)・・・オクヤマアザミovalifolium (茎は直立-斜上,単純か中部から分枝.根生葉は花期に生存しない,茎葉は中裂.花期は8-9月,頭花は単生か少数が疎らな総状花序.総苞片は5-6列,クモ毛があり,腺体はあり,多少とも粘る).
(中部地方)
56a.総苞片は圧着,先端が僅かに棘状に開出する程度・・・57.
56b.総苞片は開出する・・・65.
57a.総苞は台形,北アルプス北部固有(白山にもあるという情報あり).本州(富山県黒部市北アルプス北部,石川県白山?)・・・オニオオノア
ザミjaponicum var. diabolicum (頭花は大型,少し横を向く.ノアザミの変種).
57b.総苞は壺型-筒型・・・58.
58a.茎の上部に多数の深裂した葉と小型の頭花を密集,中心の茎や花柄は見えにくく,上部は濃く茂った草体.伊吹山固有.本州(滋賀県伊吹山
山頂草原)・・・コイブキアザミconfertissimum (茎は毛が見られ,上部で枝分かれ,葉は深裂し先は鋭い棘状.花径は2cm,総苞はクモ毛,総苞片が6列,粘着).
58b.上部ほど葉は小さくなり頭花も密集せず,それらの隙間から枝や茎が見える・・・59.
59a.頭花は横向き-上向きに付く・・・60.
59b.頭花は横向き-下向きに付く・・・62.
60a.中間の大型の葉は粗い鋸歯縁で面が広く,基部は抱茎,棘は弱い.総苞はよく粘る.越美山地固有.本州(福井県と岐阜県の県境域,両白山
地)・・・エチゼンヒメアザミwakasugianum (茎は斜上,上部で分枝し枝は広角的に伸びる.根出葉は花時に枯れ,茎葉の先は尖り,基部
は抱茎,両面にまばらにクモ毛がある.頭花は数個が総状,上向き-斜上,淡紅紫色,総苞は狭筒形,淡く紫褐色を帯びた緑色で疎らにクモ
毛,総苞片は11-12列で圧着,よく粘る).
60b.中間の大型の葉は中裂-深裂・・・61.
61a.中間の大型の葉は深裂し,棘は顕著で鋭く,基部は抱茎しない(茎に達しない).北陸-近畿北部.本州(富山県と石川県県境-丹後半島の山
地)・・・オハラメアザミkiotoense (茎は頭花の重みで傾き,中部で分枝,枝は広角度に伸び,丈2mに達する.根生葉は花期に生存.花期
は9-12月,総苞片は11-12列,圧着,腺体は発達,粘着か時に痕跡的でほとんど粘らない.長い柄をもつ=エチゼンアザミ.アズマヤマに似るが頭花に柄がある).
61b.中間の大型の葉は中裂し,棘は著しくないが縁に細かい棘や毛を密に生やし,基部は抱茎する.伊吹山地と鈴鹿山地北部.本州(滋賀県,山口県),九州・・・イブキアザミbuergeri (ヒメヤマアザミ,ヒメアザミ)(茎は細長く直立,上部で枝分かれ,短毛がある.葉は互生.花期は8-10月,細長い苞葉があり,総苞はクモ毛,総苞片は反返らず,よく粘る).
62a.中間の大型の葉は中裂,主脈両側の面は広い・・・63.
62b.中間の大型の葉は中裂-深裂,主脈両側の面は狭い・・・64.
63a.総苞は粘らない.本州(新潟県-福井県)・・・エチゴヒメアザミechigomontanum (葉の基部はやや抱茎.多数の頭花を下向き,総苞は狭筒形でクモ毛,総苞の腺体は発達が悪く,ほとんど粘らない.カガノに良く似るが総苞はほとんど粘らない).
63b.総苞は粘る.本州(新潟県西部-京都府北東部)・・・カガノアザミkagamontanum (根出葉は花時に枯れ,茎葉は抱茎,棘がある.多数で頭
花を下向き,総苞はクモ毛,総苞片は11-12列,短く鈍頭で小さな棘を持ち,著しく粘る.総苞が粘らないエチゴヒメよりも内陸に分布).
64a.葉身の基部は抱茎しない.長野県南木曽町固有.本州(長野県南木曽町)・・・ナギソアザミnagisoense (葉の基部は抱茎しない.多数で花
を下向き,総苞が著しく粘る).
64b.葉身の基部は茎に届く.北陸.本州(富山県-兵庫県)・・・ジャクエツアザミtakaoi (茎は直立,上部で分枝.根出葉と下部の茎葉は花期に
枯れる.頭花は数個が総状に疎らに下向き,花冠は淡紅紫色,総苞片は12列).
65a.総苞片は短三角形で基部から反転して反返る.白山周辺.本州(白山と周辺)・・・テマリフジアザミhideo-takahashii (茎は直立.花期に根
生葉が生存,浅裂,両面に薄く白いクモ毛,下面でクモ毛は濃い,棘はフジほど鋭くない.葉は浅裂し裂片は幅があり,全体的に面が広く,
深く抱茎.花径約6cm,総苞片は約15列,緑色,総苞外片と中片は反曲,内面が裸出,鋭角的.フジに似るが,総苞片は反曲し,総苞全体
は球形となる).
65b.総苞片は基部から反転せず,強く反返る場合は短三角形ではなく伸びる・・・66.
66a.総苞は幅広い台型・・・67.
66b.総苞は四角型-筒型・・・69.
67a.総苞片は伸び,下側へ垂れ下がり,茎との接点を明瞭に超える.本州(新潟県頸城山地の妙高山系天狗原山,長野県白馬大池など白馬岳周
辺)・・・ダイニチアザミbabanum (茎は直立するが頭花の重みで傾き,単純か上部や下部で一回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,弱い刺
がある.花期は8-9月,頭花は単生か2個,総苞片は7-8列,強く反曲,無毛か薄くクモ毛,総苞外片の先端が尾状に長く伸び,腺体は痕
跡,粘らない).
67b.総苞片は伸びないか,長い場合は反曲しても総苞の基部を越えない・・・68.
68a.葉は浅裂,棘も弱い.根生葉は花期に生存しない.夏-秋に開花.本州(妙高山系,北アルプス北部,白山山系)・・・タテヤマアザミotayae (茎は直立-斜上,上部で分枝か単純.頭花は数個か単生,総苞片は6-7列,斜上-開出か反曲,無毛,腺体は痕跡的,ほとんど粘らない).
68b.葉は深裂,棘が発達する.根生葉は花期に生存する.初夏に開花.白山山系別山-三ノ峰固有.本州(白山山系南部高山帯)・・・エチゼンオ
ニアザミoccidentalinipponense (茎は斜上,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,中裂し鋭い棘がある.花期は6-7月,頭花は数個
が密集,総苞片は7-8列,斜上か多少とも反曲,薄くクモ毛か無毛,腺体は良く発達,著しく粘る.白山山系に分布するオニに似るが,総
苞片の列数,斜上ないし反曲する).
69a.総苞片の縁に棘や膜など明瞭な付属物がある・・・70.
69b.総苞片の縁は時に目立たない棘や膜など付属物がある程度・・・71.
70a.総苞片は少なくとも中片の上半の縁に膜状部があって細かく波打つ.本州(南アルプスの冷温帯-亜寒帯)・・・ホウキアザミgratiosum (茎
はわずかに斜上,上部で分枝.根出葉は花時に枯れ,茎葉は不規則に中裂,先は鋭く尖る.頭花は多数下向き,総苞片は7-8列,外片は短
くて反返り,少し粘る.ずんぐりした鐘形をしたセンジョウに似るが総苞はほっそりした筒形).
70b.総苞片の縁に棘がある.本州(長野県中央アルプス全域)・・・ウラジロカガノアザミfurusei (茎は中部から分枝して広角度で伸びる.葉は
深裂し長い棘があり,時に脈に沿って白斑を持ち,裏にはクモ毛が密生して白い.葉は抱茎しない.頭花は下向き,総苞は狭筒形,総苞片
は11-12列で先が短く斜上か圧着し,腺体があり,粘る.葉裏に綿毛がない=ハリカガノアザミspinuliferum).
71a.総苞片は長三角形(錐状でない)で伸びず,開出は弱くササクレ状・・・72.
71b.総苞片は伸びるか錐状の長三角形,開出する・・・75.
72a.中間部の大型の葉は裂けが浅く,鋸歯縁,基部は抱茎する・・・73.
72b.中間部の大型の葉は中裂-深裂・・・74.
73a.総苞は緑色味が強い.本州(白山山系)・・・ハクサンアザミmatsumurae (葉の基部は耳状に抱茎.頭花は下向き,総苞片の先が短く反返り,
やや粘る).
73b.総苞は紫色掛かる.本州(富山県,石川県,福井県)・・・ホッコクアザミhokkokuense (根出葉は花時に枯れ,茎葉の基部は耳状に抱茎.
頭花は下向き,総苞片が8-9列,先端が短く反曲.ハクサンアザミより総苞片の列数が多く,より高所に生える).
74a.根生葉は花期にない.総苞片は11列以下.本州(静岡県と長野県-三重県と滋賀県の東海地方から鈴鹿山脈)・・・スズカアザミsuzukaense
(根生葉は花期になく,茎葉の基部は抱茎しない.花期は秋,上向き,総苞はクモ毛,総苞片は9-11列,先が尖って短い刺針があり,少し
反返り,よく粘る.鈴鹿山脈北部では上部の草原にも生育し,頭花が無柄に近くなって一見コイブキに似る).
74b.根生葉は花期に残る.総苞片は11列以上.本州(長野県南木曽町と岐阜県中津川市の県境一帯)・・・リョウノウアザミgrandirosuliferum (茎
は直立,単純か上部で分枝.根生葉は花期に生存,浅裂-中裂か時に鋸歯縁,鋭い棘がある.花期は9-10月,頭花は単生か数個,直立.総
苞片は11-12列,圧着か上半部が斜上,薄くクモ毛,腺体は良く発達,著しく粘る).
75a,中間の大型の葉は浅裂か鋸歯縁・・・76.
75b.中間の大型の葉は中裂-深裂,または全縁の葉を持たない・・・81.
76a.上部の葉は幅狭く柳葉状,下部の葉は裂ける.柏崎市米山固有.本州(新潟県柏崎市米山周辺)・・・タンネアザミtannense (上部の葉は浅
裂か粗い鋸歯.茎はやや細く,上部がやや垂れ,上部で分枝.頭花は上向き,総苞片は開出し反曲).
76b.上部の葉は全縁であっても幅がある楕円形,または裂ける・・・77.
77a.全体に10個以上の小型の頭花を付け,草体全体で総状に見える.上信越.本州(新潟県頸城山地,長野県志賀高原)・・・ミョウコウアザミ
myokoense (葉は鋸歯があり,下部の葉は裂け,抱茎しない.総苞片は開出,粘らない).
77b.草体上部に多くても5個以内の頭花を付け,総状にはならない・・・78.
78a.各総苞片は幅があり,総苞を粗く包む・・・79.
78b.各総苞片は細く,総苞を密に包む・・・80.
79a.総苞片は整然と開出し,一様に先が短く反返る.岐阜県三方岩岳固有.本州(岐阜県白川村三方岩岳)・・・サンボウアザミsanboense (頭花は上向き).
79b.総苞片は乱れて開出し,様々に伸びる.本州(長野県と富山県と石川県と岐阜県と福井県の山地)・・・ノリクラアザミnorikurense (茎は斜
上,中部以上で分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しない,茎葉は鋸歯縁となるが(マルバノリクラアザミ),時に浅裂,下面
に白いクモ毛が密生し白い.花期は8-9月,頭花は数個か単生,横向きか斜上,総苞片は6-7列,斜上-反曲,クモ毛か無毛,総苞外片の先
端が尾状に長く伸び,腺体を欠き,粘らない).
80a.新潟県中部の沿岸山地.本州(新潟県弥彦・角田山=長者原山地)・・・カクダアザミsenumae (葉は鋸歯縁か深裂.頭花は茎頂に集散状,下
向き,総苞は狭筒形,総苞片は9列前後,開出し反返る.腺体は痕跡的.秋田県男鹿山地のアシノクラに似る).
80b.本州北陸南部-東海.本州(静岡県,長野県,愛知県,福井県奥越,養老山地を除く岐阜県)・・・ヒダアザミtashiroi hidaense (全体大型の
葉は変異の幅が広く,鋸歯縁-深裂).
81a.各総苞片の先端直前の内縁に微細な棘がある.長野県中部.本州(長野県中部)・・・ミヤマホソエノアザミshinanomontanum (茎はやや細
く,枝は鋭角に長く伸びる.頭花は小型でやや長い柄に1-数個を下向き,総苞片は8列前後(?),長く開出.南信の似たハリカガノは総苞
片が短く開出,小棘が多数見られる).
81b.各総苞片の先端に小棘を持たない・・・82.
82a.草体上部でよく枝分かれし,頭花は10個前後から以上で草体全体で総状に付ける・・・83.
82b.草体上部の枝分かれは単純で,頭花は10個以下で草体全体で総状に付けない・・・86.
83a.頭花は上向きに付ける.新潟県柏崎市固有.本州(新潟県柏崎市沿海山地)・・・ヨネヤマアザミyanagitae (根生葉は花期になく,茎葉の基
部は少し抱茎.総苞片は長く伸びて反曲.トオノに似るが総苞片が長く伸びて明瞭に反曲).
83b.頭花を横向き-下向きに付ける.新潟県と富山県-長野県の県境以南・・・84.
84a.福井県から近畿地方中心.本州(近畿地方,福井県福井市,中国地方),四国・・・ヨシノアザミyoshinoi (シコクアザミ)(総苞片が8-9列,
先端はやや反返り,総苞は時に粘着).
84b.岐阜県と長野県中心・・・85.
85a.松本盆地より西.本州(岐阜県飛騨地方,高山-白川郷-松本平手前)・・・ヒダノタイアザミ(ヒダヤマアザミ) leptolepis (葉は深裂.総苞は
トネのように細め,葉はナンブのように卵形.トネとは総苞片が斜上かゆるく反曲する点で異なる.松本平に出ると安曇野の固有種アヅミ
ノとなる).
85b.安曇野地方固有.本州(長野県中部)・・・アヅミノアザミadzumiense (丈2mになり,葉は多くは深裂するが鋸歯縁にもなる.葉はほとんど
抱茎しない.総苞片は11-12列で先が伸びて反曲.クモ毛,少し粘る.タイに似るが,総苞の列数が多い).
86a.総苞片は鋭角的に斜上し,平開しない・・・87.
86b.総苞片は少なくとも平開する・・・88.
87a.岐阜県-長野県県境の東,長野県中心.本州(長野県ほぼ全域の湿地)・・・ヤチアザミshinanense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,
単純か上部で分枝.下部の茎葉は深裂-浅裂か鋸歯縁,鋭い棘がある.花期は8-10月,頭花は単か数個,直立,総苞片は8-9列,腺体はあまり発達せず,少し粘る.頭花が上向きにつく点で似るタチやオゼヌマに比べ全体的に小振り).
87b.岐阜県-長野県県境の西,飛騨地域固有.本州(岐阜県飛騨地方)・・・ヒダキセルアザミhidapaludosum (茎は直立,上部は頭花の重みで傾
き,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.花期は8-9月,頭花は単生か数個が直立,総苞片は9-10列,無
毛,腺体は痕跡的,粘らない.異所的なキセルとは葉の切込みが深く,総苞が細長い点で区別出来る.北アルプス朝日岳(新潟県糸魚川市)
の高山帯湿原に本種に似て,総苞片の列数が異なるものがある).
88a.佐渡島.本州(新潟県佐渡島)・・・サドアザミsadoense (葉は深裂,棘が鋭い.頭花は下向き,総苞片は斜上.山麓部から上部に分布.海
岸にナンブが分布し,総苞片は反曲,サドは斜上).
88b.本土・・・89.
89a.東海地域の海岸.本州(千葉県-静岡県)・・・イガアザミincomptum var. commosum (タイの変種で海岸型.葉に厚みと鈍い光沢がある.丈
は低く,せいぜい1mまで,茎は太く,葉も固く光沢があり,中裂-深裂,全裂に近いものもある.頭花は上部の葉腋から伸びた花茎に総状
に密集して付き,花柄はごく短い.総苞片はふつうタイより更に長く,葉や総苞の刺も太くて長い).
89b.内陸の山地・・・90.
90a.八ヶ岳連峰固有.本州(八ヶ岳連峰の全域北部に多い)・・・ヤツタカネアザミyatsualpicola (茎は直立-斜上,上部でわずかに分枝か単純.
根生葉は花期に生存しない.茎葉は時に白斑があり,深裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-9月,頭花は数個,総苞片は8-9列,開出-反曲,
クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない).
90b.白馬岳八方尾根固有.本州(長野県八方尾根)・・・ハッポウアザミhappoense (茎は直立-斜上,単純か上部で分枝.根生葉は花期に生存し
ない.茎葉は深裂.花期は8-10月,頭花は単生か数個,総苞片は6-7列,斜上-反曲,クモ毛,腺体はあり,少し粘る.北アルプス高山帯
のタテヤマとは葉が深裂し,総苞片に腺体があることで区別出来き,上部にはタテヤマが生育).
90c.白馬連山より南部-中央アルプス.本州(中央アルプス,木曽御岳,乗鞍岳,北アルプス南部)・・・キソアザミfauriei (茎は直立-斜上,単
純か上部でわずかに分枝.根生葉は花期に生存しない,茎葉は深裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-10月,頭花は単生か数個が疎らな総状花
序,総苞片は6-7列,斜上-反曲,クモ毛,腺体は発達,著しく粘る.北アルプスでは北部にタテヤマ,南部にキソが分布).
90d.南アルプス.本州(山梨県と長野県と静岡県の南アルプス全域高山)・・・センジョウアザミsenjoense (茎は直立-斜上,単純か上部でわず
かに分枝.根生葉は花期に生存しない.茎葉は深裂-中裂,稀に浅裂か鋸歯縁.基部は抱茎.花期は8-10月,頭花は数個が疎らな総状花序.
総苞片は8-9列,開出か反曲,クモ毛,腺体はよく発達,著しく粘る).
90e.岐阜県-滋賀県県境中心.本州(三重県から福井県の谷側)・・・イナベアザミmagofukui (茎はわずかに斜上,中部以上で分枝,枝は広角度
に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に大型の茎葉が付き,深裂-中裂し弱い棘がある.花期は9-11月,頭花は数個,総苞片
は8-9列,長く開出,縁に小さな棘が列生,腺体を欠き,粘らない).
91a.兵庫県の東側県境から東(関西)・・・92.
91b.兵庫県の東側県境から西(中国)・・・105.
(関西地方)
92a.総苞片は圧着,せいぜい先端が小さく開出する程度・・・93.
92b.総苞片は開出する・・・98.
93a.大型の葉は下部に集中して付く.福井県若狭(嶺南)県境固有.本州(京都府と福井県の県境)・・・ナガエノアザミlongepedunculatum (丈
1-2m.茎は斜上,上部で分枝,枝は広角的に伸びる.根出葉は花期に枯れ,中下部の茎葉は中裂,基部はやや抱茎,質はやや薄く,両面と
もほとんど無毛か下面にクモ毛.花期は9-10月,頭花は副花序がまばらな円錐状になり,細く長い枝の先に点頭,花冠は淡紅紫色,狭筒部
は広筒部よりわずかに長く,総苞は狭筒形,総苞片は11-12列,総苞外片は卵形で鋭頭,腺体は著しく発達,著しく粘る).
93b.大型の葉は中部以上にも付く・・・94.
94a.葉は浅裂-中裂し,主脈両側の面はやや広い.本州(新潟県西部-京都府北東部)・・・カガノアザミkagamontanum (根出葉は花時に枯れ,茎
葉は抱茎,中裂,棘がある.多数で頭花を下向き,総苞はクモ毛,総苞片は11-12列,小さな棘を持ち,著しく粘る.総苞が粘らないエチ
ゴヒメよりも内陸に分布).
94b.葉は中裂-深裂し,主脈両側の面は狭い・・・95.
95a.葉の棘は荒く,上向きに長く突き出る・・・96.
95b.葉の棘は顕著ながらも,荒らしさはない・・・97.
96a.葉の基部は抱茎しない.福井県若狭地域県境-丹後半島.本州(富山県と石川県県境-丹後半島の山地)・・・オハラメアザミkiotoense (茎
は頭花の重みで傾き,中部で分枝,枝は広角度に伸び,高さ2mに達する.根生葉は花期に生存せず,茎葉は深裂-浅裂か鋸歯縁.花期は9-
12月,頭花は横向き-斜上,総苞片は11-12列,腺体は発達,粘着か時に痕跡的でほとんど粘らない.長い柄をもつ=エチゼンアザミ.ア
ズマヤマに似るが花に柄がある).
96b.葉の基部は抱茎する.丹後半島基部より南.本州(京都府と兵庫県の日本海側)・・・タンバアザミmuratae (多数の頭花が下向き,総苞片の
先端が斜上).
97a.総苞片は10列以上.日本海側北部.本州(富山県-兵庫県)・・・ジャクエツアザミtakaoi (茎は直立,上部で分枝.根出葉と下部の茎葉は
花期に枯れ,中間の茎葉は深裂-中裂.頭花は数個が総状に疎らに下向き,花冠は淡紅紫色,総苞片は11-12列).
97b.総苞片は9列以下.芦生周辺固有.本州(京都府と滋賀県と福井県の県境)・・・アシウアザミashiuense (茎は大型で分枝.頭花は下向,総
苞片は8-9列).
98a.総苞片は伸び,中片の先端は花の基部に届く・・・99.
98b.総苞片は短く,中片の先端は花の基部に届かない・・・101.
99a.総苞片は波曲せず,平開-斜上する.葉の葉脈に沿って白斑が目立ち,棘は弱い.滋賀県葛川固有.本州(滋賀県葛川(安曇川の上流)流域谷
側の林縁)・・・カツラカワアザミopacum (茎は斜上,中部以上から分枝,枝はあまり伸びない.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂.花期は9-11月,頭花は数個が疎らな総状花序,総苞片は8-9列,斜上,クモ毛,腺体を欠き,粘らない).
99b.総苞片は波曲し,反返るものも含む・・・100.
100a.総苞片の縁に小さな棘(鋸歯)を列生する.葉に白斑はなく,棘は弱い.滋賀県-岐阜県県境.本州(三重県から福井県の谷側)・・・イナベア
ザミmagofukui (茎はわずかに斜上,中部以上で分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に大型の茎葉が付き,
深裂-中裂.花期は9-11月,頭花は数個,総苞片は8-9列,長く開出,腺体を欠き,粘らない).
100b.総苞片の縁は単純.葉の脈に沿って白斑を持ち,棘は強い.紀伊半島中央高山帯.本州(奈良県大峰山地と大台ヶ原山)・・・オオミネアザ
ミohminense (茎は斜上,下部から分枝,枝は広角に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂して鋭い
棘がある.花期は9-10月,頭花は数個が散房状花序か塊状,総苞片は9-10列,開出-反曲,先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体はあり,
良く粘る).
101a.頭花を1-数個付ける・・・102.
101b.頭花を10個前後付けて総状か近い・・・103.
102a.葉の棘は目立たない.三重県-愛知県の山地帯.本州(養老山地,鈴鹿山脈)・・・ワタムキアザミtashiroi (茎は細く,白毛がある.根生葉は花期に残り,葉は深裂,縁は欠刻-深裂.頭花は下向き.総苞片は6列,先端に棘).
102b.葉の棘は長く顕著で,部分的に絡み合う.紀伊半島西部中央帯.本州(紀伊山地西部中央帯),四国(香川県,徳島県,徳島県北東部)・・・
ギョウジャアザミgyojanum (茎は斜上,上部で分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.茎,特に柄や総苞片は紫を帯びる.花期
は8-11月,頭花は単生か数個,直立か自重で傾き,総苞片は10-11列,基部は直立するが上半部は広角度に斜上,無毛か薄くクモ毛,腺体
は良く発達,著しく粘る).
103a.短く分枝し,その先に頭花を多数密着させ,草体全体が詰まる.本州(三重県,岡山県,島根県,近畿地方から中国地方の標高1000m以上の
草原)・・・ヒッツキアザミcongestissimum (茎は直立.根出葉は花期に枯れ,茎葉は互生,基部は抱茎せず,中裂,棘は短い.総苞片は8-
9列,反返り,粘ない).
103b.長く分枝し,頭花は密着せず,草体全体は空く・・・104.
104a.東海地域中心.本州(静岡県と長野県-三重県と滋賀県の東海地方から鈴鹿山脈)・・・スズカアザミsuzukaense (根生葉は花期になく,茎葉
は中裂-深裂,時に乱れた白斑を持ち,基部は抱茎しない.花期は秋,上向き,総苞はクモ毛,総苞片は9-11列,先が尖って短い刺針があり,少し反返り,よく粘る.鈴鹿山脈北部では上部の草原にも生育し,頭花が無柄に近くなって一見コイブキに似る).
104b.北陸西部-近畿中心.本州(近畿地方,福井県福井市,中国地方),四国・・・ヨシノアザミ(シコクアザミ) yoshinoi (頭花は多数を下向き,
総苞片が8-9列,先端は反返り,総苞は時に粘着).
104c.志摩半島基部固有.本州(三重県多気町)・・・タキアザミyoshidae (茎は直立か自重で傾き,中部以下から分枝,枝は広角度に伸びる.根
生葉は花期に生存,中裂-深裂,鋭い棘がある.花期は10-11月,頭花は複数が疎らな散房状花序か単生,直立-斜上.総苞片は10-11列,
斜上,クモ毛で,腺体は痕跡的,わずかに粘る.道路脇や法面に生える).
(中国地方)
105a.総苞片は圧着し,先端が小さく開出して斜上する程度・・・106.
105b.総苞片は開出する・・・114.
106a.中間以上の葉は全縁で,柳葉状・・・107.
106b.ほぼ全体の葉は中裂-深裂し,裂片を含めると幅がある・・・108.
107a.中間以下の大型の葉は浅裂する.総苞片に付属物を持たない.中国地方中央高地.本州(広島県と岡山県の石灰岩地)・・・ビッチュウアザ
ミbitchuense (花期に根生葉はなく,茎葉は浅裂-鋸歯縁,しばしば鎌形,基部は狭くなるが抱茎.頭花は上向き,総苞は著しく粘る).
107b.全体の葉は柳葉状で,裂けた葉を持たない.総苞片は内片に紅紫色の付属物がある.本州(山口県),四国,九州・・・ヤナギアザミlineare
(柳のように細い葉が何よりの特徴,縁に棘,基部は抱茎しない.頭花は上向き,上部の総苞片は紅紫色を帯び,良く粘る).
108a.総苞は球型に近く,総苞片は端正に並び細長い三角形.頭花は大型で1-数個.三井野原中心.本州(鳥取県と島根県と広島県の低地の水湿
地)・・・ムラクモアザミmaruyamanum (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.花期は5-7月,頭花は
下向き,総苞片は7-8列,圧着して先端は斜上,無毛,腺体はあり,多少とも粘る).
108b.総苞は筒型-壺型,総苞片は幅のある長三角形.頭花は中型-小型で多数付ける・・・109.
109a.葉は幅面が狭く硬質で,上向きの長く顕著な棘がある.総苞はやや長い壺形.大江山を中心とした日本海側.本州(京都府と兵庫県の日本海
側)・・・タンバアザミmuratae (葉の基部は抱茎.頭花は下向き,総苞片の先端が斜上).
109b.葉はやや幅面が広く,棘は特に強くない・・・110.
110a.葉の縁に細かい棘や毛を列生する.総苞はやや長い壺形.山口県.本州(滋賀県,山口県),九州・・・ヒメアザミ(ヒメヤマアザミ,イブ
キアザミ) buergeri (茎は細長く直立,上部で枝分かれ,短毛がある.葉は互生,浅裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-10月,多数で上向きか
斜め,下に細長い苞葉があり,総苞はクモ毛,総苞片は反返らず,良く粘る).
110b.葉の縁は単純で通常の棘を単発で生やす程度・・・111.
111a.山口県長門地方固有.総苞は筒形.本州(山口県長門地方)・・・ナガトアザミnagatoense (多数で頭花を下向き,総苞は良く粘る.ゲイホ
クより葉が硬質).
111b.山口県周防から東・・・112.
112a.葉は特に細長くはなく,垂れ下がらない.総苞は筒形.中国地方中央高地.本州(岡山県と広島県の石灰岩地)・・・ウスバアザミtenue (頭
花は斜上,総苞は著しく粘る).
112b.葉は細長く,下に垂れ下がる・・・113.
113a.北陸西端.総苞は壺形.本州(富山県-兵庫県)・・・ジャクエツアザミtakaoi (茎は直立,上部で分枝.根出葉と下部の茎葉は花期に枯れ,
中間の茎葉は深裂-中裂.頭花は数個が総状に疎らに下向き,花冠は淡紅紫色,総苞片は11-12列).
113b.中国地方西寄り.総苞は筒形.本州(広島県,島根県,山口県)・・・ゲイホクアザミakimontanum (多数で頭花を下向き,総苞は粘る).
113c.岡山県東北部倉見川固有.葉は中裂ながらも面が広い.本州(岡山県津山市倉見川流域)・・・ミマサカアザミmimasakaense (多数で頭花を
下向き,総苞片が8-9列,良く粘る).
114a.短く分枝し,その先に頭花を多数密着させて付け,草体全体が詰まる.本州(三重県,岡山県,島根県,近畿地方から中国地方の標高1000m
以上の草原)・・・ヒッツキアザミcongestissimum (茎は直立,上部で短く分枝.根出葉は花期に枯れ,茎葉は互生,基部は抱茎せず,中裂,
棘は短い.頭花は上向き,総苞片は8-9列,反返り,粘ない).
114b.長く分枝し,頭花は密着せず,草体全体は空く・・・5-115.
115a.茎は直立し,頭花を上向きに付ける.秋吉台固有.本州(山口県秋吉台)・・・アキヨシアザミcalcicola (茎は直立,単純か上部で分枝,枝
は鋭角的に伸びる.下部の茎葉は細かい鋸歯縁.花期は10-11月,頭花は単生,総苞片は8-9列,圧着-斜上か短く開出,クモ毛,腺体は発
達が弱く,粘らない).
115b.通常は茎は傾斜し,花を横向き-下向きに付ける.・・・116.
116a.花は1-数個を付け,多数を総状に付けない・・・117.
116b.頭花は10個前後か以上を総状に付ける・・・118.
117a.総苞片は錐状に整然と斜上する.茎は太くて真直ぐ伸び,頭花の根元で下向きに強く屈曲する.ほとんど分枝せず,大型の葉は下部に集中
する.島根県西南部と隣接する広島県西北部の一帯.本州(島根県(三瓶山),広島県(山県郡など))・・・サンベサワアザミtenuisquamatum (根出葉は花期も枯れず,粉白を帯びた緑色,中裂,棘が少ない.頭花は紅紫色,基部に2-3枚に苞葉があり,総苞片の先は開出,クモ毛.キセルやテリハの小形に似るが,総苞にクモ毛がある).
117b.総苞片は伸びた長三角形で反返り乱れる.茎は分枝は少なく,頭花は緩やかに曲がって横を向く.大型の葉は上部にも付きやすい.山口県
東端部.本州(山口県岩国市,周南市)・・・スオウアザミsuwoense (茎は上部で分枝,枝はやや鋭角的に伸長.根生葉は花期に生存しない,
下部と中部の茎葉は大型,深裂-中裂,長い葉柄があり,基部はわずかに抱茎.花期は5-6月,横向き,7cmに達する長い苞葉がよく目立ち,
総苞はクモ毛,総苞片は6-7列,外片の先端は尾状に伸び,開出-反曲,中片の上半部が鋭角的に斜上か反曲.内片は圧着,腺体は発達,粘
る.同所するノと雑種し,概観がノに似るが総苞片が反曲).
118a.葉は中裂し,裂片の縁はやや規則的に鋸歯を並べる.中国地方中央高地.本州(広島県と岡山県の石灰岩地)・・・タイシャクアザミtaishakuense
(根出葉は花期に枯れず,中裂,縁に棘を持ち,表面は黄緑色で光沢がある.頭花は下向き.従来テリハアザミとされたもの).
118b.葉の裂片の縁は数個の鋸歯を疎らに持つ程度・・・119.
119a.総苞片は伸び,斜上-平開する.山口県中心.本州(山口県,広島県西部)・・・チョウシュウアザミyamaguchiense (茎は直立,上部でやや
分枝.根生葉は花時に枯れ,茎葉は茎の中部に集り,中裂,鋭い棘がある.大型の頭花を下向き,やや総状,総苞片は8-9列.ツクシに比べ全体に繊細).
119b.総苞片は短く,反返る・・・120.
120a.中国東部中心.本州(近畿地方,福井県福井市,中国地方),四国・・・ヨシノアザミ(シコクアザミ) yoshinoi (頭花は多数を下向き,総苞
片が8-9列,総苞は時に粘着).
120b.中国西部.本州(中国西部)・・・イズモアザミ(トゲナシアザミ) indefensum (葉は全縁になる場合が多い.頭花は下向き,総苞片が12列.
総苞片は時に先端が斜上).
III.四国地方
1a.葉は柳葉状.総苞片は内片に紅紫色の付属物がある.本州(山口県),四国,九州・・・ヤナギアザミlineare (柳のように細い葉が何よりの
特徴,縁に棘,基部は抱茎しない.頭花は上向き,上部の総苞片は紅紫色を帯び,良く粘る).
1b.葉は裂ける.総苞片は内片に特別な付属物は持たない・・・2.
2a.葉の棘は長く顕著で,部分的に絡み合う・・・3.
2b.葉の棘は通常のアザミ類と同等で,絡み合う程でない・・・4.
3a.総苞片は長三角形で,先端は平開-反返る.茎に白毛は目立たない.本州(紀伊山地西部中央帯),四国(香川県,徳島県,高知県北東部)・・・
ギョウジャアザミgyojanum (茎は斜上,上部で分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.花期は8-11月,頭花は単生か数個,直
立か自重で傾き,総苞片は10-11列,無毛か薄くクモ毛,腺体は良く発達,著しく粘る).
3b.総苞片は短い錐状で,斜上する.茎に白毛が密に生える.四国高地帯.四国(徳島県剣山系,愛媛県石鎚山系と赤石山系)・・・トゲアザミ
japonicum var. horridum (茎は太くて直立.葉は互生,深裂,縁に鋭い棘,抱茎.直径約4cmの紅紫色の頭花が1-2個上向き,総苞片に棘.
蕾は栗のイガのように丸く棘.ノアザミの変種).
4a.総苞は細筒型で,各総苞片は基部で圧着して先端で斜上する.四国・・・イシヅチ(ウスバ)アザミishidzuchiense (花期に根生葉は生存しな
い.茎は直立-斜上,上部で分枝するが枝はあまり伸びない.葉は深裂-浅裂.花期は8-10月,頭花は多数を下向.総苞はわずかにクモ毛,
総苞片は8-9列,腺体は発達,良く粘る).
4b.総苞は筒型-壺型で,総苞片は基部近くから斜上して多くは反返る・・・5.
5a.花柄はなく,茎から多数を総状に上向きに付ける.四国(愛媛県,高知県),九州・・・ヤマアザミspicatum (茎は太く,短い枝を出す。葉
は鋸歯縁か浅裂,先端は長く尖り,棘は太く,基部は抱茎しない.頭花を穂状に上向きか斜め上向き).
5b.花柄はあり,茎を中心に頭花を総状に付けない・・・6.
6a.茎は太く立ち上がる.棘は交互に水平と上向きに並ぶ.石立山上部固有.四国(高知県と徳島県の県境石立山上部の石灰岩地)・・・イシダ
テアザミishidatense (花期に根生葉があり,頭花は下向き).
6b.茎は特に太くなく,傾斜する.葉の棘は水平に並ぶ・・・7.
7a.総苞片は伸び,中片下部の先端は花の基部に達する.四国(四国山地)・・・ニセツクシアザミpseudosuffltum (茎は斜上,上部で分枝,枝は
あまり伸びない.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂,鋭い棘がある.花期は8-10月,頭花は数個,
総苞片は9-10列,開出-反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体はあり,良く粘る).
7b.総苞片は伸びず,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・8.
8a.総苞片は11列以上.四国・・・サヌキアザミsanukiense (シコク(=ヨシノ)とは総苞片が12列ある事で区別出来る).
8b.総苞片は10列以下・・・9.
9a.頭花は多数で横向き-下向き.本州(近畿,福井県福井市,中国),四国・・・ヨシノアザミ(シコクアザミ) yoshinoi (総苞片が8-9列,先
端は反返り,総苞は時に粘着).
9b.頭花は少数で横向き-上向き.四国・・・ヤシマアザミmitanii (総苞片は斜上-開出-反曲,粘る).
IV.九州地方
1a.総苞片は圧着し,先端が小さく開出して斜上する程度・・・2.
1b.総苞片は開出する・・・5.
2a.葉は柳葉状.総苞片は内片に紅紫色の付属物がある.本州(山口県),四国,九州・・・ヤナギアザミlineare (柳のように細い葉が何よりの
特徴,縁に棘,基部は抱茎しない.頭花は上向き,総苞片に紫色の付属体,上部の総苞片は紅紫色を帯び,良く粘る).
2b.大型の葉は裂ける.総苞片に付属物を持たない・・・3.
3a.葉の縁に細かい棘や毛を列生する.総苞はやや長い壺型.本州(滋賀県,山口県),九州・・・ヒメアザミ(ヒメヤマアザミ,イブキアザミ)
buergeri (茎は細長く直立,上部で枝分かれ,短毛がある.葉は互生,浅裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-10月,多数で上向きか斜め,下に
細長い苞葉があり,総苞はクモ毛,総苞片は反返らず,良く粘る).
3b.葉の縁は棘を単発で生やす・・・4.
4a.頭花を初夏-夏に付ける.対馬固有.九州(対馬)・・・ツシマノアザミtsushimense (茎は直立か斜上,基部以上から分枝.根生葉は花期に生
存,中裂,鋭い刺がある.花期は6-8月,数個,直立,総苞片は8-9列,圧着,無毛か薄くクモ毛,腺体はあり,あまり粘らない.ノに似るが頭花が小型で複数,総苞があまり粘らない).
4b.頭花を秋に付ける.九州(ほぼ全域)・・・サツママアザミaustrokiusianum (茎は上部で枝分かれる.根出葉は花期に枯れず,中裂,鋭い棘
がある,茎葉が上部にもつく.花期は9-11月,上向きか下垂,総苞片は煉瓦状に並んで開出しない.キセルに似るがストロンを伸ばす).
5a.花柄は短く,茎から多数を総状に上向きに付ける・・・6.
5b.花柄はあり,頭花を疎らに付ける・・・7.
6a.柄のない頭花を茎に縦方向に付ける.内陸の乾燥した場所.四国(愛媛県,高知県),九州・・・ヤマアザミspicatum (山地の乾いた草原.茎は太く,短い枝を出す。葉は鋸歯縁か浅裂,先端は長く尖り,棘は太く,基部は抱茎しない.頭花を穂状に上向きか斜め上向き).
6b.柄の短い頭花を茎の上部に集合して付ける.鹿児島半島部-喜界島の海岸部.九州(鹿児島県大隅半島,薩摩半島,薩南諸島,鹿児島県の海
岸)・・・オイランアザミspinosum (根生葉は花期に生存.茎は直立,単純か中部以上で数回分枝.根生葉は中裂-深裂,両面は普通無毛,
鋭い棘がある.花期は7-1月,直立か斜上,1-3個の苞葉があり,縁に太い棘を持ち,総苞片は10-11列,下半部は圧着し,上半部が開出,
先に棘がある,腺体は痕跡的,粘らない).
7a.葉の棘は長くて上下に突出する.九州(宮崎県北半と鹿児島県西北部の以北)・・・ツクシアザミsuffultum (茎は直立か斜上,単純か上部で
分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,浅裂-中裂.花期は9-12月,数個か単生,総
苞片は6列,斜上か反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない).
7b.葉の棘は水平に突出する・・・8.
8a.総苞片は長三角形・・・9.
8b.総苞片は糸状-錐状で斜上する・・・10.
9a.総苞片は伸びず,平開.JR日豊本線の佐伯市-延岡市が通る地域固有.九州(宮崎県と大分県の県境東端)・・・ニッポウアザミnippoense
(茎は直立,中部から分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しない.茎葉は中裂,鋭い棘がある.花期は10月,頭花は多数が直
立-斜上,総苞片は11-12列,斜上-短く反曲,クモ毛,腺体はあり,粘る.ヒュウガに比べ,葉の面が狭い).
9b.総苞片は伸び,平開-反返る.宮崎県鰐塚山系固有.九州(宮崎県鰐塚山系)・・・ヒュウガアザミmasami-saitoanum (茎は直立か斜上,下部
から分枝,枝はやや鋭角的に伸びる.根生葉は花期に生存しない,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂か鋸歯縁,鋭い棘がある.花
期は9-11月,頭花は数個か塊状に集合,総苞片は両性花で9-10列,雌性花で6-7列,腺体は痕跡的,総苞は粘らない.ニッポウに比べ,
葉の面が広い).
10a.島原半島固有.九州(長崎県雲仙岳と周辺)・・・ウンゼンアザミunzenense (花期に根生葉が残る.頭花は下向き,総苞片が8-9列.雲仙岳
では上部にウンゼン,下部にツクシが分布).
10b.久住山-祖母山固有.九州(大分県久住山,宮崎県祖母山)・・・クジュウアザミkujuense (根生葉が花期に残り,頭花は下向き).
10c.宮崎県北部と熊本県南部を結んだ斜帯.九州(宮崎県北部と熊本県甲佐岳と熊本県南部の石灰岩地)・・・ヘイケモリアザミhyugamontanum
(茎は直立か斜上.根出葉は花期に枯れず,深裂,茎葉は上部ほど小さくなり,棘はあるが柔らかく,基部は半ば抱茎.総苞片は斜上-やや
開出する.花期に根生葉が残るテリハ変種として記載されたが,花期に根生葉が残らない.シライワと同所するが,本種は大型の葉が伸長
する事なく垂れない).
10d.鹿児島県東半部と接続する宮崎県南端部.九州(宮崎県霧島山と鰐塚山,鹿児島県霧島山と高隈山)・・・キリシマアザミkirishimense
茎は直立-斜上,単純か上部で分枝,枝はやや広角度に伸びる.根出葉は花期にも枯れず,浅裂-深裂,鋭い棘がある,大型の茎葉は伸びて
垂れ下がる.頭花は下向き,紅紫色,総苞片は8-9列,斜上か反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,粘らない.似たツクシは花期に根生葉
はない.葉身が中裂するウンゼンと区別するのは難しい.宮崎県ではキリシマは標高が800m以上で,低地ではヒュウガが見られ,800m付
近は雑種が多い).
10e.熊本県内国道221号線が通る地域固有.九州(熊本県球磨)・・・テリハアザミlucens (茎は斜上,上部で分枝,枝はあまり伸びない.根生
葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂,鋭い棘がある.花期は8-10月,黄白で数個,総苞片は9-10列,開
出-反曲,外片は長く伸び,クモ毛,腺体はあり,良く粘る).
10f.宮崎県白岩山固有.九州(宮崎県白岩山)・・・シライワアザミakimotoi (茎は直立,上部で分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生
存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂,鋭い棘がある.花期は9-10月,数個が疎らな総状花序,総苞片は8-10列,斜上かゆ
るやかに反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない.ヘイケモリも同所するが,本種は大型の葉の特に先端や
裂片が伸長して垂れる).
10g.宮崎県と熊本県の県境中央付近.九州(宮崎県石堂山,掃部岳,市房山,熊本県市房山)・・・メラモリアザミnishimeraense (花期に根生葉
が残る.頭花は下向き.ヘイケモリと同所するが,本種は通常の土砂に生え,ヘイケモリより茎は太くて丈が低い).
10h.鹿児島県両半島部固有.九州(薩摩と大隅半島)・・・ノマアザミchikushiense (茎は斜上,上部で分枝,枝はやや鋭角的に伸びる.根生葉は
花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,特に伸びず垂れ下がらない.中裂-深裂,鋭い棘がある.花期は10-12月,数個が下
向き,総苞片は8-9列,反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない).
V.諸島
1a.伊豆諸島.伊豆諸島(伊豆七島)・・・ハチジョウアザミhachijoense (茎は直立,先端が頭花の重みでわずかに傾き,中部以上で分枝,枝は
広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,浅裂-中裂,棘は弱い.花期はほぼ一年中,数個か単生,
自重で斜め下を向き,総苞片は8-9列,斜上-反曲,クモ毛,腺体を欠き,総苞は粘らないが,時にやや発達してわずかに粘る).
1b.小笠原諸島.小笠原(小笠原諸島沿海地)・・・オガサワラアザミboninense (茎は直立,単純か上部で数回分枝する.根生葉は花期に生存,
鋸歯縁浅裂,鋭い刺がある.花期は5-6月,白色,単生か数個が疎らな総状花序,直立か斜上.総苞片は10-11列,圧着,上半部がわずか
に斜上,腺体を欠き,粘らない).
1c.鹿児島半島部-喜界島の海岸部.頭花は茎の上部に集合して付く.九州(鹿児島県大隅半島,薩摩半島,薩南諸島,鹿児島県の海岸)・・・オ
イランアザミspinosum (根生葉は花期に生存.茎は直立,単純か中部以上で数回分枝.根生葉は中裂-深裂,両面は普通無毛,鋭い棘があ
る.花期は7-1月,柄が短く,直立か斜上,1-3個の苞葉があり,縁に太い棘を持ち,総苞片は10-11列,下半部は圧着し,上半部が開出,
先に棘がある,腺体は痕跡的,粘らない).
1d.種子島固有.頭花は茎に直接横に付き,縦に総状.九州(鹿児島県種子島)・・・タネガシマアザミtanegashimense (茎は直立,中部から分
枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存せず,茎葉は中裂,鋭い棘がある.花期は10-12月,総苞片は9-10列,斜上-長く反曲,無
毛,痕跡的,粘らない).
1e.屋久島高所固有.九州(鹿児島県屋久島1000m以上)・・・ヤクシマアザミyakushimense (茎は直立,単純で分枝か上部で分枝,枝はあまり
伸びない.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,鈍い光沢,深裂,鋭い棘がある.花期は8-11月,単生か数個が
斜上-直立,総苞片は7-8列,斜上,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的で粘らないか,腺体がやや発達して少し粘る).
1f.奄美大島-沖縄本島.琉球(奄美大島-沖縄島の沿岸)・・・シマアザミbrevicaule (全体が豪壮な割には根は貧弱.茎は高さ0.3-1m,直立,
単純か上部で数回分枝.根生葉は花期も生存,肉質で光沢があり,深裂-中裂,下面に長毛があり,鋭い棘がある.花期はほぼ一年中,頭花
は単生か数個,直立,総苞片は10-11列,圧着,上半部がわずかに斜上,腺体を欠き,粘らない).
1g.八重山諸島.琉球(石垣島以南海岸)・・・イリオモテアザミirimtiense (茎は直立,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂.ピ
ンクの頭花).
著者:齋藤昌弘 heteromerasaito@fork.ocn.ne.jp
18. IX. 2024
本検索表はキク科植物うち,アザミ属を扱った.前置きについては日本産キク科植物検索表(全面改定版)を参照されたい.国立科学博物館の公開HP「日本のアザミ」を中心に検索表を組んだが,更に分類が進展する可能性が高く,最新の情報をもって判断されたい.尚,学名は全てCirsium
であり,種学名のみ表記した.
次回はシソ科の全面改定を予定しています.
1a.北海道・・・I.
1b.本州(佐渡島以外の諸島を除く)・・・II.
1c.四国・・・III.
1d.九州(対馬以外の諸島を除く)・・・IV.
1e.諸島・・・V.
I.北海道
1a.頭花を10個以上付け,小型-中型・・・2.
1b.頭花を1個-10個以内付け,中型-大型・・・6.
2a.総苞片は長く(総苞の高さに近い)平開して目立つ.利尻島固有・・・リシリアザミumezawanum (頭花は上向き.葉は裂けず鋸歯縁.山麓
部より上部にチシマが多く,分布接点で両種の交雑が多い).
2b.総苞片は細かくて短く(総苞の高さより明瞭に短い)反返るか斜上する・・・3.
3a.総苞外片は先端が反返る.北海道,本州(長野県以北)・・・タカアザミpendulum (丈1-3m,茎は太く直径1cmを超える.花期に根生葉はなく,茎葉は上部ほど小形,深裂,基部は抱茎しない.花期は8-10月,淡紫色の頭花を下向き.白花品種=シロバナタカアザミ).
3b.総苞片は斜上する・・・4.
4a.頭花は上向き,柄はなく基部で接する.北海道(釧路-函館,太平洋側)・・・エゾヤマアザミalbrechtii (花期に根出葉はなく,茎葉は鋭い
棘のある鋸歯縁か浅裂.総苞は筒型,総苞片は11-12列.アオモリとの雑種=マヨワセアザミ.アオモリは花期に根出葉があり,総苞にク
モ毛があり,総苞片は7列.トオノに似るが総苞内片に腺体があり,片の縁に膜状部がない).
4b.頭花は横向き-下向き,柄があり基部で接しない・・・5.
5a.総苞は四角-縦長.茎は上部で2分岐する程度.北海道(旭川市,幌加内町)・・・アサヒカワアザミkenji-horieanum (北海道中部の超塩基
性岩地.総苞は腺体が目立ち,粘らない).
5b.総苞は幅広い.茎は上部で鋭角的に数回分岐する.北海道(西南部と東部を除く)・・・コバナアザミboreale (丈1-2.5m,茎は直立.根出葉
は花期に枯れ,茎葉は全縁-中裂,縁に棘があり,基部は茎に沿下.頭花は紅紫色,総苞片は9-10列,腺体が目立つ.チシマに似るが,頭
花が小さく(チシマは5cm),葉は下方のものが中裂,茎に翼が出来ない場合が多い).
6a.頭花は総苞を含め深紅色.北海道(日高山脈)・・・ヒダカアザミhidakamontanum (総苞片は強壮.葉は幅広で鋸歯縁.頭花は下向き).
6b.頭花は浅い紅色,総苞は緑色掛かる・・・7.
7a.茎の下部に大型の葉があるが,中間以上では大型の葉が目立たなくなる・・・8.
7b.茎の中間以上にも大型の葉がある・・・11.
8a.茎は太く強壮.頭花は上向き.釧路以南.北海道(釧路-道南,太平洋側),本州(青森県,秋田県北部)・・・アオモリアザミaomorense (茎は直立.大きな根生葉が花期にあり,深裂か鋸歯縁,茎葉は抱茎.総苞片は7列,強壮で開出,腺体は時に発達,少し粘る).
8b.茎は繊細で華奢.頭花は横向き-下向き・・・9.
9a.中間の葉は浅裂,主脈域の幅は裂片より面積が広い.以下の葉も中裂して同様な傾向がある.アポイ岳固有.北海道(様似町アポイ岳蛇紋岩
地にのみ)・・・アポイアザミapoense (葉の基部は棘のある耳状に抱茎し沿下.頭花は1個.総苞片は6列,粘らない).
9b.中間の葉は全-深裂,主脈域の幅は裂片の幅と同じか狭い・・・10.
10a.道央以南.北海道(低地の湿地)・・・エゾノサワアザミpectinellum (上部にクモ毛がある.根生葉は花期に枯れ,全裂,棘があり,茎葉は無毛で棘がなく,全裂.チシマに似るが中葉が全裂.頭花を下向き.総苞片は6列.以下10b-10dは本種から細分された.エゾキレハアザミと仮称される未分類の形質群もあり,西は倶知安町から道央を経て道東と北に広く分布).
10b.根室半島産.北海道(根室半島高層湿原)・・・エゾマミヤアザミcharkeviczii (葉は全裂,基部は抱茎しない.頭花は横向き,総苞片は8-9
列,鋭角的に斜上,腺体は退化的,粘らない.同所のアッケシとエゾノサワは林縁や草原).
10c.鷹栖町嵐山固有.北海道(北海道鷹栖町嵐山=近文山)・・・チカブミアザミchikabumiense (葉は深裂.頭花は下向き.根室地方のエゾマミ
ヤに似るがストロンを出さない).
10d.鷹栖町より北部.北海道(中頓別町,幌延町,幌加内町)・・・テシオアザミteshioense (葉は深裂.頭花は下向き.幌加内町ではアサヒカワ
と同所的だが本種は花期が1ヶ月早い).
11a.総苞片の長さは総苞の2/1以下.北海道-本州(札幌南部-丹後半島の日本海側)・・・サワアザミyezoense (茎は斜上,中間以上で分枝する
が,枝はあまり伸びない.根生葉は花期になく,茎葉は浅裂-中裂,棘は弱い.花期は9-10月,頭花は数個が集合,総苞片は8-9列,斜上,
クモ毛,腺体を欠き,粘らない).
11b.総苞片の長さは一部でも総苞の高さに等しい・・・12.
12a.渡島半島産・・・13.
12b.渡島半島以外・・・14.
13a.総苞片は強壮で長く,総苞を覆う.北海道(渡島半島),本州(青森県津軽半島北部)・・・ミネアザミalpicola (茎は直立,単純か上部で分
枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期になく,下部の茎葉は粗い鋸歯縁か浅裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-9月,頭花は2-5個が密集,
直立か斜上,総苞片は針状,6-7列,斜上,クモ毛はなく,腺体は痕跡的,粘らない).
13b.総苞片は細長く少数,総苞を隠す程ではない.北海道(渡島半島南部),本州(青森県津軽半島北部)・・・マルバヒレアザミgrayanum (茎
は上部で分枝.下部の葉は鋸歯縁か中裂-浅裂,基部は棘のある翼になって浅く抱茎.頭花は単生か少数が上向き,総苞片は7-8列,裂片斜
上.同所するミネは総苞片が6列で長く,葉の抱茎は極く浅い).
14a.葉柄はなく,基部は茎に延下し縁に棘がある.総苞の最上部は赤紫で頭花に沿って伸びる.北海道(渡島半島除く)・・・チシマアザミ
kamtschaticum (根生葉は花期に枯れ,葉は全縁-深裂.頭花を下向き,総苞はクモ毛があり,総苞片は細く反返る).
14b.14aの特徴を全て備えない.根室地方-根室半島の海岸方面.北海道(道東地方海岸)・・・アッケシアザミiito-kojianum (葉は中裂.総苞に
腺体がある.チシマから分けられた).
14c.14aの特徴を全て備えない.茎や葉はクモ毛が目立つ.総苞はクモ毛が目立ち,総苞片は密で糸状に下へ伸びて波曲する.大雪山系と知床
山地の高地.北海道(大雪山,知床山地)・・・エゾノミヤマアザミ(ミヤマサワアザミ) yezoalpinum (低地のエゾノサワ高山型.茎は直立,
分枝しないか一回分枝.根生葉は花期に枯れ,根生葉と茎葉は深裂,鋸歯と棘がある.頭花は1-3輪で下向き,花期は8-9月,総苞片は11-
12列,腺体はない.同所のチシマと草体の長毛,花期の根生葉の有無,総苞片の列数で明瞭に区別出来る).
14d.14aの特徴を全て備えない.総苞のクモ毛は薄く,総苞片は針状.夕張岳-日高山脈-襟裳岬.北海道(夕張岳-えりも町日高山脈の山麓部)・・・
カムイアザミaustrohidakaense (葉は円い全縁-鋸歯縁.頭花は下向き.総苞片は8-9列,開出か反曲).
II.本州
1a.本州の広域,14以下と混生,注意を要する・・・2.
1b.本州の中域以下.1aと混生する可能性があり,それらとは全ての特徴を合わせ持たない(合わせて検討必要)・・・14.
(広域分布)
2a.総苞片は圧着,先端が極小さく開出する程度・・・3.
2b.総苞片は圧着せず,上半部は開出する・・・4a,b.
3a.総苞は全体的に球型で上部で狭まり,緑色掛かる.頭花は上向きで,草体は直立する.平地-低山中心.本州,四国,九州・・・ノアザミ
japonicum (花期に根生葉は残り,葉は中裂,縁に棘を持ち,基部は抱茎.花期は5-10月,紫色で白色もあり,総苞はよく粘る.初夏に咲
くが東北と中部の内陸に夏-秋に咲き,茎が良く分枝する型がある).
3b.総苞は台型,黒ずむ.頭花は下向きで,草体は傾く.白神山地と八幡平と鳥海山を除く山岳中心.本州(白神山地と八幡平と鳥海山を除く秋田県-石川県の山地)・・・オニアザミborealinipponense (茎は単純か上部で数回分枝.根生葉は花期にあり,深裂-中裂,鋭い棘がある.花期は6-10月,頭花は数個か単生,総苞片は6列,無毛か薄くクモ毛,腺体は良く発達,著しく粘る).
4a.総苞は細長い筒型,総苞片は針状に鋭く斜上する.小さな頭花が穂状に密に付く.近畿以東の太平洋側の山地中心.本州(東北南部から近畿の主に太平洋側)・・・アズマヤマアザミmicrospicatum (茎は直立-斜上,中間以上で分枝,枝は鋭角的に伸びる.葉は鎌状に曲がり,深裂.花期は9-11月.総苞片は11-12列.中部-関東では腺体が退化して総苞は粘らないが,東北-北陸-近畿では腺体がよく発達して著しく粘る(ネバリアズマヤマアザミ)).
4b.総苞は正方型(短い筒型の場合は総苞片の開出は針状ではなく長三角形)・・・4c,d.
4c.総苞片は幅広く,基部から開出して時に反転,縁に棘がある.花径は5-10cm.山岳中心.本州(東北-中部-北陸)・・・フジアザミpurpratum
(根生葉が花期に残り,葉は基部に集まり,深裂-中裂,先端は伸び,棘が目立つ.花期は8-10月,稀に白花,総苞片は紫色,反返り(反転
しない場合がある),先端は鋭く尖る).
4d.総苞片は幅の狭い長三角形かより細く,反返っても反転せず,縁に棘がない.花径は5cm以下・・・5.
5a.総苞片は先端が鋭い長三角形,重なり合って基部近くから弱く斜上する.東北北部と福井県以外の北陸を除いた本州のほとんどに分布.本
州(以下を除く=青森県と隣県県境域,新潟県と富山県と石川県の大半,山口県西部),四国(西南部を除く)の湿地・・・キセルアザミsieboldii
(茎は時に3m以上になり,頭花の重みで傾き,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,浅裂-中裂か全縁-鋸歯縁,弱い棘がある.根
生葉以外は中間のやや小型の中裂-深裂した葉を数枚持つ程度.花期は8-10月,単生か数個が疎らな総状花序,総苞片は8-10列,無毛か
薄くクモ毛,腺体は痕跡的,粘らない.白花品=シロバナキセルアザミ).
5b.総苞片は開出,各片は分離する・・・6.
6a.海浜植物.葉は厚みがあり,光沢がある.頭花の基部に棘立った5枚前後の苞葉(小葉)がある.茎は基部から分岐,丈50cm以下.本州(房
総半島-宮崎県の海岸)・・・ハマアザミmaritimum (茎は直立,単純か中間以上で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,両面か下面に毛
があり,鋭い棘がある.花期は6-12月,単生か数個が直立,総苞片は10-11列,下半部は圧着,上半部が斜上,腺体は無いか退化的,粘ら
ない.白い頭花をつける変種=シロバナハマアザミ).
6b.海浜植物ではなく,6aの特徴を全て合わせ持たない・・・7.
7a.総苞片は長三角形-糸状に伸びるが,中片の先端は花の基部に届かない・・・8.
7b.総苞片は錐状に鋭く長く,中片の先端は花の基部に届く・・・13.
8a.総苞片は均一で短くて整然としており,斜上する.総苞にクモ毛がある・・・9.
8b.総苞片は乱れ,平開-反返り.総苞のクモ毛は目立たない・・・10.
9a.葉の棘は目立たない.中間以下の葉は中裂した幅広い大きな葉が出て,草体は葉の塊から大きな下向きの頭花を付けた茎が突き出た感じが
する.北海道-本州(札幌南部-丹後半島の日本海側)・・・サワアザミyezoense (茎は斜上,中間以上で分枝するが,枝はあまり伸びない.
根生葉は花期に生存しない.花期は9-10月,頭花は数個が集合,総苞の基部に5枚前後の苞葉がある.総苞片は8-9列,腺体を欠き,粘
らない).
9b.葉の棘は顕著.上部にも葉が目立つ.本州(青森県,秋田県-長野県,愛知県)・・・ノハラアザミoligophyllum (花期に深裂した根生葉が残
り,茎葉は上ほど小さく,基部は抱茎.花期は8-10月,茎の上部で分枝.頭花は紫色,粘らない).
10a.総苞片は細く伸び,基部付近から開出する.頭花数はやや少なく,上向き中心・・・11.
10b.総苞片は長三角形,先端が長く開出する.頭花数は多め,横向き-下向き中心・・・12.
11a.上部の葉は細長い舟形で鋸歯縁,下部の葉は深裂する.葉の基部は広がって抱茎する.日本海側の山地中心.本州(青森県-新潟県,長野県)
・・・ダキバヒメアザミamplexifolium (茎は直立,上部で分枝,茎はしばしば紫色.根出葉と下部の茎葉は花期になく,中間の葉は低い鋸
歯がある全縁状か浅裂-深裂,棘を持つ.総苞片は8-9列,粘らない).
11b.上部の葉は深裂.葉の基部は抱茎しない.太平洋側の山地中心.本州(東北南部-中部の太平洋側)・・・トネアザミ(タイアザミ) incomptum
(茎が直立,上部で分枝,枝は開出せず,上向きに鋭角的に伸びる.葉は先が鋭く尖り,棘はやや長く鋭い.頭花の向きや付き方は変異が多
く,柄はナンブほどは長くならない,総苞片は粘らない).
12a.頭花は総状に付く.葉の基部は柄がなく,葉身が茎に接する(僅かに抱茎).総苞は筒形.山地の湿地.本州(宮城県,福島県,茨城県,長野
県)・・・シドキヤマアザミshidokimontanum (丈1.2-2.4m,中間以上で鋭角的に分枝.葉は深裂-鋸歯縁,棘々しさはない.花柄はごく短
いか無柄,総苞片は11-12列,腺体はなく,薄くクモ毛,粘らないが時に少し粘る).
12b.頭花は個別に付く.葉の基部は柄状,抱茎しない.総苞は球形.日本海側の山地中心.本州(東北,関東,中部の日本海側に偏る)・・・ナ
ンブアザミmakinoi (花期に根生葉は残らない.花期は8-10月,紫色,腺体があり,少し粘る.白馬岳周辺で頭花が小型で紫色を帯びる=
シロウマアザミvar. shiroumense).
13a.下部の総苞片は平開,上部では斜上する.本州(青森県と秋田県北半と岩手県北部を除く),四国,九州・・・モリアザミdipsacolepis (茎
は直立,上部で分枝か単純,枝はやや広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないか,ある場合でもロゼット状にならない.中下部の茎葉
は鋸歯縁か浅裂-中裂,鋭い棘がある.花期は9-11月,数個か単生,直立,総苞片は6-7列,外片の先端は尾状に長く伸び,多少ともクモ
毛,腺体を欠き,粘らない).
13b.総苞片は全体が斜上する.本州(青森県-富山県日本海側)・・・タチアザミinundatum (中間以下で分枝しない.花期に根生葉は残らず,葉
は変化が多く,基部は耳状に張出して抱茎.花期は8-10月,上向き,色は紫色.総苞片は6-7列,腺体はなく,粘らない.オゼアザミは変
種とされる).
(中域分布)
14a.桑名市−大垣市−彦根市−敦賀市を結んだ線より北東(東日本)・・・15.
14b.桑名市−大垣市−彦根市−敦賀市を結んだ線より南西(西日本)・・・91.
15a.新潟市−会津若松市−那須塩原市−水戸市を結んだ線より北東(東北地方)・・・16.
15b.新潟市−会津若松市−那須塩原市−水戸市を結んだ線より南西・・・42.
16a.東北地方の日本海側・・・17.
16b.東北地方の中央山地(南北に繋がる中央の県境帯を含む,福島県は中通り地方)・・・26.
16c.東北地方の太平洋側・・・35.
(東北地方の日本海側)
17a.総苞片は圧着する・・・18.
17b.総苞片は開出する・・・20.
18a.総苞は狭筒形.山形県と新潟県東部の沿海山地.本州(山形県と新潟県の沿海山地)・・・ウエツアザミuetsuense (葉は浅裂-中裂,耳状に
抱茎.頭花は上向くか斜め).
18b.総苞は台型・・・19.
19a.白神山地固有.本州(秋田と青森県境白神山地)・・・ツガルオニアザミshimae (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,浅裂-中
裂,棘は弱い.花期は6-7月,頭花は数個か単生,総苞片は7-8列,直立か斜上,薄くクモ毛,腺体は発達,著しく粘る).
19b.鳥海山固有.本州(秋田と山形県境鳥海山の高山草原)・・・チョウカイアザミchokaiense (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生
存,中裂,鋭い棘がある.花期は8-9月,頭花は単生か数個,総苞片は6列,圧着,薄いクモ毛か無毛,腺体は発達,著しく粘る.オニに
似るが,頭花が紅紫色,狭筒部が広筒部より明瞭に長い).
20a.総苞片は片の中央で開出し反返る・・・21.
20b.総苞片は錐状で長く斜上,中片下部の先端は花の基部に届く・・・25.
21a.葉は全縁で鋸歯縁,基部で小さく裂ける程度.本州(秋田県と山形県の海岸,酒田市から鶴岡市の砂浜海岸で分布域が切れる.男鹿半島に分布しない?)・・・リョウウアザミdomonii (頭花は直立,総苞片は11-12列).
21b.葉は浅裂-中裂する・・・22.
22a.山形県と新潟県の県境一帯.本州(山形県と隣接する新潟県)・・・ウゼンアザミuzenense (丈1-2m,上部で分枝,側枝が鋭角的に伸びる.
葉の裂片は欠刻状,基部は抱茎.頭花は多く,小型で横向き-下向き,総苞は狭筒形で赤みを帯び,総苞片は11-12列,先は反曲,中片の縁
に短い棘があり,外片は短く,中片と内片に腺体,クモ毛があり,よく粘る).
22b.男鹿半島に分布・・・23.
23a.総苞片は基部近くが最も長く,11列以上で全体的に密.頭花は上向き.男鹿半島の沿岸.本州(秋田県男鹿半島沿岸)・・・トガアザミtogaense (丈2mになる.頭花は上向き,総苞片は11-13列).
23b.総苞片は均一,10列以下で疎ら.頭花は横向き-下向き.男鹿半島の山地・・・24.
24a.茎の中間で葉の付く間隔が狭くなる.男鹿半島の芦ノ倉沢の上流部固有.本州(秋田県男鹿山地芦ノ倉沢の上流部)・・・アシノクラアザミashinokurense (総苞片は8-9列).
24b.葉が茎に付く間隔はほぼ均一.本州(秋田県男鹿山地)・・・オガアザミhoriianum (頭花は多数,総苞片は9-10列,開出,腺体は痕跡的,
粘らない).
25a.葉は全縁-中裂,棘は普通.大きな頭花の横に小さな花が数個付く.山地-高山.本州(秋田県と岩手県と山形県と福島県の日本海側-中央山
脈の高山)・・・ウゴアザミugoense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.茎葉の基部は耳状に抱茎し流れて翼状.
花期は7-8月,総苞片は6列,斜上し先端に鋭い棘がある.腺体はない,わずかに粘る.鳥海山・薊坂のアザミは本種でチョウカイはより
低い所).
25b.葉は深裂,棘が顕著.同じ大きさの頭花を数個総状に付ける.高山.本州(東北の鳥海山,栗駒山,月山,飯豊山地,朝日山地)・・・ナンブタカネアザミnambuense (丈50cmほど,茎には白い毛が密生.花期に根生葉は残り,茎葉の基部は抱茎.花期は7-8月,1-3個で斜め上向き-下向き,頭花は筒状,紫色,総苞は粘らず,総苞片は5列,長い棘状).
(東北地方の中央山地)
26a.総苞内片の縁に膜状部があり,縁が細かく波打つ・・・27.
26b.総苞片の縁は単純か不明瞭な棘や毛がある程度・・・28.
27a.山形県天童市の風穴じゃがらもがら固有.本州(山形県天童市の風穴じゃがらもがら)・・・ウゼンヒメアザミkatoanum (葉の縁は多くは鋸歯,中間以下の葉の基部は抱茎,葉の棘は弱い.頭花は上向きか斜め).
27b.二岐温泉固有.本州(福島県二岐山,二岐温泉)・・・フタマタアザミhasunumae (多数で頭花を下向き,総苞が良く粘る.ハナマキに似る
が総苞片の先端は短く斜上ないし反曲する).
28a.総苞片は圧着,花と共に暗色.八幡平源太清水周辺固有.本州(岩手県と秋田県の八幡平源太清水周辺)・・・ハチマンタイアザミ
hachimantaiense (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,上面に腺毛があり,中裂-深裂,鋭い棘がある.花期は7-9月,頭花は
数個が密集,総苞片は7-8列,薄くクモ毛か無毛,腺体は良く発達,非常に粘る).
28b.総苞片は開出,緑色掛かる・・・29.
29a.総苞片は反返り,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・30.
29b.総苞片は平開-斜上,中片下部の先端は花の基部に届く・・・32.
30a.上部の葉は長楕円形で鋸歯縁.山形市周辺固有.本州(山形県山形市と天童市)・・・マミガサキアザミtakahashii (多数の頭花を上向き,総
苞片は10列前後).
30b.上部の葉は裂ける・・・31.
31a.総苞片は短く,基部近くが長くなり,特に内片は極先端のみ開出する.本州(岩手県,秋田県)・・・ハナマキアザミhanamakiense (茎は細
く,大きいものは上部が傾き,側枝は広角度で伸びる.花期に根性葉はなく,茎葉は両面に薄くクモ毛,中裂-深裂,基部は短い柄状となって少し抱茎.頭花は横向き-下向き,総苞片は11-12列,時に縁に付属物を持ち,先端は短く開出して反曲,腺体があり,粘る.秋田県に腺体が痕跡的で粘らない群落がある).
31b.総苞片は伸長,上部近くが長くなる.本州(宮城県北部のブナ帯)・・・リクゼンアザミfuagataense (茎は分枝,上部にまばらなクモ毛と褐
色短毛がある.根生葉は花期に枯れ,粗い鋸歯縁か浅裂-中裂,茎葉の抱茎しない.頭花を下向き,総苞片は10-11列,クモ毛はなく,腺体
はなく,中外片は開出-反曲).
32a.総苞片は平開.早池峰山と岩手山固有.本州(岩手県早池峰山と岩手山の高山草原)・・・ガンジュアザミganjuense (根出葉は花期に枯れ,
茎葉の先は尖り,中下部の茎葉の基部は広く抱茎,縁は浅裂か全縁に近く,縁には短い棘がある.頭花は数個,斜上か平開,紅紫色,総苞
片は7列,棘はごく短く,粘らない).
32b,総苞片は錐状に斜上する・・・33.
33a.蔵王連峰固有.本州(山形県蔵王山連峰)・・・ザオウアザミzawoense (茎は直立,上部で数回分枝する.根生葉は花期に生存せず,茎葉は
中裂か鋸歯縁,基部はわずかに抱茎.花期は8-9月,頭花は数個が疎らな総状花序,総苞片は7-8列,斜上-開出,わずかにクモ毛があり,
腺体はあり,よく粘る.蔵王連峰では高所にザオウ,低所にナンブが生育する).
33b.蔵王連峰を除いた東北の中部から南部の山域・・・34.
34a.葉は中裂,棘は顕著ではない.茎は特に白毛は目立たない.本州(秋田県と岩手県と山形県と福島県の日本海側-中央山脈の高山=八幡平,
駒,鳥海,月山,朝日,磐梯)・・・ウゴアザミugoense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.茎葉は浅裂-中裂か粗
い鋸歯,基部は耳状に抱茎し流れて翼状.花期は7-8月,頭花は単生か数個,直立か斜上.総苞片は6列,腺体はなく,わずかに粘る.鳥
海山・薊坂のアザミは本種でチョウカイはより低い所).
34b.葉は深裂,棘が顕著.茎に白毛が密生する.高山性.本州(東北の鳥海山,栗駒山,月山,飯豊山地,朝日山地)・・・ナンブタカネアザミ
nambuense (丈50cmほど.花期に根生葉は残り,茎葉の基部は抱茎.花期は7-8月,1-3個で斜め上向き-下向き,頭花は筒状,紫色,総苞
は粘らず,総苞片は5列).
(東北地方の太平洋側)
35a.総苞片は短く,斜上-反返り,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・36.
35b.総苞片は長く,平開-斜上,中片下部の先端は花の基部に届く・・・40.
36a.枝の先端に同じ大きさの小型の頭花を密に付ける.葉の裂けは弱い.いわき市固有.本州(福島県いわき市)・・・ハッタチアザミyamauchii
(茎は直立,上部で分枝.根出葉は花期に枯れ,先はやや尖り,基部は短い葉柄があり,抱茎せず,縁は全縁-粗い鋸歯縁,両面無毛,光沢がある.頭花は紅紫色,狭筒部は広筒部より長いか同長,柄は短く,総苞は赤紫褐色でまばらにクモ毛,総苞片は11-12列,縁に膜状部があり,腺体はあり,ほとんど粘らない).
36b.枝の先端に大きな頭花を一個と脇に小さな花を数個を付ける・・・37.
37a.葉の変化は少なく,長楕円形で粗い鋸歯縁.総苞片は先端で小さく開出する.丈1m以下.名取市と丸森町固有.本州(宮城県名取市と丸森
町)・・・ナトリアザミkasaianum (小型のアザミ,丈15cm以下,上部で少し分枝するが側枝はあまり伸びない.葉の基部は柄状に細まり抱
茎,棘は弱い.頭花は数個が下向き,総苞はまばらにクモ毛,総苞片は7-8列,腺体は痕跡的,粘らない).
37b.葉の変異は大きく,裂けた葉が多い.総苞片は反返る・・・38.
38a.宮城県以北の海岸地域.頭花を上向きに付けるキタカミアザミグループ.下記の4種が北から分布し,一部重なる.
・本州(青森県-岩手県) ・・・キタカミアザミnipponicum (茎は中部で広角度に分枝.葉は中裂-深裂か時に全裂,抱茎しないか僅かに抱
く.総苞片は8-9列.ナンブの分布域と重複するが同所的でない.下北半島のアザミは本種).
・本州(岩手県-宮城県)・・・マツシマアザミsendaicum (茎から広角度でよく分枝,枝は長く伸びる.葉は深裂か鋸歯縁,下部の葉は抱
茎,棘は太くて鋭い.総苞片は細く,8-9列,中片が最も長く,腺体があり,少し粘る.キタカミに似るが,葉はより深く切れこむ).
・本州(宮城県牡鹿市金華山島と周辺) ・・・キンカアザミmuraii (花期に根生葉は枯れ,茎葉は深裂-全裂,先は長い棘,基部は抱茎,棘が太長い.頭花は紅紫色,大型の苞葉があり,総苞片は9-11列,クモ毛はなく,腺体はある.近縁のキタカミやマツシマに比べて棘が鋭く,鹿の食害に対する防御と考えられている).
・本州(宮城県名取市と丸森町)・・・マルモリアザミmarumoriense (茎は中部以上でやや広角度に分枝,葉は深裂-全裂,基部は抱茎.
頭花は少数,総苞片は11-12列,腺体は痕跡的.キタカミグループでは最も南に分布).
38b.福島県・・・39.
39a.分枝は弱く,草体全体は単純.深裂した葉の裂片の間隔は広く,間隔の間は水平.福島県岩代地方固有.本州(福島県岩代地方)・・・イワ
キヒメアザミCirsium yuzawae (茎は細く,中部以上で鋭角的に分枝するがあまり伸びない.根出葉は花期に枯れ,茎葉は時に脈に沿って
白班があり,深裂で稀に全縁,中部と上部の茎葉は羽裂か鋸歯縁,基部は半分ほど抱茎,棘は鋭く直立.頭花は茎頂に単生か総状に3-4個,
総苞は狭筒形,緑色で疎らにクモ毛があり,総苞片は11-12列,腺体はなく,粘らない).
39b.よく分枝,草体全体は膨らんだように見える.深裂した葉の裂片は基部でU字につながる.山地性.本州(福島県阿武隈高地)・・・アブク
マアザミtonense var. abukumense (丈1-2m,茎の下部からよく分枝,側枝も更に分枝.葉は深裂,抱茎しない.頭花は小型で多数,横向き
-下向き,総苞はやや鐘形,総苞片は8-9列,外片は狭卵形で中片とほぼ同長,腺体はないものが多いが,時に内片にある).
40a.総苞片は平開する.早池峰山と岩手山固有.本州(岩手県早池峰山と岩手山の高山草原)・・・ガンジュアザミganjuense (根出葉は花期に枯
れ,茎葉の先は尖り,中下部の茎葉の基部は広く抱茎,縁は浅裂か全縁に近く,縁には短い棘がある.頭花は数個,斜上か平開,紅紫色,
総苞片は7列,開出,棘はごく短く,粘らない).
40b.総苞片は斜上する・・・41.
41a.葉は中裂程度,棘は顕著ではない.茎は特に白毛は目立たない.本州(秋田県と岩手県と山形県と福島県の日本海側-中央山脈の高山=八幡
平,駒,鳥海,月山,朝日,磐梯)・・・ウゴアザミugoense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.葉の基部は耳状
に抱茎して翼状に流れる.花期は7-8月,頭花は単生か数個,直立か斜上.総苞片は6列,斜上し先端に鋭い棘がある.腺体はない,わず
かに粘る.鳥海山・薊坂のアザミは本種でチョウカイはより低い所).
41b.葉は深裂,棘が顕著.茎に白毛が密に生える.高山性.本州(東北の鳥海山,栗駒山,月山,飯豊山地,朝日山地)・・・ナンブタカネアザ
ミnambuense (丈50cmほど,茎には白い毛が密生.花期に根生葉は残り,茎葉の基部は抱茎.花期は7-8月,1-3個で斜め上向き-下向き,
頭花は筒状,紫色,総苞は粘らず,総苞片は5列,長い棘状).
42a.新潟市−十日町市−長野市(カーブして)−上田市−佐久市−北杜市−中央市−富士川を結んだ線より東(関東)・・・43.
42b.新潟市−十日町市−長野市(カーブして)−上田市−佐久市−北杜市−中央市−富士川を結んだ線より西(中部)・・・56.
(関東地方)
43a.総苞片は圧着か先端が僅かに開出する程度・・・44.
43b.総苞片は開出する・・・46.
44a.総苞は台型,黒ずむ.三国山地固有.本州(群馬と福島と新潟と長野の三国山地の高山)・・・ジョウシュウオニアザミokamotoi (茎は斜上,
上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,中裂,鋭い棘がある.花期は8-9月,頭花は単生か数個が密集.総苞片は7-8列,圧着,薄くク
モ毛か無毛,腺体は良く発達,著しく粘る.オニに似るが小花の狭筒部が広筒部より少し長く,総苞片が7-8列,より根生葉の切込みが深
く,棘が鋭い).
44b.総苞は筒型,緑色掛かる・・・45.
45a.福島県会津地方と周辺.本州(福島県と栃木県と群馬県の県境)・・・アイヅヒメアザミaidzuense (茎に白い毛が多く,葉は深裂か鋸歯縁,
基部は抱茎.頭花は多数上向き,総苞片は8-9列で圧着か斜上,腺体は発達,粘る).
45b.先端を除く千葉県房総半島.本州(千葉県房総半島で先端を除く)・・・カズサヤマアザミbosopeninsulae (花期に根生葉は生存しない.茎は
斜上-やや直立,上部でよく分枝,枝は鋭角的に短く伸びる.葉は深裂か粗い鋸歯縁,短い葉柄があり抱茎しない.花期は10-12月,頭花は
疎らな総状花序.総苞は狭筒形,クモ毛があり,基部には線形の苞葉が5枚つき1枚が長く伸びる.総苞片は11-12列,圧着,腺体はやや
発達して少し粘るか痕跡的になって粘らない).
46a.総苞片は長三角形か時に伸びるが,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・47.
46b.総苞片は錐状か伸長し,中片下部の先端は花の基部に届く・・・55.
47a.頭花は草体の上部に5個以下付く・・・48.
47b.頭花は草体の上部に5個以上付く・・・50.
48a.総苞は筒形.上部の葉は浅裂.本州(新潟県魚沼市茂倉沢)・・・シゲクラアザミshigekrense (丈2m,繊細で柔らかい.頭花は下向き,総苞
片が斜上).
48b.総苞は楕円形.上部の葉は深裂・・・49.
49a.茎に白毛が目立つ.葉の縁全体に細かい棘や毛が密生する.本州(福島県,栃木県,長野県,新潟県,高地の湿原)・・・ニッコウアザミ
oligophyllum var. nikkoense (ノハラアザミの変種.葉が二回切込む.総苞片は6-7列).
49b.茎は特に白毛が目立たない.葉の縁は特に細かい棘や毛を密生しない.本州(長野県ほぼ全域の湿地)・・・ヤチアザミshinanense (根生
葉は花期に生存しない.茎は直立,単純か上部で分枝.下部の茎葉は深裂-浅裂か鋸歯縁,鋭い棘がある.花期は8-10月,頭花は単か数個,
直立,総苞片は8-9列,鋭角的に斜上,腺体はあまり発達せず,少し粘る.頭花が上向きにつく点で似るタチやオゼヌマに比べ全体的に小
振り).
50a.上部の葉は浅裂-鋸歯縁.総苞片は伸びて平開する.本州(新潟県頸城山地,長野県志賀高原)・・・ミョウコウアザミmyokoense (下部の葉
は裂け,抱茎しない.多数の頭花を下向き,総苞片は開出,粘らない).
50b.上部の葉は中裂-深裂・・・51.
51a.総苞片は長三角形で一見鱗状,各片の中央付近から開出する・・・52.
51b.総苞片は伸び,各片の基部から開出する・・・53.
52a.中間以下の葉の裂片は幅があり,葉全体も長くて垂れ下がる.八王子固有.本州(東京都八王子市谷戸)・・・ハチオウジアザミ
tamastoloniferum (茎は直立か斜上,走出枝(ストロン)を出す.根出葉は花時に枯れ,茎葉は深裂して棘があり,基部はやや抱茎.頭花は多
数下向き,紅紫色.総苞片は短く反曲).
52b.中間以下の葉の裂片は幅狭く,葉全体も細身で重みはない.東海.本州(静岡県と長野県-三重県と滋賀県の東海から鈴鹿山脈)・・・スズカ
アザミsuzukaense (根生葉は花期になく,茎葉は中裂-深裂,基部は抱茎しない.頭花は上向き,総苞はクモ毛,総苞片は9-11列,先が尖
って短い刺針があり,少し反返り,よく粘る.鈴鹿山脈北部では上部の草原にも生育し,頭花が無柄に近くなって一見コイブキに似る)
53a.茎は太くてほぼ直立,頭花は横向き-上向き.総苞は丸みがあり,特に開花前は球形で棘が顕著.本州(千葉県-静岡県)・・・イガアザミincomptum var. commosum (トネ(ナンブ)の海岸型.丈0.8-1.2m. 茎は太くて直立.葉は互生,羽状に裂け,縁に鋭い剣がある.枝先に直径約4cmの紅紫色の頭花が数個かたまって咲く.花期は10-11月,総苞片は反り返り,先に棘があり,粘らない.蕾は栗のイガのように丸くて棘がある.同じく棘の鋭いトゲは春-夏に咲き,丈40cm以下と小さく,総苞片が反り返らない点が違う.日本固有).
53b.茎は細くて傾斜,頭花は横向き-下向き・・・54.
54a.総苞片は斜上する.頭花の数は10個前後付ける.本州(栃木県ブナ帯)・・・シモツケアザミnasuense (葉は深裂,中脈が白,抱茎しない.総苞は狭筒形).
54b.総苞片は特に下部で平開-反返る.頭花は10個以上付く.本州(関東と中部の東部)・・・ホソエノアザミtenuipedunculatum (葉は中裂,棘が2個出る.葉はタイよりさらに細い).
55a.総苞片は斜上する.本州(尾瀬と周辺)・・・オゼヌマアザミhomolepis (茎は直立,単純か数回上部で分枝.根生葉は花期に生存,茎葉は深裂し棘は弱い.花期は8月,頭花は数個が密か単生,直立,総苞片は6列,腺体を欠き,粘らない).
55b.総苞片は平開-反返る.本州(那須,尾瀬周辺,谷川連峰の高山)・・・オクヤマアザミovalifolium (茎は直立-斜上,単純か中部から分枝.根生葉は花期に生存しない,茎葉は中裂.花期は8-9月,頭花は単生か少数が疎らな総状花序.総苞片は5-6列,クモ毛があり,腺体はあり,多少とも粘る).
(中部地方)
56a.総苞片は圧着,先端が僅かに棘状に開出する程度・・・57.
56b.総苞片は開出する・・・65.
57a.総苞は台形,北アルプス北部固有(白山にもあるという情報あり).本州(富山県黒部市北アルプス北部,石川県白山?)・・・オニオオノア
ザミjaponicum var. diabolicum (頭花は大型,少し横を向く.ノアザミの変種).
57b.総苞は壺型-筒型・・・58.
58a.茎の上部に多数の深裂した葉と小型の頭花を密集,中心の茎や花柄は見えにくく,上部は濃く茂った草体.伊吹山固有.本州(滋賀県伊吹山
山頂草原)・・・コイブキアザミconfertissimum (茎は毛が見られ,上部で枝分かれ,葉は深裂し先は鋭い棘状.花径は2cm,総苞はクモ毛,総苞片が6列,粘着).
58b.上部ほど葉は小さくなり頭花も密集せず,それらの隙間から枝や茎が見える・・・59.
59a.頭花は横向き-上向きに付く・・・60.
59b.頭花は横向き-下向きに付く・・・62.
60a.中間の大型の葉は粗い鋸歯縁で面が広く,基部は抱茎,棘は弱い.総苞はよく粘る.越美山地固有.本州(福井県と岐阜県の県境域,両白山
地)・・・エチゼンヒメアザミwakasugianum (茎は斜上,上部で分枝し枝は広角的に伸びる.根出葉は花時に枯れ,茎葉の先は尖り,基部
は抱茎,両面にまばらにクモ毛がある.頭花は数個が総状,上向き-斜上,淡紅紫色,総苞は狭筒形,淡く紫褐色を帯びた緑色で疎らにクモ
毛,総苞片は11-12列で圧着,よく粘る).
60b.中間の大型の葉は中裂-深裂・・・61.
61a.中間の大型の葉は深裂し,棘は顕著で鋭く,基部は抱茎しない(茎に達しない).北陸-近畿北部.本州(富山県と石川県県境-丹後半島の山
地)・・・オハラメアザミkiotoense (茎は頭花の重みで傾き,中部で分枝,枝は広角度に伸び,丈2mに達する.根生葉は花期に生存.花期
は9-12月,総苞片は11-12列,圧着,腺体は発達,粘着か時に痕跡的でほとんど粘らない.長い柄をもつ=エチゼンアザミ.アズマヤマに似るが頭花に柄がある).
61b.中間の大型の葉は中裂し,棘は著しくないが縁に細かい棘や毛を密に生やし,基部は抱茎する.伊吹山地と鈴鹿山地北部.本州(滋賀県,山口県),九州・・・イブキアザミbuergeri (ヒメヤマアザミ,ヒメアザミ)(茎は細長く直立,上部で枝分かれ,短毛がある.葉は互生.花期は8-10月,細長い苞葉があり,総苞はクモ毛,総苞片は反返らず,よく粘る).
62a.中間の大型の葉は中裂,主脈両側の面は広い・・・63.
62b.中間の大型の葉は中裂-深裂,主脈両側の面は狭い・・・64.
63a.総苞は粘らない.本州(新潟県-福井県)・・・エチゴヒメアザミechigomontanum (葉の基部はやや抱茎.多数の頭花を下向き,総苞は狭筒形でクモ毛,総苞の腺体は発達が悪く,ほとんど粘らない.カガノに良く似るが総苞はほとんど粘らない).
63b.総苞は粘る.本州(新潟県西部-京都府北東部)・・・カガノアザミkagamontanum (根出葉は花時に枯れ,茎葉は抱茎,棘がある.多数で頭
花を下向き,総苞はクモ毛,総苞片は11-12列,短く鈍頭で小さな棘を持ち,著しく粘る.総苞が粘らないエチゴヒメよりも内陸に分布).
64a.葉身の基部は抱茎しない.長野県南木曽町固有.本州(長野県南木曽町)・・・ナギソアザミnagisoense (葉の基部は抱茎しない.多数で花
を下向き,総苞が著しく粘る).
64b.葉身の基部は茎に届く.北陸.本州(富山県-兵庫県)・・・ジャクエツアザミtakaoi (茎は直立,上部で分枝.根出葉と下部の茎葉は花期に
枯れる.頭花は数個が総状に疎らに下向き,花冠は淡紅紫色,総苞片は12列).
65a.総苞片は短三角形で基部から反転して反返る.白山周辺.本州(白山と周辺)・・・テマリフジアザミhideo-takahashii (茎は直立.花期に根
生葉が生存,浅裂,両面に薄く白いクモ毛,下面でクモ毛は濃い,棘はフジほど鋭くない.葉は浅裂し裂片は幅があり,全体的に面が広く,
深く抱茎.花径約6cm,総苞片は約15列,緑色,総苞外片と中片は反曲,内面が裸出,鋭角的.フジに似るが,総苞片は反曲し,総苞全体
は球形となる).
65b.総苞片は基部から反転せず,強く反返る場合は短三角形ではなく伸びる・・・66.
66a.総苞は幅広い台型・・・67.
66b.総苞は四角型-筒型・・・69.
67a.総苞片は伸び,下側へ垂れ下がり,茎との接点を明瞭に超える.本州(新潟県頸城山地の妙高山系天狗原山,長野県白馬大池など白馬岳周
辺)・・・ダイニチアザミbabanum (茎は直立するが頭花の重みで傾き,単純か上部や下部で一回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,弱い刺
がある.花期は8-9月,頭花は単生か2個,総苞片は7-8列,強く反曲,無毛か薄くクモ毛,総苞外片の先端が尾状に長く伸び,腺体は痕
跡,粘らない).
67b.総苞片は伸びないか,長い場合は反曲しても総苞の基部を越えない・・・68.
68a.葉は浅裂,棘も弱い.根生葉は花期に生存しない.夏-秋に開花.本州(妙高山系,北アルプス北部,白山山系)・・・タテヤマアザミotayae (茎は直立-斜上,上部で分枝か単純.頭花は数個か単生,総苞片は6-7列,斜上-開出か反曲,無毛,腺体は痕跡的,ほとんど粘らない).
68b.葉は深裂,棘が発達する.根生葉は花期に生存する.初夏に開花.白山山系別山-三ノ峰固有.本州(白山山系南部高山帯)・・・エチゼンオ
ニアザミoccidentalinipponense (茎は斜上,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,中裂し鋭い棘がある.花期は6-7月,頭花は数個
が密集,総苞片は7-8列,斜上か多少とも反曲,薄くクモ毛か無毛,腺体は良く発達,著しく粘る.白山山系に分布するオニに似るが,総
苞片の列数,斜上ないし反曲する).
69a.総苞片の縁に棘や膜など明瞭な付属物がある・・・70.
69b.総苞片の縁は時に目立たない棘や膜など付属物がある程度・・・71.
70a.総苞片は少なくとも中片の上半の縁に膜状部があって細かく波打つ.本州(南アルプスの冷温帯-亜寒帯)・・・ホウキアザミgratiosum (茎
はわずかに斜上,上部で分枝.根出葉は花時に枯れ,茎葉は不規則に中裂,先は鋭く尖る.頭花は多数下向き,総苞片は7-8列,外片は短
くて反返り,少し粘る.ずんぐりした鐘形をしたセンジョウに似るが総苞はほっそりした筒形).
70b.総苞片の縁に棘がある.本州(長野県中央アルプス全域)・・・ウラジロカガノアザミfurusei (茎は中部から分枝して広角度で伸びる.葉は
深裂し長い棘があり,時に脈に沿って白斑を持ち,裏にはクモ毛が密生して白い.葉は抱茎しない.頭花は下向き,総苞は狭筒形,総苞片
は11-12列で先が短く斜上か圧着し,腺体があり,粘る.葉裏に綿毛がない=ハリカガノアザミspinuliferum).
71a.総苞片は長三角形(錐状でない)で伸びず,開出は弱くササクレ状・・・72.
71b.総苞片は伸びるか錐状の長三角形,開出する・・・75.
72a.中間部の大型の葉は裂けが浅く,鋸歯縁,基部は抱茎する・・・73.
72b.中間部の大型の葉は中裂-深裂・・・74.
73a.総苞は緑色味が強い.本州(白山山系)・・・ハクサンアザミmatsumurae (葉の基部は耳状に抱茎.頭花は下向き,総苞片の先が短く反返り,
やや粘る).
73b.総苞は紫色掛かる.本州(富山県,石川県,福井県)・・・ホッコクアザミhokkokuense (根出葉は花時に枯れ,茎葉の基部は耳状に抱茎.
頭花は下向き,総苞片が8-9列,先端が短く反曲.ハクサンアザミより総苞片の列数が多く,より高所に生える).
74a.根生葉は花期にない.総苞片は11列以下.本州(静岡県と長野県-三重県と滋賀県の東海地方から鈴鹿山脈)・・・スズカアザミsuzukaense
(根生葉は花期になく,茎葉の基部は抱茎しない.花期は秋,上向き,総苞はクモ毛,総苞片は9-11列,先が尖って短い刺針があり,少し
反返り,よく粘る.鈴鹿山脈北部では上部の草原にも生育し,頭花が無柄に近くなって一見コイブキに似る).
74b.根生葉は花期に残る.総苞片は11列以上.本州(長野県南木曽町と岐阜県中津川市の県境一帯)・・・リョウノウアザミgrandirosuliferum (茎
は直立,単純か上部で分枝.根生葉は花期に生存,浅裂-中裂か時に鋸歯縁,鋭い棘がある.花期は9-10月,頭花は単生か数個,直立.総
苞片は11-12列,圧着か上半部が斜上,薄くクモ毛,腺体は良く発達,著しく粘る).
75a,中間の大型の葉は浅裂か鋸歯縁・・・76.
75b.中間の大型の葉は中裂-深裂,または全縁の葉を持たない・・・81.
76a.上部の葉は幅狭く柳葉状,下部の葉は裂ける.柏崎市米山固有.本州(新潟県柏崎市米山周辺)・・・タンネアザミtannense (上部の葉は浅
裂か粗い鋸歯.茎はやや細く,上部がやや垂れ,上部で分枝.頭花は上向き,総苞片は開出し反曲).
76b.上部の葉は全縁であっても幅がある楕円形,または裂ける・・・77.
77a.全体に10個以上の小型の頭花を付け,草体全体で総状に見える.上信越.本州(新潟県頸城山地,長野県志賀高原)・・・ミョウコウアザミ
myokoense (葉は鋸歯があり,下部の葉は裂け,抱茎しない.総苞片は開出,粘らない).
77b.草体上部に多くても5個以内の頭花を付け,総状にはならない・・・78.
78a.各総苞片は幅があり,総苞を粗く包む・・・79.
78b.各総苞片は細く,総苞を密に包む・・・80.
79a.総苞片は整然と開出し,一様に先が短く反返る.岐阜県三方岩岳固有.本州(岐阜県白川村三方岩岳)・・・サンボウアザミsanboense (頭花は上向き).
79b.総苞片は乱れて開出し,様々に伸びる.本州(長野県と富山県と石川県と岐阜県と福井県の山地)・・・ノリクラアザミnorikurense (茎は斜
上,中部以上で分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しない,茎葉は鋸歯縁となるが(マルバノリクラアザミ),時に浅裂,下面
に白いクモ毛が密生し白い.花期は8-9月,頭花は数個か単生,横向きか斜上,総苞片は6-7列,斜上-反曲,クモ毛か無毛,総苞外片の先
端が尾状に長く伸び,腺体を欠き,粘らない).
80a.新潟県中部の沿岸山地.本州(新潟県弥彦・角田山=長者原山地)・・・カクダアザミsenumae (葉は鋸歯縁か深裂.頭花は茎頂に集散状,下
向き,総苞は狭筒形,総苞片は9列前後,開出し反返る.腺体は痕跡的.秋田県男鹿山地のアシノクラに似る).
80b.本州北陸南部-東海.本州(静岡県,長野県,愛知県,福井県奥越,養老山地を除く岐阜県)・・・ヒダアザミtashiroi hidaense (全体大型の
葉は変異の幅が広く,鋸歯縁-深裂).
81a.各総苞片の先端直前の内縁に微細な棘がある.長野県中部.本州(長野県中部)・・・ミヤマホソエノアザミshinanomontanum (茎はやや細
く,枝は鋭角に長く伸びる.頭花は小型でやや長い柄に1-数個を下向き,総苞片は8列前後(?),長く開出.南信の似たハリカガノは総苞
片が短く開出,小棘が多数見られる).
81b.各総苞片の先端に小棘を持たない・・・82.
82a.草体上部でよく枝分かれし,頭花は10個前後から以上で草体全体で総状に付ける・・・83.
82b.草体上部の枝分かれは単純で,頭花は10個以下で草体全体で総状に付けない・・・86.
83a.頭花は上向きに付ける.新潟県柏崎市固有.本州(新潟県柏崎市沿海山地)・・・ヨネヤマアザミyanagitae (根生葉は花期になく,茎葉の基
部は少し抱茎.総苞片は長く伸びて反曲.トオノに似るが総苞片が長く伸びて明瞭に反曲).
83b.頭花を横向き-下向きに付ける.新潟県と富山県-長野県の県境以南・・・84.
84a.福井県から近畿地方中心.本州(近畿地方,福井県福井市,中国地方),四国・・・ヨシノアザミyoshinoi (シコクアザミ)(総苞片が8-9列,
先端はやや反返り,総苞は時に粘着).
84b.岐阜県と長野県中心・・・85.
85a.松本盆地より西.本州(岐阜県飛騨地方,高山-白川郷-松本平手前)・・・ヒダノタイアザミ(ヒダヤマアザミ) leptolepis (葉は深裂.総苞は
トネのように細め,葉はナンブのように卵形.トネとは総苞片が斜上かゆるく反曲する点で異なる.松本平に出ると安曇野の固有種アヅミ
ノとなる).
85b.安曇野地方固有.本州(長野県中部)・・・アヅミノアザミadzumiense (丈2mになり,葉は多くは深裂するが鋸歯縁にもなる.葉はほとんど
抱茎しない.総苞片は11-12列で先が伸びて反曲.クモ毛,少し粘る.タイに似るが,総苞の列数が多い).
86a.総苞片は鋭角的に斜上し,平開しない・・・87.
86b.総苞片は少なくとも平開する・・・88.
87a.岐阜県-長野県県境の東,長野県中心.本州(長野県ほぼ全域の湿地)・・・ヤチアザミshinanense (根生葉は花期に生存しない.茎は直立,
単純か上部で分枝.下部の茎葉は深裂-浅裂か鋸歯縁,鋭い棘がある.花期は8-10月,頭花は単か数個,直立,総苞片は8-9列,腺体はあまり発達せず,少し粘る.頭花が上向きにつく点で似るタチやオゼヌマに比べ全体的に小振り).
87b.岐阜県-長野県県境の西,飛騨地域固有.本州(岐阜県飛騨地方)・・・ヒダキセルアザミhidapaludosum (茎は直立,上部は頭花の重みで傾
き,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.花期は8-9月,頭花は単生か数個が直立,総苞片は9-10列,無
毛,腺体は痕跡的,粘らない.異所的なキセルとは葉の切込みが深く,総苞が細長い点で区別出来る.北アルプス朝日岳(新潟県糸魚川市)
の高山帯湿原に本種に似て,総苞片の列数が異なるものがある).
88a.佐渡島.本州(新潟県佐渡島)・・・サドアザミsadoense (葉は深裂,棘が鋭い.頭花は下向き,総苞片は斜上.山麓部から上部に分布.海
岸にナンブが分布し,総苞片は反曲,サドは斜上).
88b.本土・・・89.
89a.東海地域の海岸.本州(千葉県-静岡県)・・・イガアザミincomptum var. commosum (タイの変種で海岸型.葉に厚みと鈍い光沢がある.丈
は低く,せいぜい1mまで,茎は太く,葉も固く光沢があり,中裂-深裂,全裂に近いものもある.頭花は上部の葉腋から伸びた花茎に総状
に密集して付き,花柄はごく短い.総苞片はふつうタイより更に長く,葉や総苞の刺も太くて長い).
89b.内陸の山地・・・90.
90a.八ヶ岳連峰固有.本州(八ヶ岳連峰の全域北部に多い)・・・ヤツタカネアザミyatsualpicola (茎は直立-斜上,上部でわずかに分枝か単純.
根生葉は花期に生存しない.茎葉は時に白斑があり,深裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-9月,頭花は数個,総苞片は8-9列,開出-反曲,
クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない).
90b.白馬岳八方尾根固有.本州(長野県八方尾根)・・・ハッポウアザミhappoense (茎は直立-斜上,単純か上部で分枝.根生葉は花期に生存し
ない.茎葉は深裂.花期は8-10月,頭花は単生か数個,総苞片は6-7列,斜上-反曲,クモ毛,腺体はあり,少し粘る.北アルプス高山帯
のタテヤマとは葉が深裂し,総苞片に腺体があることで区別出来き,上部にはタテヤマが生育).
90c.白馬連山より南部-中央アルプス.本州(中央アルプス,木曽御岳,乗鞍岳,北アルプス南部)・・・キソアザミfauriei (茎は直立-斜上,単
純か上部でわずかに分枝.根生葉は花期に生存しない,茎葉は深裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-10月,頭花は単生か数個が疎らな総状花
序,総苞片は6-7列,斜上-反曲,クモ毛,腺体は発達,著しく粘る.北アルプスでは北部にタテヤマ,南部にキソが分布).
90d.南アルプス.本州(山梨県と長野県と静岡県の南アルプス全域高山)・・・センジョウアザミsenjoense (茎は直立-斜上,単純か上部でわず
かに分枝.根生葉は花期に生存しない.茎葉は深裂-中裂,稀に浅裂か鋸歯縁.基部は抱茎.花期は8-10月,頭花は数個が疎らな総状花序.
総苞片は8-9列,開出か反曲,クモ毛,腺体はよく発達,著しく粘る).
90e.岐阜県-滋賀県県境中心.本州(三重県から福井県の谷側)・・・イナベアザミmagofukui (茎はわずかに斜上,中部以上で分枝,枝は広角度
に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に大型の茎葉が付き,深裂-中裂し弱い棘がある.花期は9-11月,頭花は数個,総苞片
は8-9列,長く開出,縁に小さな棘が列生,腺体を欠き,粘らない).
91a.兵庫県の東側県境から東(関西)・・・92.
91b.兵庫県の東側県境から西(中国)・・・105.
(関西地方)
92a.総苞片は圧着,せいぜい先端が小さく開出する程度・・・93.
92b.総苞片は開出する・・・98.
93a.大型の葉は下部に集中して付く.福井県若狭(嶺南)県境固有.本州(京都府と福井県の県境)・・・ナガエノアザミlongepedunculatum (丈
1-2m.茎は斜上,上部で分枝,枝は広角的に伸びる.根出葉は花期に枯れ,中下部の茎葉は中裂,基部はやや抱茎,質はやや薄く,両面と
もほとんど無毛か下面にクモ毛.花期は9-10月,頭花は副花序がまばらな円錐状になり,細く長い枝の先に点頭,花冠は淡紅紫色,狭筒部
は広筒部よりわずかに長く,総苞は狭筒形,総苞片は11-12列,総苞外片は卵形で鋭頭,腺体は著しく発達,著しく粘る).
93b.大型の葉は中部以上にも付く・・・94.
94a.葉は浅裂-中裂し,主脈両側の面はやや広い.本州(新潟県西部-京都府北東部)・・・カガノアザミkagamontanum (根出葉は花時に枯れ,茎
葉は抱茎,中裂,棘がある.多数で頭花を下向き,総苞はクモ毛,総苞片は11-12列,小さな棘を持ち,著しく粘る.総苞が粘らないエチ
ゴヒメよりも内陸に分布).
94b.葉は中裂-深裂し,主脈両側の面は狭い・・・95.
95a.葉の棘は荒く,上向きに長く突き出る・・・96.
95b.葉の棘は顕著ながらも,荒らしさはない・・・97.
96a.葉の基部は抱茎しない.福井県若狭地域県境-丹後半島.本州(富山県と石川県県境-丹後半島の山地)・・・オハラメアザミkiotoense (茎
は頭花の重みで傾き,中部で分枝,枝は広角度に伸び,高さ2mに達する.根生葉は花期に生存せず,茎葉は深裂-浅裂か鋸歯縁.花期は9-
12月,頭花は横向き-斜上,総苞片は11-12列,腺体は発達,粘着か時に痕跡的でほとんど粘らない.長い柄をもつ=エチゼンアザミ.ア
ズマヤマに似るが花に柄がある).
96b.葉の基部は抱茎する.丹後半島基部より南.本州(京都府と兵庫県の日本海側)・・・タンバアザミmuratae (多数の頭花が下向き,総苞片の
先端が斜上).
97a.総苞片は10列以上.日本海側北部.本州(富山県-兵庫県)・・・ジャクエツアザミtakaoi (茎は直立,上部で分枝.根出葉と下部の茎葉は
花期に枯れ,中間の茎葉は深裂-中裂.頭花は数個が総状に疎らに下向き,花冠は淡紅紫色,総苞片は11-12列).
97b.総苞片は9列以下.芦生周辺固有.本州(京都府と滋賀県と福井県の県境)・・・アシウアザミashiuense (茎は大型で分枝.頭花は下向,総
苞片は8-9列).
98a.総苞片は伸び,中片の先端は花の基部に届く・・・99.
98b.総苞片は短く,中片の先端は花の基部に届かない・・・101.
99a.総苞片は波曲せず,平開-斜上する.葉の葉脈に沿って白斑が目立ち,棘は弱い.滋賀県葛川固有.本州(滋賀県葛川(安曇川の上流)流域谷
側の林縁)・・・カツラカワアザミopacum (茎は斜上,中部以上から分枝,枝はあまり伸びない.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂.花期は9-11月,頭花は数個が疎らな総状花序,総苞片は8-9列,斜上,クモ毛,腺体を欠き,粘らない).
99b.総苞片は波曲し,反返るものも含む・・・100.
100a.総苞片の縁に小さな棘(鋸歯)を列生する.葉に白斑はなく,棘は弱い.滋賀県-岐阜県県境.本州(三重県から福井県の谷側)・・・イナベア
ザミmagofukui (茎はわずかに斜上,中部以上で分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に大型の茎葉が付き,
深裂-中裂.花期は9-11月,頭花は数個,総苞片は8-9列,長く開出,腺体を欠き,粘らない).
100b.総苞片の縁は単純.葉の脈に沿って白斑を持ち,棘は強い.紀伊半島中央高山帯.本州(奈良県大峰山地と大台ヶ原山)・・・オオミネアザ
ミohminense (茎は斜上,下部から分枝,枝は広角に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂して鋭い
棘がある.花期は9-10月,頭花は数個が散房状花序か塊状,総苞片は9-10列,開出-反曲,先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体はあり,
良く粘る).
101a.頭花を1-数個付ける・・・102.
101b.頭花を10個前後付けて総状か近い・・・103.
102a.葉の棘は目立たない.三重県-愛知県の山地帯.本州(養老山地,鈴鹿山脈)・・・ワタムキアザミtashiroi (茎は細く,白毛がある.根生葉は花期に残り,葉は深裂,縁は欠刻-深裂.頭花は下向き.総苞片は6列,先端に棘).
102b.葉の棘は長く顕著で,部分的に絡み合う.紀伊半島西部中央帯.本州(紀伊山地西部中央帯),四国(香川県,徳島県,徳島県北東部)・・・
ギョウジャアザミgyojanum (茎は斜上,上部で分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.茎,特に柄や総苞片は紫を帯びる.花期
は8-11月,頭花は単生か数個,直立か自重で傾き,総苞片は10-11列,基部は直立するが上半部は広角度に斜上,無毛か薄くクモ毛,腺体
は良く発達,著しく粘る).
103a.短く分枝し,その先に頭花を多数密着させ,草体全体が詰まる.本州(三重県,岡山県,島根県,近畿地方から中国地方の標高1000m以上の
草原)・・・ヒッツキアザミcongestissimum (茎は直立.根出葉は花期に枯れ,茎葉は互生,基部は抱茎せず,中裂,棘は短い.総苞片は8-
9列,反返り,粘ない).
103b.長く分枝し,頭花は密着せず,草体全体は空く・・・104.
104a.東海地域中心.本州(静岡県と長野県-三重県と滋賀県の東海地方から鈴鹿山脈)・・・スズカアザミsuzukaense (根生葉は花期になく,茎葉
は中裂-深裂,時に乱れた白斑を持ち,基部は抱茎しない.花期は秋,上向き,総苞はクモ毛,総苞片は9-11列,先が尖って短い刺針があり,少し反返り,よく粘る.鈴鹿山脈北部では上部の草原にも生育し,頭花が無柄に近くなって一見コイブキに似る).
104b.北陸西部-近畿中心.本州(近畿地方,福井県福井市,中国地方),四国・・・ヨシノアザミ(シコクアザミ) yoshinoi (頭花は多数を下向き,
総苞片が8-9列,先端は反返り,総苞は時に粘着).
104c.志摩半島基部固有.本州(三重県多気町)・・・タキアザミyoshidae (茎は直立か自重で傾き,中部以下から分枝,枝は広角度に伸びる.根
生葉は花期に生存,中裂-深裂,鋭い棘がある.花期は10-11月,頭花は複数が疎らな散房状花序か単生,直立-斜上.総苞片は10-11列,
斜上,クモ毛で,腺体は痕跡的,わずかに粘る.道路脇や法面に生える).
(中国地方)
105a.総苞片は圧着し,先端が小さく開出して斜上する程度・・・106.
105b.総苞片は開出する・・・114.
106a.中間以上の葉は全縁で,柳葉状・・・107.
106b.ほぼ全体の葉は中裂-深裂し,裂片を含めると幅がある・・・108.
107a.中間以下の大型の葉は浅裂する.総苞片に付属物を持たない.中国地方中央高地.本州(広島県と岡山県の石灰岩地)・・・ビッチュウアザ
ミbitchuense (花期に根生葉はなく,茎葉は浅裂-鋸歯縁,しばしば鎌形,基部は狭くなるが抱茎.頭花は上向き,総苞は著しく粘る).
107b.全体の葉は柳葉状で,裂けた葉を持たない.総苞片は内片に紅紫色の付属物がある.本州(山口県),四国,九州・・・ヤナギアザミlineare
(柳のように細い葉が何よりの特徴,縁に棘,基部は抱茎しない.頭花は上向き,上部の総苞片は紅紫色を帯び,良く粘る).
108a.総苞は球型に近く,総苞片は端正に並び細長い三角形.頭花は大型で1-数個.三井野原中心.本州(鳥取県と島根県と広島県の低地の水湿
地)・・・ムラクモアザミmaruyamanum (茎は斜上,上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.花期は5-7月,頭花は
下向き,総苞片は7-8列,圧着して先端は斜上,無毛,腺体はあり,多少とも粘る).
108b.総苞は筒型-壺型,総苞片は幅のある長三角形.頭花は中型-小型で多数付ける・・・109.
109a.葉は幅面が狭く硬質で,上向きの長く顕著な棘がある.総苞はやや長い壺形.大江山を中心とした日本海側.本州(京都府と兵庫県の日本海
側)・・・タンバアザミmuratae (葉の基部は抱茎.頭花は下向き,総苞片の先端が斜上).
109b.葉はやや幅面が広く,棘は特に強くない・・・110.
110a.葉の縁に細かい棘や毛を列生する.総苞はやや長い壺形.山口県.本州(滋賀県,山口県),九州・・・ヒメアザミ(ヒメヤマアザミ,イブ
キアザミ) buergeri (茎は細長く直立,上部で枝分かれ,短毛がある.葉は互生,浅裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-10月,多数で上向きか
斜め,下に細長い苞葉があり,総苞はクモ毛,総苞片は反返らず,良く粘る).
110b.葉の縁は単純で通常の棘を単発で生やす程度・・・111.
111a.山口県長門地方固有.総苞は筒形.本州(山口県長門地方)・・・ナガトアザミnagatoense (多数で頭花を下向き,総苞は良く粘る.ゲイホ
クより葉が硬質).
111b.山口県周防から東・・・112.
112a.葉は特に細長くはなく,垂れ下がらない.総苞は筒形.中国地方中央高地.本州(岡山県と広島県の石灰岩地)・・・ウスバアザミtenue (頭
花は斜上,総苞は著しく粘る).
112b.葉は細長く,下に垂れ下がる・・・113.
113a.北陸西端.総苞は壺形.本州(富山県-兵庫県)・・・ジャクエツアザミtakaoi (茎は直立,上部で分枝.根出葉と下部の茎葉は花期に枯れ,
中間の茎葉は深裂-中裂.頭花は数個が総状に疎らに下向き,花冠は淡紅紫色,総苞片は11-12列).
113b.中国地方西寄り.総苞は筒形.本州(広島県,島根県,山口県)・・・ゲイホクアザミakimontanum (多数で頭花を下向き,総苞は粘る).
113c.岡山県東北部倉見川固有.葉は中裂ながらも面が広い.本州(岡山県津山市倉見川流域)・・・ミマサカアザミmimasakaense (多数で頭花を
下向き,総苞片が8-9列,良く粘る).
114a.短く分枝し,その先に頭花を多数密着させて付け,草体全体が詰まる.本州(三重県,岡山県,島根県,近畿地方から中国地方の標高1000m
以上の草原)・・・ヒッツキアザミcongestissimum (茎は直立,上部で短く分枝.根出葉は花期に枯れ,茎葉は互生,基部は抱茎せず,中裂,
棘は短い.頭花は上向き,総苞片は8-9列,反返り,粘ない).
114b.長く分枝し,頭花は密着せず,草体全体は空く・・・5-115.
115a.茎は直立し,頭花を上向きに付ける.秋吉台固有.本州(山口県秋吉台)・・・アキヨシアザミcalcicola (茎は直立,単純か上部で分枝,枝
は鋭角的に伸びる.下部の茎葉は細かい鋸歯縁.花期は10-11月,頭花は単生,総苞片は8-9列,圧着-斜上か短く開出,クモ毛,腺体は発
達が弱く,粘らない).
115b.通常は茎は傾斜し,花を横向き-下向きに付ける.・・・116.
116a.花は1-数個を付け,多数を総状に付けない・・・117.
116b.頭花は10個前後か以上を総状に付ける・・・118.
117a.総苞片は錐状に整然と斜上する.茎は太くて真直ぐ伸び,頭花の根元で下向きに強く屈曲する.ほとんど分枝せず,大型の葉は下部に集中
する.島根県西南部と隣接する広島県西北部の一帯.本州(島根県(三瓶山),広島県(山県郡など))・・・サンベサワアザミtenuisquamatum (根出葉は花期も枯れず,粉白を帯びた緑色,中裂,棘が少ない.頭花は紅紫色,基部に2-3枚に苞葉があり,総苞片の先は開出,クモ毛.キセルやテリハの小形に似るが,総苞にクモ毛がある).
117b.総苞片は伸びた長三角形で反返り乱れる.茎は分枝は少なく,頭花は緩やかに曲がって横を向く.大型の葉は上部にも付きやすい.山口県
東端部.本州(山口県岩国市,周南市)・・・スオウアザミsuwoense (茎は上部で分枝,枝はやや鋭角的に伸長.根生葉は花期に生存しない,
下部と中部の茎葉は大型,深裂-中裂,長い葉柄があり,基部はわずかに抱茎.花期は5-6月,横向き,7cmに達する長い苞葉がよく目立ち,
総苞はクモ毛,総苞片は6-7列,外片の先端は尾状に伸び,開出-反曲,中片の上半部が鋭角的に斜上か反曲.内片は圧着,腺体は発達,粘
る.同所するノと雑種し,概観がノに似るが総苞片が反曲).
118a.葉は中裂し,裂片の縁はやや規則的に鋸歯を並べる.中国地方中央高地.本州(広島県と岡山県の石灰岩地)・・・タイシャクアザミtaishakuense
(根出葉は花期に枯れず,中裂,縁に棘を持ち,表面は黄緑色で光沢がある.頭花は下向き.従来テリハアザミとされたもの).
118b.葉の裂片の縁は数個の鋸歯を疎らに持つ程度・・・119.
119a.総苞片は伸び,斜上-平開する.山口県中心.本州(山口県,広島県西部)・・・チョウシュウアザミyamaguchiense (茎は直立,上部でやや
分枝.根生葉は花時に枯れ,茎葉は茎の中部に集り,中裂,鋭い棘がある.大型の頭花を下向き,やや総状,総苞片は8-9列.ツクシに比べ全体に繊細).
119b.総苞片は短く,反返る・・・120.
120a.中国東部中心.本州(近畿地方,福井県福井市,中国地方),四国・・・ヨシノアザミ(シコクアザミ) yoshinoi (頭花は多数を下向き,総苞
片が8-9列,総苞は時に粘着).
120b.中国西部.本州(中国西部)・・・イズモアザミ(トゲナシアザミ) indefensum (葉は全縁になる場合が多い.頭花は下向き,総苞片が12列.
総苞片は時に先端が斜上).
III.四国地方
1a.葉は柳葉状.総苞片は内片に紅紫色の付属物がある.本州(山口県),四国,九州・・・ヤナギアザミlineare (柳のように細い葉が何よりの
特徴,縁に棘,基部は抱茎しない.頭花は上向き,上部の総苞片は紅紫色を帯び,良く粘る).
1b.葉は裂ける.総苞片は内片に特別な付属物は持たない・・・2.
2a.葉の棘は長く顕著で,部分的に絡み合う・・・3.
2b.葉の棘は通常のアザミ類と同等で,絡み合う程でない・・・4.
3a.総苞片は長三角形で,先端は平開-反返る.茎に白毛は目立たない.本州(紀伊山地西部中央帯),四国(香川県,徳島県,高知県北東部)・・・
ギョウジャアザミgyojanum (茎は斜上,上部で分枝.根生葉は花期に生存,深裂,鋭い棘がある.花期は8-11月,頭花は単生か数個,直
立か自重で傾き,総苞片は10-11列,無毛か薄くクモ毛,腺体は良く発達,著しく粘る).
3b.総苞片は短い錐状で,斜上する.茎に白毛が密に生える.四国高地帯.四国(徳島県剣山系,愛媛県石鎚山系と赤石山系)・・・トゲアザミ
japonicum var. horridum (茎は太くて直立.葉は互生,深裂,縁に鋭い棘,抱茎.直径約4cmの紅紫色の頭花が1-2個上向き,総苞片に棘.
蕾は栗のイガのように丸く棘.ノアザミの変種).
4a.総苞は細筒型で,各総苞片は基部で圧着して先端で斜上する.四国・・・イシヅチ(ウスバ)アザミishidzuchiense (花期に根生葉は生存しな
い.茎は直立-斜上,上部で分枝するが枝はあまり伸びない.葉は深裂-浅裂.花期は8-10月,頭花は多数を下向.総苞はわずかにクモ毛,
総苞片は8-9列,腺体は発達,良く粘る).
4b.総苞は筒型-壺型で,総苞片は基部近くから斜上して多くは反返る・・・5.
5a.花柄はなく,茎から多数を総状に上向きに付ける.四国(愛媛県,高知県),九州・・・ヤマアザミspicatum (茎は太く,短い枝を出す。葉
は鋸歯縁か浅裂,先端は長く尖り,棘は太く,基部は抱茎しない.頭花を穂状に上向きか斜め上向き).
5b.花柄はあり,茎を中心に頭花を総状に付けない・・・6.
6a.茎は太く立ち上がる.棘は交互に水平と上向きに並ぶ.石立山上部固有.四国(高知県と徳島県の県境石立山上部の石灰岩地)・・・イシダ
テアザミishidatense (花期に根生葉があり,頭花は下向き).
6b.茎は特に太くなく,傾斜する.葉の棘は水平に並ぶ・・・7.
7a.総苞片は伸び,中片下部の先端は花の基部に達する.四国(四国山地)・・・ニセツクシアザミpseudosuffltum (茎は斜上,上部で分枝,枝は
あまり伸びない.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂,鋭い棘がある.花期は8-10月,頭花は数個,
総苞片は9-10列,開出-反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体はあり,良く粘る).
7b.総苞片は伸びず,中片下部の先端は花の基部に届かない・・・8.
8a.総苞片は11列以上.四国・・・サヌキアザミsanukiense (シコク(=ヨシノ)とは総苞片が12列ある事で区別出来る).
8b.総苞片は10列以下・・・9.
9a.頭花は多数で横向き-下向き.本州(近畿,福井県福井市,中国),四国・・・ヨシノアザミ(シコクアザミ) yoshinoi (総苞片が8-9列,先
端は反返り,総苞は時に粘着).
9b.頭花は少数で横向き-上向き.四国・・・ヤシマアザミmitanii (総苞片は斜上-開出-反曲,粘る).
IV.九州地方
1a.総苞片は圧着し,先端が小さく開出して斜上する程度・・・2.
1b.総苞片は開出する・・・5.
2a.葉は柳葉状.総苞片は内片に紅紫色の付属物がある.本州(山口県),四国,九州・・・ヤナギアザミlineare (柳のように細い葉が何よりの
特徴,縁に棘,基部は抱茎しない.頭花は上向き,総苞片に紫色の付属体,上部の総苞片は紅紫色を帯び,良く粘る).
2b.大型の葉は裂ける.総苞片に付属物を持たない・・・3.
3a.葉の縁に細かい棘や毛を列生する.総苞はやや長い壺型.本州(滋賀県,山口県),九州・・・ヒメアザミ(ヒメヤマアザミ,イブキアザミ)
buergeri (茎は細長く直立,上部で枝分かれ,短毛がある.葉は互生,浅裂-中裂,基部は抱茎.花期は8-10月,多数で上向きか斜め,下に
細長い苞葉があり,総苞はクモ毛,総苞片は反返らず,良く粘る).
3b.葉の縁は棘を単発で生やす・・・4.
4a.頭花を初夏-夏に付ける.対馬固有.九州(対馬)・・・ツシマノアザミtsushimense (茎は直立か斜上,基部以上から分枝.根生葉は花期に生
存,中裂,鋭い刺がある.花期は6-8月,数個,直立,総苞片は8-9列,圧着,無毛か薄くクモ毛,腺体はあり,あまり粘らない.ノに似るが頭花が小型で複数,総苞があまり粘らない).
4b.頭花を秋に付ける.九州(ほぼ全域)・・・サツママアザミaustrokiusianum (茎は上部で枝分かれる.根出葉は花期に枯れず,中裂,鋭い棘
がある,茎葉が上部にもつく.花期は9-11月,上向きか下垂,総苞片は煉瓦状に並んで開出しない.キセルに似るがストロンを伸ばす).
5a.花柄は短く,茎から多数を総状に上向きに付ける・・・6.
5b.花柄はあり,頭花を疎らに付ける・・・7.
6a.柄のない頭花を茎に縦方向に付ける.内陸の乾燥した場所.四国(愛媛県,高知県),九州・・・ヤマアザミspicatum (山地の乾いた草原.茎は太く,短い枝を出す。葉は鋸歯縁か浅裂,先端は長く尖り,棘は太く,基部は抱茎しない.頭花を穂状に上向きか斜め上向き).
6b.柄の短い頭花を茎の上部に集合して付ける.鹿児島半島部-喜界島の海岸部.九州(鹿児島県大隅半島,薩摩半島,薩南諸島,鹿児島県の海
岸)・・・オイランアザミspinosum (根生葉は花期に生存.茎は直立,単純か中部以上で数回分枝.根生葉は中裂-深裂,両面は普通無毛,
鋭い棘がある.花期は7-1月,直立か斜上,1-3個の苞葉があり,縁に太い棘を持ち,総苞片は10-11列,下半部は圧着し,上半部が開出,
先に棘がある,腺体は痕跡的,粘らない).
7a.葉の棘は長くて上下に突出する.九州(宮崎県北半と鹿児島県西北部の以北)・・・ツクシアザミsuffultum (茎は直立か斜上,単純か上部で
分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,浅裂-中裂.花期は9-12月,数個か単生,総
苞片は6列,斜上か反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない).
7b.葉の棘は水平に突出する・・・8.
8a.総苞片は長三角形・・・9.
8b.総苞片は糸状-錐状で斜上する・・・10.
9a.総苞片は伸びず,平開.JR日豊本線の佐伯市-延岡市が通る地域固有.九州(宮崎県と大分県の県境東端)・・・ニッポウアザミnippoense
(茎は直立,中部から分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しない.茎葉は中裂,鋭い棘がある.花期は10月,頭花は多数が直
立-斜上,総苞片は11-12列,斜上-短く反曲,クモ毛,腺体はあり,粘る.ヒュウガに比べ,葉の面が狭い).
9b.総苞片は伸び,平開-反返る.宮崎県鰐塚山系固有.九州(宮崎県鰐塚山系)・・・ヒュウガアザミmasami-saitoanum (茎は直立か斜上,下部
から分枝,枝はやや鋭角的に伸びる.根生葉は花期に生存しない,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂か鋸歯縁,鋭い棘がある.花
期は9-11月,頭花は数個か塊状に集合,総苞片は両性花で9-10列,雌性花で6-7列,腺体は痕跡的,総苞は粘らない.ニッポウに比べ,
葉の面が広い).
10a.島原半島固有.九州(長崎県雲仙岳と周辺)・・・ウンゼンアザミunzenense (花期に根生葉が残る.頭花は下向き,総苞片が8-9列.雲仙岳
では上部にウンゼン,下部にツクシが分布).
10b.久住山-祖母山固有.九州(大分県久住山,宮崎県祖母山)・・・クジュウアザミkujuense (根生葉が花期に残り,頭花は下向き).
10c.宮崎県北部と熊本県南部を結んだ斜帯.九州(宮崎県北部と熊本県甲佐岳と熊本県南部の石灰岩地)・・・ヘイケモリアザミhyugamontanum
(茎は直立か斜上.根出葉は花期に枯れず,深裂,茎葉は上部ほど小さくなり,棘はあるが柔らかく,基部は半ば抱茎.総苞片は斜上-やや
開出する.花期に根生葉が残るテリハ変種として記載されたが,花期に根生葉が残らない.シライワと同所するが,本種は大型の葉が伸長
する事なく垂れない).
10d.鹿児島県東半部と接続する宮崎県南端部.九州(宮崎県霧島山と鰐塚山,鹿児島県霧島山と高隈山)・・・キリシマアザミkirishimense
茎は直立-斜上,単純か上部で分枝,枝はやや広角度に伸びる.根出葉は花期にも枯れず,浅裂-深裂,鋭い棘がある,大型の茎葉は伸びて
垂れ下がる.頭花は下向き,紅紫色,総苞片は8-9列,斜上か反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,粘らない.似たツクシは花期に根生葉
はない.葉身が中裂するウンゼンと区別するのは難しい.宮崎県ではキリシマは標高が800m以上で,低地ではヒュウガが見られ,800m付
近は雑種が多い).
10e.熊本県内国道221号線が通る地域固有.九州(熊本県球磨)・・・テリハアザミlucens (茎は斜上,上部で分枝,枝はあまり伸びない.根生
葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂-中裂,鋭い棘がある.花期は8-10月,黄白で数個,総苞片は9-10列,開
出-反曲,外片は長く伸び,クモ毛,腺体はあり,良く粘る).
10f.宮崎県白岩山固有.九州(宮崎県白岩山)・・・シライワアザミakimotoi (茎は直立,上部で分枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生
存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,深裂,鋭い棘がある.花期は9-10月,数個が疎らな総状花序,総苞片は8-10列,斜上かゆ
るやかに反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない.ヘイケモリも同所するが,本種は大型の葉の特に先端や
裂片が伸長して垂れる).
10g.宮崎県と熊本県の県境中央付近.九州(宮崎県石堂山,掃部岳,市房山,熊本県市房山)・・・メラモリアザミnishimeraense (花期に根生葉
が残る.頭花は下向き.ヘイケモリと同所するが,本種は通常の土砂に生え,ヘイケモリより茎は太くて丈が低い).
10h.鹿児島県両半島部固有.九州(薩摩と大隅半島)・・・ノマアザミchikushiense (茎は斜上,上部で分枝,枝はやや鋭角的に伸びる.根生葉は
花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,特に伸びず垂れ下がらない.中裂-深裂,鋭い棘がある.花期は10-12月,数個が下
向き,総苞片は8-9列,反曲,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的,粘らない).
V.諸島
1a.伊豆諸島.伊豆諸島(伊豆七島)・・・ハチジョウアザミhachijoense (茎は直立,先端が頭花の重みでわずかに傾き,中部以上で分枝,枝は
広角度に伸びる.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,浅裂-中裂,棘は弱い.花期はほぼ一年中,数個か単生,
自重で斜め下を向き,総苞片は8-9列,斜上-反曲,クモ毛,腺体を欠き,総苞は粘らないが,時にやや発達してわずかに粘る).
1b.小笠原諸島.小笠原(小笠原諸島沿海地)・・・オガサワラアザミboninense (茎は直立,単純か上部で数回分枝する.根生葉は花期に生存,
鋸歯縁浅裂,鋭い刺がある.花期は5-6月,白色,単生か数個が疎らな総状花序,直立か斜上.総苞片は10-11列,圧着,上半部がわずか
に斜上,腺体を欠き,粘らない).
1c.鹿児島半島部-喜界島の海岸部.頭花は茎の上部に集合して付く.九州(鹿児島県大隅半島,薩摩半島,薩南諸島,鹿児島県の海岸)・・・オ
イランアザミspinosum (根生葉は花期に生存.茎は直立,単純か中部以上で数回分枝.根生葉は中裂-深裂,両面は普通無毛,鋭い棘があ
る.花期は7-1月,柄が短く,直立か斜上,1-3個の苞葉があり,縁に太い棘を持ち,総苞片は10-11列,下半部は圧着し,上半部が開出,
先に棘がある,腺体は痕跡的,粘らない).
1d.種子島固有.頭花は茎に直接横に付き,縦に総状.九州(鹿児島県種子島)・・・タネガシマアザミtanegashimense (茎は直立,中部から分
枝,枝は広角度に伸びる.根生葉は花期に生存せず,茎葉は中裂,鋭い棘がある.花期は10-12月,総苞片は9-10列,斜上-長く反曲,無
毛,痕跡的,粘らない).
1e.屋久島高所固有.九州(鹿児島県屋久島1000m以上)・・・ヤクシマアザミyakushimense (茎は直立,単純で分枝か上部で分枝,枝はあまり
伸びない.根生葉は花期に生存しないが,茎の下部に最も大型の葉が付き,鈍い光沢,深裂,鋭い棘がある.花期は8-11月,単生か数個が
斜上-直立,総苞片は7-8列,斜上,外片の先端は尾状に長く伸び,クモ毛,腺体は痕跡的で粘らないか,腺体がやや発達して少し粘る).
1f.奄美大島-沖縄本島.琉球(奄美大島-沖縄島の沿岸)・・・シマアザミbrevicaule (全体が豪壮な割には根は貧弱.茎は高さ0.3-1m,直立,
単純か上部で数回分枝.根生葉は花期も生存,肉質で光沢があり,深裂-中裂,下面に長毛があり,鋭い棘がある.花期はほぼ一年中,頭花
は単生か数個,直立,総苞片は10-11列,圧着,上半部がわずかに斜上,腺体を欠き,粘らない).
1g.八重山諸島.琉球(石垣島以南海岸)・・・イリオモテアザミirimtiense (茎は直立,単純か上部で数回分枝.根生葉は花期に生存,深裂.ピ
ンクの頭花).
著者:齋藤昌弘 heteromerasaito@fork.ocn.ne.jp
18. IX. 2024
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