(はじめに)
「ヴァリス山群」は、4000m級の高峰群が多いことに加え、個々の山々や、地域ごとの地質構造も複雑であることから、「ヴァリス山群」の地質を説明している、この5−2章もかなり長くなってしまいました。
今回の連載回(その5)は、「ヴァリス山群」の説明をしている、5−2章の最後の回となります。
この回は、ツェルマット(Zermatt)のある渓谷(マッタ―タール;Mattertal)より、一つ東側にある渓谷である、「ザース渓谷」(ザースタール;Saastal)と、その中心にある観光、登山拠点である、「ザースフェー」(Saas-Fee)を取り囲んでいる、4000m級の高峰群の地質について、説明します。
「ザースフェー」(Saas-Fee)という小さな街は、4000m級の高峰群に囲まれたリゾート地であり、ハイキング/登山拠点としても知られています(文献11)、(文献16)、(文献17)。注2)
「ツェルマット」(Zermatt)の隣の渓谷(ザースタール;Saastal)沿いにありますが、「ツェルマット」ほど有名でない分、落ち着いた感じのリゾート地です。また周辺は、10座以上の4000m級の山々と氷河に囲まれています。
この「ザースフェー」を取り囲んでいる山々を、ここでは説明のため、「東部ヴァリス山群」と称することにします。これはあくまで、ここでの説明用のものです。
さて「東部ヴァリス山群」は、(文献15)ではさらに細かく3つのグループに分類しています。
具体的には、「ザースフェー」の西側に位置する「ミシャベル山群」(Mischabel group)、南西側に位置する「アラリンホルン山群」(Allalinhorn group)、および「ザースタール」の東側に位置する、「ヴァイスミース山群」(Waissmies group)の3つのグループです。
それぞれの山群は、4000mを越えるピークを複数もっています。ここでは、それぞれの山群ごとに、地質構成などを説明します。
この回で説明する山々の位置関係などは、添付の、広域的な地形図(図1)をご参照ください。
また、各「地塊」の分布状況は、添付の図2をご参照ください。これらは、(文献2A)より、それぞれ地形図レイヤー、テクトニックレイヤーを引用しました。
今回の連載回(その5)は、「ヴァリス山群」の説明をしている、5−2章の最後の回となります。
この回は、ツェルマット(Zermatt)のある渓谷(マッタ―タール;Mattertal)より、一つ東側にある渓谷である、「ザース渓谷」(ザースタール;Saastal)と、その中心にある観光、登山拠点である、「ザースフェー」(Saas-Fee)を取り囲んでいる、4000m級の高峰群の地質について、説明します。
「ザースフェー」(Saas-Fee)という小さな街は、4000m級の高峰群に囲まれたリゾート地であり、ハイキング/登山拠点としても知られています(文献11)、(文献16)、(文献17)。注2)
「ツェルマット」(Zermatt)の隣の渓谷(ザースタール;Saastal)沿いにありますが、「ツェルマット」ほど有名でない分、落ち着いた感じのリゾート地です。また周辺は、10座以上の4000m級の山々と氷河に囲まれています。
この「ザースフェー」を取り囲んでいる山々を、ここでは説明のため、「東部ヴァリス山群」と称することにします。これはあくまで、ここでの説明用のものです。
さて「東部ヴァリス山群」は、(文献15)ではさらに細かく3つのグループに分類しています。
具体的には、「ザースフェー」の西側に位置する「ミシャベル山群」(Mischabel group)、南西側に位置する「アラリンホルン山群」(Allalinhorn group)、および「ザースタール」の東側に位置する、「ヴァイスミース山群」(Waissmies group)の3つのグループです。
それぞれの山群は、4000mを越えるピークを複数もっています。ここでは、それぞれの山群ごとに、地質構成などを説明します。
この回で説明する山々の位置関係などは、添付の、広域的な地形図(図1)をご参照ください。
また、各「地塊」の分布状況は、添付の図2をご参照ください。これらは、(文献2A)より、それぞれ地形図レイヤー、テクトニックレイヤーを引用しました。
5−2章―第(12)節 「ミシャベル山群」の地質
「ミシャベル山群」(Mischabel Group)とは、ツェルマットのある渓谷(マッタ―タール;Mattertal)と、その一つ隣にある渓谷(ザースタール;Saastal)との間を仕切る、巨大な壁のように屹立している、4000m級の複数の山からなる山群です(文献8)、(文献14)、(文献15)。
「ミシャベル山群」の範囲は文献などによって少し異なりますが、ここでは(文献15)で紹介されている「ミシャベル山群」の項の山々とします。
この山群の西側、「ツェルマット」(Zermatt)の街あたりからは、「ミシャベル山群」の山々は良く見えませんが、ロープウェイを使って、「クラインマッターホルン」(Kline -matterhorn)あたりまで来ると、堂々としたその山容が望めます。
またこの山群の東側、「ザースフェー」(Saas-Fee)付近からだと、街並みの裏手に、威圧感を感じる巨大な壁としてそびえているのが望めます。高速ケーブルカーを使って、「ミッテルアラリン」(駅)(Mitter-Allalin)まで上がると、全容が良く見えます(写真1)。
この山群は、氷食谷である「マッタ―タール」と「ザースタール」の両方から側面を削られている為、山群の東側、西側とも急峻な斜面となっており、南北に長く、細くて険しい稜線を連ねています。
「ミシャベル山群」の山々の位置などは、添付の地形図(図3)を、地質については、添付の地質図(図4)をご参照ください。これらはそれぞれ、(文献2A)の、地形図レイヤー、地質図レイヤーを引用しました。
「ミシャベル山群」の中央には、主峰である「ドム」(Dom、4546m;注1,注3) があります。この山は、山頂部が全てスイス国内にある山としては最も高い峰です(文献8)、(文献15)。
「ドム」から約1.5km南側の稜線上には、「テッシュホルン」(Thaeschhorn;4491m)、があります。一方、「ドム」の北側に続く稜線には、「レンツシュピッチェ」(Lentzspitze;4293m)、「ナーデルホルン」(Nadelhorn;4327m)があります。
その他、「ナーデルホルン」より北側にも、「ホーベルクホルン」(Hoberghorn;4218m)、「デリュホルン」(Dirruhori;4035m)など、4000m前後の山々が高さを競っています。
これら4000〜4500m級の高峰群が、長い岩稜上に並んでいる姿は、なかなか見ごたえがあります。また見ごたえだけでなく、実際の登山でも、急峻な岩壁、ナイフリッジ状の岩稜はかなりの難度だそうです(文献15)。添付の(写真1)もご参照ください。
さて、前置きが長くなりましたが、「ミシャベル山群」を構成している地質を、地質図(文献2A)のテクトニックレイヤーや、地質図レイヤーおよび、(文献3)で見ると、添付の図4に示すように、テクトニクス的には全て「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」(Siviez-Mischabel nappe)という「地塊」に属しています。
「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」については、5−2章の他の項でも説明しましたが、「ペニン系」地質グループのうち、「ブリアンソン・ライズ系」(=「中部ペニン系」)に属する、大陸性地殻からなる「地塊」です。主に原生代〜古生代に起源を持ち、複数回の変成作用を受けた、「古い片麻岩」類からなります(文献3B)、(文献4)。
「ミシャベル山群」の具体的な地質を、地質図(文献2A)の地質図レイヤーで見ると、添付の図4に示すように、「古い片麻岩」(Gneis(独))、(原生代〜古生代)が大部分を占めています。
それ以外には、苦鉄質な変成岩である「角閃岩」(Amphibolit(独))(古生代)が、あちこちに分布していますが、その由来、履歴は不明です。
「ミシャベル山群」の範囲は文献などによって少し異なりますが、ここでは(文献15)で紹介されている「ミシャベル山群」の項の山々とします。
この山群の西側、「ツェルマット」(Zermatt)の街あたりからは、「ミシャベル山群」の山々は良く見えませんが、ロープウェイを使って、「クラインマッターホルン」(Kline -matterhorn)あたりまで来ると、堂々としたその山容が望めます。
またこの山群の東側、「ザースフェー」(Saas-Fee)付近からだと、街並みの裏手に、威圧感を感じる巨大な壁としてそびえているのが望めます。高速ケーブルカーを使って、「ミッテルアラリン」(駅)(Mitter-Allalin)まで上がると、全容が良く見えます(写真1)。
この山群は、氷食谷である「マッタ―タール」と「ザースタール」の両方から側面を削られている為、山群の東側、西側とも急峻な斜面となっており、南北に長く、細くて険しい稜線を連ねています。
「ミシャベル山群」の山々の位置などは、添付の地形図(図3)を、地質については、添付の地質図(図4)をご参照ください。これらはそれぞれ、(文献2A)の、地形図レイヤー、地質図レイヤーを引用しました。
「ミシャベル山群」の中央には、主峰である「ドム」(Dom、4546m;注1,注3) があります。この山は、山頂部が全てスイス国内にある山としては最も高い峰です(文献8)、(文献15)。
「ドム」から約1.5km南側の稜線上には、「テッシュホルン」(Thaeschhorn;4491m)、があります。一方、「ドム」の北側に続く稜線には、「レンツシュピッチェ」(Lentzspitze;4293m)、「ナーデルホルン」(Nadelhorn;4327m)があります。
その他、「ナーデルホルン」より北側にも、「ホーベルクホルン」(Hoberghorn;4218m)、「デリュホルン」(Dirruhori;4035m)など、4000m前後の山々が高さを競っています。
これら4000〜4500m級の高峰群が、長い岩稜上に並んでいる姿は、なかなか見ごたえがあります。また見ごたえだけでなく、実際の登山でも、急峻な岩壁、ナイフリッジ状の岩稜はかなりの難度だそうです(文献15)。添付の(写真1)もご参照ください。
さて、前置きが長くなりましたが、「ミシャベル山群」を構成している地質を、地質図(文献2A)のテクトニックレイヤーや、地質図レイヤーおよび、(文献3)で見ると、添付の図4に示すように、テクトニクス的には全て「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」(Siviez-Mischabel nappe)という「地塊」に属しています。
「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」については、5−2章の他の項でも説明しましたが、「ペニン系」地質グループのうち、「ブリアンソン・ライズ系」(=「中部ペニン系」)に属する、大陸性地殻からなる「地塊」です。主に原生代〜古生代に起源を持ち、複数回の変成作用を受けた、「古い片麻岩」類からなります(文献3B)、(文献4)。
「ミシャベル山群」の具体的な地質を、地質図(文献2A)の地質図レイヤーで見ると、添付の図4に示すように、「古い片麻岩」(Gneis(独))、(原生代〜古生代)が大部分を占めています。
それ以外には、苦鉄質な変成岩である「角閃岩」(Amphibolit(独))(古生代)が、あちこちに分布していますが、その由来、履歴は不明です。
5−2章―第(13)節 「アラリン山群」の地質
「アラリンホルン」(Alallinhorn;4027m)は、「ザース渓谷」(ザースタール;Saastal)の中心地、「ザースフェー」(Saas-Fee)の南西側にそびえる、4000mを少し越える山です(文献9)。
中腹の「ミッテルアラリン(駅)」(Mitter-Alallin;約3450m)という場所まで、地下ケーブルカーで労せずに上がれ、かつそこから山頂までは、氷河源頭部から雪の斜面を登るだけの比較的簡単に登れる4000m峰の為、(文献15)では「おばあちゃんの(ための)4000m峰」と、ちょっと皮肉っています(筆者も登りましたが、半日で登頂できる山でした)。
麓の「ザースフェー」から見上げると、巨大な雪山という感じの山容です。添付の(写真2)もご参照ください。
また「アラリンホルン」自体は4000mを少し超えている程度ですが、その周辺には、「アルプフーベル」(Alphubel;4203m)、「リムピッシュホルン」(Rimpfischhorn;4199m)、「シュトラールホルン」(Strahlhorn;4190m)など、4000mを越える高峰群が集まっています。
(文献9)では、これらの山々も「ミシャベル山群」に含めていますが、(文献15)ではこれらの山々をまとめて「アラリン山群」と呼んでいること、及び地質学的にも「ミシャベル山群」とは違いがありますので、ここでは説明用に、「アラリン山群」と呼びます。
「アラリン山群」は、地理的には、北側の「ミシャベル山群」と、南側のスイス/イタリア国境稜線を形成している山列とを、つなぐような位置にあります。
また、ナイフリッジ状の稜線が特徴的な「ミシャベル山群」とは山容が異なり、「アラリン氷河」(the Allalin Glacier)、「フェー氷河」(the Fee Glacier)など、数多くの氷河があって、氷河の中から個々の山が氷食尖峰や雪のドームとして突き出ているような地形となっています。
(文献15)によると、「アラリン山群」の各山々への登山ルートは、前述の「ミッテルアラリン」(駅)からスタートするコースのほか、「アラリンホルン」中腹の山小屋を利用するルートや、西側のツェルマット側から登るルートもあるようです。
「アラリン山群」の山々の位置などは、添付の地形図(図5)をご参照ください。また「アラリン山群」の地質は、添付の地質図(図6)をご参照ください。これらはそれぞれ、(文献2A)の、地形図レイヤー、地質図レイヤーを引用しました。
さて、「アラリン山群」の地質構造を、まず(文献2A)のテクトニックレイヤーや、(文献3)で見てみると、西側の「マッタ―タール」(Mattertal)から続く、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(Zermatt-Saas Fee zone)(地帯)が広がっています。「アラリンホルン」、「リムピッシュホルン」、「シュトラールホルン」などの山々は、この「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に含まれます。
「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」については、前の連載(「ブライトホルン」、「ゴルナーグラート周辺」の項)でも触れたので簡単に説明しますが、「ピエモンテ海系」(=上部ペニン系)に属しており、中生代の海洋域であった「ピエモンテ海」(the Piemont Ocean)の海洋プレートを構成していた、(変成)玄武岩、(変成)ハンレイ岩、蛇紋岩(リソスフェアマントル由来)の組み合わせ、つまり「オフィオライト岩体」(ophiolite)が大部分を占めます(文献3B)、(文献4)、(文献5)。
「アラリンホルン」と、その北西にある「アルプフーベル」との間に地質境界があり、「アルプフーベル」付近は、「ミシャベル山群」の項で述べた、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属しています。また、「シュトラールホルン」の少し南側にもう一つの地質境界があり、それより南側は、「モンテローザ」(Monte Rosa)を含む、「モンテローザ」地塊(Monte Rosa nappe)に含まれます。
個々の山の具体的な地質を、地質図(文献2A)の地質図レイヤーで確認すると、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に属する、「アラリンホルン」、「リムピッシュホルン」、「シュトラールホルン」辺りは、(変成)玄武岩、(変成)ハンレイ岩、蛇紋岩が混在した「オフィオライト岩体」(ophiolite)のほか、(変成)ハンレイ岩(“Allalin Meta-Gabbro”)、や蛇紋岩(Serpentinit(独))、のみの分布域もあります。
その他、地質図(文献2A)をよく見ると、高圧型変成岩の一種、「藍晶石片岩(青色片岩)」(Graukophan Schiefer(独))(文献13)が、「リムピッシュホルン」山頂部や、その西側斜面に分布しています。
(文献13)によると、この変成岩の原岩は、「海洋性地殻」を構成する、玄武岩、あるいはハンレイ岩のようです。
添付の(写真3)は、「アラリンホルン」の8合目付近にある細長い岩稜で、岩稜の側面に帯状の構造が認められます。地質図(文献2A)で確認すると、これは、(変成)玄武岩、(変成)ハンレイ岩、蛇紋岩からなる、「オフィオライト岩体」(ophiolite)です。
また添付の(写真4)は、「アラリンホルン」山頂の一角の露岩が出ている場所ですが、地質図(文献2A)で確認すると、(変成)ハンレイ岩(meta-gabbro)が表れているようです。写真をよく見ると、青黒い感じの岩屑からなっています。
添付の(写真5)は、「アラリンホルン」山頂付近から望む「リムピッシュホルン」の山容です。実際は南北に細長い頂上稜線をもつ山ですが、北側から見ると、尖峰のように見えます。
地質図(文献2A)で見ると、この山の地質構成は複雑で、「オフィオライト岩体」、「蛇紋岩」、および、「藍晶石片岩(青色片岩)」が、狭い山頂部にひしめき合っています。
なお、(文献3B)によると、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に属する上記の地質体は全て、「アルプス造山運動」に関連する沈み込み帯での沈み込みにより、「古第三紀・始新世」にピークとなる、「エクロジャイト相」相当(深さ換算で、50km以上)の高圧型変成作用を受けています。
地質図(文献2A)をよく見ると、「アラリン山群」の西側斜面には、「エクロジャイト」(Eklogit(独))そのものも、一部ですが分布しています。
一方、「ミシャベル山群」と「アラリンホルン」との間にある「アルプフーベル」は、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属しており、具体的な地質としては、「ミシャベル山群」と同じく、原生代〜古生代の「古い片麻岩」類からなっています。
中腹の「ミッテルアラリン(駅)」(Mitter-Alallin;約3450m)という場所まで、地下ケーブルカーで労せずに上がれ、かつそこから山頂までは、氷河源頭部から雪の斜面を登るだけの比較的簡単に登れる4000m峰の為、(文献15)では「おばあちゃんの(ための)4000m峰」と、ちょっと皮肉っています(筆者も登りましたが、半日で登頂できる山でした)。
麓の「ザースフェー」から見上げると、巨大な雪山という感じの山容です。添付の(写真2)もご参照ください。
また「アラリンホルン」自体は4000mを少し超えている程度ですが、その周辺には、「アルプフーベル」(Alphubel;4203m)、「リムピッシュホルン」(Rimpfischhorn;4199m)、「シュトラールホルン」(Strahlhorn;4190m)など、4000mを越える高峰群が集まっています。
(文献9)では、これらの山々も「ミシャベル山群」に含めていますが、(文献15)ではこれらの山々をまとめて「アラリン山群」と呼んでいること、及び地質学的にも「ミシャベル山群」とは違いがありますので、ここでは説明用に、「アラリン山群」と呼びます。
「アラリン山群」は、地理的には、北側の「ミシャベル山群」と、南側のスイス/イタリア国境稜線を形成している山列とを、つなぐような位置にあります。
また、ナイフリッジ状の稜線が特徴的な「ミシャベル山群」とは山容が異なり、「アラリン氷河」(the Allalin Glacier)、「フェー氷河」(the Fee Glacier)など、数多くの氷河があって、氷河の中から個々の山が氷食尖峰や雪のドームとして突き出ているような地形となっています。
(文献15)によると、「アラリン山群」の各山々への登山ルートは、前述の「ミッテルアラリン」(駅)からスタートするコースのほか、「アラリンホルン」中腹の山小屋を利用するルートや、西側のツェルマット側から登るルートもあるようです。
「アラリン山群」の山々の位置などは、添付の地形図(図5)をご参照ください。また「アラリン山群」の地質は、添付の地質図(図6)をご参照ください。これらはそれぞれ、(文献2A)の、地形図レイヤー、地質図レイヤーを引用しました。
さて、「アラリン山群」の地質構造を、まず(文献2A)のテクトニックレイヤーや、(文献3)で見てみると、西側の「マッタ―タール」(Mattertal)から続く、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」(Zermatt-Saas Fee zone)(地帯)が広がっています。「アラリンホルン」、「リムピッシュホルン」、「シュトラールホルン」などの山々は、この「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に含まれます。
「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」については、前の連載(「ブライトホルン」、「ゴルナーグラート周辺」の項)でも触れたので簡単に説明しますが、「ピエモンテ海系」(=上部ペニン系)に属しており、中生代の海洋域であった「ピエモンテ海」(the Piemont Ocean)の海洋プレートを構成していた、(変成)玄武岩、(変成)ハンレイ岩、蛇紋岩(リソスフェアマントル由来)の組み合わせ、つまり「オフィオライト岩体」(ophiolite)が大部分を占めます(文献3B)、(文献4)、(文献5)。
「アラリンホルン」と、その北西にある「アルプフーベル」との間に地質境界があり、「アルプフーベル」付近は、「ミシャベル山群」の項で述べた、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属しています。また、「シュトラールホルン」の少し南側にもう一つの地質境界があり、それより南側は、「モンテローザ」(Monte Rosa)を含む、「モンテローザ」地塊(Monte Rosa nappe)に含まれます。
個々の山の具体的な地質を、地質図(文献2A)の地質図レイヤーで確認すると、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に属する、「アラリンホルン」、「リムピッシュホルン」、「シュトラールホルン」辺りは、(変成)玄武岩、(変成)ハンレイ岩、蛇紋岩が混在した「オフィオライト岩体」(ophiolite)のほか、(変成)ハンレイ岩(“Allalin Meta-Gabbro”)、や蛇紋岩(Serpentinit(独))、のみの分布域もあります。
その他、地質図(文献2A)をよく見ると、高圧型変成岩の一種、「藍晶石片岩(青色片岩)」(Graukophan Schiefer(独))(文献13)が、「リムピッシュホルン」山頂部や、その西側斜面に分布しています。
(文献13)によると、この変成岩の原岩は、「海洋性地殻」を構成する、玄武岩、あるいはハンレイ岩のようです。
添付の(写真3)は、「アラリンホルン」の8合目付近にある細長い岩稜で、岩稜の側面に帯状の構造が認められます。地質図(文献2A)で確認すると、これは、(変成)玄武岩、(変成)ハンレイ岩、蛇紋岩からなる、「オフィオライト岩体」(ophiolite)です。
また添付の(写真4)は、「アラリンホルン」山頂の一角の露岩が出ている場所ですが、地質図(文献2A)で確認すると、(変成)ハンレイ岩(meta-gabbro)が表れているようです。写真をよく見ると、青黒い感じの岩屑からなっています。
添付の(写真5)は、「アラリンホルン」山頂付近から望む「リムピッシュホルン」の山容です。実際は南北に細長い頂上稜線をもつ山ですが、北側から見ると、尖峰のように見えます。
地質図(文献2A)で見ると、この山の地質構成は複雑で、「オフィオライト岩体」、「蛇紋岩」、および、「藍晶石片岩(青色片岩)」が、狭い山頂部にひしめき合っています。
なお、(文献3B)によると、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に属する上記の地質体は全て、「アルプス造山運動」に関連する沈み込み帯での沈み込みにより、「古第三紀・始新世」にピークとなる、「エクロジャイト相」相当(深さ換算で、50km以上)の高圧型変成作用を受けています。
地質図(文献2A)をよく見ると、「アラリン山群」の西側斜面には、「エクロジャイト」(Eklogit(独))そのものも、一部ですが分布しています。
一方、「ミシャベル山群」と「アラリンホルン」との間にある「アルプフーベル」は、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属しており、具体的な地質としては、「ミシャベル山群」と同じく、原生代〜古生代の「古い片麻岩」類からなっています。
5−2章―(14)節 「ヴァイスミース山群」の地質
「ザースタール」渓谷(Saastal)の東側には、4000m級の山々がいくつかあり、(文献15)では、「ヴァイスミース山群」と呼んでいます。
(文献15)などによると、この山群には、この山群の代表格である「ヴァイスミース」(Weissmies;4011m)(文献10)の他、「ラッギンホルン」(Lagginhorn;4010m)、「フレッチホルン」(Fletschhorn;3985m)、「ピッゾ・ド・アンドーラ」(Pizzo de Andolla;3656m)などの山々があります。
添付の、(写真6)、(写真7)もご参照ください。
この「ヴァイスミース山群」が、「ヴァリス山群」のうち、4000m級の山々を持つ地域の最東部となります。
ここより東側は標高が低くなり、3500〜2500m程度の山々が、スイス/イタリア国境稜線となっており、そのうちのコル状の部分には、古くから「スイス」、「ドイツ」方面と、「イタリア」方面とを結んでいた、「シンプロン峠」(the Simplon pass;2006m)(文献12)があります。
「シンプロン峠」付近には、「ローヌ・シンプロン断層」(the Rhone-Simplon Fault)(文献1)、(文献3A)、(文献3B)と呼ばれる、長い断層が通っています。この断層は地質境界ともなっている重要な断層です。
さて、「ヴァイスミース山群」のテクトニクス的な構造ですが、この一帯には、「ポルトジェングラート・ナップ」(the Portjengrat nappe)(文献3B)、(文献4)、(文献5)という「地塊」の分布域であり、その他には、前述の「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」(「ブリアンソン・ライズ」系=「中部ペニン系」)、および「アントローナ・ゾーン」(the Antrona zone)(地帯)が分布しています。
このうち、「ポルトジェングラート・ナップ」は、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」と似たような、片麻岩類主体の岩石からなる、大陸性の「地塊」です(文献3B)、(文献4)。
(文献5)によると、この「地塊」の位置付けについては議論があり、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に近縁、「モンテローザ・ナップ」に近縁、あるいはそれらとは別個の独立した「地塊」、といった諸説があるようです。いずれにしても「ブリアンソン・ライズ」系(=中部ペニン系)とされています。
なお「ポルトジェングラート」(Portjengrat)という名称ですが、(文献2A)の地形図レイヤーをよく見ると、「ヴァイスミース山群」の一部に(Portjengrat)という岩稜があり、それが地塊名称の由来と思われます。
「アントローナ・ゾーン」は、「アラリン山群」のところで出てきた、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に類似した、海洋プレート断片(=「オフィオライト岩体」)からなるゾーンです。(文献3B)、(文献4)、(文献5)、(文献6)。
地質図(文献2A)を見ると、具体的には、(変成)ハンレイ岩(meta-Gabbro)や、「蛇紋岩」(Serpentinit(独))が多く、一部には「角閃岩」(Anphibolit(独))が含まれています。
また「アルプス造山運動」に伴った、沈み込み帯からの沈み込みにより、「エクロジャイト相」相当(=深さ換算で、約50km以上)の変成作用を受けています(文献3B)、(文献4)。
「アントローナ・ゾーン」については、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」と同様の、「ピエモンテ海」系(=上部ペニン系)という考えが有力のようですが(文献5)、平面地質図上では、両者は接続していません。また推定地質断面図(文献5)、(文献6)でみても、両者は接続していないようです。
(文献3B)によると、「アントローナ・ゾーン」の帰属については、明確になっておらず、研究者によっては、「ピエモンテ海系」(=上部ペニン系)ではなく、「ヴァリストラフ」系(=下部ペニン系)に帰属する、という考え方も提案されています(例えば、(文献6))。
「ヴァイスミース山群」の中核部は、これらの「地塊」(地帯)のうち、「ポルトジェングラート・ナップ」に属しており、「ザースタール」(Saastal)の渓谷を越えてその西側まで広がっています。
「ヴァイスミース」と、その北にある「ラッギンホルン」との間に地質境界があり、「ラッギンホルン」、「フレッチホルン」は、前述の「ミシャベル山群」と同じく、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属しています。但しこれら2つの「地塊」は、地質的には「古い片麻岩」類を主体としている、という点で類似しています。
一方「アントローナ・ゾーン」は、「ヴァイスミース」から「ラッギンホルン」にかけての稜線の東側斜面に分布しています。
以下、「ヴァイスミース山群」に属する、それぞれの山の地質構成について、地質図(文献2A)に基づいて解説します。
まず「ヴァイスミース」ですが、山頂部や西側斜面は、「ポルトジェングラート・ナップ」に属する、堆積物由来の「パラ片麻岩」(Gneiss,sedimentar(独))(古生代〜中生代)からなります。東面の中腹以下は、「アントローナ・ゾーン」に属する、「角閃岩」(Amphibolit(独))が分布しています。
この「アントローナ・ゾーン」の「角閃岩」は、海洋プレートを構成していた、「玄武岩」、「ハンレイ岩」が、地下深部で変成作用を受けてできた変成岩と思われます(この段落は私見です)。
「ラッギンホルン」、「フレッチホルン」は、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属していますが、地質的には「ヴァイスミース」と似ていて、「古い片麻岩」類(原生代〜古生代)からなります。
「ヴァイスミース山群」の南端にある「ピッゾ・ド・アンドーラ」は、「ヴァイスミース」と同じく、「ポルトジェングラート・ナップ」に属しています。地質的には、山体の大部分が、花崗岩由来の片麻岩(古生代)からなっています。
(文献15)などによると、この山群には、この山群の代表格である「ヴァイスミース」(Weissmies;4011m)(文献10)の他、「ラッギンホルン」(Lagginhorn;4010m)、「フレッチホルン」(Fletschhorn;3985m)、「ピッゾ・ド・アンドーラ」(Pizzo de Andolla;3656m)などの山々があります。
添付の、(写真6)、(写真7)もご参照ください。
この「ヴァイスミース山群」が、「ヴァリス山群」のうち、4000m級の山々を持つ地域の最東部となります。
ここより東側は標高が低くなり、3500〜2500m程度の山々が、スイス/イタリア国境稜線となっており、そのうちのコル状の部分には、古くから「スイス」、「ドイツ」方面と、「イタリア」方面とを結んでいた、「シンプロン峠」(the Simplon pass;2006m)(文献12)があります。
「シンプロン峠」付近には、「ローヌ・シンプロン断層」(the Rhone-Simplon Fault)(文献1)、(文献3A)、(文献3B)と呼ばれる、長い断層が通っています。この断層は地質境界ともなっている重要な断層です。
さて、「ヴァイスミース山群」のテクトニクス的な構造ですが、この一帯には、「ポルトジェングラート・ナップ」(the Portjengrat nappe)(文献3B)、(文献4)、(文献5)という「地塊」の分布域であり、その他には、前述の「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」(「ブリアンソン・ライズ」系=「中部ペニン系」)、および「アントローナ・ゾーン」(the Antrona zone)(地帯)が分布しています。
このうち、「ポルトジェングラート・ナップ」は、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」と似たような、片麻岩類主体の岩石からなる、大陸性の「地塊」です(文献3B)、(文献4)。
(文献5)によると、この「地塊」の位置付けについては議論があり、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に近縁、「モンテローザ・ナップ」に近縁、あるいはそれらとは別個の独立した「地塊」、といった諸説があるようです。いずれにしても「ブリアンソン・ライズ」系(=中部ペニン系)とされています。
なお「ポルトジェングラート」(Portjengrat)という名称ですが、(文献2A)の地形図レイヤーをよく見ると、「ヴァイスミース山群」の一部に(Portjengrat)という岩稜があり、それが地塊名称の由来と思われます。
「アントローナ・ゾーン」は、「アラリン山群」のところで出てきた、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」に類似した、海洋プレート断片(=「オフィオライト岩体」)からなるゾーンです。(文献3B)、(文献4)、(文献5)、(文献6)。
地質図(文献2A)を見ると、具体的には、(変成)ハンレイ岩(meta-Gabbro)や、「蛇紋岩」(Serpentinit(独))が多く、一部には「角閃岩」(Anphibolit(独))が含まれています。
また「アルプス造山運動」に伴った、沈み込み帯からの沈み込みにより、「エクロジャイト相」相当(=深さ換算で、約50km以上)の変成作用を受けています(文献3B)、(文献4)。
「アントローナ・ゾーン」については、「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」と同様の、「ピエモンテ海」系(=上部ペニン系)という考えが有力のようですが(文献5)、平面地質図上では、両者は接続していません。また推定地質断面図(文献5)、(文献6)でみても、両者は接続していないようです。
(文献3B)によると、「アントローナ・ゾーン」の帰属については、明確になっておらず、研究者によっては、「ピエモンテ海系」(=上部ペニン系)ではなく、「ヴァリストラフ」系(=下部ペニン系)に帰属する、という考え方も提案されています(例えば、(文献6))。
「ヴァイスミース山群」の中核部は、これらの「地塊」(地帯)のうち、「ポルトジェングラート・ナップ」に属しており、「ザースタール」(Saastal)の渓谷を越えてその西側まで広がっています。
「ヴァイスミース」と、その北にある「ラッギンホルン」との間に地質境界があり、「ラッギンホルン」、「フレッチホルン」は、前述の「ミシャベル山群」と同じく、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属しています。但しこれら2つの「地塊」は、地質的には「古い片麻岩」類を主体としている、という点で類似しています。
一方「アントローナ・ゾーン」は、「ヴァイスミース」から「ラッギンホルン」にかけての稜線の東側斜面に分布しています。
以下、「ヴァイスミース山群」に属する、それぞれの山の地質構成について、地質図(文献2A)に基づいて解説します。
まず「ヴァイスミース」ですが、山頂部や西側斜面は、「ポルトジェングラート・ナップ」に属する、堆積物由来の「パラ片麻岩」(Gneiss,sedimentar(独))(古生代〜中生代)からなります。東面の中腹以下は、「アントローナ・ゾーン」に属する、「角閃岩」(Amphibolit(独))が分布しています。
この「アントローナ・ゾーン」の「角閃岩」は、海洋プレートを構成していた、「玄武岩」、「ハンレイ岩」が、地下深部で変成作用を受けてできた変成岩と思われます(この段落は私見です)。
「ラッギンホルン」、「フレッチホルン」は、「シヴィエ・ミシャベル・ナップ」に属していますが、地質的には「ヴァイスミース」と似ていて、「古い片麻岩」類(原生代〜古生代)からなります。
「ヴァイスミース山群」の南端にある「ピッゾ・ド・アンドーラ」は、「ヴァイスミース」と同じく、「ポルトジェングラート・ナップ」に属しています。地質的には、山体の大部分が、花崗岩由来の片麻岩(古生代)からなっています。
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【注釈の項】
注1) 山々の標高について;
この章で記載した山々などの標高は、スイスのオンライン地図(文献2A)のうち、地形図レイヤーの値を採用し、記載しています。文献、ガイドブックなどによっては、数m程度違う値となっている場合があります。
注2) スイスのオンライン地質図について;
スイスのオンライン地質図は、パソコン等で見る「ウエブ版」(文献2A)と、スマホのアプリとなっている「アプリ版」(文献2B)(アプリ名;“Swiss topo”)とがあります。
どちらも、(Swiss topo)という機関がデータ元ですが、「ウエブ版」(文献2A)は、説明が詳しく、解像度も高い一方で、ポップアップの地質解説がドイツ語なのでちょっと解りにくい、という短所もあります。
一方「アプリ版」(文献2B)は、地質解説が英語で解りやすいのですが、解像度が低く、かつ、場所が違っていても似たような地質体をグループ化して説明している点は、短所だと思います。また細かく見ると、地質説明に、けっこう違いがあります。
この章では、主に、地質図(文献2A)を参照し、(文献2B)は参考程度としました。
注3) (Saa-Fee)の日本語表記について
(Saas-Fee)の日本語表記は、図書、文献によって、「サースフェー」とするものと、「ザースフェー」とするものがあります。ここでは「ザースフェー」に統一しました。
注4) (Dom)の日本語表記について
「ミシャベル山群」の主峰、(Dom)の日本語表記は、図書、文献によって、「ドム」とするものと、「ドーム」とするものがあります。ここでは「ドム」に統一しました。
注5) “Ma”は、百万年前を意味する単位
この章で記載した山々などの標高は、スイスのオンライン地図(文献2A)のうち、地形図レイヤーの値を採用し、記載しています。文献、ガイドブックなどによっては、数m程度違う値となっている場合があります。
注2) スイスのオンライン地質図について;
スイスのオンライン地質図は、パソコン等で見る「ウエブ版」(文献2A)と、スマホのアプリとなっている「アプリ版」(文献2B)(アプリ名;“Swiss topo”)とがあります。
どちらも、(Swiss topo)という機関がデータ元ですが、「ウエブ版」(文献2A)は、説明が詳しく、解像度も高い一方で、ポップアップの地質解説がドイツ語なのでちょっと解りにくい、という短所もあります。
一方「アプリ版」(文献2B)は、地質解説が英語で解りやすいのですが、解像度が低く、かつ、場所が違っていても似たような地質体をグループ化して説明している点は、短所だと思います。また細かく見ると、地質説明に、けっこう違いがあります。
この章では、主に、地質図(文献2A)を参照し、(文献2B)は参考程度としました。
注3) (Saa-Fee)の日本語表記について
(Saas-Fee)の日本語表記は、図書、文献によって、「サースフェー」とするものと、「ザースフェー」とするものがあります。ここでは「ザースフェー」に統一しました。
注4) (Dom)の日本語表記について
「ミシャベル山群」の主峰、(Dom)の日本語表記は、図書、文献によって、「ドム」とするものと、「ドーム」とするものがあります。ここでは「ドム」に統一しました。
注5) “Ma”は、百万年前を意味する単位
【参考文献】
(文献1) O. A. Pfiffner 著 “Geology of the Alps”, 2nd edition ,Wiley Blackball社刊,
(2014); (原著はドイツ語版で、2010年にドイツの出版社刊)
(文献1−1) (文献1)のうち、第1―4章 「アルプスの構造概要」
(Structure of the Alps)の項、及び 図1-10(アルプスのテクトニック地質図)
(文献1−2) (文献1)のうち、第5−2章 「中部アルプスのテクトニックな構造」
(Tectonic structure of the Alps ; the Central Alps)
及び 図5-2-1(中部アルプスの概略地質構造図)
(文献2A) スイスのオンライン地質図(ウエブ版)
https://map.geo.admin.ch/
※ 地質図は、メニューより、 > Geocatalog > Nature and Environment > Geology
> GeoCover Vector Datasets 、より見ることができる。
※ 断層、テクトニック構造、「地塊」分布図などは、メニューより、> Geocatalog >
Nature and Environment > Geology > Tectonics 500 、より見ることができる。
※ 地形図も兼ねているので、地形図レイヤーより、山名、標高なども確認できる。
※ 地図自体は(EN)を選ぶと英語表記になるが、ポップアップの地質解説はドイツ語
なので、ちょっと解りにくい。
※ 利用したバージョンは、v 1.59.0
(文献2B) スイスのオンライン地質図(スマホアプリ版)
※ スマホに、“Swiss topo” というアプリをインストールして利用する。
※ メニューより、”geology” > “Gological Map” を選ぶと地質図を見ることができる。
※ 地図自体も、ポップアップの地質解説も全て英語なので、解りやすい。
※ 利用したバージョンは、v 1.19.1
(文献3A) スイスのテクトニックマップ(紙媒体)
“Tectonische Karte der Schweiz”
50万分の1 図幅、”Swiss topo”発行、(2005年版)
ISBN 3-906723-56-9 (“Swiss topo” のインターネットサイトより購入、ドイツ語)
(文献3B) (スイスのテクトニックマップの解説書)
D. Bernoulli、D.Stephan、F.Roberto、G.Yver ほか 共著
“Tectonic Map of Switzerland 1:500 000 - Explanatory notes”
“Swiss topo” 刊 (2024年版)
https://www.researchgate.net/publication/383206443_Tectonic_Map_of_Switzerland_1500_000_-_Explanatory_notes
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる(英語版)。
(文献4)スイスの地質に関する解説サイト
“ Strati CH;Lithostratigraphic Lexicon of Switzerland ”
https://www.strati.ch/en/
のうち、(Siviez Mischabel Decke)、(Zermatt-Saas Fee Decke)、
(Portjengrat Decke)、(Antrona zone)などの項
(文献5) A. Steck、 H. Masson、 M Robyr 著
“Tectonics of the Monte Rosa and surrounding nappes (Switzerland and Italy):
Tertiary phases of subduction, thrusting and folding in the Pennine Alps”
Swiss Journal of Geosciences誌、vol. 108, p3?34 (2015)
https://sjg.springeropen.com/articles/10.1007/s00015-015-0188-x
(DOIアドレス; 10.1007/s00015-015-0188-x)
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる。
※ 「モンテローザ」地塊と、その周辺の地質構造についての論文
(文献6) Jan Pleuger, Nikolaus Froitzheim, Ekkehard Jansen 著
“Folded continental and oceanic nappes on the southern side of Monte Rosa
(western Alps, Italy): Anatomy of a double collision suture”
Tectonics誌、vol. 24, Issue 4 (2005)
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1029/2004TC001737
※ 上記のサイトから、この論文の全文が無料で読める。
※ 「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」、「アントローナ・ゾーン」、
「モンテローザ・ナップ」などに関する論文
(文献7) ウイキペディア英語版の、(Geology of the Alps)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geology_of_the_Alps
(2025年11月 閲覧)
(文献8) ウイキペディア英語版の、(Dom(mountain))の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dom_(mountain)
(2025年11月 閲覧)
(文献9) ウイキペディア英語版の、(Alallinhorn)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Allalinhorn
(2025年11月 閲覧)
(文献10) ウイキペディア英語版の、(Weissmies)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Weissmies
(2025年11月 閲覧)
(文献11) ウイキペディア英語版の、(Saas-Fee)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Saas-Fee
(2025年11月 閲覧)
(文献12) ウイキペディア英語版の、(Simplon pass)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Simplon_Pass
(2025年11月 閲覧)
(文献13) ウイキペディア英語版の、(Blue schist)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Blueschist#:~:text=Blueschist%20(%20/%CB%88blu%CB%90,or%20rarely%20eclogite%20facies%20rocks.
(2025年11月 閲覧)
(文献14) 近藤 等 著 「アルプスの名峰」
山と渓谷社 刊 (1984)
(文献15) リヒャルト・ゲーデケ著、島田荘平、島田陽子 共訳
「アルプス4000m峰 登山ガイド」 山と渓谷社 刊 (1997)
(文献16) 「地球の歩き方;スイス(2024-2025年版)」 Gakken社 刊 (2023)
(文献17) 小川清美 著
「ヨーロッパアルプス ハイキングガイド2;ツェルマット周辺」
山と渓谷社 刊 (2000)
(文献18) 西本 著「観察を楽しむ、特徴がわかる 岩石図鑑」 ナツメ社刊 (2020)
のうち、「片麻岩」、「ハンレイ岩」、「蛇紋岩」、「角閃岩」、
「青色片岩」、「エクロジャイト」などの各項
(文献19) 地質団体研究会 編 「新版 地質事典」 平凡社 刊(1996)のうち、
「オフィオライト」、「藍晶石」、「藍晶石片岩」などの各項
(2014); (原著はドイツ語版で、2010年にドイツの出版社刊)
(文献1−1) (文献1)のうち、第1―4章 「アルプスの構造概要」
(Structure of the Alps)の項、及び 図1-10(アルプスのテクトニック地質図)
(文献1−2) (文献1)のうち、第5−2章 「中部アルプスのテクトニックな構造」
(Tectonic structure of the Alps ; the Central Alps)
及び 図5-2-1(中部アルプスの概略地質構造図)
(文献2A) スイスのオンライン地質図(ウエブ版)
https://map.geo.admin.ch/
※ 地質図は、メニューより、 > Geocatalog > Nature and Environment > Geology
> GeoCover Vector Datasets 、より見ることができる。
※ 断層、テクトニック構造、「地塊」分布図などは、メニューより、> Geocatalog >
Nature and Environment > Geology > Tectonics 500 、より見ることができる。
※ 地形図も兼ねているので、地形図レイヤーより、山名、標高なども確認できる。
※ 地図自体は(EN)を選ぶと英語表記になるが、ポップアップの地質解説はドイツ語
なので、ちょっと解りにくい。
※ 利用したバージョンは、v 1.59.0
(文献2B) スイスのオンライン地質図(スマホアプリ版)
※ スマホに、“Swiss topo” というアプリをインストールして利用する。
※ メニューより、”geology” > “Gological Map” を選ぶと地質図を見ることができる。
※ 地図自体も、ポップアップの地質解説も全て英語なので、解りやすい。
※ 利用したバージョンは、v 1.19.1
(文献3A) スイスのテクトニックマップ(紙媒体)
“Tectonische Karte der Schweiz”
50万分の1 図幅、”Swiss topo”発行、(2005年版)
ISBN 3-906723-56-9 (“Swiss topo” のインターネットサイトより購入、ドイツ語)
(文献3B) (スイスのテクトニックマップの解説書)
D. Bernoulli、D.Stephan、F.Roberto、G.Yver ほか 共著
“Tectonic Map of Switzerland 1:500 000 - Explanatory notes”
“Swiss topo” 刊 (2024年版)
https://www.researchgate.net/publication/383206443_Tectonic_Map_of_Switzerland_1500_000_-_Explanatory_notes
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる(英語版)。
(文献4)スイスの地質に関する解説サイト
“ Strati CH;Lithostratigraphic Lexicon of Switzerland ”
https://www.strati.ch/en/
のうち、(Siviez Mischabel Decke)、(Zermatt-Saas Fee Decke)、
(Portjengrat Decke)、(Antrona zone)などの項
(文献5) A. Steck、 H. Masson、 M Robyr 著
“Tectonics of the Monte Rosa and surrounding nappes (Switzerland and Italy):
Tertiary phases of subduction, thrusting and folding in the Pennine Alps”
Swiss Journal of Geosciences誌、vol. 108, p3?34 (2015)
https://sjg.springeropen.com/articles/10.1007/s00015-015-0188-x
(DOIアドレス; 10.1007/s00015-015-0188-x)
※ 上記のサイトから、PDF版が無料でダウンロードできる。
※ 「モンテローザ」地塊と、その周辺の地質構造についての論文
(文献6) Jan Pleuger, Nikolaus Froitzheim, Ekkehard Jansen 著
“Folded continental and oceanic nappes on the southern side of Monte Rosa
(western Alps, Italy): Anatomy of a double collision suture”
Tectonics誌、vol. 24, Issue 4 (2005)
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1029/2004TC001737
※ 上記のサイトから、この論文の全文が無料で読める。
※ 「ツェルマット・ザースフェー・ゾーン」、「アントローナ・ゾーン」、
「モンテローザ・ナップ」などに関する論文
(文献7) ウイキペディア英語版の、(Geology of the Alps)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Geology_of_the_Alps
(2025年11月 閲覧)
(文献8) ウイキペディア英語版の、(Dom(mountain))の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dom_(mountain)
(2025年11月 閲覧)
(文献9) ウイキペディア英語版の、(Alallinhorn)の項
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(2025年11月 閲覧)
(文献10) ウイキペディア英語版の、(Weissmies)の項
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(文献11) ウイキペディア英語版の、(Saas-Fee)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Saas-Fee
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(文献12) ウイキペディア英語版の、(Simplon pass)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Simplon_Pass
(2025年11月 閲覧)
(文献13) ウイキペディア英語版の、(Blue schist)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Blueschist#:~:text=Blueschist%20(%20/%CB%88blu%CB%90,or%20rarely%20eclogite%20facies%20rocks.
(2025年11月 閲覧)
(文献14) 近藤 等 著 「アルプスの名峰」
山と渓谷社 刊 (1984)
(文献15) リヒャルト・ゲーデケ著、島田荘平、島田陽子 共訳
「アルプス4000m峰 登山ガイド」 山と渓谷社 刊 (1997)
(文献16) 「地球の歩き方;スイス(2024-2025年版)」 Gakken社 刊 (2023)
(文献17) 小川清美 著
「ヨーロッパアルプス ハイキングガイド2;ツェルマット周辺」
山と渓谷社 刊 (2000)
(文献18) 西本 著「観察を楽しむ、特徴がわかる 岩石図鑑」 ナツメ社刊 (2020)
のうち、「片麻岩」、「ハンレイ岩」、「蛇紋岩」、「角閃岩」、
「青色片岩」、「エクロジャイト」などの各項
(文献19) 地質団体研究会 編 「新版 地質事典」 平凡社 刊(1996)のうち、
「オフィオライト」、「藍晶石」、「藍晶石片岩」などの各項
【書記事項】
・2025年11月29日 初版リリース
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