ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる
HOME > ヤマノート > コラム「医学的に。」1 処方か、市販か。医療の中で揺れる薬の境界線
更新日:2026年06月20日 訪問者数:197
ジャンル共通 技術・知識
コラム「医学的に。」1 処方か、市販か。医療の中で揺れる薬の境界線
keenjii
処方か、市販か。医療の中で揺れる薬の境界線
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6758c82efdd5a575d74b77c5702d48473885f47

Yahooニュースで見かけたOTC類似薬の見直し。市販薬と同じ成分の処方薬に対して、薬剤費の1/4を追加で負担する仕組みが、衆議院を通過したという内容です。まだ成立ではありませんが、方向としてはかなり現実味を帯びてきた印象です。

個人的には、アレルギー性鼻炎や腰痛に対しては市販薬を使っていますし、医療費の現状を考えれば、ある程度の自己負担はやむを得ないとも感じます。ただ、この流れを受けて「じゃあ処方を変えればいいのか」という話になると、そこは単純ではありません。アレグラ(フェキソフェナジン)をザイザル(レボセチリジン)に変える、酸化マグネシウムをアミティーザなどの新規下剤に変える、といった対応は、薬の効き方や副作用が違う以上、一律に勧められるものではないと思います。制度は成分で線を引きますが、実際の診療は患者ごとに調整するものなので、このズレはどうしても出てきます。

厚生労働省保険局が社会保障審議会医療保険部会(第209回)に提出した資料(令和7年12月25日)によれば、「がん患者などは配慮する」とされており、乳がん術後の保湿薬については、少なくとも必要なスキンケアまで一律に負担増になる可能性は低そうです。 ただし、そのついでにもらっている酸化マグネシウムのような薬がどう扱われるのかは、正直まだよくわかりません。このあたりは今後の運用次第になりそうです。

保湿といえば・・・ですが、

よく聞くのが「ヒルドイドはスクワランが入っているから良いので先発がいい」という話です。これは全くの思い込みではなく、実際にヒルドイドの基剤にはスクワランが含まれています。ただし、スクワランは有効成分ではなく、皮膚の水分蒸散を抑えて塗りやすさを良くする“使い心地”の部分に関わるものです。つまり、ヒルドイドの良さは薬効の差というより、「塗りやすくて続けやすい」というところにあると考えるのが自然です。後発品でも似た設計のものはありますし、最終的には皮膚の状態や好みで選ぶ話になります。先発薬のヒルドイドでの処方を特別な理由なく希望される場合は、先発薬と後発薬の差額に加えて、選定療養費と呼ばれる差額を2024年10月から徴取されるようになったのは注意点です。

今回の見直しは「OTCと同じ成分なら自己負担を増やす」というシンプルな仕組みです。
しかし医療は成分だけで割り切れるものではありません。
制度と臨床のズレは、今後避けて通れない問題になるでしょう。

※OTC:市販薬 薬局で買える薬
お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手

※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
どなたでも、山に関する知識や技術などのノウハウを簡単に残して共有できます。 ぜひご協力ください!

詳しくはこちら

コメント

このヤマノートはコメントを受け付けていません。