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更新日:2026年05月13日 訪問者数:40
登山・ハイキング 技術・知識
登山での歩き方 その2
腹ぺこ丸
山歩き、登りと下りは動作を分ける
 登山は身体を上下に移動させる運動です。モノを上下に動かす際、効率面での最適は真上と真下になります。山歩きでの身体の持ち上げ方、下ろし方もそれを目指すことが効率的となります。
 とはいえ山は斜めですから、真上と真下への移動は不可能です。そこで動作を分けることで真下と真下を目指します。

 即ち、前方向への「推進」と上下方向への「挙上または下降」に分けることになります。
登りでの山歩き
 動作を分けた登りを連続写真で見てみましょう。
写真1、足置き
重心は踵の上から動かさず静かに足を出し、静かに置きます。
写真2、重心移動
写真1との腰の位置=重心位置の差を見ると前に出ています。
運動を分けるという、その「推進」の動きになります。
前回の「歩き方 その1」で言うところの、前に倒れ込む動きと同じ動作をします。
重心は踵の真上まで移動させます。
写真3、挙上
動作を分けるという、その「挙上」です。
踵に近づけた重心を真上に持ち上げます。
股関節を伸ばす動きをしますが、自然とお尻、裏腿の筋肉が使われます。
写真4、移動終了
写真1〜4を重ね、それぞれの重心位置を示しました。
重心はL字型に近く動きます。
 写真1の足置きの際は前足に体重を乗せませんから静かに置かれます。写真2で前足にじわじわと静かに重心が移動します。
 フラットフッティング、静荷重移動と教えられ続けてきたことがこの動きになると理解しています。

 駅の階段を登るような、普通に登る動作を見てみます。
写真1
写真2
写真3
写真1〜3を重ねたもの
重心位置を示しました。直線的な動きで登っています。
 上手くいっていない例を見てみます。
上半身が倒れすぎている例
 段差が大きい時や傾斜が強い時、重心移動の勢いがよすぎたときなどにこうなりがちです。不安定なだけでなく、前腿しか使えなくなる姿勢です。
 体感としては爪先に体重を感じる時はこうなっていることが多く、単純に爪先立ちになってしまっていることもあります。
修整
 自覚できたときは腰を前に押し出すと重心位置を合わせられます。
 私の場合、傾斜と段差の大きさに負けた場合が多いので、「負けんぞ!」と呟いて腰を前に出しています。

 重心位置がよい時は踵に体重を感じます。
下りでの山歩き
 下りも同様に動作を分けます。登りとは逆にやります。
写真1、足の振り出し
重心は後足の踵の上から動かしません。その1での「ちえっ」といって小石を蹴飛ばすのと同じ足の出し方をします。
写真2、下降
動作を分けるという、その「下降」の動きです。
後足を曲げて前足を接地させます。膝を曲げる動作だと前腿が使われます。股関節を畳む動作と足首を前に倒す動作を同時にやると、お尻と裏腿の筋肉も使うことができます。
写真3、接地
動作を分けるという、その「推進」の動きです。
前足が接地したら、後足の重心を前足に移動させます。
登りの時と同じ動作で腰を前に出すと静かに荷重できます。
写真4、移動終了
写真1〜4を重ねたもの
重心位置はL字に近い動き……というと無理がありますが、後述のように普通に降りた時とは差が出ます。

上手い人は恐らくもっとはっきりL字になると思います。
 駅の階段を下りるような、普通の動きを見てみます。
写真1、足の振り出し+重心移動
この時点で重心が動いているため、前足に体重が乗ります。
写真2、接地
前足に衝撃を感じます。これが下山の膝痛に繋がることはよく指摘されます。
写真3、移動終了
写真1〜3を重ねたもの。
重心位置は一直線に近く移動します。
 失敗例です。これは私が長らく抜け出せなかった失敗例です。
へっぴり腰
典型的なへっぴり腰ですが、自分では「下降」をしているつもりでいたため、直すことができませんでした。
「下降」「推進」の「推進」の動作をとっていなかったことが原因でした。
 それなりに安定してしまうこと、接地の衝撃は抑えられること、股関節を畳む動作自体はできてしまっているので前腿を酷使しなかったこと、膝痛は起きなかったことなどから修整が難しかった状態です。
 典型的なへっぴり腰なので、やはりちょっと難しい下りではスリップしやすい姿勢でした。
セルフチェック方法
 少し練習がいる動きですが、セルフチェックが可能です。
成功例
前足に重心がよく乗っていれば動作の途中で動きを止められます。
片足立ちしながら足をぶらぶらさせることと同じです。
失敗例
うまく乗っていない場合は静止することができません。
写真のように戻ってしまいます。
 下りも同様にチェックが可能です。
 練習するのであれば、このチェックを行うことがお勧めです。
 ご自宅の椅子でも踏み台でも階段でも、段差さえあればどこでも練習できます。
大きな歩幅は難しい
写真1、歩幅が大きいと
この時点で重心位置が移動してしまっています。前足が接地するまでに何かに躓くとバランスを崩してしまいます。
写真2、推進
かなり頑張っている姿勢です。
踵とお尻の位置=重心位置が遠く、余計な力が必要になります。
写真3、挙上
頑張れば挙上までできますが、不安定な姿勢です。
 踵と重心位置の距離を考えるには、両手で荷物を持つ時をイメージするとわかりやすいです。両腕を目一倍に伸ばして持つと重く感じますが、オヘソの前で持つと軽く感じます。重心位置と踵の距離感にも同じことがあてはまります。
 登りでもくだりでも歩幅は小さく=段差には間際まで寄ると楽になります。

 踵の真上に体重を感じられるとうまい位置にきています。
下りでの大きな段差は難しい
段差の大きい所は、特に下りで難しくなります。写真は私の体の硬さが存分に発揮されてしまっています。
横を向いてしまうと楽に、安定して下りられます。
身体の形からして、横を向くと踵と重心位置が近くなるためです。荷物を持つたとえと同じ働きです。

割愛していますが、登りでもあまりに大きな段差は横を向くと楽になることがあります。
 登りでも下りでも大きな段差は、避けられるなら避けたほうがいいと思います。
前足に体重が乗ってしまうと
 前足に体重が乗ってしまうと、特に下りでの膝痛が出やすいのはよく指定されています。転倒に直結することもその1の通りになります。
写真1、振り出し+重心移動
歩幅が大きく、前足が接地する前に重心が動いてしまっているため、体重が乗ってしまっています。
写真2、接地
スリップ発生
写真3、バランス崩し
 前足に体重を乗せていなければバランス崩しを避けられます。
写真1、振り出し
写真2、接地
異物を踏みますがバランスを崩しません。
いわば、異物に足を乗せただけです。
写真3、スリップ回避
異物を避けて足を置き直すことができます。
 下りの事例も見てみます。
写真1、振り出し+重心移動
前足に体重が乗っています。ドンと踏む姿勢です。
写真2、接地
スリップ発生
写真3、バランス崩し
 前足に体重を乗せていなければ回避可能になります。
写真1、振り出し
写真2、接地
異物を踏みましたが重心は後足に残ったままです。
異物の上に足を乗せただけの状態です。
写真3、スリップ回避
異物を避けて足を置き直すことができます。
次回
 歩くということは大抵の場合、呼吸のやり方をいちいち考えることが不可能というくらいに身体に染みついているものです。「ここで横隔膜に力を込めたら次に鼻を膨らませて…」と考えることができません。歩くということも同じです。そのやり方を変えるのには少々の練習が必要で、ハードルを感じることもあるかもしれません。
 次回は山歩きで事故を防いだ実例、逆に失敗したことで事故に繋がりかけた実例をもって終えたいと思います。
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