登山の歩き方として、その1〜4をお話しました。以下は補足とオマケのTIPSになります。
倒れ込む推進の動作感〜骨盤を前に出す
その1において、山歩きでは前への倒れ込みを推進力とする旨をお話しました。しかし公開後、説明不足に思い当たりました。そこで、実際の動作感を見てみます。
余談ですが、江戸時代の飛脚は「なんば歩き」という、現代の我々とは違う歩き方をしていたそうです。なんでも、手と足の踏み出しが揃う歩き方とのこと。写真4を見ると左足と左手が揃う瞬間があります。
直接の関係はわかりませんが、登山での歩き方に関連して語られることもあるようです。重心位置を制御する歩き方をすると、必然的に似た形になる、ということかもしれません。
直接の関係はわかりませんが、登山での歩き方に関連して語られることもあるようです。重心位置を制御する歩き方をすると、必然的に似た形になる、ということかもしれません。
実はやりづらい山歩き〜平らなところではやりづらい
山歩きは平地ではやりづらくなります。
登りでやる場合、黄色で示した高さの差が斜面の傾斜に吸収されるためやりづらく感じません。また下りの場合は黄色の差は、斜面が下がっている分、さらに大きくなります。そのため後足で下ろしていく動作に心理的な抵抗を感じなくなります。しかし平らな場合、わずかな差のために後足で下ろす動作は心理的にとてもやりづらいものになります。平らな場所では蹴り出し歩きの方が合理的と言えそうです。
しかし蹴り出し歩きでは躓き、スリップのリスクを減らすことができません。
昔から事故は平易な場所で起こることが指摘され続けてきています。油断の可能性がよく指摘されますが、平らな場所ほど転倒のリスクを減らす効果が弱まることも併せて考慮されてよいように思います。(平らな場所の方が転倒リスクが高いわけではない点には留意)
しかし蹴り出し歩きでは躓き、スリップのリスクを減らすことができません。
昔から事故は平易な場所で起こることが指摘され続けてきています。油断の可能性がよく指摘されますが、平らな場所ほど転倒のリスクを減らす効果が弱まることも併せて考慮されてよいように思います。(平らな場所の方が転倒リスクが高いわけではない点には留意)
蹴りたくても蹴れない抜き足〜骨盤ごと引っこ抜く
蹴らずに歩くといっても、実際には多少の蹴り出しはつきものです。山歩きは早くは歩けませんので、平易な場所ではどうしても蹴り出しを併用してしまうものです。大抵はそれが問題になることはありませんが、不意の躓きにはどうしても弱くなります。
蹴り出しは前足の接地と重心移動の際に発生します。そこで、蹴りたくても絶対に蹴れなくなる重心移動をみてみます。
蹴り出しは前足の接地と重心移動の際に発生します。そこで、蹴りたくても絶対に蹴れなくなる重心移動をみてみます。
また、どうしても発生してしまう蹴り出しが靴の問題を引き起こすことがあります。爪先が痛む場合、この僅かな蹴り出しが影響している可能性があります。
その場合、この骨盤ごと引っこ抜く動きで改善する可能性があります。
個人的な話ですが、私も冬靴で、これによる小指の外側の痛みに悩まされました。アイゼン引っ掛けを避けるために、これまで以上に抜き足を気をつけたところ痛みがなくなることに気づきました。試しに大袈裟に蹴り出したところ、たったの2歩で痛みが出たため、絶対にこれだと感じたことをよく覚えています。
その場合、この骨盤ごと引っこ抜く動きで改善する可能性があります。
個人的な話ですが、私も冬靴で、これによる小指の外側の痛みに悩まされました。アイゼン引っ掛けを避けるために、これまで以上に抜き足を気をつけたところ痛みがなくなることに気づきました。試しに大袈裟に蹴り出したところ、たったの2歩で痛みが出たため、絶対にこれだと感じたことをよく覚えています。
靴と抜き足〜爪先が痛い原因
蹴り出しと山歩きとで、靴の屈曲部分を見てみます。爪先から母指球にかけての辺りです。
靴が屈曲すること自体は悪いことではありません。発生してしまう蹴り出しの程度と頻度、足の形との相性、靴の硬さなどが悪く影響した場合、爪先の痛みや踵の靴ずれなどの問題が出てしまうことがあります。蹴り出しで靴が屈曲する際、踵が浮くのはよくあるようです。
骨盤ごと引っこ抜く抜き足がこれらを解決するかもしれません。
骨盤ごと引っこ抜く抜き足がこれらを解決するかもしれません。
余談ですが、冬靴の場合、僅かな蹴り出しによる屈曲がアイゼン外れのリスクを伴うため、アイゼン装着時は蹴らないで歩くことがよりシビアに求められます。
歩行に限らず、冬は3季で求められることをより厳密に求められるものです。雪山初心者=3季の中上級者という説明を聞いたことがありますが、頷ける話です。
さて、山靴も安いものではありません。お悩みの方はぜひ、骨盤ごと引っこ抜く抜き足をお試し下さい。
無事に解決しますように。
歩行に限らず、冬は3季で求められることをより厳密に求められるものです。雪山初心者=3季の中上級者という説明を聞いたことがありますが、頷ける話です。
さて、山靴も安いものではありません。お悩みの方はぜひ、骨盤ごと引っこ抜く抜き足をお試し下さい。
無事に解決しますように。
それでも硬い靴を使う理由〜疲労から守ってくれるから
靴の足への追従性が問題となり、足が痛むケースを見てきました。柔らかい靴であればよく追従するため、当たりは発生しづらくなります。
それなのに硬い靴を履く理由はなんでしょうか。
ソール硬さによる不整地への適応、立ちこみ時の安定性などは一般的に指摘されています。ここでは足の形の変化に注目してみます。
人間の足は常に同じ形をしているわけではありません。まずは動画と画像でそれを見てみます。
動画では、足に荷重と未荷重を繰り返した様子を撮影しました。
それなのに硬い靴を履く理由はなんでしょうか。
ソール硬さによる不整地への適応、立ちこみ時の安定性などは一般的に指摘されています。ここでは足の形の変化に注目してみます。
人間の足は常に同じ形をしているわけではありません。まずは動画と画像でそれを見てみます。
動画では、足に荷重と未荷重を繰り返した様子を撮影しました。
荷重時に足が広がる様子が見られます。私の足は横アーチが特に弱いため、踏み込みに合わせてグニグニと変形してしまいます。
荷重時と未荷重時の形の差を画像にしました。新聞紙の上に足を置き、それぞれサインペンで形取りした画像です。
荷重時と未荷重時の形の差を画像にしました。新聞紙の上に足を置き、それぞれサインペンで形取りした画像です。
おかしな姿勢で書いたため作図の精度に問題がありますが、荷重時は特に横に大きく広がっていることがわかります。山では、一歩ごとに足がこのような変形を繰り返すことになります。
画像は輪郭しか表現できませんが、実際には複雑な立体の変形をします。そして変形した足は形を維持するためにその都度、足部にたくさんある小さな筋肉を使うことになります。これが足部の疲労に繋がります。
次に山靴を履いて同じ動作をしてみます。靴はLOWAのカミーノになります。トレッキング靴に分類される、平均的に硬い靴です。山道具屋さんでは小屋泊〜テント泊向けなどと紹介されます。
画像は輪郭しか表現できませんが、実際には複雑な立体の変形をします。そして変形した足は形を維持するためにその都度、足部にたくさんある小さな筋肉を使うことになります。これが足部の疲労に繋がります。
次に山靴を履いて同じ動作をしてみます。靴はLOWAのカミーノになります。トレッキング靴に分類される、平均的に硬い靴です。山道具屋さんでは小屋泊〜テント泊向けなどと紹介されます。
山靴の硬さは足の変形を抑える効果があります。一般的には「靴が支えてくれる」と表現されていることが示していることだと思います。
靴底の硬さについてはよく聞きます。反面、アッパー硬さ(足の甲を覆う部分をアッパーと呼びます)についてはあまり耳にしない気がします。靴の硬さを言う時は、底の硬さとアッパー硬さの両方を考えるとよいと思います。アッパー硬さがない靴の場合、この効果を期待しづらくなります。
さて。硬い靴を履く理由について、足部の疲労を抑える効果に注目しました。山靴は足を疲労から守る道具と言えそうです。もちろん、足首を支える効果で別種の疲労を抑える効果もあります。ひとくちに疲労といっても色々な疲労があります。
しかるに、そもそも疲労しないのであればわざわざ守る理由というのはなくなります。それは靴を使う人の体力による場合もあり、ルートの体力的負荷による場合もあります。また、疲労を押してでもスピードを維持しないと成立しない山行に挑むような場合もあることでしょう。
いずれにせよ硬い靴というものを「疲労から守る道具」と捉えてみることは、靴選びの際に役立つ視点となるかもしれません。
靴底の硬さについてはよく聞きます。反面、アッパー硬さ(足の甲を覆う部分をアッパーと呼びます)についてはあまり耳にしない気がします。靴の硬さを言う時は、底の硬さとアッパー硬さの両方を考えるとよいと思います。アッパー硬さがない靴の場合、この効果を期待しづらくなります。
さて。硬い靴を履く理由について、足部の疲労を抑える効果に注目しました。山靴は足を疲労から守る道具と言えそうです。もちろん、足首を支える効果で別種の疲労を抑える効果もあります。ひとくちに疲労といっても色々な疲労があります。
しかるに、そもそも疲労しないのであればわざわざ守る理由というのはなくなります。それは靴を使う人の体力による場合もあり、ルートの体力的負荷による場合もあります。また、疲労を押してでもスピードを維持しないと成立しない山行に挑むような場合もあることでしょう。
いずれにせよ硬い靴というものを「疲労から守る道具」と捉えてみることは、靴選びの際に役立つ視点となるかもしれません。
靴に関するTIPS
ハイカットの足首をしっかり固めたい時は、履く際に足首を伸ばして履くとよく固まります。
完全なオマケと妄想、一人Q&A
Q 硬い靴が疲れないというなら鉄で作っちゃえばまったく疲れなくなるのでは?
A モノには限度というヤツがあります。一般的に「サポート性」という言葉が使われるのを見かけますが、実に上手な言い方だと思います。
Q 足を固めれば疲れないというならテーピングでガチガチに固めて柔らかい靴履くとよいのでは?
A 私は柔らかい靴を持っていないので試せません。しかし実に興味があります。どなたか教えてください。
Q 硬い靴が疲れないというなら鉄で作っちゃえばまったく疲れなくなるのでは?
A モノには限度というヤツがあります。一般的に「サポート性」という言葉が使われるのを見かけますが、実に上手な言い方だと思います。
Q 足を固めれば疲れないというならテーピングでガチガチに固めて柔らかい靴履くとよいのでは?
A 私は柔らかい靴を持っていないので試せません。しかし実に興味があります。どなたか教えてください。
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
腹ぺこ丸さんの記事一覧
-
登山での歩き方〜TIPS
8
更新日:2026年05月22日
-
登山での歩き方 その4〜足場を選ぶ
9
更新日:2026年05月22日
-
登山での歩き方 その3〜事故を防ぐ山歩き
10
更新日:2026年05月22日
※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
どなたでも、山に関する知識や技術などのノウハウを簡単に残して共有できます。
ぜひご協力ください!


























コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する