霧ヶ峰・車山
- GPS
- 32:00
- 距離
- 4.4km
- 登り
- 432m
- 下り
- 434m
コースタイム
5月5日車山→松本
アクセス |
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感想
冬の間、4時起きで朝刊を配ってお金を作り、ダンロップのテントを買った。先輩から安く買った50ccバイクに乗って、芽吹きの春、五月の連休に扉峠を越えて霧ケ峰高原へ出かけた。計画などなにも考えていなかったが、初めてのテント泊まりを湿っぽいキャンプ場ではない、無垢な場所でしたかった。高原の一角にバイクを停め、一面熊笹の斜面を登っていった。登山道は始めから拒否。地図を持ってはいなかったので、見える範囲から、道や駐車場や、展望台やスキー場施設などが無く、しかも展望の良い所を探した。後から知ればそこは霧ケ峰の最高点車山の東斜面だった。まだ少し残雪が残っていて、歩きやすい沢型を暫く歩いた。無垢な見晴らしの良い雪渓の横にテントを張った。鼻歌は、このころ一生懸命練習していたサンサーンスの交響曲第三番オルガンの終楽章。
お茶を沸かしたり御飯をこしらえたりするうちに、正面の八ケ岳連峰が夕陽で真っ赤に染まり初めた。初めてのテント泊でのこの印象が強烈だった。空がだんだん色を変えて夜になっていくのを見ていた。星空に変わった。この年の夏、八ヶ岳の全山を一人で縦走しようと思い付いた。
翌日、展望台のある山頂に登り、木が無い、草原の続く霧ヶ峰の丘陵景観を眺める。草原と、少し残っている森の配置が美しい。踊りだしたくなるようなメルヒェンの遠景だ。
深田久弥は戦前、誰もいない霧ヶ峰をさまよい歩き、遊ぶ山の魅力を随筆に書いていた。道や展望台ができてしまった時代ながらも、それなりに自由な一晩を過ごした。霧ヶ峰で気ままに遊んだ。
バイクに乗ろうとして横にいた大人に大きなザックだねと話しかけられた。歳を訊かれて、「17歳です。きょうは僕の誕生日です。」と答えた。「いいなあ若くて、これからなんでもできるね」と祝福の言葉をもらったのを覚えている。
ルートどおりにあるく、アルプスの有名な山から離れ、地味で人のいない、道もないかもしれないふるさと周辺の山を探し歩くようになった。
車山では、ハンググライダーの練習をしている人がたくさんいる。僕は中学高校時代、空を飛ぶことにもとても惹かれていて、ずいぶん熱心にこれを見ていた。
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