阿闍羅山・南尾根よりシーハイル


- GPS
- 04:20
- 距離
- 9.6km
- 登り
- 629m
- 下り
- 689m
コースタイム
天候 | 高曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
感想
きのうは梵珠嶺 きょうまた阿闍羅〜
雪煙たてつつ おゝシーハイル〜
という歌は大正時代の流行歌に五所川原農林校スキー部が歌詞をつけて部歌にしたものが、1950年台の山歌で流行ったそうで、それが代々伝わってゐるわけです。
青森に来てやはり気になる阿闍羅山、登ってみたいのだが北面は殆どスキー場でバリカン刈り、山頂台地はゴルフ場になっていて夏は車で山頂に行けてしまう。南側はそういう開発がなさそうなので独自ルートの計画を立てた。碇ヶ関の駅から眺めてみると、予定の尾根は杉の植林で黒々している。その右の、末端が丸い尾根はミズナラの雑木林で、ここを登ることにした(△544の南東尾根)。
通学電車で碇ヶ関駅を降りると、足の悪い初老の男が二人一緒に降りた。駅前の100mほどコチコチに凍った坂道だったので、手を貸して降りた。温泉診療所へ行くという。今年は雪が多い、と話していた。
温泉施設の脇を行くとすぐ山際になり、杉林の作業道を登って一段上のリンゴ畑ある台地を進む。
リンゴ畑のはずれからとりつき、ミズナラと杉林の境界近くをずんずん登る。阿闍羅の南面はこの境界より西側はすべて杉の植林谷だ。ミズナラ林はシールも決まる雪で、深くても膝のラッセル程度。藪は滑降には向いていない密度だが登りには問題ない。途中からカモシカの足跡と重なる。空は水色に晴れ始め、白い八甲田が全部見え始めた。阿闍羅は古いカルデラの真ん中の中央火口丘の様だ。挟まれた三日月型の平地に仏教っぽい地名の集落が点々。貨物列車が奥羽本線を走る音がかすかに聞こえる。植林杉の谷の上を鷲が飛んでいくのを見た。
杉の斜面を登っていくと唐突に山頂。高い電波塔、スキーリフトの終点があり、ゲレンデだ。山頂神社が少し離れたところにあって礼拝する。ここで一曲、シーハイルを歌って奉納。開発でずたずたにされてしまった阿闍羅山だが、中世には霊的な聖地として修験者が登った山だという。そんな哀れな身の上の山には僕くらいは独自ルートから礼儀正しく登りたいのである。
スキー場を下る。往年、青森で最も伝統あるスキー場として世界級の選手を輩出したそうだが、山が小さいので、80年代以降の流行のスキー場としては役不足で凋落、今は赤字経営。町も開発でお金を借りすぎ、財政破綻寸止めのところだ。
スキー場から大鰐温泉の町までスキーかついでぶらぶら歩く。真ん中を川が流れ、古いお寺や温泉宿があるシブシブの町だ。橋のたもとの「はしばた食堂」で、名物の温泉もやしラーメンをいただく。いろいろ控えめにもりだくさんの具なのに550円。食堂には地元のお年寄り数人が食事を終えて、お店の人も一緒にバンクーバーオリンピックスのハーフパイプを観戦していた。丁度日本隊がズボン下げ選手も含めて決勝戦だそうな。
「あぁ、惜スい〜」
「そこでコケねばなぁ〜」
「やっぱす、あい、ズボンコ下げすぎでだはんで、まいねくてあったびょんせ〜」
フランス語のように聞き取れない津軽弁のやりとりの中で、テレビ観戦だとここだけは聞き取れた。シャモニーの大衆食堂もさぞやという気分にひたる。勘定を済ませても、「兄さん、ゆっくり見ていけ」と腰掛けを出してくれるお誘いがうれしい。
食堂の隣の温泉「若松会館」の入浴料はたったの150円。湯を使っているとさっきの食堂の老人が入ってきた。汽車の時間も気にせず、のんびり垢を擦る。鉄道もあるし温泉もある。人が集まる場だってある。贅沢さえ言わなければ楽園のようなところじゃないだろうか。白鳥の群れる川を渡って弘南鉄道大鰐線の汽車で弘前へ。国鉄よりも本数が多い。高校生でムンムンの汽車の車窓からは阿闍羅、八甲田全山、岩木山、と津軽平野を囲むオールスターが豪華。誰も山なんかみてないや。
弘南鉄道の弘前駅から国鉄の弘前駅までまたスキー担いで歩く。道を聞いたおばさんとしばらく話しながら。国鉄で青森へ。浪岡あたりまで阿闍羅が見えていた。今日の好天に感謝。
コメント
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極東の島国でも、案外なところにあるものですね。
今朝は、東京にも雪がつもりました。
にんにくもえんどうも綿帽子。
やはり雪は良いですね。
yoneyamaさんはじめまして、こんにちは。
年代の古い私は、若い時所属していた山岳会で
岩木のおろしが吹くならふけよ〜、と良く歌っていましたが、今日まで、梵珠嶺 きょうまた阿闍羅〜の意味はわからないままでしたが、これですっきりですありがとうございました。
また、yoneyamaさんの山行記録拝見しました。
なかなか興味深い所に行っていますね。最近東北の山志向になった私にとって、参考になりました。
ihara1990さま
シャモニーの大衆食堂でもおっさんがチーズかじりながら観戦していることでしょう。
kazuhi49さまこんにちは
nezzrowさんは後輩ですが以前の記録に面白い話がありました。みんな意味も知らずに歌っていたんですね。僕も青森に来て初めて知りました。↓しかし青森の若い人、だれもこの歌を知りませんよ。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-30332.html
ちなみに梵珠嶺は梵珠山と呼ばれ、昨秋は錦の紅葉を家族で楽しみました。
いいですねぇ。
こんな雪国の俗世からかけ離れたような食堂で
ラーメン食べながらオリンピック見て、
一日だらだらと過ごしたい。
自分の近所の町でも味わえるとおもいます。自分が他の町からきた旅行者になったと想像してみて。けっこう東信州の小さい町にもありそうですよ〜。30分でも汽車に乗るというのはそのためのコツでしょうか。どんなに遠い町でもレンタカー借りて運転してしまうととたんに旅気分が失せるんだ、僕の場合。
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