ノボリ尾根から鷹ノ巣山を経て水根沢へ
- GPS
- 07:22
- 距離
- 11.7km
- 登り
- 1,396m
- 下り
- 1,409m
コースタイム
- 山行
- 7:17
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 7:22
天候 | 晴のち曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ノボリ尾根 ・一般登山道ではありません。かろうじて赤テープは点々とありますし、人の手は入っていますが、特に下部の勾配がきつく、40度を超えます。 ・尾根沿いに熊らしい真新しい糞が多くありました。 ・残念ながら奥多摩湖周辺のバイクの騒音が酷く響きます。 水根沢林道 ・特に危険な箇所はありませんでした。 ・広葉樹と針葉樹が程良く混ざり、沢沿いの爽やかな道です。 ・水根集落とバス停の間は車道を歩く方が多いようですが、沢沿いに遊歩道もあります。断然そちらがお勧めです。 |
写真
感想
踏み跡の薄い急峻な尾根に取りついてすぐに、前回は雲取山のゴンエ尾根で倒木に悩まされ、次はぬるい山にしようと考えていたのを思い出した。久々の晴れの週末に欲を出してしまった。登れば登る程勾配は急になり、引返すのは面倒という思いに追い立てられるように登った。
榧の木山の山頂から南南西に伸びるノボリ尾根は、雨降りバス停を降りてそのまま峰谷方面に車道を少し進んだところが登り口だ。階段を登ると、結構良く踏まれた跡がある。それを追っていると尾根を東側に巻き始めた。ただ今回参考にした奥多摩登山詳細図(西編)では、巻き道は崩れているので尾根を直登するよう勧めている。確かに尾根上にも踏み跡があるし、赤と青のテープも目につく。
勾配が緩む気配は無い。おまけに奥多摩湖の方からバイクの排気音が喧しく響いてくる。それなりに離れているはずだが、山に居るのに騒音に悩まされるとは。きつい勾配で中々進まない上、騒音で落ち着かず、かなりイライラした。
東側は杉林が濃く、他の尾根は見えない。西側には見えるがまだ大分遠いし、あちらが高い。踏み跡は薄くなり、足元がしっかりしない。手を使ってただ必死によじ登った。山道での呼吸法も歩き方も皆忘れた。飯屋で大盛を頼んだところ、とんでもない盛りのものを出され、ただ必死に平らげようと無心にとりかかる。そんな気分だ。
東側から何度も薄い道がトラバース状に通っているように見えたので、そちらも行ってみたが、道は消えている。ただの獣道だったかもしれない。
木が茂っているので高度感はそれ程感じないが、登り始めて40分ほどで勾配がいよいよ厳しくなり、直登するのに身の危険を感じ始めた。広くもない尾根筋を直登しているので、道を間違えるはずもないが、念の為山旅ロガーを見ると、巻き道との接続点のすぐ手前だった。他の方のヤマレコでもその辺りが最もきついと書かれていたので、ああそうですかと踏ん切りをつけた。10m程の幅で折返してトラバースで登った。撮った写真に後で分度器を当ててみたが、45度だった。現場ではもっと有りそうに見えたが。
踏み跡は薄いが、たまにテープはあるし、倒木は見当たらない。丸太が転がっているので、人の手はしっかり入っているようだ。前回の苦労を思い出し、丸太や切り株を見る度に感謝した。
西側の尾根の稜線が低くなり、いよいよ近づいて見えなくなったところで急勾配がついに緩んだ。その上が栂ノ山ルートとの分岐点だ。ザックを下ろして座り、水と行動食で一息ついた。
その先は緩くなり、ブナの美しさを楽しむ余裕も出てきた。ただ先程から道沿いにやたらと直径の太い真新しい糞を何度も見かけた。写真は撮らなかったが、その太さと形、匂いの無さから、ツキノワグマのものと判断するしかないようだ。ただ獣の匂いや気配は無く、途中出会ったのは単独の牝鹿だけだ。
一旦広がった尾根がまた痩せてきた。主尾根の榧の木尾根に接続するので、今は何も見えない右手の空から尾根が見えるはずと思っていたら、その前に尾根の先に見覚えのある指導標らしきものが見えてきた。地形図を見直すと、接続点はほぼ山頂で、榧の木尾根も同じ高さで繋がるので、先に見えなくて当たり前だ。相変わらず地図を読めていない。
指導標の切り落とされた跡を見て自己満足に浸りながら息を整えた。全く、純然たる自己満足だ。だからこそ迷惑になる事は一切慎まねばならない。
榧の木尾根もここからなら楽だ。それでも結構バテているようで、水根山の手前で大幅に速度が落ちたが、なんとか石尾根に繋がった。紅葉はまだまだのようだ。巻き道をぼけっと下を見ながら歩いていると、えらく鮮やかな赤が目に入った。モミジだ。しかも見事に赤い。何枚かまとまって落ちているので、すぐ近くに落とし主がいるはずと見回すと、数メートル上に見つけた。「あはっ」笑いが自然に漏れた。
そこから先の稜線上はブナ等も少し色づき始めたようで、「よく来たな」と労われているようで実に気分が良かった。なんとか山頂に辿り着くと、富士山は見えない。ほんの先程までは見えていたそうだ。立派になった山名標を白けた気分で眺め、十数組が休んでいる山頂を後にして来た道を戻った。
石尾根の道を外れ、ススキの草原に分け入る。ザックを下ろしてレモンティーを一気に飲み、草原に寝そべった。風と鳥の声しか聞こえない。虫も少ない。もう何も言うことはない。今この時の為に、ここまで来たのだ。
4分の1ほど色づき始めた木を眺めながら昼飯のパンを食べ、足りないので行動食を食べ散らかす。BGMはVan Morrisonだ。だらだら過ごしていると風が冷たくなったので、水根沢を目指して下り始めた。
特に失敗もせず、全体に満足の行く山行だった。山上のひと時を糧に、また暫く娑婆で頑張ろう。ただ次こそは気楽な山にしたい。バイクのいない地域で。
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