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栗駒山(くりこまやま) / 須川岳

紅葉が「神の絨毯」と賞される東北の名山

"栗駒山"
"栗駒山"

栗駒山は宮城県、岩手県、および秋田県を跨いでそびえる山です。
標高は1626mで、日本二百名山の一座を担います。日本百名山の選考には漏れてしまいましたが、その決定者の深田久弥(ふかだきゅうや:1903-1971年)は、「栗駒山を百名山にいれるべきであったかも」と後述しています。
登山コースが多く、花の百名山および新・花の百名山に選ばれるほど豊かな高山植物が魅力です。

馬にまつわる山

"栗駒山:馬に例えられる雪形"
"栗駒山:馬に例えられる雪形"

山名は春先に斜面に現われる雪形が、天を駆ける白い駒(=馬、仔馬)の形に見えるため、と伝えられます。さらに麓の栗原エリアが馬の産地であったから、とする由来もあります。
地域によって異なる名称も持ち、宮城県では「駒ヶ岳」や「駒形嶽」と呼ばれることがあります。また、岩手県での別名は「須川岳」ないし「酢川岳」、秋田県では「大日岳」です。

名うての絶景「神の絨毯」

"紅葉する栗駒山"
"紅葉する栗駒山"

高山植物もさることながら、秋の紅葉も評判です。染め上がった山肌は「神の絨毯」と称賛されています。毎年9月中旬になると山頂が色づき始めます。それは徐々に山腹、山麓へと広がり、10月中旬には全山が見頃を迎えます。
登山者が大挙するため、紅葉シーズンは一部の登山口でマイカー規制が実施されます。

信仰の道が残る霊山

"駒形根神社(里宮)"
"駒形根神社(里宮)"

栗駒山は古来、崇められています。
古くは山伏の修行の地でしたが、のちに「御駒講」などが組織され、信者が集団で登拝を行っていたようです。信仰の拠点は駒形根神社で、山頂にはその奥宮が祀られています。

"表掛コース:石飛八里と謳われる道"
"表掛コース:石飛八里と謳われる道"

信仰の道は現在も歩くことができ、登りは「表掛コース」、下りは「裏掛(新湯)コース」と名付けられています。
表掛コースの別名は「御沢コース」で、沢を遡行する道です。滝や濡れた岩をよじ登ることから「石飛八里」とも呼ばれ、経験が十分な中級者以上向けです。

気象庁が常時観測する火山

"昭和湖"
"昭和湖"

栗駒山は安山岩を主とする成層火山です。
気象庁が24時間観測している活火山で、有史以降は1744年と1944年に噴火しています。1944年の水蒸気爆発では、火口が窪地となり昭和湖が形成されました。池の水は酸性度が高く、乳白色または青みがかった色で神秘的な雰囲気を醸します。湖の呼称は、年号が昭和であったことにちなむようです。

"剣岳"
"剣岳"

昭和湖のすぐ西は、中央火口丘の剣岳がそびえます。周辺は現在も火山性ガスを噴出しており、昭和湖を経由する「須川コース」は通行が規制されることがあります。

"秣岳"
"秣岳"

剣岳を囲む外輪山は、永年の浸食で南面のみ残っています。栗駒山最高地点と秣岳(まぐさだけ)、および虚空蔵山がこれに相当します。

東北の山々を一望する山頂部

"栗駒山山頂より鳥海山を望む"
"栗駒山山頂より鳥海山を望む"

栗駒山は標高1400mほどで森林限界を迎えます。そのため山頂部に高い木々はなく、眺望に恵まれています。
鳥海山月山早池峰山焼石岳など、東北の秀峰を贅沢に見渡します。遠くは太平洋が確認できることもあります。

"栗駒山山頂"
"栗駒山山頂"

山頂には駒形根神社の奥宮が鎮座し、一等三角点が設置されています。三角点の点名は「酢川岳」です。その所在地が岩手県一関市のためか、岩手県側の栗駒山の別称が付けられています。

多彩な9つのコース

"栗駒山登山コース"
"栗駒山登山コース"

栗駒山は登山コースが9つと豊富です。各コースの名称は「東栗駒コース」「中央コース」「須川コース」「産沼コース」「秣岳コース(天馬尾根コース)」「表掛コース(御沢コース)」「裏掛コース(新湯コース)」「大地森コース(世界谷地コース)」「湯浜コース」です。かつては11の道ありましたが、2008年の岩手・宮城内陸地震の影響で2つが廃道となりました。

"笊森避難小屋"
"笊森避難小屋"

山中には宿泊や売店営業をする山小屋はなく、一帯はテント泊が禁止されています。山中で唯一建っているのは、笊森避難小屋です。そのため、基本的には日帰り登山で計画を立てます。

"積雪期:バックカントリースキーヤー"
"積雪期:バックカントリースキーヤー"

栗駒山の登山適期は、5月頃から冠雪前の11月あたりです。
冬期は主な登山口へ通じる道路が通行止めになります。また季節風の影響を強く受けるため、風が強いこともしばしばです。入山者はぐっと減り、熟達した登山者のみがバックカントリースキーや雪山登山を満喫しています。

短時間で登れる「中央コース」「東栗駒コース」

"栗駒山登山コース:中央コース・東栗駒コース"
"栗駒山登山コース:中央コース・東栗駒コース"

定番は中央コースと東栗駒コースで、比較的短い時間で山頂に着くことができます。

"いわがかみ平:駐車場"
"いわがかみ平:駐車場"

どちらのコースも登山口はいわかがみ平です。そのため登りに東栗駒コース、下りに中央コースといった両コースを楽しむプランがよく選ばれています。

"中央コース:登山道"
"中央コース:登山道"

中央コースは歩行時間が最も短く、登山初心者でも登ることができます。
道幅は広く、石畳みを敷いて整備された場所もあります。

"東栗駒コース:沢の中の登山道"
"東栗駒コース:沢の中の登山道"

東栗駒コースは途中、沢の濡れた岩を登る箇所があります。涼を感じる道ですが滑りやすく、下りの場合は難易度が上がります。登山初心者は往路で使うのが無難です。

温泉地から辿る「須川コース」「産沼コース」

"須川温泉:温泉の川が流れる登山口"
"須川温泉:温泉の川が流れる登山口"

須川温泉から登る道もまずまずの人気です。

"栗駒山登山コース:須川コース・産沼コース"
"栗駒山登山コース:須川コース・産沼コース"

こちらは昭和湖に立ち寄る須川コースか、産沼を通過する産沼コースかを選ぶことができます。(※2023年9月現在、須川コースの昭和湖〜天狗平間は火山ガスの影響で通行禁止です)

"名残ヶ原"
"名残ヶ原"

須川温泉から登山道に入ってすぐはハイキングコースです。ここまでは観光客もよく訪れており、名残ヶ原の高層湿原と、「ゆげ山」および「地獄釜」と名の付く噴気地帯が見所です。
登山口 東栗駒コース・中央コース:いわかがみ平
須川コース・産沼コース:須川温泉
秣岳コース(天馬尾根コース):秣岳登山口
表掛コース(御沢コース):御沢コース駐車場
裏掛コース(新湯コース):裏掛コース登山口
大地森コース(世界谷地コース):大地森コース登山口
湯浜コース:湯浜コース登山口
基本情報
標高 1626m
場所 北緯38度57分39秒, 東経140度47分18秒
カシミール3D
山頂
展望ポイント

山の解説 - [出典:Wikipedia]

栗駒山(くりこまやま)は、山体が宮城県、秋田県、岩手県の三県にまたがる山である。標高は。山頂部は宮城県と岩手県の境界になっている。奥羽山脈に属し、焼石岳や神室山とともに栗駒国定公園や栗駒山・栃ヶ森周辺森林生態系保護地域として指定されている。二百名山、花の百名山の一つ。
山名の由来は、初夏の山頂西側に馬の雪形が現れることから。別名を須川岳(すかわだけ)・酢川岳(すがわだけ)・大日岳(だいにちだけ)・駒ヶ岳(こまがたけ)などとも呼ばれる。
栗駒山は、安山岩やデイサイトを主な岩質とする成層火山であり、活火山に指定されている。約80万年前以降に活動を開始し、最新噴火は1944年11月20日で、小規模な水蒸気噴火を起こし昭和湖を形成した。それ以前の有史の記録では江戸時代の1744年2月3日の噴火がある。山頂の北側にある約11万年前に形成された平坦な溶岩ドームの剣岳では、噴気活動が盛んで東斜面で樹木の枯死が生じている。
山頂の北側には北西方向に開口する、直径およその馬蹄形のカルデラがあり。岩屑なだれは東西、南北の範囲に分布している。
山頂への登山コースが9本ある。山頂部は高木がなく眺めが良い。日本百名山を著した深田久弥は、その後書きの中で、「東北では秋田駒ヶ岳と栗駒山を百名山にいれるべきであったかもしれない」と述懐している
栗駒山の紅葉は「神の絨毯」と称される。秋分のころ山頂から始まり、10月上旬にかけて次第に麓に降りてくる。
2008年の岩手・宮城内陸地震により、山体南東麓で大規模な地すべり(荒砥沢地すべり)が発生した。宮城県側の周辺には須川、駒ノ湯、温湯、湯ノ倉、湯浜等の温泉が点在するが、地震による影響で休業や廃業に追い込まれる被害を受けた。また、登山道も地震の影響を受けており、裏掛(新湯)コースなど崩落のため通行禁止となっている箇所もある。
火山噴火予知連絡会によって火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山に選定されている。

付近の山

この場所に関連する本

この場所を通る登山ルート

「栗駒山」 に関連する記録(最新10件)

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2024年10月12日(日帰り)
栗駒・早池峰
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  18    9 
2024年10月12日(日帰り)
栗駒・早池峰
05:1413.3km798m3
  32    4 
2024年10月12日(日帰り)
栗駒・早池峰
05:457.3km526m2
  56    15 
2024年10月12日(日帰り)
栗駒・早池峰
03:197.8km522m2
  10    10 
2024年10月12日(日帰り)