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大朝日岳(おおあさひだけ) / 古名:剣頭山(けんとうさん)
山形県
最終更新:ヤマレコ/YamaReco
ブナとヒメサユリに癒される朝日連峰の主峰
大朝日岳は山形県と新潟県の境に連なる朝日連峰(朝日山地)の主峰です。
山頂は山形県に位置しており、標高は1871mです。ピラミッドのような鋭い形から、古くは剣頭山(けんとうさん)と呼ばれていました。
花崗岩の巨大な山塊・朝日連峰
大朝日岳が属する朝日連峰は、「朝日岳」の名で日本百名山に選ばれています。
南北に約60km、東西に約30kmの巨大な山塊で、主稜線には西朝日岳、寒江山、以東岳などが並びます。山体は隆起した花崗岩でできており、日本屈指の多雪地帯のため、豪雪による浸食で谷は険しく刻まれています。
力強い形の峰々が並ぶ山岳風景は雄大で、たくさんの登山者を惹きつけています。
参拝路から軍用道路、登山道へ変遷
朝日連峰は古くは信仰の対象で、開山は役小角(えんのおづぬ、えんのおづの:634-701年)によると伝えられます。鳥原山の避難小屋(鳥原小屋)には「霊山朝日嶽神社」が、また大朝日岳山頂避難小屋の近くにはその奥宮が鎮座しています。修験道は一時は隆興したようですが、近くの月山で栄えた羽黒修験道の勢いに押され、衰退へ向かいました。
山伏らが行き交っていた尾根道は、後の1598年、「朝日軍道」として整備されました。これは上杉家家臣の直江兼続(なおえかねつぐ:1560-1620年)が秘密裏に作らせた道で、荷馬も通れるほどでした。大部分は朝日連峰の主稜線に沿っており、わざわざ山岳地を開削した目的は、飛び地となった領地と本領を、他家の所領を通らずに行き来することでした。
現在の登山道は、朝日軍道と一部が重複していたり、すぐそばを並行しています。登山道脇の笹薮からは、馬車のために勾配を緩めたつづら折りの名残りを見ることができます。
必見のブナの美林とヒメサユリ
朝日連峰の魅力のひとつは、あまり人の手が入らない豊かな自然です。
山腹まではブナを主とした清々しい天然林が広がり、巨木もよく見られます。
山上部は標高2000m足らずですが、厳しい気象条件のため森林限界を超えます。高い木々は無く開けており、初夏は残雪とお花畑がアルペンムードを醸します。
特に人気の花はヒメサユリです。花は薄い桃色で可愛らしく、また分布域は東北地方の一部の山に限られる希少な植物です。大朝日岳から小朝日岳にかけての稜線は、ヒメサユリが咲き乱れる景勝地です。
東北地方の名峰を見晴らす山頂
大朝日岳の山頂部は大パノラマが楽しめます。
連綿と続く朝日連峰の山並みや、月山や鳥海山、飯豊山、蔵王山など東北の名立たる山を見ることができます。
また日本海と佐渡ヶ島が望めることもあります。
豊富な避難小屋と水場
大朝日岳へ通じる登山道は複数あり、自由度を持って登山計画を立てることができます。ただしどれを選んでも道のりは遠く、長時間行動できる体力が求められます。泊りがけで臨む登山者も多く、その場合は夕暮れや星空、御来光といった絶景も堪能できます。
朝日連峰での宿泊はすべて避難小屋で、寝具や食糧を持参する必要があります。小屋は山域全体に点在しており、夏季は管理人が常駐する所もあります。また環境保護の観点から、山中での幕営は禁止されています。
数日かけた山行において、水の確保は重要事項です。山域に営業小屋や売店はありませんが、水場はいくつもあるため、そこで得ることができます。
定番は古寺案内センターから登る
大朝日岳登山で最も利用されている登山口は、大江町朝日連峰古寺案内センターです。センターは宿泊施設も備えており、広い駐車場もあります。かつては「古寺鉱泉」に入浴できる温泉宿が登山の拠点とされていましたが、2019年に閉館しました。
登山口からは小朝日岳を経て大朝日岳を目指します。小朝日岳までの道は二手に分かれています。
そのひとつは古寺山を通る道です。
途中には一服清水、三沢(さんざ)清水と名の付いた水場があります。
もう一方は、鳥原山を経由する道です。前者よりは行動時間がやや長くなります。
鳥原山山頂より少し先は、「鳥原山展望台」です。向かう先の小朝日岳と大朝日岳を大きく望みます。
小朝日岳から大朝日岳までは1本道です。
大朝日岳の山頂手前には、大朝日岳山頂避難小屋があります。
登山口 |
日暮沢小屋 大江町朝日連峰古寺案内センター ぶな峠登山口 白滝コース林道終点 朝日鉱泉 |
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周辺の山小屋 |
大朝日岳山頂避難小屋 竜門山避難小屋 鳥原小屋 |
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1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月正に天国か楽園か、麗しくたおやかな山々が連なる東北の朝日連峰を大縦走。 主稜線上では百花繚乱の高山植物と素晴らしい展望を堪能、そして喧騒とは無縁の山歩きを楽しむことができます。 この夏、ぜひ一度足を運んでみては如何でしょうか。