アルプス4000m峰(ゲーゲケ版)
ヨーロッパ
最終更新:ベルクハイル
基本情報
標高 | 4545m |
---|---|
場所 | 北緯46度05分32秒, 東経07度51分32秒 |
ドム(“Dom” : 4545m)は、スイス中南部、ヴァリス(Wallis/Valais)山群のうち、ザース渓谷(“Saastal”)と、ツェルマット渓谷(“Mattertal”)を分ける南北に長い山群である、ミシャベル山群(“Mischabel Gruppe” (独)/ ” Mischabel Range” (英))のうちの一峰であるとともに、ミシャベル山群の最高峰でもある。
ミシャベル山群の最高峰であるだけでなく、スイス/イタリア国境線沿いの山々(=モンテローザ山塊)を除くと、山体全体がスイス国内にある山としては、スイス国内での最高峰でもある。またヨーロッパアルプス全体で見ると、7番目に高い山である(文献2)。
ドムは、南北に長く続く山稜である、ミシャベル山群の中心部に位置し、その北側 約2kmにはナーデルホルン(“Nadelhorn” ; 4327m)がそびえている。また南側 約1kmには、テッシュホルン(“Taschhorn” ; 4490m)がそびえている。
ドムとテッシュホルンとは標高もほぼ同じで、かつ、尾根で連結しているので、遠方からは双耳峰のように見える。また見る角度によっては、ナーデルホルンも含めた3つの山が、3連山を形成しているようにも望める。
ドムの東面、西面は共に、標高差の大きい急峻な氷雪壁/岩壁となっている。ドム東面の上部は、フェー氷河(“Fee Glacier”)が広がっており、その下部は、ザース渓谷側へと落ち込んでいる。ザース渓谷までの標高差は3000mを超える。
一方、ドム西面の上部はフェスティ氷河(”Festi Glacier”)など、いくつかの氷河が広がっており、その下部は、ツェルマット渓谷側へと落ち込んでいる。ツェルマット渓谷までの標高差もやはり、3000mを超える(文献2)。
ドムの山頂部は鋭いピークの形状であり、遠くからも良く目立つ尖峰である。細かく見ると、ドムの山頂部は、本峰以外に、西峰(あるいは「西の肩」;4479m)と、東峰(あるいは「東の肩」;4468m)を持つ(文献2)。
Dom(ドム)という名前は、ドイツ語の大聖堂(Dom(e))(=英語の"Cathedral”)や、丸屋根の意味のドーム(“Dome” (英))をイメージさせ、高くて堂々とした山容の、この山にふさわしい名称である。
が、実はこの名称は、この付近を最初に測量した測量技師であるベルヒトルト(J.A. Berchtold)が、シオンの大聖堂(“The Sitten cathedral”)の、「ドムヘル」(”Domherrn” /教会の会員)であったことに由来するという説があり、また、ベルトヒルト自身が、この一帯の測量作業を行っている際に、大聖堂という意味で、この山を “Dom“ と呼んだからだ、ともいう(文献1)、(文献2)、(文献3)。
また、ドムを含む「ミシャベル山群」の「ミシャベル」(“Mischabel”)とは、古いドイツ語方言由来の単語で、農具の一種(草を運ぶフォーク状の農具;“pitchfork” (英))を意味する、という(文献2)、(文献3)。
ドムの標高は、文献によって多少の差異がある。
(文献1)、(文献2)では、4545mと記載されている。
(文献3)、(文献4)では、4546mと記載されている。
本稿では、(文献2;ウイキペディア英語版)に記載の、4545mを採用した。
地質学的には、ドムの山体は、片麻岩(gneiss)で形成されている。
またドムを含むミシャベル山群は、テクトニックな観点からは、ぺニンナップ(“Penninic nappes”)のうち、ブランション地塊(”The Briansonnais microcontinent“)に属している(文献2)。
ドムの初登頂は、September 1858年9月に、J. L. Davies , J.Zumtaugwald(guide) , J. Kronig(guide) , H. Brantschen(guide)による4人パーティにより、フェスティ稜(北西稜;“Festigrat”/ Nordwestgrat)をたどるルートによって、達成された(文献1)、(文献2)、(文献3)。
ドムへの一般的な登攀ルートについて、(文献1)に基づいて説明する。
登攀ルートは、マッタータール側のランダ(“Randa”;1400m)の街からアプローチし、ドム西面中腹にある、ドム小屋(“Dom Hutte”;2940m)まで登って一泊する。
ドム小屋からはフェスティ氷河(“Festi Glacier”)を登高し、一部岩稜(”Festigrat”)を絡みながら、フェステイ稜(”Festigrat”/北西稜)上にあるコルである、フェスティヨッホ(“Festijoch” ; 3723m)に至る。そこから、フェステイ稜を絡むようにして、北西面に広がるホーベルク氷河(”Hohberg Glacier“)の上部を登高し、主峰と西峰(西の肩)の間のコル状の場所に上がる。そのコルからは少しの岩稜歩きでドムの山頂に至る。
上部の登攀ルートとしては、ホーベルク氷河をいかず、フェスティヨッホ(“Festijoch”)から、岩稜であるフェステイ稜(“Fesitigrat”)をそのまま登攀するルートも使われる。
ランダからドム小屋まで、登りで約5−6時間、標高差は約1500m。
ドム小屋からドム山頂まで、登りで約5−7時間、標高差は約1700m。
上記登攀ルートの難易度は、フレンチグレードで、PD。
岩場のピッチグレードは、供銑供福棔法
氷雪面の最大斜度は約50度。
技術的な難易度よりも、麓からロープウエーなどの人工的なアクセス手段がなく、全ての標高差を歩かないといけないという点で、体力的な難易度が高い山である。
本稿は、「アルプス4000m峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田 訳、山と渓谷社 刊 (1997)の「ドム」の項(文献1)、
ウイキペディア英語版の、ドム(“Dom(mountain)”) の項(文献2)、
ウイキペディア ドイツ語版の、ドム(“Dom(Berg)”)の項(文献3)、及び
スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)(文献4)
を参照して記載した。
※ ウイキペディア英語版の、ドム(”Dom(mountain)”)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dom_(mountain)
※ ウイキペディア ドイツ語版の、ドム(“Dom(Berg)”)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Dom_(Berg)
※ スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)のサイト
https://map.geo.admin.ch/
ミシャベル山群の最高峰であるだけでなく、スイス/イタリア国境線沿いの山々(=モンテローザ山塊)を除くと、山体全体がスイス国内にある山としては、スイス国内での最高峰でもある。またヨーロッパアルプス全体で見ると、7番目に高い山である(文献2)。
ドムは、南北に長く続く山稜である、ミシャベル山群の中心部に位置し、その北側 約2kmにはナーデルホルン(“Nadelhorn” ; 4327m)がそびえている。また南側 約1kmには、テッシュホルン(“Taschhorn” ; 4490m)がそびえている。
ドムとテッシュホルンとは標高もほぼ同じで、かつ、尾根で連結しているので、遠方からは双耳峰のように見える。また見る角度によっては、ナーデルホルンも含めた3つの山が、3連山を形成しているようにも望める。
ドムの東面、西面は共に、標高差の大きい急峻な氷雪壁/岩壁となっている。ドム東面の上部は、フェー氷河(“Fee Glacier”)が広がっており、その下部は、ザース渓谷側へと落ち込んでいる。ザース渓谷までの標高差は3000mを超える。
一方、ドム西面の上部はフェスティ氷河(”Festi Glacier”)など、いくつかの氷河が広がっており、その下部は、ツェルマット渓谷側へと落ち込んでいる。ツェルマット渓谷までの標高差もやはり、3000mを超える(文献2)。
ドムの山頂部は鋭いピークの形状であり、遠くからも良く目立つ尖峰である。細かく見ると、ドムの山頂部は、本峰以外に、西峰(あるいは「西の肩」;4479m)と、東峰(あるいは「東の肩」;4468m)を持つ(文献2)。
Dom(ドム)という名前は、ドイツ語の大聖堂(Dom(e))(=英語の"Cathedral”)や、丸屋根の意味のドーム(“Dome” (英))をイメージさせ、高くて堂々とした山容の、この山にふさわしい名称である。
が、実はこの名称は、この付近を最初に測量した測量技師であるベルヒトルト(J.A. Berchtold)が、シオンの大聖堂(“The Sitten cathedral”)の、「ドムヘル」(”Domherrn” /教会の会員)であったことに由来するという説があり、また、ベルトヒルト自身が、この一帯の測量作業を行っている際に、大聖堂という意味で、この山を “Dom“ と呼んだからだ、ともいう(文献1)、(文献2)、(文献3)。
また、ドムを含む「ミシャベル山群」の「ミシャベル」(“Mischabel”)とは、古いドイツ語方言由来の単語で、農具の一種(草を運ぶフォーク状の農具;“pitchfork” (英))を意味する、という(文献2)、(文献3)。
ドムの標高は、文献によって多少の差異がある。
(文献1)、(文献2)では、4545mと記載されている。
(文献3)、(文献4)では、4546mと記載されている。
本稿では、(文献2;ウイキペディア英語版)に記載の、4545mを採用した。
地質学的には、ドムの山体は、片麻岩(gneiss)で形成されている。
またドムを含むミシャベル山群は、テクトニックな観点からは、ぺニンナップ(“Penninic nappes”)のうち、ブランション地塊(”The Briansonnais microcontinent“)に属している(文献2)。
ドムの初登頂は、September 1858年9月に、J. L. Davies , J.Zumtaugwald(guide) , J. Kronig(guide) , H. Brantschen(guide)による4人パーティにより、フェスティ稜(北西稜;“Festigrat”/ Nordwestgrat)をたどるルートによって、達成された(文献1)、(文献2)、(文献3)。
ドムへの一般的な登攀ルートについて、(文献1)に基づいて説明する。
登攀ルートは、マッタータール側のランダ(“Randa”;1400m)の街からアプローチし、ドム西面中腹にある、ドム小屋(“Dom Hutte”;2940m)まで登って一泊する。
ドム小屋からはフェスティ氷河(“Festi Glacier”)を登高し、一部岩稜(”Festigrat”)を絡みながら、フェステイ稜(”Festigrat”/北西稜)上にあるコルである、フェスティヨッホ(“Festijoch” ; 3723m)に至る。そこから、フェステイ稜を絡むようにして、北西面に広がるホーベルク氷河(”Hohberg Glacier“)の上部を登高し、主峰と西峰(西の肩)の間のコル状の場所に上がる。そのコルからは少しの岩稜歩きでドムの山頂に至る。
上部の登攀ルートとしては、ホーベルク氷河をいかず、フェスティヨッホ(“Festijoch”)から、岩稜であるフェステイ稜(“Fesitigrat”)をそのまま登攀するルートも使われる。
ランダからドム小屋まで、登りで約5−6時間、標高差は約1500m。
ドム小屋からドム山頂まで、登りで約5−7時間、標高差は約1700m。
上記登攀ルートの難易度は、フレンチグレードで、PD。
岩場のピッチグレードは、供銑供福棔法
氷雪面の最大斜度は約50度。
技術的な難易度よりも、麓からロープウエーなどの人工的なアクセス手段がなく、全ての標高差を歩かないといけないという点で、体力的な難易度が高い山である。
本稿は、「アルプス4000m峰登山ガイド」リヒャルト・ゲーゲテ著、島田 訳、山と渓谷社 刊 (1997)の「ドム」の項(文献1)、
ウイキペディア英語版の、ドム(“Dom(mountain)”) の項(文献2)、
ウイキペディア ドイツ語版の、ドム(“Dom(Berg)”)の項(文献3)、及び
スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)(文献4)
を参照して記載した。
※ ウイキペディア英語版の、ドム(”Dom(mountain)”)の項
https://en.wikipedia.org/wiki/Dom_(mountain)
※ ウイキペディア ドイツ語版の、ドム(“Dom(Berg)”)の項
https://de.wikipedia.org/wiki/Dom_(Berg)
※ スイスの公的なインターネット地形図(Swiss Topo)のサイト
https://map.geo.admin.ch/
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